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作品名:潮風のセレナーデPARTUバトル編 作者:HAPPYソフィア

第6回   桜色の日々・・・遠く甘い記憶
  

   桜色の日々・・遠く甘い記憶・・


 シオンのリラ幼稚園生活が始まった。
 イテオンからリラ幼稚園までは、軽く1時間は
 かかった。お弁当作りから始めると、今迄の
 2時間前には起床しなければならなかったが、
 それでも可愛い娘の為なら・・そう思って
 カノンは張り切っていた。
 目覚ましを5つ、3分毎に鳴るようにして、
 寝たお陰で、3つ目のベルが鳴る前に、時計を
 抑えた。

   カノン:「やっぱりお弁当はキャラ弁に限る
        ッス」と一人でブツブツ言いな
        がらシオンが大好きなキャラク
        ターのキティちゃんのお弁当を
        作り上げた。海苔や厚焼き卵や、
        ウインナー、野菜サラダやフル
        ーツ等で、色どり良く作られた
        自信作となった。
        「ついでに、オッパちゃんにも
         キャラ弁作っちゃおう!
         うひゃひゃ」と悪戯っぽく
        笑いながら、キティちゃんの
        大型キャラ弁を作り始めた。



  朝食は、いつもはトーストが多いのだが、
  今朝は思い切り、日本食にしてみた。
  焼き魚や、お味噌汁、卵焼きやホウレンソウ
  のおひたしなど、カノンは手際良く作ってみた。
  


   カノン:「さて、準備万端、シオンを起こし
        に行かなくっちゃ♪」カノンは
        楽しそうに、シオンの部屋に
        入って行った。

  ソンジェは、味噌汁の匂いを嗅ぎつけて
           起きて来た。

   「おっ、今朝は、和食か〜珍しいね?」と
    云ってタクアンを1枚頬張った。

   カノン:「あ!パパ、お行儀悪いですよ!」
        っと言って、叱った。
   シオンもつられて「アッパ、お行儀悪いですよ
      」っと言った・・・
   バツが悪そうにソンジェは「・・済みません」
   と笑いながら、洗面所へと向かった。

   3人で食卓につき、朝食をとりながら、今日の
   スケジュールを確認し合った。

   カノンは、シオンを送って幼稚園まで行く、
   シオンはリラ幼稚園で16時まで過ごす、
   ソンジェは、二人を送り出した後、音楽会社
   へ行き、新しい新曲の打合せがある・・
   終わるのが丁度15時半位なので、ソウル
   タワー近くの音楽会社なので、シオンを迎え
   に行って、一緒に帰る・・何かあれば、携帯
   電話で連絡しあう・・・と言う事になった。

   万が一、16時のお迎えがダメでも、シオンは
   ちゃんと自分一人でも帰れると言った。
   地下鉄の乗り方は簡単で、乗り換えも無く、
   1本でイテオンまで着くからだった。それに
    年長組のジェファも一緒なので、大丈夫だと
    言った。
    だが、幼稚園初日でもあるし、やはり「アッパ
    がお迎えに行くからね。」と言った。

  

   シオンとカノンを送り出して、ソンジェも、
   会社に行く準備にかかった。


   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


  ジェファが、既にアパートの前まで来ていた。

  ジェファ:「お早うございます」っと元気よく
        挨拶した。

  カノン:「お早うございます」
  ジェファ:「シオンちゃん、おはよう!」
  シオンは少し照れながら「お早うございます」
  と言った。
  ジェファは微笑みながら、「じゃあ、学校に
   行こうか?シオンちゃんのママ、行って
   来ます。」と云って、シオンの手を取り、
   二人で行こうとして、カノンは慌てた。

  カノン:「え?二人で行くの?行けるの?」
  ジェファ:「ハイ、大丈夫です。道順は分
        かってますし、練習もしました。
        それに、僕は1年間だけどシオン
        ちゃんは2年間、通わなければな
       らないから、シオンちゃんのママも
       ずっと一緒に登校は大変ですよ。
       だから、大丈夫ですよ。帰りも
       ちゃんと一緒に帰って来ますから・・
       何かあったら、連絡します。これ、
       僕の名刺です。ここに、住所や、
       連絡先の携帯電話とか書いてあります
       し、メルアドもありますから・・」と
       言って名刺を渡された。

  ジェファ:「シオンちゃん、僕と一緒だったら
        ママがいなくても平気だろう?」
  シオン:「うん、ジェファお兄ちゃんと一緒
       だったら・・シオンも大丈夫・・」
       と云って笑った。
  ジェファ:「その名刺、僕のイケメンサムチョン
        (=叔父さん)が作ってくれたん
        です。サムチョンは、コンピュータ
        のグラフィックデザイナーだから・・
        何でも出来ちゃう凄いサムチョンで
        、それに凄く面白いです。今度、シ
        オンちゃんや、シオンちゃんのママに
        紹介しますね。」

  カノンは、名刺を見ながら、ハア?と感心してし
  まった。

  カノン:「本当に二人で大丈夫?」
      二人は「ハイ、大丈夫です」と云って
      手を繋いで、地下鉄のある駅へ向かって
      行った。カノンは、二人の後を気づかれない
      ように付けて行った・・が、駅できちんと
      切符を買い、改札に入って電車に乗り込んで
      行く姿を見て、大丈夫だと思い、引き返した。



 玄関から予想外の早さで帰って来たカノンを見て、
 ソンジェは驚いた・・
 経緯をソンジェに伝えたが、それでも過保護なソンジェは
 心配でたまらなかった。
 
  ソンジェ:「本当に大丈夫かな?・・道に迷ってない
        だろうか?」
       「まだ、4歳と6歳だよ、心配だなぁ・・
        今から、車で追いかけようか?」
        「シオンは泣いてないだろうか?」
       「ママは冷たいな・・」っと言いかけた時、

  カノンは、呆れて笑い出してしまった。
  カノン:「オッパちゃん、道に迷うわけないじゃん、
       地下鉄では1本で行けるし、例え乗り
       過ごしても、出て反対側の車両に乗れば
       戻れるし、そのまま乗っても、またぐる
       っと1周出来るし・・・駅に着いて地上
       出た直ぐ右横に、リラ幼稚園バスが、沢山
       待機してるんだよ。迷うわけないじゃん。
       それにジェファちゃんは、シッカリした
       お兄ちゃんだし、リラに一人で通う練習も
       したんだって・・それから、帰りもお迎え
       要らないって!!」っとつっけんどんに言
       ってみると、ソンジェはまたまた驚いて
   「ええ?ママ、冗談じゃない、ちゃんとお迎えは
    僕が行くよ、ママは冷たいね〜」と何度も言っ
    たがカノンは「パパ、オッパちゃん、李ソンジェ
    さん、貴方はお仕事を頑張ってくれればいいのだ
    !だからお迎えはいりません。そんなに心配なら
    私が、お迎えに行きますから、ご心配なく!」と
    言い放つと、「え?カノンが、お迎えに行って
    くれるの?それなら、良いよ」と云って笑った。

  カノンはヤレヤレと思いながら、掃除を始めた。
  勿論、帰りも迎えに行くつもりはなかったが、そう
  でも言わなければ、今にも飛び出して行きそうな
  雰囲気のソンジェだったからだ。
  ソンジェは、最近、徹夜続きの仕事が続いており、
  殆ど寝て無かったし、疲れている様子だった。
  少しでも休ませて上げたかったので、カノンは口か
  ら出まかせを言ったのだった・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 シオンとジェファは順調にリラ幼稚園へと向かう事が出来
 た。地下鉄は乗り換えが無い1本の電車で、4号線で4つ目
 の駅である「明洞駅」で降りれば良いだけの事だった。
 地上10番出口を出て右側を見れば、リラ幼稚園行きのスク
 −ルバスが待っているので、そのまま乗れば良いだけのこ
 とだった。
 万が一、道に迷っても、リラの制服や恰好で、直ぐに
 リラの園児だと分かるし、場所を教えて貰えるので、
 心配はいらないとジェファは思っていた。
 叔父さんが作ってくれた、名刺や、お母さんが持たせて
 くれた携帯電話もあるので、寧ろ、余裕さえ感じていた。

  ジェファ:「シオンちゃん、ほらもう直ぐだよ。
        あの桃色のバスに乗れば、リラ幼稚園だね」
  ジェファは優しく微笑みながら、シオンに言った。
  シオンは子供心にも、ジェファとこうして二人っきりで
  幼稚園に通える事が嬉しかったし、ジェファを独り占め
  している自分がとてもラッキーで幸せだった。
  
 シオン:「うん、シオン、このバスがリラ幼稚園に行くの
      覚えてる・・オンマとジェファお兄ちゃんと
      リラ幼稚園の発表を見に行った時も乗ったね?」
 ジェファ:「おっ、シオンちゃんは頭が良いね〜
       帰りも、一緒に帰ろうね。僕が、ムグンファ
       の教室に迎えに行くからね?待っていてね。」
 シオン:「うん」

 シオンは元気よく頷いた。ジェファには兄弟がいなかった
 ので、シオンが本当の妹の様に感じていたし、凄く可愛い
 女の子だと思った。目はクリクリと大きく、まつ毛も長い
 ・・笑うとえくぼが出来て、話し方も、声も可愛かった。
 何よりも、自分を凄く頼りにしてくれていることも嬉
 しかった・・シオンちゃんて、本当に可愛いな・・
 ジェファは、心からそう思った。


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  校門のところで、リラの園長先生や、各クラスの
  担任の先生たちが、朝の挨拶をしながら、待っていた。
  子供同士で登園して来る子供は、少なくはなかったが
  父兄も一緒に来る園児が多かった。
  
  
  二人は、先ず、園長を見て「園長先生、お早う
       ございます。」と元気よく挨拶をした。
  園長:「あら、鄭ジェファ君と李シオンちゃんね、
      二人で来たの?」
  ジェファ:「はい、シオンちゃんのお母さんは、
        本当は初日だから、一緒に来る筈だっ
        たのですが、僕が断りました。
        僕とシオンちゃんの家は近所だし、
        カササギ幼稚園でも一緒だったし、これ
        からもずっと一緒にリラ幼稚園に通うか
        ら、毎日の送り迎えは大変だと思って・
        ・・・ならば、僕たちは、二人で頑張っ
        て通おうと思いました。そんなに難しい
        道のりではないし、今朝も、ちゃんと
        来る事が出来ました。帰りも僕が、シオ
        ンちゃんの教室に迎えに行って、一緒に
        帰ります。」と堂々と言った。

  園長:「流石だわ〜、偉いわね〜園長先生はジェファ
      君の言葉に朝から感動しちゃったわ」と云
      って惚れ惚れした顔で褒め称えた。

   鄭ジェファ・・美少年で、利発で品もある・・
   リラ始まって以来のテスト満点合格者であり、
   技能試験でも「別れの曲」のピアノ演奏も
   素晴らしかった・・面接の時も、堂々とし、
   英語や日本語も流ちょうに使いこなしていた
   非の打ちどころない園児だった。
   園長はジェファにカリスマ性さえ感じたのだった。
   更に一緒にひっついている李シオンは、とても
   可愛い天使の様な園児で、園長はかなり気に入って
   いた。しかも、親は韓国だけでなく世界的に有名に
   なりつつある音楽家、李ソンジェの愛娘だったから 
   だ。良い宣伝にもなる・・そう思った・・・
   園長は金にも弱いが、実は美しい物や人が大好き
   であった。
    ジェファも美少年であるが、李ソンジェは美しく
   繊細な大人の男性だと思った。


    園長先生:「ジェファ君、あそこにひまわり組の
          崔ヂウ先生よ、シオンちゃんは、
          えっと・・ムグンファだから・・」

   シオン:「あっ、姜ユリ先生!!」と云って
       瞳を輝かせて走り寄って行った、ジェ
       ファは「シオンちゃん、じゃあ、またね?」
       と云って、ひまわり組の崔先生のもとへ
       走って行った。

   
  シオン:「姜ユリ先生、おはようございます」
     シオンは元気いっぱいに挨拶すると、ユリは
     屈みながら、「シオンちゃん、おはようござ
     います。元気にあいさつで来ましたね〜偉い
     ・偉い・・」と云って笑った。
     そして周囲をキョロキョロ見回した。
  ユリ:「シオンちゃん、お父さんとお母さんは?」
      っと聞いてみた。
  シオンは笑いながら「ううん、いないです。」と
  言った。
  ユリ:「え?いないって?」

  シオン:「あのね、今日からね、幼稚園は、シオンと
       ひまわり組のジェファお兄ちゃんの二人で
       通うの・・・だからオンマもアッパーも
       いないの・・」

  ユリはビックリした。「え?二人で来たの?」と
  何度も聞き返してしまった。

  僅か4歳で、もう幼稚園の送り迎えなしで登園する
  なんて凄いな〜と感心してしまった。

 そうかと思えば、父兄や家族中が、一緒に登園する園児
 もいた。
  その一人に、サヤカの家があった。
  夫海仁、母親であるサヤカ、兄のカイト、そして
  ソラミ・・サヤカは朝から気合の入ったメイクや服装
  で、香水をプンプン臭わせてやって来た。
  しかも朝はラッシュだし、駐車場は先生方でも一杯に
  なってしまうので、停める事が出来ないので、マイカ
  ーでの送り迎え禁止となっているのに、既に拘束破り
  をし、これ見よがしのベンツでやって来たのだった。
  

  ソラミは、サヤカに改革されたのか、高慢で、自信に
  満ちた上から目線の話し方になっていた。
  ユリに対しても、ユリから挨拶しなさいと言わん
  ばかりの態度だった。

 ユリ:「ソラミちゃん、お早う」
    ユリが声をかけると、ソラミは不機嫌そうな顔で
    「先生、あたくしにお早うではありませんよ、
     お早うございますでしょう?」と言って来た。
 ユリは慌てて「お早うございます」と言い直すと
  「よろしい、おはよう、先生」とソラミは言って
   冷笑した・・・
   いささかユリはムッとしたが、朝からイザコザ
   を起こしたくはなかったし、園長が遠目で見て
   いたので、グッと我慢した。

  サヤカ:「あたくしたち、これからカイトの
       幼稚園を回りますんで、ソラミの事、
       宜しくお願いしますよ」と云って、
       ソソクサト、車に乗り込んで行ってし
       まった。

 ユリは、ヤレヤレと思いながら、自分のクラスの
 園児達に「おはよう」の挨拶を繰り返していた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 シオンが教室に入ると、机の上には名前が貼られて
 いて、そこに座る事になっていた。
 リラは成績順で座席が決められていたのだが、そんな
 事は父兄も、子供も知る由がなかった。真中の座席が
 用意されていた。成績の悪い者は、端っこの後ろの席
 や、黒板が見え難い場所だった。

  各教室には、モニターカメラが設置されており
  園長室では、いつでも教室の様子を見る事が出来た。
  その事も、教員すら知らなかった。

  シオンの席は、真ん中の島の前の方の席だった。
  映画館でも、指定席があるように、教室の指定席
  、、と言うか特別席の1つだった。
  しかも隣りは、呉ジナの娘、呉マヤだった。
  マヤもかなりの好成績だった。だが、マヤは容姿が
  悪く、シオンの横では光と影のようになってしまい
  そうだった。
   既にマヤが座っていた。
  シオン:「お早うございます」とニッコリ笑い
       ながらマヤに話しかけたが、マヤは気
       分は最悪だった・・
   子供心にも、シオンがお姫様の様に可愛い女の子
   だったからだ。
   マヤはシオンの言葉を無視した。
  シオンは、聴こえなかったのかな?っと思い、
  もう一度、「お早うございます」と云って、席に
  着いた。すると、教室にソラミが入って来た。
  「あっ、ソラミちゃん、お早う!」とシオンは
   声をかけたが、やはりソラミもシオンを無視した。
   シオンは、何で挨拶してくれないんだろう?と
   不思議な気持ちと、何だか、マヤにしてもソラミ
   にしても怒っているみたいだったので、悲しい
   気持ちになって来た。
   

  ところが、次々に教室に子供たちが入って来て、
  マヤや、ソラミを無視して皆がシオンに「お早う」
  と挨拶をして来た。シオンは「お早う」と挨拶を
  返すと、皆が、笑顔になった。
  特に男の子達は、シオンの可愛い笑顔にヤラレテ
  しまった。女の子達も、凄く可愛いシオンに憧れ
  があった。だが気さくにあいさつを返し、ニコニコ
  顔に、直ぐに打ち解け、仲良くする事が出来たので
  、たちまちシオンはクラスの人気者になった。
  一人の男の子が、「ソラミさんも、マヤさんも、
  シオンちゃんが可愛いし、お姫様みたいだ〜、
   気に入らないんだよ」と言った。

   「え?お姫様って?」
  皆が一斉に「シオンちゃん」と言った。

  その言葉に、ソラミは腹が立ち「お姫様は、私よ。
  シオンは、召使なの!」と怒鳴った。
  マヤは「ソラミが、お姫様なら、私は女王よ。
      私の母は、有名なジャズピアニスト呉ジナ
      よ、音楽界の女王よ。だから私も女王なの
      。お姫様より偉いのよ。分かった?」と
      皆を威圧した。
  ソラミも負けずに「私は、いつもお母様に、
    ソラミはお姫様なのって言われているの。
    うちは大金持ちだし、お父様はKEのパイ
     ロットだし、お母様はCAだったの。
    英語もフランス語もペラペラなのよ。
    それに超美人なの。シオンは私の召使いだって
    お母様は言ってるの・・だからお姫様じゃな
    いわ」と言った。

  シオンは、ニッコリ笑いながら「シオンはお姫様
  じゃないから、別にいいよ。でも召使でもないか
  ら・・ソラミちゃん、意地悪な事、言わないでね、
  仲良くしようよ」と言ったが「召使いのくせに、
  口答えしないで頂戴!私とは身分が違うんだから
  仲良くなんかなれないわ」ときっぱり言い切った。

  シオンは、子供心にも傷ついたが、何を言っても
  嫌だと言うソラミを見て、何を言ってもダメだと
  思い、ならば自分は自分を友と思ってくれる人と
  仲良くして行こうと思った。
 
  そんな中で、園児の一人が「ソラミさん、もし
  ソラミさんがお姫様なら、王子様は?」と言った。
  更に違う子も「そうだよ、お姫様なら王子様が
  いるよね?」と言った・・

  「え?・・それは・・・それは・・」とソラミは
   口をモゴモゴさせた。



   すると、「シオンちゃん」っとシオンを
   呼ぶ声がした。廊下の窓が開いて、大好きな
   ジェファお兄ちゃんの声だった。
   子供たちは、一斉に、ジェファを見てため息を
   ついた。美しい男の子で王子様みたいだった。

  ジェファは、皆に一礼をして「こんにちは!
   僕はひまわり組の鄭ジェファと言います。
   シオンちゃんとは仲良しで、お家も凄く近い
   んだ。シオンちゃん、これ朝、お兄ちゃんに
   預けっぱなしだったろう?」と云って、お弁当
   の入った袋を届けてくれたのだった。
  
  シオン:「ジェファお兄ちゃん、どうも有難う」
  ジェファ:「どう致しまして。じゃあ、帰りも
        ここに迎えに来るからね。バイバイ」
   そう言って、自分の教室に戻って行った。

  女の子達は「わぁ!!王子様みたい。やっぱり
        お姫様はシオンちゃんだ」と言った。
  男の子達も、「そうだよ、シオンちゃんは超可愛い
         もん。ソラミさんは、シオンちゃん
         に比べたら、意地悪なお姉さん
         みたいだね、そう、シンデレラの
         お姉さんだよ。」
   っと言うと一斉に笑い声になった。
  
  シオンは困って「シオンはお姫様じゃないよ」っと
  いったが、収集が付かなくなっていた。

 だが、やっと姜先生がやって来たので、教室は
 静かになった・・・

 マヤも、ソラミも人気を独り占めするシオンに
 悔しさがあったが、それよりも爽やかな風を吹かした
 鄭ジェファの存在が心の大半を占めていた。
   そう、二人とも一瞬で、
    ジェファが好きになってしまったのだった。

 長身でハンサムで、光輝く美青年だった・・
  しかも気品があり、頭もよさそうだった。

 そう言えば、リラの二次試験の時、音楽技能試験で
 「別れの曲」を見事に弾いた園児の名前が鄭ジェファ
  だった事をマヤは思い出した。
  自分よりも高得点を出したジェファに興味を
  持っていたのだが、こんなに早く、その園児に
  会えて嬉しくなった。
  ソラミは、「私はお姫様、王子様は、あの鄭
  ジェファお兄ちゃんだわ。決めたわ、私の王子様
  はジェファお兄ちゃんにしよう!」・・っと・・・


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 午前中は、国語の書き取りや音楽とお遊戯の授業があり
 あっと言う間に、お昼の時間になった。

 お昼は、各々のお弁当を広げて食べる事になっていた。


  皆がシオンのお弁当を見て、「わぁ!!」と言った。
  シオンの大好きなキティちゃんのキャラクター弁当
  だったし、大好きなオンマの愛情たっぷりのお弁当
  だったからだった。
  ユリも、クスクスっと笑いながら「わぁ、可愛い、
  美味しそうなお弁当ですね〜、シオンちゃんが
  羨ましいな〜」と言った。

  マヤは、老舗の店のお取り寄せ弁当だったし、
  ソラミも、ホテルシェフが作った3段重ねの
  重箱弁当で、自信満々で弁当を披露したが、
  愛情たっぷりの世界で1つしかない手作り弁当には
  かなわなかった。惨敗だった・・・
   クラスの殆どの子供のお弁当を眺めると、ソラミ
  やマヤと同じく、お店で買って持たせて貰った高級
  弁当ばかりが目についていた。
  お金をかけることが、リラ幼稚園ではステータスの
  1つに思われていたからだった。

  「シオンちゃんのお弁当、どこで買ったの?」と
   言いだす園児まで居た。
   家庭での料理は、母親は一切しない様子の子供
   が多い事に、ユリは驚きを隠せなかった。

  シオンは笑顔で「ううん、これはオンマが作った
  ものだから、お店では売って無いの」と言った。
  皆は驚き、「シオンちゃんのお家って良いな」と
  言った。何かと注目を浴びるシオンは、恥ずかし
  いし、勝手が違う世界があるのだなと感じ始めて
  いた。

   シオンの当たり前が、皆には違うんだと・・・


 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



  16時になって幼稚園が終わった。
 
  ユリは一人一人に教室のドアのところで声を
  かけ、また明日ね?と云って別れた。
  シオンがサヨウナラとしていた時に、シェファが
  息咳切って走って来た。

  「JUSTだ!」と云って、寄って来た。
   
  シオンは仲良くジェファと手を繋いで帰って
  行った。


  
   マヤはお手伝いの迎えが来ており、タクシーで
   帰って行った、その時、車窓から、手を繋いで
   楽しそうにスクールバスに乗り込むシオンと
   ジェファの姿を見て、眩しい気持ちになった。

   
  ソラミは、サヤカのお迎えの車が来ており、
  車に乗り込むと、ワンワンと泣きだした。

 サヤカ:「ソラミ、何があったの?」
  サヤカは驚いて、聞いてみた。

 ソラミ:「お母様、悔しい・・お母様、ソラミは
      本当にお姫様なの?」
 サヤカ:「当たり前でしょう?お姫様ですとも!」

 ソラミ:「シオンは?」

 サヤカ:「シオンは召使いよ・・」

 ソラミ:「でも、でも、、クラスの皆は、お姫様は
      シオンだって・・それでね、
      ソラミがお姫様なのって言ったら、皆が
      お姫様には王子様が居る筈だって言うの。
      ソラミはその時、王子様がいなかったの。
      ・・・そしたらね、そしたらね・・・
      シオンには王子様がいたの。凄く素敵な
      王子様でね、ひまわり組の鄭ジェファって
      言う男の子・・それでね、また皆が、や
      っぱりお姫様はシオンだって!お母様、、
      ソラミ、悔しいの。
       今日は、ずっとシオンが注目されてて
      何をしてもシオンは皆から褒められてたの。」
 サヤカ:「でもお昼のお弁当は?最高級のホテルの
      シェフが作ったお弁当だったでしょう?」

 ソラミ:「ううん、全然・・シオンのお弁当が注目
      を浴びてたよ・・凄い可愛いし、美味し
      そうって・・・」
 サヤカ:「え?どうして?」
 ソラミ:「シオンのママが作ったお弁当で、キティ
      ちゃんのキャラクターのお弁当だったの。」
 サヤカ:「そんな貧乏くさいお弁当なのに注目され
      たの?」
 ソラミ:「うん・・だって凄く可愛いお弁当だったの
      。ソラミもキティちゃんのお弁当が良か
      った。それにソラミにもシオンみたいに
      恰好良い王子様が欲しいの。だけど、
      シオンのジェファお兄ちゃんが王子様に
      なってくれたら、、、そしたらそれで
      良いの。今日は、シオンに負けてばかり
      で・・凄く悔しいの」と云ってワンワン
      と泣いた。

  サヤカは腹の中が煮えくりたっていた。
  そう、いつだってそうなのだ、カノンは、
   サヤカが1番欲しい物を、簡単に手に入れて
   しまうのだった。サヤカが好きになった人も、
   サヤカが欲しい物も、大して努力もせず、
   苦労もせずに、持って行ってしまうのだった。
   それは天性のキラメキであり、カノンが天使の
   子供であるからだと、認めるのが嫌だったのだ
   った。冗談じゃないわ、惨めな思いを母子で
   味わうなんて・・もっと惨めじゃない・・・
   

  サヤカ:「ソラミ、泣くのはお止めなさい。
       泣くのは負けを認めたって事よ、
       あなたは負けたの?違うでしょう?
       あんな貧乏人のシオンが、お姫様なん
       かにはなれないわ。うちは名門、権家
       の家系よ。それにお母様のお家だって
       代々の医者の家系よ。鄭ジェファね?
       お母様は1回、ジェファと言う子に会
       った事があるわ。確かに頭の良さそう
       な綺麗な男の子だったわ。
       リラ幼稚園に入学したのね?
       ソラミの王子様にふさわしいか、
       お母様が素性を調べてみるわ。
       もし、良い子なら、当然、お姫様であ
       るソラミの王子様になって貰うわ。」
  ソラミ:「お母様、本当?」
  

     ソラミの顔が明るくなった・・・

  サヤカ:「ええ、本当よ。お母様が嘘ついた事
       ってあったかしら?ソラミ?」

  ソラミ:「いいえ、一度も・・ジェファお兄ち
       ゃんがソラミの王子様だったら、皆も
       私がお姫様だと認めるわ。お母様、
       有難う、ソラミ、嬉しい」と云って
       元気を取り戻して来たのだった。

  

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 スクールバスが明洞に着いて、地下鉄に二人は、
 乗ろうと向かおうとした時、クラクションが鳴った。


    「ジェファ」


    二人は振り返った。

      「あっ!サムチョン(=おじさん)」
       ジェファは元気よく叫んだ。

 サムチョン:「ジェファ、今、帰るのか?
        サムチョンも、家に帰るところなんだ
        けど、乗って行くか?」と言った。

 ジェファはシオンに「僕の叔父さんだよ、イケ面
           だろう?」と言って笑った。
 キラキラした瞳に、爽やかな笑顔は、何だか俳優
 さんのような格好良さだった。シオンはうんうん
 とジェファに頷いた。

 ジェファ:「サムチョン、近所の女の子、
       シオンちゃんて言うんだ、2号棟に
       住んでいるんだけど、一緒に良い?」
 サムチョン;「勿論さ、おっ、彼女、イケテルね?」
       と云ってOKサインを指でしながら、
       ウインクを飛ばした。

 シオンは面白くてクスクスと笑った。

 サムチョン:「ドアは開いてるから、後ろに乗って」
       と言った。二人は乗り込むと、

       「出発おしんこじゃなくって進行!」
         とオドケて、サムチョンは車を
         走らせた。

 サムチョンは、ずっと車の中で、二人を笑わせた、
 更に、寄り路と言って、ドライブスルーで、ロッ
 テリアの美味しいおやつや飲み物も買ってくれた
 りした。
 
 シオンも、いつの間にか、「サムチョン」と呼ん
 でいた。

 サムチョン:「いや〜可愛いアガシのシオン
        ちゃんから、サムチョンと言わ
        れると、切ないねぇ〜、僕は独身、
        シオンちゃんのナムジャチング
        (=BF)にだってなれるのに・・
        サムチョンなんて・・悲しいな。」
 シオン:「サムチョンは、アッパと同じ年なんで
      しょう?だったら、サムチョンだよ」
      っと言って笑った。
 サムチョン:「そうか・・シオンちゃんのお父さん
        と同じ年なんだね?お母さんも
        同い年?」
 シオン:「ううん?えっとね、28歳かな?」
      っと考えながら答えた。

 サムチョン:「そうか・・サムチョンよりも
         若いね。」
 ジェファ:「サムチョン、シオンちゃんのママは
       凄く若くて美人で可愛いよ、お料理も
       上手だし、優しいし・・僕、大好き
       なんだ。シオンちゃんのパパもイケ
       面だよ。」
 サムチョン:「おっ、イケ面?サムチョンだって
        イケ面だろう?え?ツケ麺?ラー
        メン?でもシオンちゃんが可愛い
        からきっとイケ面なんだろうね?
        ・・おっと、もう着いたよ、2号
        棟だったよね?ジェファ、家まで
        送るか?」
 シオン:「あっ、もうここで大丈夫です。
      サムチョン、有難うございました。」
 サムチョン:「どう致しまして!またね」
 ジェファ:「じゃあ、シオンちゃん、また明日
       ね?バイバイ」
 シオン:「うん、バイバイ」そう言って、車を
      降りて、アパートのエレベーターに
      乗って行った・・・

  ピンポーン

   
 カノンは、今か、今かと帰りを待ちわびていた。
 時計は既に6時近かったので、
 電車にしては帰りが遅かったからだ。

 カノン:「シオン、ああ、良かった・・余りに
      遅いから、迎えに行こうかと思って
      いたのよ。道に迷ったのかな?って」

 シオン:「ううん、電車じゃなかったの。
      バスに乗って地下鉄乗ろうとした時に、
      サムチョン・・えっとね、ジェファ
      お兄ちゃんの叔父さんが、車でね、
      送ってくれたの。車だったから、凄く
      道が混んでたの・・でもね、ロッテ
      リアでね、美味しい物買ってくれたの。
      後ね、面白い話とか、お歌とか歌って
      くれてね、凄く面白かったの・・・
      叔父さんは超恰好良かったよ。」

 シオンは楽しそうに帰りの事を話した。
 そうか・・車で送って貰ったんだ・・
 色々、お世話になっちゃったんだ・・お礼を
 言わなくっちゃ・・そう思って、カノンは
 ジェファの自宅に電話をかけた。
  ジェファが出た。
 カノン:「ジェファちゃん、今日はお世話に
      なりました、どうも有難うね。
      おばちゃん、凄く助かりました。
      有難う、本当に有難うね。」
 ジェファは何回も有難うを言われて照れくさ
  かった・・・
  ジェファ:「いいえ、僕はシオンちゃんの
        お兄ちゃんだし、兄として当然
        だと思ってますから・・・
        それより、帰りが遅くなってし
        まって済みません。今日は叔父の
        車で帰ったので、遅くなりました。
        御免なさい。」
 カノン:「とんでもない・・おばちゃんは感謝
      の気持ちで一杯よ、本当に有難うね。
      そうそう、叔父さんにもお礼が言いた
      いのだけれど、代って頂いても良い?」
 ジェファ:「ええ、おります、少しこのままで
       待っていて下さいね。」
    そう言って保留音が鳴った・・・
    「秋の童話の祈りと言う曲だった」
    カノンは、暫くその曲を聴きながら
    懐かしい気持ちになった・・・
 
 サムチョン:「はい、もしもし?代りました」


  カノンはハッとして

 カノン:「あっ、あの、その、えっとぉ・・」と
      どもりながら「今日は、娘がお世話
      になり、更には御馳走までして頂いて
      済みませんでした。」と言った。

 サムチョンは、ケタケタと笑いながら
 「いえいえ、どういたしまして・・ケンチャナヨ、
  シオンちゃん、可愛いですね、私のヨジャチン
  グになって欲しいと言ったら、アッパと同じ年
  だから、私はサムチョンだと云って、私はフラ
  レました・・それでショックで、寝込んでい
   ました。。。っと言うのは冗談です。
  たまたま、ソウルに仕事に出ていた帰りに、
  ジェファ達と出くわして、一緒に帰っただけ
  ですから、お気になさらないで下さい?
  日本語・・あってますか?・・大丈夫ですか?」
  イントネーションが時々変であったが、十分通
  じる日本語だった。

 カノンはクスクス笑い「あの、どこで日本語を
 お勉強されたのですか?」と聞いてみた。

 すると「一番最初は、軍隊で覚えました。
     暇な時間は、本を読んだり勉強したり
     してたんですが、入隊前に日本に行った
     経験がる仲間たちから、教えて貰ったり
     日本の事聞いている内に興味が沸いて・・
     除隊して直ぐにワーキングホリディで、
     日本に行ったりもしました。
     本格的にはそのワーキングホリディの
     時に学んだのですが、でも帰国してから
     使わなくなったので殆ど忘れてしまい
     ました。今は、たまに日本に仕事で行った
     りもしますが、その時、少し・・本当に
     挨拶とか簡単な話をする位です・・・
     後は姉の旦那様が日本人ですから、
     日本語で会話をたまにしたりします。
     あぁ、でも、流石にネイティブな人と話す
     のは緊張はしますが、上達するので、嬉
     しいですね・・」

  カノン:「わぁ、日本語が本当に上手ですね、
       羨ましいです。私は、日本人ですが、
       韓国に住んで7年半も経ちますが、
       未だに上達しません。
       もっと努力しなくっちゃ・・」
  サムチョン:「偉いですねぇ〜、語学は、
         細く?長く?続けることですね。
         大丈夫ですよ、きっとペラペラに
         なりますよ。」

  カノン:「えへへ、本当ですか?じゃあ、頑張っ
       てみますね。今日は本当に有難うご
       ざいました。何か必ずお礼をしますね」
 サムチョン:「いえいえ、何も要りませんよ。
        お世話になっているのはジェファの
        方ですよ。ジェファはシオンちゃん
        が大好きだし、シオンちゃんのお母
        さんも大好きで、凄く綺麗で可愛い
       くて優しくて料理が上手なママだと
       言いました。ジェファの母親・・
       つまり私の姉は、家庭的ではない
       職業婦人ですから、ジェファはあなた
       のような人が大好きなんだと思います。
       良くして下さって有難うございます。」

 カノン:「ええ!!とんでもないです、恥ずかしい
      です、サムチョンさん・・・いえ、鄭さ
      ん?本当に有難うございました。では
      失礼致します。」と云って電話を切った。


  何だかとっても楽しい電話だった。
  何度も笑いがこみあげて来たカノンだった。
 
  又、サムチョンも同じ気持ちだった。
  


   「何だか、楽しいお母さんだったな・・
   それに可愛い感じが伝わって来たな・・
   シオンちゃんか・・」
      サムチョンも何度も思い出し笑いを
      していたのだった・・・


 −−−−−−−−−−−−−−−−−−   

、       
 鄭ジェファの話を、園長からサヤカは聞きだした。
 園長は唯、ただ絶賛していた。

 リラ始まって以来の天才園児、一次のペーパー
 テストでは満点を取り、二次試験の運動能力も
 抜群、芸能技能の音楽選択では、ショパンの
 「別れの曲」を完璧に弾き、面接試験では、
  英語、日本語、フランス語と流暢に喋り、勿論、
  母国語の韓国語も完璧だった。
 更に母親は職業婦人で、父親はIT企業戦士の
 日本人らしかった。
  独身の叔父が時々、居候でやって来て滞在は
  するが、その叔父も、韓国では有名なグラフ
  ィックデザイナーだそうだった。
  かなりの資産家でもあると言われ、リラ幼稚
  園にもサヤカの家と同等の金額の寄付金を
  出したと言われた。

  え?うちと同じ金額の寄付金?!億近い金額
  だった寄付金を出したって事なの?

  サヤカはビックリはしたが、そんなジェファ
  に益々、魅力を感じ、ソラミの王子様役には
  ぴったりだと思った。
   何よりも、シオンから奪い取れば、自分も
   カノンに勝利した事になるから、、、
   何としてでも、手に入れたい気持ちで一
   杯になった。




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  サムチョンに送ってもらった事はアッパー
  には内緒ね、じゃないと、アッパーは明日
  から、送り迎えはアッパーがすると言いだ
  すし、二人で通ってはダメって言うから?

   カノンはシオンに言い聞かせた。

   シオンは分かったと云ってオンマと自分
   の秘密ちゃんとして指切りげんまんをし
   たのだった・・・


 ソンジェが、仕事を終えて帰って来たが
 開口一番、シオンに、「帰りはどうやって
 帰ったの?」と聞いた。

 シオンは約束通りに「オンマが迎えに来て
       一緒に帰った」と云った。

 子供は正直だし、嘘はつかないと思っている
 ソンジェはその言葉を信じて安心し、ニコ
 ニコ顔だった。

 カノンは心の中で、「セーフ」と思って
 ホッとした・・・




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