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作品名:もう・・笑うしかない 作者:ののはな

第105回   そのU
 私には、ジキルとハイドを演じていたように思える。
『相手を変えるためには自分を変える』 これが本当なのか試してみたのだ。
長い時間がかかったが、徐々に なる程…と思える行動が見られるようになった。
完全に愛人と縁が切れた訳ではなかったが、家に帰って来ることが多くなったのだ。
しかし、長続きはしなかった。ここが、男と女の難しい所なのか…

 得体の知れないものと闘う事は、非常に疲れる。今はあの時とは確実に状況が違う。
おっさん自身に勢いも無いし、むしろ鬱状態に見える時もある。
もう、責めるのも愚痴るのもよそう…と思う。
あの時のように、ジキルとハイドを演じてみようか。
これで、おっさんが変わらなくても、自分が楽になればそれでいいか。
女の偉さと、強さを見せてやれ!

 ほとんど会話する事はないのに、おっさんはごく普通に話しかけて来る。
むっつりした私の顔や、しらーっとした態度、完全に無視してるのは空気で読めているのに話しかけるか? どんな神経してる? オイオイ…
おっさんよぉ〜うざったいんじゃよ! はっきり口に出して「うざい!」と怒鳴った事もある。けど、そろそろおっさんイジメを止めんとあかんなぁ。

 自分では、分かり過ぎるほど分かっている。私一人が頑張って来たんじゃない事を。
ひょっとしたら、おっさんの方が先にあの世へ行くかも知れない。
私が残って、本当は清々するのかも知れない。しかし、絶対に後悔するだろう。
悪者になりきれない私が居る。今更、甘えたり猫なで声を出したり出来ないけど、せめておっさんの存在を認めてやるか。

 不平不満は山ほどあるけど、流れに任せて生きてみるのも良いではないか。
先の心配はしても始まらない。運命は変えられない、もうシナリオは決まっている。
…神のみぞ知るって事だと思う。
ならば開き直ってやる!!


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