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作品名:ロミオとジュリエット 作者:800

第3回   第三話 実行
眞夢の日々の暮らしは、学校に行き、帰ってから習い事をしていた。
習い事のない日は、学校の中にある図書室で門限まで勉強をしていた。

僕は学校をお昼で早退し、眞夢に逢いに行く事を計画していた。
簡単な思い付きだけど、もう2人には逢いたいという気持ちが確実に芽生えていた。
どうしようもないぐらい先のことなんて考えられないぐらい側にいたくて愛を求める作業に没頭していた。
だから、逢う計画を考えるのはすごく自然な考えだった。

僕は予定どおりに学校を早退し眞夢に逢いに行こうとしていた。
だけど、眞夢はすごく勉強熱心だったからなのか、自分の家が医者だったからなのか、自分が通訳になるからなのかはわからないけど、空いた時間には違う授業の講義を受けていた。

僕は大学生になったことがなかったので大学と言うシステムをよく分かっていなかった。
眞夢の通っている大学にはキャンパスがいくつもあり、どこのキャンパスに眞夢がいるのかが想定できないでいた。
眞夢に聞けば分かるんだけど、僕は眞夢をびっくりさしてあげたかった。
だから彼女には逢いに行くことを告げないでいた。

僕は自分の勘を頼りにして、眞夢の家に一番近い。そして大学病院が一番近いキャンパスに目星を付けて、眞夢にはばれない様に普段と変らないメールを打ちつつ大學を目指した。

電車が一駅一駅大学に近づくにつれて緊張がだんだん大きくなっていった。それと同じように不安もだんだん積み木を重ねるように重くずっしり不安定ながらも募っていった。

目的の大学の駅についた。駅はとても奇麗で出来立てのような感じがした。人もたいしていなくて、なんだか新都市みたいな未来を思わせるようなとても、その辺にある駅とは違い、ホームは大きくそして何だかオシャレだった。こんなところに沢山お金を使っているんだなとも思った。

そんなきれいな駅のトイレで身だしなみの最終チェックをして眞夢に逢いに大学に向かった。

大学は思っていたよりも大きくて、病院と道路を挟んだ向かい側にあった。
僕の期待は高まった。
大学に入ろうとする先に警備員が立っていて
もしかして学生書がないと入れないかとも思ったけど、なんなくすんなりと通してくれた。
眞夢に次は何の授業か聞き返事を待ちながら、大学を見て回った。
昔からあるような建物と、最近できたようなきれいな公舎。それに今からまだ綺麗になります。と言いたげな改装中の建物、そして賢そうな生徒がまだらにいた。

僕は校舎の前のきれいな芝生にあるベンチに腰かけ眞夢からのメールを待った。
それから、2,3分したあと眞夢から今受けている授業を聞き、近くにいる生徒に話しかけた。
「すいません?今人間心理学の授業を受けている教室を知っていますか?」
賢そうで僕より年上そうな生徒が「僕にはわかりません。だけど、総務に聞いてみたらわかるんじゃないですか?校舎に入ってすぐ左にある部屋に総務室があるんで聞いてみたらわかるかもしれないですよ?」
と、とても親切に、そして嫌味のない賢さをかもしだしながらその学生は言った。
僕は「ありがとうございました」と言ってすぐに総務室に向かった。

総務室に入るととても忙しそうな人達ばかりだった。
その中で学生窓口に話しかけ、人間心理学の授業のある教室を尋ねた。
そしたら、その授業をやっているところはありませんね。何年生ですか?と聞かれ二年生です。と答え、まだ探している総務の人に、ないならいいです。友達に連絡とってみます。ありがとうございました。と答えその場から足早に逃げ出した。

すごく緊張してその上にすごく精神的に疲れ、諦めて眞夢にどこのキャンパスでどこの教室で授業をしているのか聞いた。

また、さっきと同じベンチに座り、眞夢からの返信を待った。
そしたら、眞夢からの返信には、僕がいるキャンパスとは違うキャンパスにいてどうしたの?と言うメールが返ってきた。

僕は素直に眞夢にサプライズがしたくて、眞夢に内緒で逢いに行ったんだよ。そうメールを返した。
メールを返した後僕は足早にベンチを立ち六時からバイトが入っていたので,大阪に帰路についた。

だんだん大阪に近づく途中、眞夢から返信メールが来た。
「すごく嬉しいです。授業中なのに涙がでて止まりませんでした。隣の人が眞夢にどうしたの?と聞いてきたのですごく好きな人が逢いにきてくれたのに、逢えませんでした。そう言うと下北さんに好きな人がいたんだ。どういう人なの?と聞かれたので、すごく優しくて私の事を大事にしてくれる人です。って答えたよ。なんだか群さんが近くに感じられただけで眞夢は幸せです」

そのメールを読んだ時に僕は、心が現れるようなふんわりした。感じたことがないような感覚でしかも、身体全体が満たされていく感じがした。今ならわかる。その感情が本当に愛されてて自分も愛している感情が繋がった瞬間だと僕は思う。僕はそれを幸せだと今になってわかる。

そんな感情に浸りながら、僕は眞夢に「僕は眞夢を愛しているよ。まだ逢ったことはないけどすごく愛しているよ。どんなに離れていても同じ日本の大阪府に2人は存在してるんだよ?空を見て?その空は僕も見ているから僕達は逢えなくても空で繋がっているから。天気も同じ場所の同じ空を見てるんだから。そういう風に考えたらすごく近くに思えるでしょ?だから大丈夫だよ。」
すごくくさいセリフだけど、素直に。そして本気でそう思った。

眞夢から「眞夢もすごく群さんの事愛してます。つらくなったら空を見ます。ありがとう眞夢は幸せです」

僕は電車に揺られながら幸せな妄想をしてバイトに向かって行った。

その日が僕達2人が初めてお互いの気持ちを言葉にだした最初の日だった。


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