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作品名:ロミオとジュリエット 作者:800

第5回   5
帰ってきてから、2人はお互いの気持ちに素直になり、自分の素直な気持ちや思ってることを話し合っていった。
一週間もたたないうちにいきなり事件が起った。
その日も普通に2人はメールをやり取りしながら夜を過ごした。
僕は絶対に眞夢より早く眠ることはなかった。
寂しい想いや一人の気持ちを与えたくなかったから。
そしてなによりも、眞夢とずっと繋がっていたかったからだ。
帰ってきてから2人のメールのやり取りは色濃くなっていった。
恋人同士がするようなメール。
将来の事とか、最後の語尾にはくさい言葉で締めくくったり、なによりも「世界の誰よりも愛している」その言葉がよく使われていた。
そんな2人は未来の夢に二人を重ねあわしていた。
そのことをよく眞夢はお兄さんに話していたらしい。
その日の夜もそうだった。
眞夢から「お兄様は群さんがちゃんとした人じゃない。眞夢じゃなく眞夢の財産を狙ってるって言うの」
僕はその言葉を聞くまで考えたこともなかったから、最初はびっくりした。
だけど自分の素直な気持ちをメ−ルに書いた
「群さんは眞夢の財産も、眞夢の家も名前もいらないよ。ただ純粋に眞夢がほしいんだよ。世界にたった一人しかいない眞夢に恋をしたから。だからその他のことには興味はないよ。お金なんていらない。眞夢と子どもその二つを支えられるだけのお金しか欲しくないよ。そのためならお金が必要なら出世したらいい。そのためなら群さんは努力し続けられるしね。だから興味ないよ。群さんが興味あるのは眞夢自身だよ。今言われて初めて知ったよそんな考え方があるなって」
そういう素直な気持ちをメールに書いて送ったら眞夢から
「眞夢泣いちゃいました。すごくうれしいです。眞夢は今はなんにもできないけど頑張ろうと思います。このことをお兄様に話してきます。」
僕はわかった。行っておいで。
っとメールを返して幸せな気持ちで眞夢からのメールを待った。
そしたら二時間後くらいに「お兄様に話してきました。そしたらお兄様は眞夢はうらやましいな。そう言ってくれました。そのあとお姉さまとお兄様の話をしてくれました」
そうメールが届いた。
わかってくれたのかはぐらされたのかはわからいけど、眞夢が嬉しそうだったので僕はよかったね。っと伝えてまた、愛と未来の話を眞夢が眠るまでしていった。

朝起きて携帯を見て見た。
それはいつも通りの行為だった。
眞夢は模範生徒のように早起きで僕の携帯におはようのメールを入れてくれていた。
だから、その日の朝も朝起きてすぐに携帯の受信を確認した。
そしたら眞夢から「おはyごzいms。なんだか熱が出たぬたうばになの。でもしんおあいしないでくださお」みたいな意味不明なメールが届いていた。

僕は眞夢からのメールは必ず真剣に理解しようとしていた。
僕にとって眞夢を心の底から感じられるのはメールしかなかったから。
そしてなんとか理解しようと学校に行きながらずっと考えていた。
たぶん眞夢は「おはようございます。なんだか熱が出てしまったの。でも心配しない出ください」そう言う風に言っているのだと僕は理解した。
その時はあんまり心配しなかった。
メールを打ててるし、なによりも心配しないでくださいって書いてあるから。
ただの風邪だと思って、なにも心配していなかった。
学校についてから、先生を探してみたけどいなかった。
どうやら、まだ学校にきていないらしかった。
遅刻だった。
一時間目が終わった後に先生から呼び出され足早に先生に逢いに行った。
正直その時には、眞夢のことが心配でいっぱいだったから。
いつもはもう返信が来てもいい時間なのに、眞夢からいっさい返信がなかった
なにかあったのだろうか?それとも風邪が原因で眠っているだけなんだろうかと思った。
考えだすときりがないくらい。
いいパターンも悪いパターンも幾度となく出ていた。

先生に逢ってから重大な話を聞かされた。悪いパターン
しかも僕が考えてるよりもずっと悪いパターンだった。

「今日学校を遅刻したのはお兄さんとしゃべっててん。眞夢ちゃんが倒れたらしい。意識は戻ってきたらしいねんけど、まだ熱が高いから、ボーっとしているらしい。」
不安になった僕はあたり前のように言葉を発した。
「熱が高いってどれくらいなん?高くても解熱剤とか使ったら熱が下がるやろ?」
「それが、なんで熱が出たのかわからんねん。とりあえずいろいろな検査をしながらとりあえず熱が下がるようにしてる。原因がわからないとなにもできないねん。とりあえず発見した時には意識がなくなっていたらしい。そのあと熱を計ってみたら四十度以上あったらしい。普通の風邪じゃそこまで熱がいきなり上がらないし、それに意識がなくなるほど一気に熱が上がったから今検査をしながら調べてる」
「そうやったんか。だから朝届いたメール。文章がおかしかったんか」
「朝にメールがきたん?お前にメール送ったあとに意識がなくなったんやろな。とりあえず熱を下げながら検査してるから少し待ってあげてくれ。私も今はいけない状態やから。」
「眞夢に逢わしてくれ」
無理なことは承知だった。だけど頭で分かっていても行き場のない言葉が勝手に口から漏れた。
胸が張り裂けそうなくらい苦しかった。
頭は真っ白になりそうなのに、心だけは鮮明に動いて感情を出し切ろうとし、それを理性が少しでも止めようと必死の抵抗をしていた。
その活動が大きくなるに連れて僕の心のキャパシティを超えようとしていた
その隙間からこぼれるくらい大きな感情が言葉として出たのが「眞夢にあわしてくれ」だった。
「そんなことできるわけないやろ?今の一時期的な感情で動いたら一生後悔する。無理やり今の状態で逢いに行ってみろ?お兄さんを敵に回すだけやぞ?治ってからどうすんねん?これから先、お兄さんを味方につけないと何もできないぞ。おまえ眞夢ちゃんとずっといたいんやろ?今はいいかもしれへんけど、これから両親も出てくるかもしれない。そんなときにお兄さんの力は絶対に必要や。だからお兄さんを信じとけ。私も太鼓判の医者やから。それに妹のためならなんでもするやつや。」
「じゃ、せめて病院だけでも教えてくれ」
「教えたらお前内緒で行くやろ?一時の感情で流されるな。これから眞夢ちゃんと付き合っていくならそれなりの覚悟が必要やぞ。それに私まで信用なくしたら眞夢ちゃんに連絡もとれなくなるぞ。今は私も逢えない状態やけど、逢える状態までなったら、連絡取れるようにしたるからそれまで我慢しとけ。」
納得したくはなかったけど、何も言いけえせなかった。情けないけど先生の言ってることは正しかった。
大人で、何を言っても正論で反される。
僕の感情論だけでは経験値も説得するだけの力量もなかった。
情けなかった。
力のない自分が、そして何も考えずに生きてきた自分をこの時初めて後悔した。


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