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作品名:潮風のセレナーデPARTUバトル編 作者:HAPPYソフィア

第4回   嵐の始まり・・お受験の結末と次への階段
サヤカは、合格発表がある当日は、朝早くから
  着飾って車を出させて、見に行っていた。

  既に徹夜で待っている親も居たが、サヤカは
  自分は特別待遇よと言わんばかりに、颯爽と
  歩き、掲示板の方へ行こうとした。

 係員:「済みません、整理券ありますか?順番に
     お並び下さい。あちらが最後尾です・・」
     と、言っているにも関わらず、まるでTDL
     等のファストパスがあるかのように、
     ずんずんと前に進んで行った。
 係り員達は、再度、柔らかく「あの〜?」とサヤカに
 話しかけたが、サヤカは無視した。
  何人かの係り員達に呼びとめられ、

   余りにもうるさいのでサヤカはサングラスを
   外し、「権海仁の妻の権サヤカです。ここの
       金園長と夫梅仁は昔から好意にして
       頂いてますのよ。何か?」と言って
   威圧した。もう係員は、サヤカを止められない
   と思い、退散して行った。   

 既に、整理券の順番通りに並んでいた父兄たちが
 結果を見て一喜一憂していた。
  今年は、物凄い倍率だった。特に女子園児のレ
  ベルが高いと言われ、ソラミの合否が心配だ
  った。

 実はソラミは、一次試験でも大きく失敗し、不
 合格を一次試験があった日、リラ幼稚園の
 お受験名門塾から知らされていた。
 その塾は、リラの園長と塾長が親友で強力な
 コネクションがあった。
 テストが終わった後、塾へ向い、塾長から
 不合格を伝えられていた。

 「テストは2教科で、国語と算数それぞれで100点
  満点で、合計200点満点、今年の平均は143点
  でした。合格最低ラインは170点以上で、お宅の
  カイト君は164点で僅かにとどかずですが、塾か
  らの1番推薦で何としても合格にとお願いしま
  したところ、補欠で合格権を得ました。そして
  問題は、ソラミさんです。2教科で98点で、平
  均点をも大きく下回りました。補欠にもなり
  ません。一押しも二押しもしたのですが、首を
  縦に振って頂けませんでした。このままだと
  梅花も厳しいでしょう、、、困りましたね・・」
  ・・・っと・・・。サヤカは、ワナワナと震
  えだした。
   そして塾長に「先生、ソラミは、試験当日、
   体調が悪く、無理を押して試験にのぞみました。
   どうか、力をかして下さい。お金はいくら
   かかっても構いません。リラ幼稚園に合格さ
   せて下さい。一次は失敗しましたが、二次
   試験は芸能技能試験です、ソラミは2歳から
   ピアノを習っておりますの。かなりの腕前
   ですわ。更に我が家の家柄は申し分ないと思い
   ますし、面接も万全にしてのぞみます、
   お願いします。お願い致します。」と何度も
   頼みこんだ。

   その必死な思いが通じたのか?塾長は「では
   補欠で何とか二人とも合格させるよう、頼ん
   でみます・・
    ただし・・二次試験は恥をかかせないで下
   さいね。ソラミさんは、リラは入る前から
   リラは厳しいし、例え、入った後でも、
   苦労しますよ。それでも良いんですね?」
   と言った。

   サヤカは「大丈夫です。入学させた事を損
   にはさせませんわ。必ず、入れて良かった
   と思わせてみせます。」と言って微笑んだ。
   更に、分厚い封筒を、塾長に手渡した。
   塾長:「・・これは?」
   サヤカ:「・・いやですわ、ほんのお気持
        ちです。勿論、本合格なら、
        それ以上の事はさせて頂きますわ」
   塾長も「ウム」と言いながら封筒を懐に入れた。
   ズッシリと重みのある封筒だった。
   (10000Wが3000枚は入っていた。つまり
    300万円分だった)

 
  
 カイトとソラミの受験番号は、かなり若い番号
 だった。縁起を担いでラッキー77と78の
 連番だった。
 (その受験番号は、カノンや綾・ヒロミ達にも
  知らせてはいなかった。)
  合格発表された掲示板を1つづつ丁寧に見て
   行った・・・

   サヤカは、頭脳に関して、自信があった。
   医者の家系に生まれ、自分も幼い頃から
   女医になるのだと教育は十分に受けてきた。
   東北の有名な医学部の大学には進んだが、
   CAになる夢が捨てられず、大学を中退し、
   東京の大学を受け直した。
   大学では常に首席の成績であったし、
   カナダにも語学研修で留学もしたが、どこ
   へ行っても退屈だった。
   レベルが低い・・そうサヤカは思ってし
   まうのだった・・・
   夫海仁も、ソウル大学出身で、途中、アメ
   リカのハーバードにも留学している秀才だ
   ったし、家系はやはり弁護士や代議士と言
   う立派な職業の親戚ばかりだった。
   海仁と結婚する時、海仁の両親からも、海
   仁は家柄も学歴もかなり高いので、それに
   恥じないようにして欲しいと言われたが、
   プライドが高いサヤカは、自分の方が上だと
   いつも思っていた為、韓国の舅姑とは折り
   合いが悪く、同じソウル市内に住みながら、
   夫の実家との行き来は殆どしていないのだ
   った。
    今回のリラお受験の話は、双子の子供を
   出産する前から、姑から持ちかけられた話
   しだった。何が何でもリラ幼稚園に入学さ
   せろと言われたのだった。
   
   
 サヤカ:「100番以内の掲示板は・・・
       ここからね?え?1番〜22番迄
      番号が無いわ!っと言うことは・・
      21人不合格だったのかしら?
      カイトは77番・・ソラミは78番
      ・・きっとあるわ、あるに決まっ
      てるわ・・」唇を噛みしめながら、
      サヤカは、番号を1つ1つ見ていた。


  すると、そこへ綾とヒロミがやって来て
  「サヤカ、サヤカじゃない?」と声をかけた。

 サヤカ:「・・・あら?綾・・ヒロミ」

  焦る気持ちを悟られないように、冷静に振る
  舞った。

 綾:「サヤカ、どうだった?うちらは二人とも
    全滅・・今回は補欠にも引っかからなか
    ったわ。ハハハ。これから残念会を4人
    (綾・綾の子供、ヒロミ・ヒロミの子供)
    でやって帰るんだ・・リラに二次試験まで
    行けたって事で、ヨシと思ってるしね。」
 
 サヤカ:「あら?そう?(落ちたの?・・まぁ、
      当然だけどね?・・)」
 ヒロミ:「サヤカのトコは当然、受かったんで
      しょう?」

 サヤカ:「え?ええ、まぁね・・」

 綾:「わぁ、やっぱ、凄いね。でもサヤカのトコ
    は受かるに決まってると思ってたよ。
    良いな〜、凄いな〜」
 サヤカ:「・・当然よ。フフン。今夜はお祝い
      だわ」
    っと、虚勢を張りながらサヤカは答えた。

 ヒロミは、綾を引っ張って「じゃあ、私たちは
   これで!カイト君とソラミちゃんにおめでと
   うって言っておいてね。またね。」

    と、言いながら去って行った。


 サヤカ、そうか、あの二人は落ちたのね・・折角
 引き立て役にしてやろうと思ったのに・・・
   
  そう思いながら、サヤカは再び、カイトとソラミ
  の受験番号があるかを確かめる為に、掲示板を
  見つめた・・・



   ・・・・・・・・・・・・・・・・
       ・・・・・・・・

          ない・・・・

            ナイ・・・・・・
              無い・・・・・・・

          NAI・・・・・・・・

            NOTHING!!・・・・・・・

  ・・・・・・・・・・・・・・・・
       ・・・・・・・・・・・・・・・


   何度も何度も見つめても、カイトの番号も
   ソラミの番号も無かった。


   補欠の掲示板も確かめたが、そこにも載って
   いなかったのだった。
   もしかしたら?と思い、合格者だけに配布される
   書類のある受付窓口を尋ねた。

  受付は、合格者の父兄で賑わっていたが、
  直ぐに人数がはけて、サヤカは声をかけられた、
 受付:「おめでとうございます、受験番号は
           何番ですか?」
 
 サヤカ:「・・え?・・ああ、77番と78番です」

 受付:「77番と、78番ですね?2人共合格なんで
     すか?優秀ですね〜、少々、お待ちください。」
     と言って、帳簿を確認し始めたが、
     77番も78番も無かった。
     受付嬢は、おかしいな?と思い

     「あの〜、番号は77と78番ですよね?」と
      聞き返した・・
  サヤカは段々と、イライラしてきた・・
      ムッとした顔つきを受付嬢は見てとって
  
    冷や汗をかきながら「もう少々、お待ち下さい」
    と言って、何度も帳簿を見返した。

    やはり番号がないのだ、番号をお間違えでは?
    っと言おうとした時、既にサヤカの姿は
     なかった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 カイトもソラミも二人とも不合格だったのだ。
 ふらふらとしながら、サヤカは、校門に向かった。
 
  しかし、門のところで、向きを変え、再び校舎
  の中に入って行った。
  その際に、携帯を取り出し、リラ幼稚園の園長
  に面会できるようにと、塾長に電話をしたのだ
  った。


 職員室の受付で、園長を呼びだした。
 
 受付職員:「あの〜、園長とはアポイントが取れて
       ますか?」
 サヤカ:「ええ、先ほど、塾長の林先生が電話を入
      れてくれましたの。
      園長先生が、お会いして下さるってお
      っしゃって下さっているって。
      私は権サヤカですわ。
      早く面会させて頂戴!」と高飛車な言葉で言
      った。
 その傲慢ぶりに圧倒されて受付職員はたじたじになり、
 園長に「権サヤカ様と言うご父兄らしき方が面会希望と
     おっしゃっているのですが?園長先生、お通し
     して宜しいでしょうか?」と恐る恐る園長室に
     電話を入れると
     園長は「ええ、先ほど、電話で伺って
     いるのでお通しして頂戴。それからクインメリ
     ーのお紅茶を用意して持ってきて頂戴。上質な
     お客様だから注意して頂戴ね」と言われた。

 職員は「アポントが確認取れましたので、こちらへ
     どうぞ」と言ってサヤカを園長室に案内した。


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 金リラ園長室にサヤカは通され、
 、
 「こちらで、お待ちください」と言われ、サヤカは
  ソファに腰かけた。

  贅沢を極めた園長室だった。だが、そんな事を
  思う余裕などサヤカには無く、早く何とかしな
  ければと気持ちだけが焦っていた。

  20分程、待たされて、園長が入って来た。
   しかも塾長も一緒にやって来たのだった。
   サヤカはこれは都合が良いと思い、ニヤリとした。

 園長:「お待たせいたしました。権サヤカさんですね?
     権さんの事は、塾長であり長年の友人である
     林チャンミンさんから聞いてますわ。ホホホ」
 サヤカ:「園長先生・・お忙しい中、お呼び立てして
      しまい申し訳ございません。・・実は、どう
      してもお願いした事がございまして、無理を
      承知で参りました。」

  園長:「恐らく・・お子さんのお受験の合否の事ね?」

  サヤカ:「・・はい、その通りです。」
  園長:「・・残念ですが、お二人のお子様共に、
      リラ幼稚園には不要と判断されました。
       一次通過は、何とかして差し上げられ
      ましたが、二次試験は、技能試験が加わり、
      これは長年培われたものですから、、、
      特にソラミさんの方は、論外です。
      カイト君も、、、他のご自分に合った
      幼稚園をお選びななった方が良いと思いま
      したのよ。・・でもチャンミンが、塾一押し
      の双子生徒だと言うので、、、、困ってま
      すのよ。」
  林:「リラ、意地悪言わないで、補欠合格させて
     上げられないかしら?塾の名誉にも関わるし
     ・・・権海仁さんの家族には、並々ならぬ
     寄付をこの幼稚園だってして頂いている
     じゃない?」

  サヤカ:「本当に、お恥ずかしいお願いです。
       林先生にもいつもご尽力頂いてばかりで
       すし・・・」
  園長:「・・二人とも合格は・・無理だわ。
       優秀な生徒達がゴマントいるのに、特
      例を出すわけにはいかないのよ。」

  サヤカは少し考えて・・

  サヤカ:「では・・一人だけ・・ソラミだけ、
       合格させて頂けないでしょうか?
       カイトは、幸いにもイテオンの国際
       教育幼稚園に合格しております。
       ソラミ、、、ソラミの方をどうか
       救ってやって頂けませんか?」と、
       申し出た。
  更に、補欠合格でも構わないので、入学させて
  くれたら、寄付金を誰よりも多く支払うし、今後
  の父兄活動を率先して行い、必ず有益な事をさせ
  て貰うと約束した。
  
  金に強欲な園長は多額の寄付金と言う言葉に弱
  かった。
  林塾長の後押しもあって、渋々、ソラミを補欠
  入学させる事に合意した。

 カイトは、実力で国際教育幼稚園を補欠ではあったが
 合格しているが、ソラミの方は梅花ししても、強力な
 縁故や多額な寄付金で何とか押し上げた・・もし、
 同じ苦労をするなら、リラで苦労した方が良い・・
 カイトは、家庭教師を今後もつけ、頑張らせれば良い
 だろうし、男の子は多少の苦労もつきものだと考えた。
 更に、カノンにしろ、綾・ヒロミにしろシオン・メイサ
 ・ジュリと同年代の娘がいる家庭なので、サヤカは常に
 上に立っていたかったからだ・・・
 故に、ソラミは、常に3人の娘のお姫様でいさせたか
 ったのだった。

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 「ただいま〜」ソンジェは、釜山の演奏会を終えて
  KTXに乗って帰って来た。2004年から開通した
  このKTXは、ソウル=釜山を僅か2時間半で結ぶ
  日本で言うならば東海道新幹線のようなものだった。
  しかも、運賃は格安で、日本の5分の1程度だった。
  今日は、リラ幼稚園の合格発表の日とは知ってはい
  たし、落ちるだろうとは思っていたが、それでも
  シオンはシオンなりに頑張ったのだから、励まし、
  慰めてやろうと思い、早々にソンジェは帰って来
  たのだった。
  

  ところが、部屋の中は真っ暗で、、、ソンジェは
  ???と思いながらリビングへ向かうと、いきなり
  パンパンとクラッカーが鳴って明りが付いた。


  明りを眩しそうに眺めながら、ソンジェは何事か?
  と不思議な顔をした。

   シオンがニコニコしながら「アッパー、シオン
   リラに合格したよ」と言った。

  ソンジェ:「え?合格って?え?え?え?」

  戸惑うソンジェに、カノンはテーブルを指差した。

  沢山の御馳走が並び、真中にケーキがあった。その
  ケーキにのっかっているチョコレート板に、
  シオン、リラ幼稚園合格と書いてあった。

    ようやく、ソンジェはシオンがリラ幼稚園に
    合格した事を理解した。

  ソンジェ:「え?本当に?合格したの?アイゴー
        、シオンは凄いな〜、アッパー驚いた
        よ〜、心臓が止まりそうだよ。」

  カノン:「私も、実際に見に行っても、信じられ
       なくて・・何度も何度も確認したんだよ。
       それに、書類貰った時も、実感沸かな
       くて・・・でもホラ、書類・・」と言
      ってソンジェに入学手続きの書類を見せた。

  ソンジェ:「あぁ、凄いな〜シオン、凄いな、
        アッパーはビックリしているよ。
        リラ幼稚園もそうだけど梅花幼稚園も
        凄く難しい幼稚園なのに、二つも合格
        しちゃうんだから・・・」
  ソンジェは腰を屈めて、シオンの頭をなでながら
  言った。

  シオンは「シオンも、ねっ、ビックリして夢みたい
       って・・・アッパー、シオン、リラ幼
       稚園に行っても良い?」と言った。
 
  ソンジェは「もちろんだよ、シオンが行きたい
        幼稚園に行けばいいよ。」

   シオンは、万歳、万歳と何度も両手を上げて
   叫びながら、テーブルの周りを駆け回った。

 カノンは「オッパちゃん、恋の力は大きいね、だって
      リラ幼稚園はね、オッパちゃんのライバル
      のジェファ君も合格していて、春から一緒
      に通うんだよ〜オッパちゃん、それでも
      良いの?えへへ」
   っと、ソンジェに言うと、ソンジェはコホンと
   咳払いをして「・・平気さ、それまでに人気を
   回復させるさ・・アッパーの方が良いって!」と
   かなり無理して言っていた。それが可笑しくて
   カノンはケタケタと笑った。

   「さて、ご飯にしましょう」と言って、3人は
    テーブルに着いて、乾杯をし、ニコヤカニ
    食事をした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 その晩、シオンを寝かしつけてから、改めて
 入学手続きの書類を開け、読んでみると、色々と
 大変な2年間になりそうな予感がした。

 入学金と2年間分の授業料、施設費用、遠足やら
 イベント料金、寄付金を、一辺に払い込みしなけれ
 ばならず、最低でも5000万W=つまり500万円は
 かかる計算だった。別途、制服代金、鞄・靴・靴下
 体操着や学用品に至るまで、全て幼稚園のロゴが入
 った物を使用となっていて、100万円はかかりそ
 うだった。

   「一辺に、600万円か〜・・」
    カノンは日本茶を飲みながら、家計簿と
    睨めっこしていた。

   そんな姿をソンジェは「カノン、600万円
   て?・リラ幼稚園のお金?」と聞いた。

  カノン:「あ!・・うん、何かね、600万円位
       かかりそうなの・・・凄い金額だなっ
       て・・・」
  ソンジェ:「リラはお金がかかるとは聞いて
        いたけれど600万円か〜カノン、
        うちは大丈夫?」
  カノン:「・・う〜ん、ダメかも?」と深刻そうな
       顔をしてソンジェに言うと、ソンジェは
      青くなって「じゃあ、明日、学会に相談し
      てみるよ。演奏会も増やして貰うし、何か
      作曲や作詞もして頑張って働いてみるから
      カノンは心配するな」っと言った。

  カノンは可笑しくて吹き出してしまった。

  ソンジェは「え?」っとまたまた??マークが
  飛んだ。

 カノン:「嘘〜だよん、オッパちゃん、お金はね、
      ちゃんとあるし、大丈夫!だよん。
      オッパちゃんをからかってみただけ
      なの。エヘヘ」
 ソンジェは、「え?本当?」
 カノン:「ハイ、本当です!」と言って幾つかある
   通帳を取りだして、「では、偉大なるカノン
   ちゃんが説明しよう!李ソンジェさん、ちゃんと
   聞きたまえ、いいですか?」

 ソンジェ:「・・・・」
 カノン:「返事は?ソンジェ君!」
 ソンジェ:「ハイ」
 カノン:「宜しい・・ここに幾つかの通帳があります。
      どれも結構、貯まってます。一番、貯ま
      ってない通帳を、ソンジェ君に見せます。
      いいですか?一番、貯まって無い通帳
      ですよ。」と言って李ソンジェの通帳を
      見せた。

   17500万W=つまり1750万円だった。
  
  ソンジェはビックリして「え?1750万円?」
  と叫んでしまった。

 カノン:「ハイ、その通りです。シオンのはもっと
      多いです、これから沢山、お金がかかる
      から、もっともっと貯めて上げないとね。
      更にこのカノンの通帳は、日本にいる時
      から・・・正確に言うと、私が小さい時
      からずっと貯めた物だから、1番金額が
      大きい物なのだ。これは万が一、オッパ
      ちゃんが路頭に迷った時とか、オッパ
      ちゃんが何か失敗して蒸発しちゃったり
      した時に、使おうと思ってます。」
 ソンジェは「ええ、何か僕が悪い人みたいな感じ
       だよね、更に僕のが1番少ないの?」

 カノン:「そうそう、だってオッパちゃん、余り
      お金使いそうにもないから、これで十分
      って感じだし・・・何かあったら、カ
      ノンがオッパちゃんにお金を貸して上
      げるからいいじゃん。ちゃんと利子は
      貰うけどね?えへへ」
 ソンジェ;「カノン、何かズルイよ〜」

 カノン;「お静かに!!贅沢言わないで下さい!
      故に、オッパちゃんは、お金の心配は
      しないで下さい。600万円位、何とか
      なります。でも〜?」

 ソンジェ:「でも?」
 カノン:「カノンやシオンの為に、バンバン働いて
      お金を稼いで下さい。そして、カノンが
      へそくりを沢山作ります・・」と言った。

  ソンジェはその話しぶりが可笑しくてお腹を抱え
  て笑ってしまった。

  カノンは更に「オッパちゃん、カノンちゃんて
   やっぱり偉大なるカノンちゃんでしょう?」
   と威張って言った。

  ソンジェは「ああ、全く凄いよ、カノンちゃん、
        最高だよ」と言って笑った・・
        「でも???」今度はソンジェが
        言った。

 カノン:「でも?」
 ソンジェ:「その貯金にしても、へそくりにしても
       もとは僕のお金だよね???だったら
       偉大なのは僕である李ソンジェさんで
       はないかな?」
  カノン:「ええ?違うよ、李ソンジェは、唯の
       アジョシで、偉大なのはカノンちゃん
       なのだ!オッパちゃん、生意気!」と
       言った。
  まん丸い目をくりくりさせてカノンは得意げに
  言った。それがまた可愛いくて、ソンジェは
  「ハイハイ、分かりました」と言って、カノン
   の頬っぺたにキスをして退散して行った。

  

 カノンは、リラ幼稚園にシオンが入れるとは思って
 いなかったので、こうして合格してしまい、予想外
 な事が起こる事に、人生の面白さを感じていた。
 明日から入学式に向けて準備で忙しくなりそうだと
 思った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 カノンは、次の日、夫ソンジェを送り出し、
 シオンをカササギに送り出した後、日本の実家に
 電話をかけた。
 リラ幼稚園合格の報告をすると、父も母も、「え?
 リラにも合格したの?」とビックリされ、孫可愛さ
 もあって「シオンは、天才かもしれない」とか「
 シオンはやっぱりやれる子だ」とか、チヤホヤ
  チヤホヤした。入学祝いに何が良いかと聞かれ
  たが、カノンは「何も要らない」と言って断った
  が、「リラはお金が半端なくかかるのだから、
  お金を送ろうか?」とも言われ、それは困ると
  必死で断った。仕方ないので「じゃあ、可愛い
  遊び着とか靴とか鞄のセット」と言った。
  直ぐに送るよと言われ、何なら直接、届けよ
  うか?とも言われた。本当にそうしそうだった
  のでカノンは、またまた強く断った。
  代りに、入学式には、韓国に来て一緒に式に
  出てくれても構わないし、お祝い会を家で
  したいから、遊びに来てほしいと言った。
  両親は、楽しみにしているし、喜んで行くと
  言ったのだった。

 
 電話を切った後、今度は綾から電話があった。

 綾:「カノン、昨日、発表、見に行った?」
 カノン:「うん、行ったよ〜、お陰さまで、
      信じられないんだけど、シオン、
      合格しちゃってビックリなの・・」
 綾:「え?シオンちゃん、合格したの?」
 カノン;「・・うん。多分、マグレだと思う」

 綾:「凄いじゃん!おめでとう!じゃあ、
    合格者はシオンちゃんと、サヤカのとこの
    双子ちゃんね、うちのジュリとヒロミ
    のとこのメイサちゃんは落選だったけどね。
     あ!でも、うちらは全然、気にしてな
     いよ。最初から受かるとは思ってなか
     ったし一次が補欠で引っかかったって事
     だけでも満足だしね・・逆に落ちて良か
     ったのよ・・だって入学金とかリラは
     高くて・・キツイもの・・それで、昨日
     ヒロミとメイサちゃん、私とジュリで、
     リラお疲れ様会&トキ幼稚園お祝い会を
     したのよ。カノンとこだけでも合格して
     良かったわ。あの高慢ちきなサヤカが一人
     勝ちじゃ、ずっと頭が上がらないもの。
     カノン、そしてシオンちゃん、おめでとう」
 カノン:「・・有難う・・実は気が重い部分も最初
      はあったよ・・今もあるかな?お金もそう
      だし・・果たしてシオンがレベルについて
      行けるかも心配だし・・不安ばっかりだよ」
 綾:「大丈夫だって・・何かあったら、うちらもいる
    んだし・・うちらはずっと友達だよ」
 カノン:「・・有難う・・凄く嬉しい。」

  電話を切ってから、綾は心からシオンの合格を
  喜んだ、ヒロミにシオンの合格を伝えると、
  ヒロミも綾と同じで「凄い、凄い、シオンちゃん
  なら大丈夫だよ、それにカノンに似て凄く可愛い
  し、、、ソンジェさんも音楽家で名声はあるし、
  きっとリラ幼稚園で楽しく通えるよ。何かお祝い
  したいね。」と言った。
  一方、サヤカに関しては、二人とも反発があるの
  か、「サヤカは、ちょっとねぇ〜、手放しで、おめ
  でとうって言えないよね?ずっと自慢してるし、
  自分が1番じゃないと気に入らないし・・・
  カイト君もソラミちゃんも可愛いけど、、、シオン
  ちゃんに比べたら、足元にも及ばないし、、、
  これはちょっと、ひと波乱、あるかもね?・・
  でもうちらは、カノンとはずっと友達だし、カノン
  が大好きだものね。」と云う事で気持ちは一致した。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 カノンは、急いで出かける用意をし、書類や、通帳
 印鑑を持って、出かけた。
 大きな金額が必要だったので、韓国銀行の2階に
 通され、長い時間、待たされた。2階には、やはり
 リラ幼稚園合格の為、入学金の振込で来ている母親の
 姿が多かった。

 待つこと1時間少しで、入金の手続きが終わった。
 次に、リラ幼稚園に書類を提出に行った。

 そこにサヤカがいて、目と目が合った。
 「あっ、サヤちゃん」カノンは親しみを込めて
 声をかけた。
 するとサヤカは、意外そうな顔で「あら?カノン、
 ここにいるって事は、シオン、まさか合格したの?」
 っと言った。
 カノン:「えへへ・・そのまさかで、合格しちゃ
      って、皆、ビックリなの・・・
      パパは、本当は梅花が良いみたいな
      考えだったんだけど・・まさか、リラが
      合格するなんて、誰も思ってなかったの。」
 サヤカ:「ふ〜ん、そうなんだ。補欠?」
 カノン:「ううん、普通の合格みたい。」

 サヤカは心の中で、(「何ですって?正規の合格?
 嘘でしょう?ソラミもカイトも不合格だったのに!
 何も用意もしてない、ぶっつけ本番の、しかも
 済州島の田舎育ちのシオンが、何故、合格なの?」)
 っと叫び続けていた・・・

 カノンが、「サヤちゃんも手続きだよね?
       当たり前だよね。二人とも合格なの?
       何か恰好良いね?凄いな〜」と言って
  尊敬の眼差しをサヤカに向けた。

 サヤカは無性に腹が立って来たが、冷静を装い
 「うちは二人、普通に合格したんだけれど、
  ソラミだけ入学させることにしたの。夫の海仁が
  ずっと双子で同じ学校だといつか無理が出て来る
  って事でね、早い内から別々にしたいと言う意見
  を尊重して、海仁は、イテオンの国際教育幼稚園
  に行かせるの、カイトはここの幼稚園には1番の
  成績でスカウトされているしね。ソラミは梅花
  とも考えたけれど、やっぱりリラの方が良いかな
  って思ってね・・梅花はリラに比べたら所詮、
  2番手、3番手の幼稚園だしね。」

 カノン:「へぇ〜、凄いな〜、じゃあ、春から
      ソラミちゃんと一緒だね?シオンも心
      強いな・・・私もサヤちゃんいると
      嬉しいし・・」
 サヤカ:「やめてよ!」

  カノン:「え?」

  サヤカは、ハッとして我に返った・・
   サヤカ:「ご免・・・ソラミの事で頭が一杯で
        ・・・疲れているの・・また今度、
        話でもしましょう。ごきげんよう」
   ・・と言って、そそくさと手続きを済ませ、
    帰って行った。

 カノンは、あぁ、サヤちゃん、疲れてたのに、ノー
 天気にペラペラ浮かれて喋って悪かったなっと、反省
 した。
  


  サヤカは心中穏やかではなく、正に嵐の真っ只中に
  いるような気分だった・・・

  何故?シオンが合格なのかも納得行かなかったし、
  春からシオンとカノンが、同じ幼稚園に通い、
  ソラミはお姫様になれない・・そんな気分だった。
  いやよ、ソラミは、お姫さまよ・・
   何があってもお姫さまよ・・
   私も、リラの父兄の中で1番になってやるわ。
   そうリラの女王になってやるわ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



  ワ〜ン・・


 今日も、ソラミは泣いていた。


 サヤカ:「ソラミ、何でお母様の言う通り出来ないの?」
 ソラミ:「ママ・・ご免なさい・・でも、やりたくない」

 サヤカ:「ママじゃありません、お母様でしょう?
      やりたくないなんて許しません。
      さぁ、もう一度!」
 ソラミ:「ソラミ、梅花幼稚園に行きたい・・
      リラに行きたくない・・・」
 サヤカ:「もうリラしか行けないの!我儘言わないの!
      リラには、シオンも行くし、シオンに負け
      たくないでしょう?」
 ソラミ:「シオちゃんも、リラに行くの?」
 サヤカ:「そうよ、あのシオンが行くのよ、なのに
      ソラミが行かないのは可笑しいでしょう?
      全然、お勉強もしてないし、英語だって
      ピアノだって、ソラミの方が、勉強したり
      しているでしょう?なのに、シオンちゃん
      に負けるなんて、嫌でしょう?」
 ソラミ:「シオちゃんの方が、可愛いし、シオちゃん
      の方が、お勉強出来るかも?・・
 サヤカ:「ソラミ!あなたは、どこに行ってもお姫様
      なの!ソラミが1番じゃないとダメなの?
      分かる?シオンは、ソラミの召使なの?
      シオンはお姫様じゃないの、お姫様には
      なれないの。分かる?」
 ソラミ:「本当?」
 サヤカ:「ええ、本当よ。ソラミはお姫様、シオンは
      召使なの、、分かる?だから、シオンが
      出来るのに、ソラミが出来ないのは可笑
      しいの。分かる?」
 ソラミは、何となく、理解したような気分になり、
 シオンよりも自分は可愛いし、お姫様だと言われて
 気分が良かった。何故なら、いつもいつもシオンと
 遊んでいると、褒められたり、可愛いと言われる
 のはシオンで、親戚の大人たちも、ソラミが欲しい
 物を、いつも1番にシオンに上げてしまうので、
 子供心にシオンが羨ましかったり、妬ましかった。

 サヤカ:「お母様と、シオンのお母さんとどっちが
      美人?どっちがお金持ち?どっちが頭が
      良くて?」
 ソラミ:「・・お母様の方が綺麗だし、お洋服も
      凄く高級だし、お家も大きいし、お金持ち
      だし、お母様は、昔はキャビンアテンダント
      で、英語もフランス語も上手だし・・・
      色々な人が、お母様は美人で、ステキだって
      言ってるわ。」
 サヤカ:「でしょう?そんなお母様の子供のソラミは
      お姫様の、分かる?もっと自信を持って、
      もっと何でも出来るようにならなくっちゃ、
      シオンなんか召使いなんだから、、、
      いい?分かったわね?」

 ソラミ:「ハイ、お母様・・ソラミ、頑張ります。」
  ソラミは、自分が、シオンよりも優れた・・
  そしてお姫様なんだと言う自覚が目覚めてしまった。
  以後、シオンを召使いと思うようになって行って
  しまうのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 カノンが一通りの手続きを終えて、帰ろうとした時、
 駆け込みで、手続きに来た、長い黒髪の美しい女性が
 やって来た。誰もがその美しさに振り返った。

   「あ!」

 カノンは、一目で「呉ジナ」と分かった。
 ジナの方は、急いでいた事もあったので、カノンの
 存在には気がついていない様子だった。

 「娘の呉マヤの入学手続きに参りました。未だ
  大丈夫でしょうか?」と言って書類を出していた。

 
 周囲の母親達は「綺麗・・」
         「あの人、ジャズピアニストの
          呉ジナじゃない?実物の方が
          綺麗ね〜あんな細い体から凄い
          パワフルなピアノ演奏が出来る
          のよね?」
         「呉ジナの娘もリナなんだ・・」
            等と、口々に噂した。

 
 カノンは、遠目に見ながら、微笑んで、家路に
 向かった。
  だが、少し、不安が募った・・・何故なら、呉ジナ
  の娘と、シオンが同じ幼稚園なら、何かとソンジェ
  とも顔を合わす機会があるだろう・・・そんな時、
  お互い、どんな気持ちになるのだろうか・・・
  オッパちゃん・・・オッパちゃんは、ジナさんの
  事はもう何でもないと言ってはいるけど・・
  ジナさんの方はどうなんだろうか?でも、結婚して
  娘さんもいるから、、、

  ゴチャゴチャとした考えが頭の中でグルグル回った。
  カノンは、何故か寂しい気持ちになって涙が止まら
  なかった・・・


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  ソンジェが帰宅した後も、カノンは涙が止まらず
  泣いていた。
 
   ソンジェはビックリして「今日は何なの?・・
   もしかして、シオンの入学は取りやめになった
   とか?」と言って笑った・・・


  カノンはいつもと変わらないソンジェの態度に
  少し安心して、心配させないように、玉ねぎを
  出して、「実は、餃子を作ってたんで、玉ねぎ
  で涙が止まらない」と言った。

  ソンジェはホッとして、「あぁ、良かった・・
  僕は今日は何があったのかと、また心臓が止まり
  そうになったよ・・・カノンが泣いていたから、
  本当にびっくりしたよ。ハハハ。」

  カノン:「オッパちゃん、カノンが泣いてたら
       そんなにビックリする?」
  ソンジェ:「当たり前だよ、ノムノム(凄く)
        心配だよ。カノンは、僕の前では
        滅多に泣かないから・・・ん?
        そうだろう?」と言って笑った。

  そう言われれば、そうだと思った。ソンジェの
  前では、カノンはいつも元気で、いつも笑って
  いたし、いつも威張って自信満々に意見を云っ
  ている感じがした。
  泣くと言えば、テファオッパの前では良く
   泣いたな・・・っと思った。


  カノンは気持ちを取り直して、「オッパちゃん、
  ご飯にしますか?お風呂にしますか?」と聞いた。
  ソンジェは、「そうだな、先にお風呂にしますか?
   カノンちゃん、一緒に入る?」と言ってオドケタ
   ので、カノンは可笑しくて笑いだした。


 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 
  シオンを寝かしつけながら、ソンジェは「シオン、
  本当に可愛いな・・我が家の天使だし、お姫様だね?
  シオンの為なら、なんだってしてやりたいな」と、
  言った。

  カノンは、ソンジェの背中越しに顔をくっつけて、
  「オッパちゃん、正直に答えたまへ!」と言った。

 ソンジェ:「何?カノン、・・・いつだって僕は
       カノンに正直だけど?」と言った。

 カノンは瞳をウルウルさせながら、呉ジナが昼間、
 娘の入学手続きに来ていたことなどを話した。

 ソンジェ:「へぇ、ジナの子供もリナ幼稚園か・・
       ジャンフーと結婚したんだろうか?
       良く分からないけど・・まぁ、彼女
       の事だから、子供の教育も熱心に
       やるだろうな・・音楽家にでもするんだ
       ろうし・・」

 カノン:「オッパちゃん、あのね、もしかしたら、
      シオンと同じクラスになっちゃったら
      どうする?」
 ソンジェ:「え?同じクラスになったら?・・まぁ、
       なる可能性もあるだろうね?でも、
       それでも、どうするって言われても?
       どうなる訳でもないと思うけど?」
 カノン:「え?だって、参観日とか、何かと顔を
      合わせるかもしれないんだけど?オッ
      パちゃん、どうする?」
 ソンジェ:「まぁ、そうだろうね?だけど、どうする
       って言われてもねぇ???」
 カノン:「オッパちゃん・・あのね、違うの、カノン
      はね、あのね、そのね・・・」

  ソンジェは煮え切らないカノンの言葉にやっとピン
  と来て笑いだした。

 ソンジェ;「カノン、何か韓国ドラマの見過ぎじゃ
       ない?何ドラマチックな想像してい
       るの?」
 カノン:「え?してないよ〜」
 ソンジェ:「嘘、嘘、嘘・・その狸みたいな目が
       くりくりしている時は嘘だって言ってる
       時だよ。ハハハ」
 図星だったのが恥ずかしくてカノンは、「違う、違う」
 と真っ赤になりながら言った。
 ソンジェは、凄く愉快だったし、嬉しかった。
 そして、「カノン、呉ジナとは、もう遠い昔の話さ。
      それに本当に彼女を愛していたかさえも
      今は疑問だよ。今はカノン、そうカノン
      ちゃんが1番さ、いや今じゃない、知り合
      った時から、ずっと1番さ。」
 カノン:「え?本当?」
 ソンジェ:「あぁ、本当さ。」
 カノン:「えへへ」
 ソンジェ:「カノン、それに僕らは何があっても、
       ずっと家族さ、家族はね、ずっと一緒だし
       バイバイはないんだ。そう教えてくれた
       のはカノンだったね?」
 カノン:「うん、何かカノンちゃんて、やっぱり偉大
      で、恰好良いね?オッパちゃん?」
 カノンは元気よく言うと、ソンジェは、また元の
 元気で明るいカノンに戻ったので、良かったと思った。


  呉ジナ・・彼女の娘が同じリナ幼稚園に通うのか・・
  これも何かの縁なのだろうか・・・
  唯、もう僕らは、過去の事だし、、、
  今も、同じ音楽の活動の舞台では一緒になることも
  あるが、会釈程度だし・・・
  今後も、会釈程度で終わればいいのだが・・・
  ソンジェは、シオンとカノンの顔を眺めながら
  この二人の笑顔をずっと守って行きたいと思った。


      
  


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