また、しばらく歩いていると今度はくそばばあが道端に座っていた。くそばばあはしわくちゃで、見るからにくそばばあだし、道の真ん中に座っているし、どう見てもくそばばあだった。 くそばばあは、頭と同じくらい大きい水色の玉を胸のあたりに浮かせて、手をかざしながら「大変ですの。大変ですの」と言っていた。 僕はくそばばあと話したくはなかったけれど、いいことをあと二つしないと北の国には入れないので「くそばばあ。どうかしましたか?」とできるだけ丁寧に言ってみた。 「実はですの。このままでは世界が滅びてしまうんですの」 「世界が滅びるとはどういうことでしょうか?」僕が聞くと 「わたしの胸に浮かんでいる球は実は世界ですの。この世界には一万年も前から人が住んでいて、人口は十億人くらいになりました。それがですの。ここ100年くらいの間に街がどんどん発展しましての。街が発展するにつれ、この世界の自然はどんどん壊されていくんですの。このままでは人の住めない世界になってしまいますの」くそばばあの説明は難しかったが、ストーブと扇風機が「ここは俺たちの出番だ」「そうだそうだ」と言いだした。 僕は全く意味がわからなかったし、自分で考えるのは難しいので、ストーブと扇風機にまかせて見ていた。するとストーブは燃えて、扇風機はまわって風をふかせた。ただそれだけで特になにも変わらなかった。 「とくにこの街が一番発展していて、一番自然を壊しているんですの」くそばばあが、ストーブと扇風機を無視して、しわくちゃの指を指したので、そこを見ると、確かに1センチくらいのところにちっこいビルとか建物がごちゃごちゃあって、都会みたいになっていた。僕は手の平でその1センチくらいの街をばんとつぶした。ばんとつぶした時になんだかたくさんの人が「ギャー」と叫んでいるのが聞こえた気がした。 「さあ、これで世界は平和になりました」僕は言った。 くそばばあはおろおろして「なにをするんですの?」と言った。 「いちばん悪い街を退治しました。これで世界は平和になりました」 「世界を平和にするにもやり方というものがありますの。今ので人が100万人くらい死にましたの」 「人が死ぬのはよくなかったですか?」 「人が死ぬのは一番よくないことですの」 そう言われて、なんだか悪いことをしたのかもしれないと思ったけど、そういうことはもっと早く言っておいてくれないと困るってもんでもある。 「そういうことはもっと早く言っておいてくれないと困るってことでもありますよ」僕が言うとくそばばあはこれで人が100万人くらい死んだとかなんとかぶつぶつぶつぶつ言っていたのでもう無視することにした。 とにかく、これで三ついいことをしないといけないうちの二つをしたことになるので、いいことをあと一つすればよくなった。もうこんなところに用はないので「もうこんなところに用はないから先を急ごう」と僕が言うと、ストーブが「もうこんなところには用はないから先を急ごう」と言い、扇風機が「そうだそうだ」と言った。相変わらず、ストーブも扇風機もびっくりするくらいバカだし、役にたたないし、えらそうなだけでどうしようもないと思ったけれど、やっぱり僕がストーブも扇風機も担いでいくしかないので担いで行った。 ついでにねずみも肩に乗せる必要はないけれど、肩に乗ってきたので、肩に乗せて歩いて行った。
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