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作品名:潮風のセレナーデPARTUバトル編 作者:HAPPYソフィア

第5回   春の日差し・・・日向と影
春の日差し・・・日向と影



 カササギ幼稚園がとうとう取り壊されることになった
 のは、全ての園児が、行き場を見つけられた春の兆し
 が感じられる2月の終わりだった。
 
 卒園式は付け焼刃で行った感はあるが、早々に執り
 行われた。
 出席者は95名中、50名ほどで、父兄参加も
 少なかった。
 片親が多い園児の父兄は、直ぐには仕事を休めない
 事もあったし、様々な大人の事情が交錯されていた。

 ジェファは、寒さの厳しい韓国での冬を避け、豪州の
 ブリスベンに春まで滞在するとして、リラ幼稚園の
 手続きを済ませた後、叔父と出かけてしまったと聞
 いた。
 カノンの家も、ソンジェが英国に演奏会が決まって
 出かけている状況だった。
 
 園児達は、普段着のままだった。
 大ホールに集まると、そこはピクニックの様に、大きな
 円陣を組んで座らされた、お祝い事の韓国伝統菓子が
 配られた。
  一人一人に行きわたると、園長が現れ、円陣の中央に
 立って、円を360度回りながら、「皆さん、今日で
 このカササギ幼稚園は閉園になります。今日は卒園式
 になります。・・長い子で3年、短い子で、5か月に
 なるのかしら?色々と楽しかったですね?一杯、お勉
 強も運動も、遊びもしましたね?園長先生は、皆のこと
 ずっとずっと忘れません。先生たちも同じです。
 ありがとう、本当にありがとう。どこに行っても、
 皆さんが笑顔で、元気に過ごしている事を祈ってます。
 園長先生のお家は、このカササギ幼稚園の近くにあり
 ます。いつでも遊びに来て下さい。」と言って笑顔で
 挨拶をした。
  子供たちは、十分理解は出来たか?出来ないか?
 分からないが、唯、このカササギ幼稚園がなくなる事
 は何となく分かった様子で、泣きだす子もいた。

 シオンと仲良しになったキョンワとジニがシオンの
 所に来てカササギ幼稚園で一緒に拾って遊んだ綺麗な
 石とドングリの実を、シオンに差し出した。
 シオンはニッコリ笑って「有難う」と言った。
 キョンワもジニも春から、三角保育所に行く事に
 なったらしい。二人の親が働くホテルから数分の
 所らしく、環境は宜しくはないが、保育料が安い事や
 夜遅くまで預かって貰える事で、園長が、探して来て
 くれたところだった。

  シオンは、キョンワとジニにお返しだと言って、
 していた髪飾りとリボンを差し出した。
 二人は顔を見合わせて「有難う」と言って受け取った。

 カノンは「キョンワちゃん、ジニちゃん、いつでも
     また遊びに来てね?仲良くしてね。」と言
    って笑うと二人は「うん」と頷いた。


 シオンは、これで2度目の友達との別れを味わった。

 1度目は済州島での友達だった。ヒスちゃん、
 ナレちゃんとの別れだったわ・・

 人は出会いと別れを繰り返して、成長して行くもの
 なんだろうか?っとカノンは改めて思った。

 アットホームな温かいカササギ幼稚園の閉園式だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 夫、ソンジェが英国に演奏旅行に行っている事も
 あり、カノンは、シオンを連れて済州島へ遊びに
 行くことにした。里帰りの様な感覚だった。
 日本に行こうかとも思ったが、先日、遊びに行った
 ばかりだったし、韓国に負けずと劣らず厳寒だった
 、、、寒さが苦手なカノンは、出来たら暖かい所に
 行きたかった。すると不意に見た、サイドボードの
 写真たての写真に、親子三人で済州島で撮ったもの
 が目に留まったのだった。

 青い海で、笑顔いっぱいの三人の顔だった・・
 写真たてを手に取りながら、カノンは「済州島・・
 シオン、済州島に行こうか?」と言った。

 シオンは「わぁ!!済州島?オンマ、済州島?」と
 何度も嬉しそうに行って、行きたがった。

 済州島なら、同じ韓国だし、手続きも直ぐに取れる
 ・・・ネットでも簡単にチケットやホテル予約も
 取れるからだった。

 案の定、直ぐに予約が取れ、手配が済んだ。
 済州島は日本で言うならば、沖縄の様なところで、
 昔はハネムーンの1位に輝くリゾート地だった。
 それが、今では高校の修学旅行の場所に変わった
 様子で、そう言えば、済州島に居た時も、沢山の
 修学旅行の学生さんで賑わっていたなぁと思った。
 客層がガラリと変わった感じがした。
  更に、第二韓流が起こり、ドラマや映画のロケ地
 巡りをする日本人アジュンマ(中高年)が多かった。
 カノンの母親も、ずっと李ビョンホンのファンで、
 何度も済州島に来てはビョンホン主演の「オール
 イン」のロケ地巡りをしていた。
 今は、新しいアイドルを発掘したのか?ビョンホン
 に対する熱が冷えた?と云っても良かったが・・

 済州島は、観光地であり、元々はハネームーナー
 が利用するホテルが多く乱立している為、どのホテル
 も豪華で、当たり・外れがないと云っても良かった。

 勿論、ピンキリもあるが・・・
 「どうせ泊まるなら、リッチなロッテホテルか新羅
  ホテルに泊まっちゃおうか?」とカノンは思い、
  ネットで予約をかけたが、全室満室で、予約が取
  れなかった。
  韓国も中国経済の台頭で、沢山の中国人観光客が訪れ
  ていた。日本も同じで、中国の好景気のお陰で
  観光収入が成り立っている状況だったし、
  中国の富裕層が、ロッテや新羅と言った高級ホテル
  を借り切ってしまっている様子だった。

 KEのCAだったサヤカと今もKEのパイロットの
 サヤカの旦那さんがくれたKALホテルのプレミアム
 招待券を利用する事にした。
  80%OFFで宿泊が可能なチケット
 だった。その特別会員番号をPCに入れると、直ぐ
 に予約が取れた。AIRも、KEで直ぐに取れた。
 4日間の予定でチケットもホテルも手配が完了した。

 カノン:「シオン、ヒスちゃん、ナレちゃんにお土産
      買って行こうね。美味しい物が良いかな?
      可愛い物が良いかな?」

    シオンは「どっちも!」と云って嬉しそうに
    答えた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 KALホテルは、KE系列の傘下にあるホテルだった。
 空港からも近く、外観がTDLの近くにあるヒルトン
 ベイホテルに似ていた。

 カノンも、シオンも半年振りの済州島だった。
 飛行機の中から、島や海が見えて来ると、二人は
 大はしゃぎだった。


 シオン:「オンマ、綺麗綺麗ね、シオンのお家はあそこ
      だったかな〜?」と云って指差したが、
     カノンは指差した方向が、トンチンカンな
     お城の様なホテルだったので、げらげらと笑い
     出してしまった。

 シオンにとっての済州島での暮らしは、お城の様な
 お家のイメージだったのかもしれないと・・・
 カノンは思い、笑ってしまった・・・
 

 機内アナウンスが流れ、あと5分ほどで着陸となった。

 カノン:「さぁ、シオン、あと少しだね、ベルトを
      締めておこうね。」

 カノンはシオンのベルト確かめて、優しく語りかけた。

 シオン:「アッパーも来れたら良かったのにね?」
 カノン:「そうね、、じゃあ、ホテルから電話して
      みようか?」
 シオンは「うん」と頷いて、腕に抱っこしていた兎の
      ぬいぐるみをぎゅっと持ち直した。

      兎のぬいぐるみは、ソンジェがロンドンの
      ピカデリーでの演奏会の時のお土産であった。
      ピーターラビットの可愛い特注の物だった。
      シオンは自分の妹か弟の様に可愛いがって
      いたし、旅行の時は必ず一緒に連れて行った。
 

 空港から出ようとすると、直ぐにKALホテルの無料
 シャトルバスが来ていたので、カノン達は、
  バスに飛び乗った。

 降り立った多くの人々は、観光バスが用意されていたし、
 個人旅行者は、タクシーも沢山待ちかまえていたので、
 そんなに足には困ることは無かった。
 ただし、済州島は地形的に地下鉄や電車が無い。
 ソウルとは違った車社会とも言う場所だった。

懐かしい街並みを、シオンは、バスの窓に顔をひっつけて見
 ていた。カノンも、あ!ここ、良く来たなとか、
 あそこのお店、美味しかったなと目を細めて見ていた。

 バスは直ぐにKALホテルに到着した。
 チェックインを済ませ、部屋に荷物を運んでから、直ぐに
 二人は昼食をとりにでかけた。

 近所に美味しい定食屋があるからだった。
 トラハルバンの石のオジサンたちが、街の所々にあり、
 「ようこそ済州島へ」とひょうきんに挨拶してくれている
  ようだった。
 

  「トラハルバンのおじさん、ただいま〜」カノンは
  心の中でつぶやいた・・・

    
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 サヤカの家の子供たちは、休みを返上して、猛勉強をさせられて
  いた。

 一流の家庭教師を何人も雇い、マナーや、学問、運動に至る
 まで厳しく叩きこまれていた。

 特にソラミは、泣きごとは言わなくなった。
 シオンが、ソラミの事をブスだとか、頭が悪いとか、悪口を
 言っていると母親のサヤカに嘘な言葉を吹き込まれていたし、
 お姫様のソラミを馬鹿にしている召使いのシオンに悔しさ
 を生まれさせていたからだった。


 ソラミもサヤカに似て負けず嫌いで、プライドが高かったし、
 自分が1番でないと気が済まなかった。
 だが、父親である海仁に顔が少し強く似すぎてしまった為、
 物凄く美人とは言い難かった。
 サヤカと夫である海仁とは職場結婚だが、年齢が一回り違って
 いた。
 CAとして働いていたサヤカは、最初から海仁を狙っていた。
 顔はそんなに大した感じはなかったが、パイロットとしては
 優秀だし、家柄も学歴も申し分なかったからだった。
 カノンや大学の友人たちよりも上を常に行きたかった
 からだった・・・

 海仁なら、親戚にも家族にも、友人にも顔が立つ・・
 サヤカは、愛情ではなく条件で結婚相手を決めたのだった。
 サヤカは打算的で高慢なのは職場では有名であり、当時、
 海仁と交際していた先輩CAを押しのけて、猛烈アタック
 の末、射止めたものだった。
 海仁も、サヤカの若さ・美貌・知性・家柄などには、勝て
 ず、恋に堕ちてしまったのだった。
 
 しかし、恋愛と結婚は違っていた。
 特に結婚後、環境も状況も、想像とは違っていた。
 家族の絆が強い韓国は、色々なしきたりや、暗黙のルール
 があって、自由奔放で育ったサヤカには窮屈なものだった。
  贅沢な専業主婦はさせて貰ってはいるが、、、
 海仁の両親や親戚とは折り合いが悪かった。
  更に生まれた子供は、カイトもソラミも容姿はサヤカに
 全て似ていれば、良かったのだが、どちらかと言えば、
 父親似であった。特にソラミの方は父親に良く似ていた。
  一重でありいつも眠そうな目、まつ毛も短い・・
  だんごっ鼻、唇は腫れぼったくタラコみたいだった。
  生まれたての双子を見た時、サヤカは、ガッカリしていた。
  

 カノンの娘シオンを見る度に、サヤカは、面白くなかった。
 カノンもそうだが、ソンジェも美しい男性だったので、当然、
 シオンは、見るからにお姫様のような可愛いらしさだった。
 誰もが「あの子、可愛い」と振り返り、雑誌のモデルになら
 ないかの話も沢山あった様子だった。
 しかし、ソンジェもカノンも望まなかった。
 それが無性に悔しい気持ちに、サヤカをさせた。

 ソラミは、小学校に上がる前に整形手術で二重にしたり、
 唇や鼻も変えれば良いわね?っと、サヤカは思っていた。
 
 兎に角、学力にしても、遅れを取る訳にはいかない・・
 ソラミは、リラ幼稚園のお姫様にならなければ・・・
 そして私も、リラの父兄代表になるわ。
 サヤカはの野心は絶えなかった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
  
 ロンドンでの演奏会も大盛況に終わり、
 千秋楽の日の夜は、パーティだった。
 ソンジェは、タキシード姿で、迎えの車に乗り込んで
  会場へと駆けつけた。


 既に沢山の演奏者達や、スポンサーが集まっていて、食前酒を
 楽しみながら歓談していた。
   

(スポンサーの一人)ロットン氏:「やあ、李君、今回も素晴ら
 しかった!!次はベルギー公演だったかな?」
  ソンジェ:「ええ、まだ1カ月先です。今回も、ロットン
        さん達のお陰で、成功する事が出来ました。
        有難うございました。」

  ロットン氏;「いやいや、李君の演奏は、やはり素晴らしい。
         涙する者も多かった・・私も、感動して、
         震えが出て来たよ・・特に娘さんの為に作った
         シオンと言う曲は、本当に素晴らしい・・
         君は音楽家として超一流だよ。」

(スポンサーの一人)カーネル氏:「全く、私も同感です。アメリカ
            にも是非、遠征して欲しいですよ。
               あっ、そうそう・・・」

 カーネル氏は、そう言って、人を呼び寄せた。
 すると美しい漆黒のドレスを纏った呉ジナとその娘がやって来た。
 呉ジナも今回の演奏者の一人であり、パーティに招かれていた。

 呉ジナ:「ソンジェ、久しぶりね?」

 カーネル氏:「おやおや、お二人は知り合いかね?」
 呉ジナ:「ええ、同じ大学ですもの・・更に、同じ学部で同じ道を
      進んでおりますし、仲が良かったですわ・・今もそうです
      けれど?ねぇ、ソンジェ?」
 ソンジェ:「ああ、そうですね、同じ大学で、同じ学部ですし、学友
      でした。今は、音楽の仕事上で、こうして一緒になりま
      すが、会釈程度でしたから、、、今日は久しぶりに、
      会った訳です。呉ジナさん、こんにちは、お久し振り
      ですね?相変わらずの光輝くご活躍、尊敬してます」
      ・・・と、距離と壁を作りながらソンジェは言った。

 呉ジナ:「ソンジェは相変わらず、クールね、貴方の方が大活躍じゃない。
      今日の主役だって、貴方でしょう?」

 ソンジェ;「・・・いえ、僕は唯だの演奏家の一人ですよ。
        未だ、ここに来たばかりなので他にも挨拶しなくてはなり
        ませんので、失礼します。」と云って、会釈し、その場を
        離れて行った。

 カーネル氏:「呉さんと李さんが学友だったんですね?凄いですね?」
 ロットン氏:「優秀な音楽家同志で、、、これからが楽しみですね?」
 呉ジナ:「・・・私達は・・私たちは・・学友と言うか・・そのぉ・・」
 ロットン氏;「え?」
      ジナはワナワナと震えていると
      クスクスと意地悪く笑いながら娘マヤが
     「お母様と、李ソンジェは恋人同士でしたのよ。
      大恋愛だった、しかも結婚の約束もしていたんですのよ」

        と言ってしまったのだった・・・・

           え?呉ジナと、李ソンジェが、恋人同士?
           周囲の者たちが、その言葉を聴いて、ザワめいた。

       「そう言えば、そんな噂を聞いた事があるわ。」
          「百済音楽大学での悲しいロミオ&ジュリエットの
           話で有名だったのよ」


             「なになにソレ?」

                 心無い噂が千里を走って行った。

  


           ジナはいてもたってもいられない気持ちになり、
           マヤの腕を引っ張って、退散してしまった。


      
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  呉ジナは、ジャンフーに付きまとわれ、半ば犯され、娘マヤを
  出産した。
   しかし、ジャンフーは、金にダラシナイ男で、経営の失敗もあり
   ジナの稼ぎをあてにしたヒモ生活をしていた。
    そんな毎日に辟易したジナは、ジャンフーから逃げたが、
   逃げ切れず、元の生活に引きずり戻されてしまっていた。

     ところが、或る夏の日、嵐の中を、舟を漕いで出て行って
     しまったと聞かされた・・更に数日後、遺体となって、
     海に打ち上げられたと・・・

   籍には入れていない事から、ジナは特に離婚の苦労もなく、
   アッサリとジャンフーと手が切れたのだった。

   だが、ジャンフーとの間に出来た自分の娘マヤが、ジナに
   とっては、厄介な存在だった。お腹を痛めて産んだ子供で、
   愛情はあるが、いつもジナが人生の中で大切な時、邪魔・・
   と言うか、足かせになっていたのだった・・・
   そもそも、マヤを生んだ時、名前をジャンフーが勝手に
   付けて届けてしまった事も、ジナには気に入らない事だった。

   ジャンフー:「こいつの名前はマヤだ。麻薬のマ、嫌のヤだ。
          麻薬の様に、お前には無くてはならない者、
          俺を嫌うそのお前の目がたまらなく、そそる
          んだ・・俺はお前から一生離れない・・
          だから嫌われても麻薬の様に付きまとってやる
          ぜ、マヤ、お前は俺にソックリな顔だな。」
           と云って高らかに笑っていた・・・
   成長するにつれ、マヤはどんどんあのジャンフーの顔に
   似てきた。
   とても可愛いとは言えなかった。
    だが、音楽的才能は、ジナに似たのか、僅か1歳でピアノ
    の鍵盤を叩いて遊んでいた。
    絶対音感があるらしく、一度聴いた曲を、直ぐに覚え、
    正確に弾いてしまうのだった・・・

    リラ幼稚園にもし、入れば、将来は安泰だと言われ、マヤの
    才能を信じて、受けさせたのだった。
    完璧なまでのピアノ演奏だったため、拍手喝さいが沸いたの
    だった。
    ジナにとってこのマヤは、天使なのか、悪魔なのか?分から
    ないが、類まれなる才能は、ジナも認めていたのだった。
    

   以来、未婚の母として、女手1つでマヤを育ててきたが、
   マヤの存在が、とてつもなく恐ろしくなって来たのだった。 
  
   マヤ:「お母様、私、本当の事を言っただけよ。
       お母様は、李ソンジェが、今も好きなんでしょう?」


   ジナ:「・・・いいえ、いいえ、違うわ」

   マヤ:「お母様の嘘つき、いつもいつも目や心は、李ソンジェ
       を見ているくせに!・・私、あの人だったら、お父様
       でも良いわよ。」
   ジナ:「え?・・お父様って言っても・・」
   マヤ:「確かに、あの人は今、違う人のお父さんだけど・・
       きっと私のお父様になってくれる筈だわ。私のお父様に
        ふさわしい人だもの。この天才呉マヤの父親は、
        やっぱり天才音楽家じゃないとね。ウフフ」


    ジナは、4歳の娘とは思えないほどのアバズレた言葉に
    末恐ろしくなった・・・

    だが、ジナは久し振りに近くで見て、声をかけあうことが
    出来たソンジェに、ドキドキしていたし、やはりソンジェを
    今も愛している事を、改めて感じた。
      
         私はやはり、ソンジェを愛している・・・



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



     ソンジェは、スポンサーや、演奏者、音楽家達に挨拶を済ませ
     ると、早々にホテルに戻った。
     時計は23時を回っていたが、電話のランプが付いていた、
     留守番電話メッセージがある知らせだった。



    勿論、カノンとシオンからだった。疲れが一気に吹っ飛んだ気分で
     メッセージを聴いた。


    「アッパー、アンニョン、シオンね、今ね、済州島にオンマと
     来ています。
      今日は、ヒスちゃんとナレちゃんと海で遊んだの。それから
      アッパの兎のうーちゃんも、ヒスちゃんとナレちゃんに見せたよ。
      アッパーも済州島に来たら良かったのに・・・
      アッパー、お仕事頑張ってね。
      アッパー、それからね、今日は、黒豚の焼肉を沢山食べたよ。
      凄く、美味しかったよ。
         オンマにかわるね。


     −−−−−−−−−−−−−−−−−−−
     拝啓 オッパちゃん、お元気ですか?元気ですね?偉大なるカノン
    ちゃんは、シオンと一緒に済州島に里帰りをしております。
    何故なら、李ソンジェと言う生意気なアジョシがいないからです。
    李ソンジェは、今、英国に音楽の修行?に行ってます。恐らく
       ライバルのカノンちゃんに負けたくないからですね?
       元気が無いみたいなので、クリクリの歌を歌って上げようかとも
       思ったのですが、それは帰国してからのお楽しみにしておいて下さい。

    体に気をつけて、英国の美味し物???ってあるかな?まぁ、いいや、
    美味しい物を兎に角、見つけて、沢山食べて、元気に帰国して下さい。

         間違っても、カシミヤのコートやバーバリーのお洋服とか、
         お土産にはいりませんのよ。いいですか?我が家は、これから
         沢山、お金がかかります。質素で、堅実な生活、これにつきます。
         オッパちゃん、無駄遣いしないようにね!!
         いいですね?・・分かったら返事をして下さい、いいですね?

    ソンジェは、「はい、分かりました」と言った。
    
      はい、よろしい、では、我々は、これからナンタのミュージカルを
          見に行きます。バイナラ・・

             ・・・とメッセージはここまでで、切れていた。

  ソンジェはアハハハと高らかに笑い転げた。
  本当にカノンは面白いな・・・やっぱり最高だなっと思うソンジェだった。
     よし、カシミヤのマフラーか手袋位なら、お土産に買って行っても良い
        かな?っと思って、また笑った・・・



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



      
    月日はどんどん流れとうとうリラ幼稚園の入学式となった。

    日本から、カノンの両親も来る予定だったが、カノンの弟である
    永遠(=トワ)の妻が、出産間近で、心細い様子だったので、
    そちらを優先させると云う事で、トワが駐在しているドバイに
    行ってしまったのだった。
    カノンも賛成だった。トワもいよいよお父さんか・・・そう思うと可笑しくて
    クスクス笑ってしまった。


        幼稚園まではソンジェの車で行く事になった。
        クラスは「ムグンファ組」だと発表された。
        何と、呉ジナの娘とサヤカの娘も同じクラスだった。

     ムグンファ=ムクゲ=韓国の国の花の名前だった。
     淡いピンク色で、匂いもホノカで、奥ゆかしい花で、カノンが大好きな花の
     1つだった。

     
   ジェファは年長組で「ひまわり組」だそうだ。光輝く美しい少年にはぴったりな
    クラスかな?っとカノンは思った。
     ジェファも一緒に行くかと尋ねたが、お母さんの車で行くので、大丈夫だと
  言った。会場で会えたらいいねとし、それぞれがそれぞれで行くこととなった。



    リラ幼稚園の入学式にかなり早目に行ったにもかかわらず、物凄い人だかり
    であった。校門のところでは写真屋が、何人も待ちかまえていて、記念写真
       は如何ですかと?言わずとも、長蛇の列で、撮影が行われていた。


      ソンジェも「うちも撮って貰おうか?」と言った。
   一生に一度の、しかも韓国最高峰の幼稚園の入学式・・写真を撮っておかないと
      後悔しそうだと言う理由も、頷けるので、列に並んだ。

   人のはけは良く、直ぐに順番になった。お世辞なのか?カメラマンが「いや〜
     可愛いお嬢ちゃんだねぇ〜、今日の写真を撮った中では1番だ。おやおや、
     お父さんもハンサムだし、お母さんも綺麗だね〜」と言った。
     何だか恥ずかしくなって、カノンもソンジェも下を向いてしまった。
      シオンだけが笑顔でニコニコしていた。


      本当に素敵な家族、可愛いね、、特にあの女の子、お人形さんみたい・・
           

           周囲の家族も、カノン達家族を見て
               噂していた・・・

          すると一人の母親が「ねぇ、あのお父さん、音楽家の李ソンジェ
                    じゃない?」と言った。

           「え?李ソンジェ?」
               「わぁ、李ソンジェの娘もリラ幼稚園なんだ」
      
            ざわめきが一層、大きくなった。
           写メールを皆が、こぞって撮ろうとバシャバシャと音がした。

    ソンジェは、拙いと思って、写真撮影が終わると、直ぐに、カノンとシオンの
      手を取って、逃げるように、校門に入って行った。



    カノン:「オッパちゃん、凄い、有名人ですね〜」
         カノンは、明るくおどけて言った・・・
ソンジェ:「いやいや、僕ではなく、多分、シオンが超可愛いし、そのお母さんである
          カノンが超美人だからだよ。僕じゃないよ」と言った。
    カノン:「ええ〜、何か空しい・・カノン、美人なんて言われた事ないよ〜」
ソンジェ:「え?僕は、何度も言ってるじゃない・・
              それにさっき写真屋さんも言ってただろう?」
カノン:「あれは商売上のお世辞だよ〜、
      オッパちゃんもかなり無理して言ってるもん」
    ソンジェ:「え?無理なんてしてないよ〜」
    カノン:「嘘、嘘、嘘・・・オッパちゃんは
       嘘を言う時は、いつも鼻をぴくぴくさせて
       目が泳ぐもん、カノン、ちゃんと知ってるもん、だから嘘だもん」
    ソンジェ;「ええ?本当だってば・・」
    カノン:「えへへ、まぁ、いいや、シオンは超可愛いと云うのは本当だもん。
          私たちは親バカですね〜」と云って笑った。


 本当に、親バカだとカノンもソンジェも思っていた。唯、他の親もやっぱり、
     自分の子供が1番だと思っているに違いないし・・・
      親とはこんなものなのかも?と、思い、お互い笑いあっていた。
        


         そんな光景を、呉ジナは遠目に見つめていた。
   マヤ:「どうやら、未来の私のお父様の子供も、同じ幼稚園なのね?お母様、
       私、この幼稚園、凄く気に入ったわ。あの子、凄く可愛いけど、
         あの子から、笑い顔を貰うの。だって私のお父様になるんだもの。
           返して貰わないとね?そうでしょう?お母様?」
  ジナ:「え?何を言っているのマヤ?あの人は、あなたのお父様じゃないのよ。」
     マヤ;「いいえ、私のお父様はあの人しかいないもの。私の才能を理解して
        のばしてくれるのも、あの人しかいないの!いいから任せてよ。」

          ジナは、自分の娘ながら、恐ろしくなった・・・
             言葉を失い、唯、微笑むしかなかった・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


   式が終わって、それぞれの教室に向かった。
   当然、サヤカとも会ったし、呉ジナとも会った。
   周囲の父兄たちも、「今年はムグンファ組に
   音楽関係者を集めたのかしら?」と言われるだけあって、
    ミュージカル女優や有名実力
   歌手の子供が多く集まって居た。勿論、サヤカの家庭のように、
    KEのパイロットで、実家が名士だったり、政治家、弁護士、
    医者の・・所謂、富裕層の家庭の子供たちばかりだった。

    
  しかし、それだけではなく、子供たちの学力や才能は光輝くものばかりだった。
  
  そんな中で、シオンの可愛いらしさは、ピカ1で、父兄からも噂の的だった。
        「あの子、凄く可愛い」
            「あの子よ、音楽家の李ソンジェの子供よ」
       「え?あぁ、だからね。お母さんも綺麗だし、美男美女の子供ね」
          

      担任の先生が教室に入って来た。
      「皆さん、こんにちは〜」
                     こんにちは〜
       「わぁ、上手にご挨拶が出来ましたね?
            先生の名前は、、、」と云って、黒板に、美しい字で名前を書き始めた。



                     姜ユリ


       「はい、姜ユリと言います。ムグンファ組の先生です。
       1年間、宜しくお願い致します。
        仲良くして下さいね?」

                   はあい

        「では、一人づつ、お名前を呼びますから、
               元気よく返事をして立って下さい」

        ・・・・・・・・・・・・
                 ・・・・・・・・・・・・・


                      姜・ユ・リ・・・


                  姜ユリ・・・・

                  ユリ!!

         カノンもソンジェも顔を見合わせた・・そしてビックリした。
         
          そう!姜ユリは、かつて、カノンが語学研修で、
           ホンデの語学堂に来た時、
       大好きだったテファオッパの幼馴染みで、テファオッパとは
           ホンデの公認カップルの女の子だった・・・

        顔もすっかり元に戻り、美しくスレンダーなスタイルで、
               知性と教養が備わった素敵な女性だったし、
            リラの先生にふさわしかった。

    

     ソンジェは「韓国は、名前が少ないから、もしかしたら別人かも?
            同姓同名なんて幾らでもいるしね・・・」と言ったが、

   父兄からの質問で、出身大学などを聞かれた時、ホンデの日本語学科であり
   日本にも語学留学したり、日本の専門学校に進み、幼児教育を学んだ事も
         話した。未だ独身で、良い人を紹介して下さいと付け加えていた。


    出席確認の時、呉ジナの娘、マヤの番になった時も
    ユリは「あぁ、呉ジナさんの娘さんね、私とは遠い親戚にあたる
        のね、マヤちゃんは優秀な成績と完璧なピアノ試験結果
        だったし、鼻が高かったわ」と、言い、後ろにいる

                  ジナに向かってユリは会釈した。
        ジャンフーとユリは、遠縁に当たる親戚だった。



        ソンジェ:「やっぱり、あの姜ユリさんだよ」
    カノン:「・・凄い、縁を感じるね・・運命と言うか・・・」

    ソンジェは、差ほど深刻に思ってない感じで、運命とか縁だとかを
        語るカノンの顔が面白くて、吹き出してしまった。
       「しっ」っとカノンは、ソンジェに言ったが、それも
       おかしくて、廊下に飛び出して、笑い転げてしまった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



    「はい、では、明日から、幼稚園が始まります。
      皆さん、元気よく、来て下さいね? 
      先生は楽しみに待っています。」とユリは言って
     一人一人に「明日ね?」と云って、見送ってくれた。
  


   シオンの順番になった時、「李シオンちゃんね、とっても可愛い名前だし、
           シオンちゃんもとっても可愛いわね。」と言った。
シオンは少し照れながら「シオンのシは、詩の詩、オンは音楽の音って書くの。
     アッパーと、オンマがつけてくれたの。」と言った。


 ユリは、そのシオンの笑顔につられて「わぁ、可愛い名前ですね〜詩音ちゃん、
            また明日ね?アンニョン〜」と云って手を
                  振ってくれた。


       シオンも手を振りながら、「アンニョン」と言った。




   「姜ユリ先生、、、ユリさん」っと声をカノンとソンジェはかけて見た。



  ユリは「はい?」と元気よく返事をして振り返ると、見覚えのある二人の
       姿があった・・・




       「え?・・・もしかして・・
         カノン、、鈴木カノンさんと、李ソンジェさん?」
   
       カノンとソンジェは、ニコヤカに頷いた・・・

     
  ユリは、その二人の間に割って入って手を繋いでいるシオンの姿を見て、
       やっと現状がつかめた。


     ユリ:「え?じゃあ、シオンちゃんはお二人のお子さんなんですね?
         ・・・・(テファオッパとは、結婚しなかったのね??)
          ・・・・・お二人はご結婚されたんですね?・・・・・・・
            あれからもう、何年かしら?10年??」


     ソンジェ:「そうですね、10年ですね・・・色々あって、今はこの通り、
           です。娘がお世話になります。宜しくお願い致します。」
   ユリ:「勿論ですよ。シオンちゃん、本当にお姫様みたいに可愛いですね?」
          っと言ってほほ笑んだ。



   かつての高慢さや威圧的なユリではなく、そこには、優しいマリア様のような
      ユリの姿があった。

      ユリ:「あの夏の事は、私の生涯の中で、忘れられない事でした。
          今は、あの事があって本当に良かったと思っています。
        あのままだったら、私は、大切な事を知らずに、我儘で高慢ちきで、
          セレブ気どりな日々を送っていたでしょう?
          人の優しさとか、本当の物の真価とか、真の友達とか・・
      お金の大切さも怖さも知りました。今は、この仕事が、天職だと思って
      ます。一生懸命頑張って行こうと思っているんです。至らない教師です
       けど、何かあれば遠慮なく言って下さいね?」と云って笑った。



         良い笑顔だった・・一点の曇りも邪心もなかった。


  カノン:「本当に、人の縁て不思議ですね?またこうして、こんなに良い形で
       お会いできるなんて、心から嬉しいです。ユリさん、シオンを
         宜しくお願い致します。田舎育ちで、お勉強とか全然出来ない
         と思います。悪い事をしたら、思いっきり叱って下さいね。」

   ユリ;「はい、分かりました。でも、大丈夫ですよ。ユリ先生に任せて下さい。」
           と云って笑った。





      帰りの車の中で、ソンジェもカノンも晴れやかな気持ちだった。

     「姜ユリさん、素敵になったね」とソンジェは言った。
     カノン:「うん、何か、凄く綺麗になったし、輝いていたって感じが
           したね〜オッパちゃん、デレデレしてたね?」
          ソンジェ:「え?全然・・」
      カノン:「だって、チョヌン、キムタクイムニダって言うオーアラを
       バリバリに出してたよ。ナルシストだねぇ」と云ってからかった。
          
       シオン:「ユリ先生はアッパとオンマのお友達なの?」
           カノン:「そうよ、うーんと昔のお友達・・」
     ジェ:「きれいきれいな先生だったね、心もすごく綺麗だし、優しいよ。
           シオンはユリ先生のクラスになって良かったね?」
     
      シオン:「うん、明日、先生にシオンの宝物の済州島の石を
           1個上げるの。」
        


                シオンは嬉しそうに言った。



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       サヤカは、全員が引けるのを待って、ユリに近づいて行った。

       「姜先生」っと声をかけた。

     ユリ:「はい? あっ、
       (貴女は・・確か権ソラミちゃんのお母さん?)権さんでしたっけ?」


     サヤカ:「流石、リラ幼稚園の教師、直ぐに名前を覚える事も
          凄いですわ。私の娘、ソラミを
          1年間宜しくお願い致します。
       多分、どの子どもたちよりも、可愛い容姿の園児だと
       思いますの。ピアノ、英会話、バレエ、水泳、お勉強も、
           既に小学校6年間分の先取り学習をさせてますの。
       私も母親として、父兄の大代表になろうと思ってますの。
       先生とはこれから一年間、親しくお付き合いさせて頂きますので、
       宜しくお願いしますわ。ホホホ」

     ユリ:「・・はあ?・・そうですか?
        (ソラミちゃんて、そんなに可愛いとは思えなかったし、
         、、園長の話しでは、テストもピアノも全然出来なくて
           裏口入学っぽい話しも聞いていたのだけれど???
        何かこのお母さんて、昔の私みたい・・・苦手だわ〜)」
  

   サヤカ:「では、先ずはご挨拶まで、ごきげんよう!」

       言うだけ言って、去って行くサヤカに圧倒されたユリだった。
 



       でも幼稚園の最高峰リラ幼稚園での担任教師になれた事は、
        ユリにとっては大きな自信になっていた。
        それまでは、見習いで梅花幼稚園で働いていた。
        母親が梅花の制服のデザインをした姜ユナだったので、
        そのコネクションもあった。
        デザイナーの姜ユナは、日本で言えばモリハナエのような
         有名なデザイナーだった。
        
        丁度、リラ幼稚園で教師の募集があり、見習い期間も
        終わったことで、挑戦してみようと思って、受けたところ、
        運よく受かり、何も後ろ盾がなくても実力さえあれば、
        未来は開ける事を、ユリは味わい、
         幸せな気持ちで居たからだった。
    

         頑張ろう!一生懸命努力しよう!
         決して驕らず、謙虚で行こう、そうユリは心の中で
          唱えていた。

     

      だが、テファオッパとカノンは、結局、結ばれなかった事を知り、
        10年の月日の流れと運命の悪戯を感じた。

         日本に留学中、日本人の友人から


        「1番好きな人とは結ばれない、
                2番目の人と結ばれるのが良い
           と言うジンクスが日本にはあるのよ」と
         聞いた事があった。
    韓国では2番手とか、余り好まれたりしないので、そう言った
       ジンクスを聞いて面白いなっと思った・・・


    

     でも・・・テファオッパは、今はどうしているのかしら?
     私の記憶では、大学を卒業し、
      日本のIT企業に就職したと聞いたけど?
           そして直ぐに日本に渡ったと・・・
      
     オッパの両親は時同じく、アメリカに行ってしまったし、
     女優のオンニ(お姉さん)は、今も、女優業をしてはいるけど、
      活動拠点をアメリカに移してしまい、
      ブロードウエイで活躍って聞いたけど・・
      この不思議な運命が、また動きだひている・・
         そんな感じがするわ。
      

          呉ジナさんといい・・・

        カノンさん、ソンジェさん・・あの時の人達が、また
           こうして、巡り合ったのだから・・・
     




      ここにテファオッパが現れたら・・
          本当にドラマチックね?
      アハハ、面白い、そんな偶然、ありっこないけど????

     ユリは、笑いながら、教室を後にし、教員室に向かった。


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  神様の悪戯が、偶然を必然の糸として結ぼうとしていることを、
       今は誰も知るよしはなかった・・・





    

                         

   


  




           
      
    
  

       
                         
           
 





       


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