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作品名:もう・・笑うしかない 作者:ののはな

第31回   そのU
 あんなヤツの服なんか切り刻んで捨ててやろうと、おっさんの衣類を整理している時、ジーンズのポケットから 二つ折りにした6万円が出てきた。
ほほほぉ……これは私へのご褒美だわ。
ポケットに入れたお金を忘れるほど、お金にまみれているのかい?
数日間は様子を見るため使わずに仕舞っておいた。
が、結果私のものになった訳で……

 こんなにおかしな日を過ごしていても
たまに息子や娘が帰省した時はごく普通に帰って来て、一緒に食事したり美味しいものを食べに連れて行ったりした。
外食に誘われても「私は行かない」と言うのが口癖だった。
でもせっかく帰宅している息子達に悪いし、意固地になってると思われるのも嫌で、しぶしぶお供する事になる。

『家族ごっこ』の何ものでもない。
こんな『家族ごっこ』が我が家の定番になった。
おっさんにしてみれば心地よかったのだろう。
なんと言っても家族が一番だもの。
私にしてみれば、逆に『ごっこ遊び』は辛かったし、面白くなかった。
息子や娘が帰った後は手のひらを返したように背を向け無言になる私。
おっさんもまた、愛人宅へ行ってしまう。
歩み寄って話し合う事も無く、平行線のまま触れられたくない部分に蓋をして、お互いが避けているのは分かる。


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