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作品名:もう・・笑うしかない 作者:ののはな

第20回   娘の結婚とおっさんの逮捕で正気に戻る・そのT
 看護師として仕事をしていた娘が、結婚相手を紹介したいと帰宅した。
この時、おっさんは

「会ってもしょうがない、お前が見て良かったらそれでええ…」

と、家に帰ることをしぶっていた。
娘がぜひ会って欲しいと説得したら、一時間ほどだけ戻って来た。
もう結婚を決めてるなら会う事もないという不機嫌な態度だった。
正式な申し込みをしないと先へ進めないので、省く訳にはいかなかった。

娘は結婚の準備のために、一旦医院のお勤めを辞めて帰省して来た。
三ヶ月間をこの家で過ごす事になる。
この期間は私との思い出作りだと言った。
娘がこの新しい家に住むのは初めてだし、私も嬉しかった。
娘の高校時代は、何かしらギクシャクして、小さな対立は少なからずあった。
でも3〜4年の社会人生活ですっかり角が取れ、話もよく合う仲良し母娘になった。
結婚後に住むのは元の医院がある近くなので、また別の病院に勤め共働きをする。
この準備期間にいろんな所へ遊びに行ったり、新生活の買い物をしたりして楽しく過ごした。


 娘のお陰で私は生き返った。
とりあえず今が良ければそれで良い。
おっさんもこの時は毎日ではないけれど、家には帰って来ていた。
娘の手前、取り繕っているのだろう。
私は娘に、これまでのもろもろの事情はすべて話して聞かせておいた。

この地で式を挙げないので、車で2時間程の所を何度も行き来して、式の段取りは全部自分達でやってくれた。
相談を受けながら、私の意見も取り入れてくれた。
嫁ぐ娘のために忙しく過ごす毎日が、母としてどれだけの充実感で満たされていたことか。


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