おっさんはあの当時“いつかはクラウン”と言うコマーシャル通り、クラウンに乗り自動車電話もつけて、金の指輪、喜平のネックレス、ブレスレッド等を身に着けダサい成金スタイルを丸出しにしていた。 見るからに高そうなスーツやネクタイ、革靴…今までに見た事のない持ち物や洋服に、これは女の影響だという事は明らかだった。
女の匂いはするのに問い詰めない。 問い詰められないのは、事実を知るのが怖いから。 真正面に向かえない分を、買い物やパチンコ、お酒に逃げてるのは分かっていたけど、どうする事も出来なかった。
私がパチンコ通いしてる事を知らないおっさんは、どこで誰から聞いたのか男遊びをしていると思い込み、さも用事があって帰って来た風に見せかけて家に居た事があった。
もう会話などなかったし、私は黙っていつも通り お昼前に家を出て行った。 驚いたことに、おっさんは私の後を着けて来たのだ。 パチンコ屋でおっさんの車が駐車場を出て行くのを見てピンと来た。 あほ! つけて来て何してるん?
「お前、男と遊んでるんか! 人に聞いたけど…」
と、とぼけた電話が掛かって来た時
「私の事が気になるかぁ? 気になるなら毎日帰って来いよ!」
と怒鳴り返してやった。 自分がやましい事してる時に限って相手を疑ったりするもので、男はバカな証拠だ。 向こうが浮気してるなら、こっちも負けんようにしてやろうとは思わない。
同じ事をして、それを仕返ししたと思った時点でこっちの負け。 私はバカな事はしない。 しかも男なんて興味もないし、クソくらえだ!
働け! 働け! どんどんお金を使ってやる。 捨てたも同然にしてやる〜!
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