少しずつではあったけれど、気持ちに変化が出始めた。 何でもありのおっさんが相手なら、私も何でも来いという態勢になればいいと思う。 人間おかしなもので、ここまでいろんな事が起こると、次は何が起きるのだろうと予測したり、ある意味面白がってしまうものだ。 私の中に、はっきりと芽生えたものがあったし、それを意識した。 ただ、新聞沙汰になる事だけは避けたかった。
「あんたの好きに生きて行ったらいいけど、新聞沙汰になる様な事だけはやめて! 息子や娘を裏切る行為だけは許せんし、子供達に顔向け出来ん事だけはするなよ、それだけは肝に銘じて覚えておいて欲しい。もう何も言わん!」
その後の私は、強かった。 心身ともに鍛えられた。 今迄のあらゆる事が私を強く頑丈にするための肥やしになった。 この頃から私は、お金に執着を持つようになる。 今までパチンコで、かなりのお金を つぎ込んだ。 パチンコでお金が増えることは絶対ない。 トータルして300万円は使い切ったと思う。 この時は、無駄とかもったいないとか思う事もなく、ただただ気晴らしのために使って来た。 ブランド物のバッグや貴金属、高価な宝石などをいくつも買うより安いもんだわ、と言い訳し自分を納得させた。
多分罪滅ぼしの意味もあったのだと思うが、おっさんはボーナスと称して帯封のまま一束とか、毎月のお手当ても(私はいつのまにかこんな呼び方をしていた)多くなった。 住宅ローン、息子への仕送りなど、大きなものは全部おっさんが管理していたので、実質 私は月々生活費があれば後は自由だった。
これを捨てる手はないと 今までにも増して貯蓄に励んだ。 しかし、贅沢品なども買い足しながら、ガーデニングに関するものは値段など気にせず惜しみなく買った。 私のバブルがいつまで続くのか…… 娘は私を「マハラジャ」と呼んで笑っていた。
|
|