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作品名:もう・・笑うしかない 作者:ののはな

第21回   そのU
 式があと20日位にせまって来た頃、事件が起きた。
娘は式の一週間前には 新居やもろもろの準備のために、ここを出る事になっていた。
夕方の食事の準備中にその電話が鳴った。

「奥さん、急な事で驚かないで下さいね。いずれ電話があるでしょうけど、早く知らせておきたくて…ご主人 今日は帰られませんよ、警察に居ますから…」

仕事仲間で懇意にしている人からだった。
最初は 事情が飲み込めなかった……
しばらくしたら、警察から電話があった。

「現行犯で逮捕しましたから、当分帰れませんので、今留置しています。面会は出来ますよ、差し入れは受付に渡してください」

警察は細かいことは何も言わない。
何で逮捕したかも言わない。
事務的な伝え方が かえって寒々しいし不気味だった。
天地がひっくり返ったような感覚を味わった。

先に電話してくれた人にもう一度 確認の電話をした。

「いったい何の容疑で捕まったんですか?」

私の問いに

「無免許だったんですか? ご主人は。誰かにタレ込みされたようです。足引っ張るヤツが居るんですよ、こういう商売してると」

無免許で逮捕?……
そう言えば裁判所からの呼び出し通告が何回も来てた。
交通違反をしてるのは明らかだったけど、呼び出しに応じなかったのも確か。
封書が届くたびに電話して伝えておいたのに。
またまたアホな事をしでかした。
結婚式まであと少しなのに、何で今なのよぉ!

楽天家の娘は笑いながら

「えらい事や 花嫁の父が警察のお世話になるなんて、普通の人生ではあり得ん事やわぁ。で 結婚式までには出て来られるかなぁ…皆には内緒にしておかんとなぁ」

「ほんまにアホ! 次々と何をするか分からんわ。差し入れやってぇ、何持って行く? ムカつくわ! 新聞には出んやろか」

と、私も腹が立つと同時に動揺した。

ああぁ、前途多難!結婚式は無事に出来るのだろうか。
急遽 父親欠席なんて事にならなければいいけど。


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