薄々感じていた事への不安と苛立ちから逃れるためと、おっさんへのあてつけ行為に私がした事は、お金をどんどん使う事だった。
私や家を放っておいて夢中になってしている商売。 それに加えて見え隠れする女の影。 同じ年齢のサラリーマンよりも多いと思われる私への給料。
通販での買い物依存症。 今みたいにインターネットでの買い物が少ない時代。 まだパソコンも使えていない頃なので、カタログ販売にハマリ込んだ。 衣類などは、次々注文して届いても最初は荷物を開けて見ていたけれど、一度も着ないで吊り下げたままの物が増えて来る。 その内、開けるのすら面倒になったり、新しいまま捨てたりする事もあった。 インテリア商品も見る見る増えて、嫌になるのにまた注文する。 貴金属もかなり手に入れた。 もったいない等という気持ちもなく、罪悪感もなかった。 これは精神を病んでいると自覚した。
もうひとつ、ハマリ込んだのがパチンコである。 とてもとても信じられない事!私がパチンコをするなんて… 毎日のパチンコ通いが、私のライフワークになった。 誰も居ない家でも、性格なのかキレイに掃除して、花の手入れも犬の世話もして完璧にしてから、お昼前に出掛けるのが日課だった。 毎日5〜6万円を財布に入れて、財布が空になっても気にならなかった。 また明日取り返そう… わずかの時間に10万円が儲かることもある。 面白くてやめられないよ。 パチンコの帰りは、スーパーに寄ってお惣菜を買って帰る。 薄暗くなってから2匹の犬の散歩をして、庭の見回りを済ませて、一人で食事する。 必ずビールかワインを飲みながら、話し相手は犬とテレビ…侘しいじゃないの。
どこかのヤモメのおっさんみたいな生活が、気楽でもあり やっぱり寂しかった。 空き缶やワインの空き瓶が日に日に増えて行く。 夜は、飲んで飲んでとにかく飲んで、酔って何かから逃げたかった。
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