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作品名:もう・・笑うしかない 作者:ののはな

第25回   そのU
 この商売はライバルも多い。
それにおっさんは、この商売仲間では中心人物になっていたらしく、統制の取りにくいこのエリアでの仕事を取りまとめていて、一目置かれる立場にあった。
ここでもまた顔を広めていた。
港湾内での車の運転は許可されていたらしく、船へ積み込む際には運転していた。
それを、ほんの少し外れた道路での逮捕。
公道にかかるかどうかの際どい場所で捕まった。
同業者のタレ込みで警官はその場で待機していたのだ。
無免許なのは事実だから、仕方が無かった。

 シャバに出て来たおっさんは、タクシーを自分の足代わりに使い出した。
朝 出掛ける時も、仕事であちこち回る時も、夜中や朝方に帰って来る時も、遠方以外は常にタクシーだった。
3ヵ月後に裁判が決まり、判決が言い渡される。
弁護士さんの助言で、毎日とは言わないまでも、家に帰って普通に生活するようにと言われ、裁判の日までは寝るだけに帰って来ていた。

 逮捕された事を私に詫びるでもなく、何事も無かった顔のおっさんが憎かった。
裁判の事も、間近になってから始めて細かな段取りを知らされた。
弁護士さんは家族も全員が法廷で傍聴するようにと言われた。
印象を良くするために家族愛を出すらしい。
家族のまとまりを良く見せる事が大事だと言われた。
まとまっていないのはおっさんだけだよ。おかしな話だわ。

 


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