20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:潮風のセレナーデPARTUバトル編 作者:HAPPYソフィア

第13回   悪魔の計画・・・
 海仁:「では、幼児が自分の父親を何らかの手立てで殺した?と言うのですか?」

ソンジェ:「・・・多分、、母親の呉ジナが怯えながら父親である洪ジャンフが

      死んだ時の事を話していて、嵐の明けた朝、舟の中で死んでいた・・・

      それを見て娘のマヤは笑っていたと云うのです。第一発見者もマヤだった

      みたいです。ですが大の大人を舟に運んだり?誘導したり出来るのか?

      を考えた時、誰か大人が後ろにいるのでは?っと私は思いました 

      が・・・オボイナレの時のことも・・・まるで1つの芝居を見て

      いる感じがしませんか?・・・そして今回も何か恐ろしい事が

      起こりそうな・・・」

海仁:「・・・恐ろしい・・ことって?」・・恐る恐る海仁は聞いてみた。

ソンジェは、自分の実の妹だったヘジャの事を思い出していた・・・

まさか???・・・いや有りえないこともない・・・

ソンジェはカノンを見て冷静さを取り戻そうとした・・



            カノンは心配そうにソンジェを見つめていた。



ソンジェは、いつもカノンに心配をかけさせてしまったり、不安にさせてしまう事が

嫌だった。その度にカノンは元気付けてくれ、明るく振舞ってくれる事も分かって

いた・・・だから、余りカノンに不安を与えてはいけないと思い、




  「カノン、シオンが眠そうだ・・ベットへ連れ行ってあげて・・

   シオン、悪かったね?有難う・・そしてお休み」とソンジェは努めて

   明るく言った・・・


  シオンはむにゃむにゃしながら「アッパ、お休みなさい」と

         言ってカノンに連れられて子供部屋へと向かった。





 ソンジェ:「海仁さん、、、思い当たる節があります。海仁さん、覚えてますか?

       もう20年以上前の事になります。私の家は李建設と言う韓国でも

      有名な建設会社で、僕には妹がいて、名前は李ヘジャ・・・

      韓国中が大騒ぎになった大きな誘拐事件があって、

          実はそれは仕組まれた誘拐事件で

        後妻に入った義理の母親が仕組んだ事だった・・・

      実の妹は死に・・・なりかわって後妻の娘スンミがヘジャに

      なっていた・・・」



海仁:「その事件が再度、明るみに出たのは10年前だろう?

    それまではずっと謎に包まれていた・・・」




ソンジェ:「えぇ・・義理の母親はまだ警察の世話になっています、あと

      10年は出て来られないでしょう。父とは離婚もしました。

      父は裸一貫で築いた李建設は倒産になりそのショックで心臓に負担が来て

      亡くなってしまった。

           唯・・・スンミは精神がおかしくなり

              警察病院に居たが、去年、脱院しているのです。

                          消息は未だ分かりません・・・」






                    スンミ!!


海仁:「・・・・李スンミさんが、何か絡んでいると?ソンジェさんは

    思っているのでしょうか?・・・まさか?

    ハハハ、それはないでしょう?
   
    第一、スンミさんと呉さんは何か繋がりがあるんですか?」




ソンジェ:「ええ、あります。確かにあるのです。

         ・・・・おそらく・・・マヤもスンミにそっくりで残酷で

      かなり頭が切れる・・・僕は勿論、カノンのことも恨んでいる・・・」




海仁:「え?カノンさんの事も?」

ソンジェ:「ええ・・カノンの好きだった、またカノンの事が好きだった

      韓国人の男がいて、その男の事をスンミは凄く好きだった・・

      大変失礼なんですが、奥様のサヤカさんもその男が好きだ

      ったと思います・・」

海仁:「サヤカも?!ですか?それこそ、接点は何ですか?」


 海仁は信じられないと言った感じでカノンとテファとの話をした。
 
 軍隊生活を終えて、日本にワーキングホリディでテファが東京の
 
 新大久保にやって来た事、インターネットの交流サイトで知り合った

 こと、、、ワーキングホリディはやがて終りが来て帰国になる・・・
 
 再会の約束をしてテファが去って行くが、韓国人は帰国してからが
 
 忙しく、学生への復学は勿論、学問への没頭・学生生活の楽しみ・
 
 就職活動・資格取得・・・・きちんと落ち着いたら連絡で後回しに

 かたちとしてはなってしまった・・・
 


 月日はドンドン流れ、カノンはサヤカと春休みを利用してテファに会いに行くが、
 
 カノンが旅先のソウルで事故に遭い、記憶を一時的に失ってしまい、、、
 
 またもや月日が流れた・・・

 カノンの学部は韓国語学科だったので夏休みを利用して語学研修に
 

   韓国に来て、僕であるソンジェの家にホームステイとなった。
 

   カノンの語学学校はホンデになり、そこでテファと再会する。

  運命・・・と言うか神様の計らいなのか?二人はまた再会出来た・・・

 テファはかつて付き合っていた事を告げず、再度、出合えた事を
 
楽しみ、また二人は惹かれあっていたが、丁度、ヘジャの事件が

 暴かれて・・・大きな事件に巻き込まれた夏になってしまった。


           そして今度はカノンが帰国になる。
 

    再会を約束したが、カノンはもう別れを決意してしまった。

 

      再会と云うのは約束して叶う事がなかなか難しい事と、
 

            辛くて寂しい気持ちを残すこと・・
 

            時間は残酷んなる事もある・・・
  

       だから約束した再会を表面では分かったとしたが、

                     心では
  


          別れを告げたと・・・

            後でカノンから気持ちを聞いたことを
  
                ソンジェは海仁に伝えた。

  

     「もし・・あの時、別れを伝えず、直ぐにテファもカノンも
  

        お互いに追い求めたら、今はなかったでしょう。

       二人は相思相愛でしたから・・

         テファは当時、ホンデではスーパーアイドル・・・
   

            スターでした。

          誰もがその煌めく美しさに振り返っていたし、

         尊敬もしていた・・聡明で優しく、強さもあった。
 


       サヤカさんもテファが好きだったと

       当時、カノンの事で僕とメー ルのやりとりをしていたので・・」

         とソンジェが言うと


海仁:「サヤカには打算しかないと思ってましたが、ちゃんと恋する
    
              心があったのですね?安心しました・・・
   
          私との結婚も、私の地位や実家の財力・学歴などステータス
  
         でしたんだと思いました。ハハハ。私はサヤカの聡明で美しい
    
          凛とした姿に確かに惹かれました。しかも年齢が一回りも
    
         若く、彼女の猛烈なアタックに負けてしまった部分もあります。

          母親は完璧な女性を妻にしろと毎日の様に言って
    
               ましたから、サヤカならと思って・・・
  


                          しかし
   

        この結婚は間違っていた気がします。サヤカは、悉く私の
    
        母親と対立し、孤立するし、子供が生まれればサヤカは
    
        リラ受験を真っ先に考えて、子供二人に厳しい教育を強いり
   
        笑顔が消え、いつも眉を吊り上げては勉強しろと子供たちに
  
         けしかけていました。これも私の母親に子供はリラ幼稚園で
   
        無いと恥だとサンザ言われていたからです。日本人の血が
    
       悪いだの、日本人はだからダメなんだとか・・・私も仕事の
    
        忙しさから全て子供たちの教育はサヤカに任せていました。
    
         また家に居ても私は安らぎはなかったのです。それで・・・」


  

          ソンジェ:「・・・???それで?」


                   海仁:「・・・あ?いや何でもない・・・
      
             話を戻しましょう、兎に角、子供たちの事が心配です・・」





   そこへカノンがシオンを寝かしつけてリビングに戻って来た。

        海仁もソンジェもカノンを見つめた。



カノン:「え?何?何?どうしたの?二人で私の顔を見つめちゃって?」

     っと照れ臭さそうに笑って言うカノンに、二人は笑いだした。

ホンデのアイドルスターも、そしてこの美しい音楽家の心を射止めた

女性が、サヤカの従姉妹であるカノンであることが、何となく分かる

・・・カノンには人を幸せに優しくさせる魔法がある・・そんな気持ちに

なる海仁であった、海仁は、何度も一人でうんうんと頷いていた。


    カノンが、部屋に入って来ると、重々しい空気が丸で
    
        春の風が吹いてきたように、柔らかく、優しくなるのだ。

     これはテファが一瞬でクールなガイから、優しい青年に変わる・・
  
       カノンだけに見せる微笑となる、そんな感じだった。


 そしてそのホンデのテファと言う男に会ってみたいと海仁は思った。

   海仁:「・・その、テファと言う男は今は?」




     テファ?!

        テファ・・テファオッパ?

 


  カノンの心はドキンとした・・・なんで海仁がテファの名前を
    
                      言うのかも分からなかった・・・


ソンジェ:「・・・いえ、、僕には分かりません。
      
                    僕も会いたいです。

        きっと・・・カノンも・・・

      ねっ?カノンもそうだろう?

      ヂョン テファ氏に会いたいだろう?」

       とソンジェに言われてカノンは

          かなり戸惑った・・・(もう何回か会って
       
           いるし、元気に活躍しているとも言えず・・・)

 



カノン:「・・・え?!・・・あっ、、、えっと、うんとぉ・・

      ・・・はい・・・あっ、でもぉ」と言う煮え切らない

      言葉しか出て来なかった。パート1の潮風のセレナーデ
      

    でもカノンの友達がカノンは嘘をつく時、話辛い時は
   
    必ず言葉が曖昧になり出て来ない・・・
      



ソンジェは「テファ氏が、物凄いお金持ちで有名人になってたら
    

           カノンどうする?

       そしてカノンに再会してまた付き合いたいって言って来たら?」

             と冗談で聞いて来た・・・





 カノンがきっと笑いだしてそんなことあるわけないとか、


 或いは再婚するかもとか元気な楽しい答えが返って来るとソンジェは

  思っていたので軽く冗談のつもりで聞くと、

 


    カノンは真っ赤な顔をしてうつむいたかと思うと
  
              大粒の涙をポロポロとこぼした。
   




ソンジェは驚いて(カノンがソンジェの前では殆ど泣かないし、

  いつも元気で笑っているからだ)「カノン?カノン?どうしたの?

  ごめん・・変な話をしたね?冗談でも悪かった。」と言って謝ったが



カノンも気持ちのコントロールが出来なくなって声を出さず泣いていた。

  その時、カノンの心の中で何か熱くて切ない心が芽生えた・・


  私は、いけない事だけれど・・・



         今もオッパが好きなんだ・・・




  今日、クミコやミドリ達と別れる時にミサンガに祈りを込めた内容も
  




   またあのナムを見に行きたい、手を繋いだあのぬくもり
  
   のままオッパと一緒に行きたい。
  


       そう願った事を鮮明に思い起こした。

 




     オッパ、、、心配するソンジェの顔よりも、



        カノンはオッパの笑顔を思い出していた。
  



         オッパは今、どうしているだろう?
  






      「ソテジ・テジコギ・ソーセージ・・・」


     無意識に、カノンはつぶやいてしまった・・・

    ソテジもテジコギもソーセージもテファが好きなものだった。

    語呂合わせで、カノンがテファに会いたくなった時、この

    言葉を言うと、テファがいつも近くに居るような気持ちになった

    からだった。




           ソンジェ:「え?」



   カノンはハッとして「ううん・・・ごめんなさい。今、ソラミちゃん達

   の話をしていたのに急にテファさんの話が出て来たから
 
         もしかしたらテファさんが

         今回のこの事で疑われているのかな?
  
        って思ったら急に悲しくなっちゃって・・

      テファさんは間違ってもそんなことする人じゃないって思ってるから・・・

      だから・・・その・・・あの・・・悲しくなっちゃって・・・・・」
   

               っと咄嗟に取りつくろったのだった。

  ソンジェは「ごめん、ごめんね、カノン。違うんだ。今、海仁さんに、
    
        カノンやサヤカさん達の10年前の話をしていて、

        ホンデのアイドルだったテファ氏の話もしていたから・・・

        サヤカさんもテファさんのファンだったし、皆、彼の美しさや

        聡明さに惹かれるって・・・」


  カノンは、確かにテファに惹かれていたし好きだったが、聡明さや

  美しさに惹かれたのではなく、内面の美しさや優しさが好きで、今も

  その美しさが大好きで眩しいことも伝えたかったが・・・ここで否定するのも

  変だと思い、ソンジェの言葉に従った・・・・


     ただ、テファは今回の事とは関係ないと言う事が分かり  

 
                カノンは少し、ホットした。

だが、もうとうの昔にテファと再会している事や何度も偶然にしろ会っていることを

カノンはこの時も伝える事がソンジェには出来なかった。






         カノンとソンジェの会話を見て、

     海仁は、何となく、カノンはまだそのテファを思っているのでは?
   

      っと思ったし、カノンはもうテファと会っているのでは?っと思った。



         しかし、今は自分の子供たちが心配だったので






          海仁:「・・済みません、、本題に戻して、うちの子供たちは
   

              呉さんの家にいるって事ですよね?
  

                 朝早くに行ってみようと思うのですが???」

                  と言った。



 

            カノン:「あっ、出来ればサヤカも一緒に行って欲しいです。
  


               そして子供たちを取り戻して抱き寄せてやって欲しいです」




         ソンジェ:「僕もそう思います。きっと二人は大好きなお母さんの

               為に、昔のお母さんに戻って欲しいために家出をしたんだ
 

                と思います。お母さんがごめんね、帰りましょうって

                  言ってくれるのを待って居るんだと思います。」




            海仁:「・・・そうですね?私は、これから家に戻ります。

                  そしてサヤカとトコトン話をしてみます。
    
                  出来たら・・・ご迷惑をかけますが・・・

               ソンジェさんやカノンさんも明日、一緒に来て頂けたら
               

                  有り難いです。」





        ソンジェはカノンの顔を見つめて「いや・・僕だけの方がいいでしょう?

                      ・・・おそらくその方がいい・・

                        シオンを一人留守番させるのも

                 心配だし・・・万が一のことも考えて

                   残る大人も必要だと思うんですよ。

                          どうでしょう?」と言った。




         

                 その言葉に海仁も賛成だった・・・



              時間と場所を確認して海仁は去って行った。









         カノンは、ソンジェに「あぁは言ったけど明日、シオンも一緒に

                   三人で行きましょうよ」と言ったがソンジェは反対した。





       そして海仁にも話したが、もしかしたら、後ろにスンミが糸を引いて


           いる感じがすると言った。





        「だから、連絡を取り合える場所に、誰かいないとね・・」と

           ソンジェは言った。



         スンミの名前を聞いてカノンはブルブルと震えだした・・・

        10年前のあの夏の事が、鮮明に思い出された・・・





            カノンは、嫌な予感がしてならなかった・・・


          もし裏にスンミがいるとしたら・・・

             子供たちを無事に取り戻す事が出来るだろうか?


              取りもどす事が出来ても、

            権家はまた昔のように笑い声が絶えない


            仲良しの家族に戻れるだろうか?も心配だった。



 




                 すると・・

  




             キンパブ・アイスとトックとセブン




          と言うオッパの声が聞こえて来た・・・


   


      「なるようになるさ・・カノン、アジャアジャファイティン」
   



                 と・・・・

    そうだ!!どんなに怖い事や辛い事があっても、オッパが一緒ならば
    
       カノンは、怖い物はなかった・・・

         しかし、今はオッパはいないし関係ない・・・

            ここは、自分やソンジェが頑張って子供たちを守るしかないのだと
            
            カノンは思った。



     

 

       カノンは、気分を取り直して ソンジェにテファの顔を
    

              重ねて笑った・・・・




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






  ハックション・・・

    さっきからテファは何度も何度もくしゃみをしていた・・・

  毎晩、クーラーをつけながら素っ裸で寝ていたから
 
  風邪をひいたのかな?と思いながら、、、

  今日は、明日が土曜なので、ジェファと夜更かしをしながら

  映画三昧をしていた。

  ジェファ:「サムチョン、温度上げた方がいいんじゃないの?」
   
   と言ったが、テファは「いやいや、ジェファ君、映画館は
   
  設定温度は18度と相場は決まっている・・・更に雰囲気
 
  を出すため、プラズマTVで観ているのですゾ。」と言って
 
  オドケて見せた。
   

ジェファは温かい羽毛布団にくるまっていた。

テーブルには定番のスルメ、バケツサイズのポップコーンが置かれていた。
  


 飲み物は、テファはビールだったが、ジェファはオレンジジュースが置いてあった。

  


 「次は、ジェファのママンの大昔のコメディドラマ、
   
 あいつとお前はなんなのさだよ。もう10年前のドラマだよ」
    
と言ってセットしながら開始した。




  アルコールも入ってか?ジェファはうとうとし始めた・・・

  



 ジェファは「ママン、若いね?なんか、今で言うとイタイドラマ
       
       だね?コメディじゃない感じ・・・ママンて、
  
     準主役だけど、引き立て役の悲しい役だね?

     でも主役よりライバル役のママンの方が美人だし格好良いね?」
   

    等と言いながらポップコーンを頬張り、テファに話しかけていた。

    


    ところがドラマの途中で、急に途切れて、違う物が
    
    入っていた・・・


   

           ジェファは「あっ」っと声を上げた・・・


  それは、似ているようで似ていない街並みの風景が録画されていた。



    最初、ジェファはソウルタワーだと思ったが、景色が違っていた。
 


    周囲は高層ビルが建ちならび、夜景が美しくダイヤモンドや
 

              エメラルドがちりばめられているような景色だった。

       サムチョンであるテファの笑い声が流れて来た。

        かなり楽しそうな笑い声だった。



  サムチョンが、しきりに小さくて可愛いGFの女の子に日本語で話しかけていた。
 



 女の子は照れているようで、そんなに近くに来て撮らないでと
 

 言ってレンズに手を当ててふさいでいた。




  「・・・カノン、手をどけてよ。可愛いカノンの顔を撮っておきたいのに・・」





           「カノン」

             カノンと聞いた時、ウトウトしていたテファはハッとして目が覚めた。
             
ビデオは流れ続けていた・・・食いいるようにジェファは見ていた・・・
   
                    しまった!!!っとテファは目をつぶった・・・

   



              「えぇ、私は可愛いの?」

 
           「ハハハ、うん、可愛いよ、ロッテワールドのローリィに
    

                     似ているね?」
  
   

             「えぇ?ローリィちゃんて、狸ぢゃん!!」

   


                 「ハハハ、可愛いからいいじゃない。

                僕は狸とか可愛いから好きだよ。ローリィは

                ロッテワールドのローリィのGFなんだよ。凄い

                人気者だと思うけど?ハハハ」

    

   そこには、シオンちゃんのママとサムチョンが仲良さそうに

   映っていたし、会話も恋人同士が楽しくお喋りをしている姿が映っていた・・・・


   


               これって・・・



   聡明なジェファは、そのビデオを黙って観ながら

   サムチョンは、シオンちゃんのママと昔は恋人同士だったんだと察知した。

  恐る恐るサムチョンの顔を見てみた・・・


 テファは自分から「ジェファに・・・バレちゃったかな?ハハハ・・・」何となくバツが悪くなって
 
           テファは笑った・・・


ジェファ;「サムチョンとシオンちゃんのママって???・・・これって・・・」


テファは堪念し「・・・あぁ、サムチョンは、軍隊が終わってから日本にワーキングホリディで
  
         1年行っていた時、シオンアガシのママであるカノンさんと付き合っていた。

         恋人だったんだ。もう10年も前の話さ。大昔だね?勿論、ジェファも

         生まれてないし・・・もう終わった事なんだ。ジェファ、このビデオのことは

         出来たら忘れて欲しい。うん、忘れた方が良い。」と言って笑った。



ジェファは何故、二人が別れたんだろうと聞きたかったが、寂しそうにもう昔の話だと言って

  笑うサムチョンには深く聞いてはいけない気がして、唯、黙ってビデオを見た。


テファは「ちょっと酔ったみたいだ・・自然の風にあたって来る」と言って立ちあがり

窓を開けベランダに行ってしまった。
  




 ビデオの中の二人はずっと笑っっており、仲の良い恋人同士そのままだった。
      

   

   東京タワーの展望台のカフェで、1つの飲み物を仲良く

   ストローで飲んでいる姿が映っていて、

   サムチョンが「カノン、また来よう!今度は、東京スカイツリーが

          出来たらスカイツリーにも行こう。」と言う

          言葉とカノンの頬にキスしている映像で

            終わっていた。 






   ベランダでテファは10年前のワーホリの事、カノン達がホンデに
 
   短期語学留学に来た事を思い出していた・・・

   「酔いがすっかりさめちゃったな・・・

         カノン・・・今更、もう遅いのだろうけれど・・・

      手をはなしたのは僕の方だったのかもしれないが、あの時・・・

    いや、後悔はよそう・・・これでいいんだ・・・良かったんだ・・・

     カノンは幸せそうだったし・・・いまさらもうどうにもならないんだ・・

     終わったことなんだ・・・

       手遅れなんだ・・・
          
                    だけれど・・・・

             僕は・・・僕は・・・

                     まだ・・・

                       カノンを愛している・・・

          気持ちはまだカノンに向いている・・・・

                  カノンが今は幸せで過ごしていたとしても

          僕の気持は・・・カノンが好きだ・・・

             無理に忘れようとか、無理に嫌いになろうとかは

          止めよう・・・好きなら好きでいよう。李氏から取り上げる

          つもりもないし、カノンは物じゃない。カノンが幸せなら

          僕はそれで十分だ・・・カノン、君は今、どうしている?

          笑顔ならイイナ。キンパブ・アイスにトックとセブン・・・

          カノンに合いたくなったよ・・・ハハハ」


                  テファは

            夜空を見ながら、そう呟いた。





       ジェファは、オボイナレでサムチョンとシオンちゃんのママが再会した場面を

                 思い出していた。

 


               二人は今も好き同士なんじゃないか?っと思った。

 
                 そうするとシオンちゃんのパパが原因なんだろうか?

 でもシオンちゃんのパパは凄く優しそうだし、サムチョンと同じくらいイケ面だし

 音楽の仕事をしていて有名人だ・・・僕のサムチョンも大学ではバンドの

 ボーカルで、大学ではスターだったと聞いている。仕事もかなり出来る

 業界では有名人だ。何があったんだろう?どうして別れたんだろう?

     カノンちゃんのママもシオンちゃんもとても幸せそうな家族だし・・・

 



         子供心にもジェファは、二人の事がとても気になりだしていた。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



      ジリジリジリっと目覚まし時計が鳴り、

     カノンとシオンの矢継ぎ早の声のメッセージ

     「アッパー、アンニョン、起きて下さい。

      遅刻しますよ!」「オッパーちゃん、起きましょう!

      うちは貧乏です、オッパーちゃんが働いてくれないと

      シオンもカノンも飢え死にします。さぁ、働こう!

      アジャアジャファイティン!」・・・・

     テンションが高い目覚まし時計の声のメッセージに

     笑いながらいつもソンジェは起こされるのであった。 



         だが、昨夜はソンジェは色々な事を考え

        悩んでいたため、なかなか寝る事が出来ず、

        うとうとしたのが2時間位前の事だった。

    


      ソンジェは2時間程度の仮眠から飛び起きた。

      目覚ましは5時をさしていた。


     カノンは既に起きていて、朝食の準備をしていた。

 恐らくカノンも眠れなかったのだろう?と思った。

 カノン:「あっ、オッパちゃん、おはよう!ご飯はトースト

      だけど、それでいい?」

 ソンジェ:「おはよう、カノン、うん・・何でもいいよ。
  
       余り食欲ないから、珈琲だけでも良いよ」

 カノン;「チッチッチ、甘いな、オッパちゃん、腹が減っては

      戦は出来ないって云うじゃない?ちゃんと食事して

      ゆかないと、コンナムル(根モヤシ)なオッパ

      ちゃんは、直ぐにヤラレちゃうよ!」


 ソンジェ:「え?コンナムル???」

 カノン:「うん、うんとお世辞を言ってるつもりなんだけど、

      どうみてもモヤシみたいに痩せてて、弱そうだもの。」


   もやしを想像して、確かにと思い、ソンジェは声をあげて
   笑いだした。


   ソンジェ:「よし!じゃあ、ガッツリ、食べて戦に行こう!」

         と言って、椅子に腰かけ、トーストに噛りついた。





 カノンは「そうこなくっちゃ!!」と言って、トーストの上に

      目玉焼きをのせてやった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 
   待ち合わせの時間は8時に呉ジナの家の前だった。
               

  8時ちょっと前に、ソンジェは到着したのだが、既に海仁は到着していた。

  残念ながら、サヤカは、酷い頭痛がするとのことで、来られなかったと

  海仁はソンジェに伝えた。



 ソンジェ:「そうですか・・・でも女性陣がいない方がいいのかも

       しれないですね?」

 海仁:「昨夜、ちゃんとサヤカに話をしたが、頭が痛い、痛いと言って

     きちんと話が出来なかった・・・

     しかし、サヤカも母親、反省したのか?子供たちが帰って

     来るまでに、きちんと手料理を作って待って居ると言って

     ましたんで・・・それを期待してます。」



  ソンジェは頷いて「じゃあ、、行きましょうか?」と言って門のベルを

  鳴らした・・・・




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







  シオン:「オンマ、おはよう〜」

   起きたてのシオンは寝ぼけ眼でキッチンにいるカノンに
   挨拶をした。


 カノン:「シオン・・おはよう!今日は土曜日だし、幼稚園はお休みなのに

      早起きさんね?未だ寝ていてもいいよ」と言ったが、

      シオンは辺りを見回して「・・アッパは?」と言った。

 カノンは「お仕事で、もう出かけた」と言って、サラリと流した。

 シオンは仕事と聞いて、残念に思った・・・

  もしお休みだったら、遊んでもらおうと思っていたからだった。

  あわよくば家族で出かけて、楽しく過ごせるかなとも思っていた。


  仕事ではしょうがない・・・そう思って、椅子に腰かけて、

  朝食を食べようとした時、 電話が鳴った。

    最近はシオンが電話を取るのが当たり前になっていて、

     シオンは噂をすれば?等と思いながらソンジェだと思い元気よく

   シオンが、受話器を取り「ヨボセヨ」と言うと

               アッパーではなく   

                 大好きなジェファだった。


  「シオンちゃん、おはよう。元気だね?ビックリしたよ。

        あのさ、今日、もしよかったら一緒に

             遊ばない?僕の家に来て!」と言った。


 カノン:「シオン、誰から?アッパだったら直ぐにかわって?」

                  と心配そうに言った。

  シオン:「ジェファお兄ちゃん・・遊びにおいでって・・
       

        オンマ、行ってもいい?」


 カノンの鼓動はトクンと鳴った・・・

 カノン:「でも土曜で、お家の人もお休みでいらっしゃるでしょう?

      ならば、家に呼んだら?」と言った。


 シオン:「ジェファお兄ちゃん、お家にはサムチョンとかいるの?」

 ジェファは昨日のあのビデオが気になりながら

 ジェファ:「ううん、ママンはニューヨークだし、、、

         サムチョンもまだ寝てるけど、少ししたら仕事で出かけちゃうだろうし・・・

       僕一人だし・・・キョンワやジニもさっき電話して呼んでいるんだ。       

       いつも、シオンちゃんのお家だから、たまには僕の家に

       招待したいよ。ランチはデリーバリーでも頼もうよ。」


      シオン:「オンマ、ジェファちゃん家は、ジェファちゃんだけになるんだって。

          サムチョンはお仕事で出かけちゃうって・・・キョンワちゃんやジニちゃんも

          来るんだって。ご飯はデリィー・・・デリ・・・・うんっとね、あのねデリ何とか

          にするって。」と云った。 

  カノンはテファが仕事で出かけると聞いてホッとして、じゃあ、おばちゃんが

  何か美味しい物を作って、シオンを送ってジェファの家に行くわとした。

  カノンは急いでランチにするサンドイッチやチキンの唐揚げ、ポテトフライや

  サラダも作って、食後のデザートはチョコレートブラウニを良く冷やして

 持ってゆく事にした。

もしかして帰って来たテファが食べるかもしれない事を考えてテファには

サンドイッチのランチボックスを作った。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





 玄関のインターフォンが鳴って、扉が開けられると、お手伝いのソンが出て来た。



           海仁が言葉の口火を切った。

海仁:「おはようございます。権海仁と申します。昨日、うちのソラミとカイトが御嬢さんのマヤさんに

    招待を受けて、お泊りさせて頂いたかと思います。実は今日、私の実家の母がソウルに

    参りまして、孫を連れて出かけたいと申しておりまして、早々に引き取りに参りました。」と、

    ソンジェとの申し合わせの通りに話した。


ソン:「・・・さようでございましたか?存知上げませんで失礼しました。

    確認して参りますね?」と言って、玄関のままではなんですからと言って

           応接間に二人を通した。


ソンの他にもお手伝いが何人かいるらしく、違うお手伝いがお茶を運んで来た。

権家とはいかないが、かなりの豪邸で音楽家の家らしく荘厳な家だった。


応接間には品の良い高級なピアノが置かれており、壁にはピアノを演奏する

ジナのパネル写真があった。

妖艶な美しさのジナの写真だった。


海仁:「呉ジナさんは凄い活躍ですよね?今や韓国だけではなく世界的に有名な

    ピアニストだし、更に美しい方なので世の音楽好きな男性は本当に

    彼女の魅力にヤラレちゃいますよね?ハハハ」と笑って話したが、

   ソンジェは笑えなかった。かつての恋人・・大学公認のカップルだった二人・・・

   結末は意外にも早くやって来て「ロミオとジュリエット」と伝説になった二人
 
   だった。そのジナの娘が、今、自分の子供の世代で、また現れて、嵐を

   呼んでいる・・・そんな心境だった・・・・

   ジナ、君の娘は何が目的なんだろうか?何か黒い渦の中に巻き込まれようと

   している気がするが・・・早く子供たちを連れ戻したい・・・そんな気持ちばかりが

   ソンジェにはあった・・・


  海仁:「ソンジェさん?どうしましたか??ソンジェさん?」怪訝そうな顔をしながらソンジェの顔を

      うかがう海仁に気が付き、ソンジェは「あっ、あぁ、そうですね?確かに美しい人ですし、

      ピアノ演奏も素晴らしいですね。世界中を駆け回っているし・・・

      素晴らし音楽家ですね。」と言って微笑んだ。

           






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ソン:「マヤお嬢様、お二人のお父様と、どこかで見た・・・あぁ、音楽家の李ソンジェ氏だわ・・・

    その方が付き添いでお迎えに参りましたの・・・如何致しましょうか?

   何でもマヤお嬢様が昨日、お二人を招待したって・・・おっしゃってましたよ?」と

   意地悪くマヤを見つめながら云った・・・


マヤは二人を睨んで「バラシタノ?」と云った。


 カイトもソラミも首を横に必死で振り「何も言ってないし、内緒で来た」と云った。


マヤは、どうしたらいいかを考えていると、近くで一人チェスを楽しんでいた叔母が

「フフフ、簡単よ・・・先ずはバレテいるなら下手に隠すとややこしいじゃない?

いっそのこと、大人しく今回は帰しちゃったら?」と云った。


     叔母に言われるままマヤは二人に向かって「迎えが来たし、帰ったら?」と云った。




       カイトはそうしようとソラミに言おうとしたら、いつも泣き虫で臆病なソラミが

                 意外にも「嫌だ」と言いだした。



      お母様であるサヤカが迎えに来なかった事が原因だった。



      きっとお母様はソラミの事を失望している、イライラの原因は全てソラミのせいなんだ

       ・・・ソラミなんていらないと思っているんだ・・・だから迎えに来なかったんだと思った。




            「カイトお兄ちゃんだけ、帰れば良い。私はマヤちゃんの家にいる。

 

               私はお母様が迎えに来るまでここにいたい。」と云った。




          マヤも叔母もケタケタと笑いだし「じゃあ、決まりね、カイトだけ帰れば?

             ソラミは居たいだけいれば?家は構わないし、退屈だったから

            ソラミが居たら面白いから・・・」と意地悪そうな顔をして云った。




       カイトは「自分も残る」とは言えなかった。

       それよりもここに長居をしてはいけない

             と思った。何か恐ろしい事が起こりそうだったからだ。


先に自分だけ脱出して、内容をきちんと両親に伝え、ソラミを迎えに来てもらおうと

思った。


    ソンはハァ?と深いため息をつき「では、カイトさんだけお戻りになるんですね?

     ソラミさんは、滞在ですね?・・・カイトさん、荷物をまとめて応接室に参りましょう。」 




         ソンはカイトだけ連れて、海仁とソンジェの待つ応接室へ向かった。



             応接室には、今か、今かと待つ大人が二人いた。


カイトは父親の顔を見つけると涙が溢れ「お父様!!」と叫んで抱きついてワンワンと泣いた。

海仁は「もう大丈夫だ、迎えに来たよ。ごめん、ごめんね。」と言ってカイトの背中をさすった。




            ソンジェはソンに「ソラミは?」と聞いた。

ソンは「ソラミさんは、まだここに滞在したいとおっしゃっており、同じリラ幼稚園ですし、

    クラスも同じでお二人はとても仲良しですの。ですから暫く一緒にここから通いたい

    そうですの。ね?カイト坊っちゃま?」と云った。

海仁「え?カイト、そうなのか?」と優しく海仁は聞いた。

カイトは、ソンの目を気にしながらも「・・うん、ソラミは帰りたくないって言ってた。」と云った。

海仁は「・・ですが、お宅も迷惑でしょう?小さな子供を預かるのは・・・

     良ければ我が家にマヤさんを招待致しますよ。どうでしょう?」と言っては見たが

    即答で断られてしまった。

そこへマヤとソラミが手を繋いでやって来た。

ソラミは「お父様、私は帰らないし、帰りたくない。マヤちゃんと一緒に幼稚園に通いたい。」

    と云った。部屋を見渡しながらやはりお母様は迎えに来なかったと失望しながら・・・

マヤ:「私も、ソラミちゃんが一緒だと、嬉しいわ。いつも一人ぼっちで退屈でしたの。

    一緒にピアノを弾いたり、一緒にお食事したりゲームをしたり、楽しく過ごしたいんです。」


    と云った。



  ではいつまでもと言う訳にはいかないので、どんなに長くても1週間後にまた迎えに来るとして

  そのまま海仁はカイトを連れて帰る事にした。

 もし、ソラミが1週間の中で、急に帰りたくなったら、シオンに言いなさいとソンジェは優しく言った。

 そうしたらカノン叔母さんが幼稚園に迎えに来るか、叔父さんが迎えに行くからとした。



 海仁もソンジェも何度も、見送るソラミを気にしながら振り返り、振り返り屋敷を後にした。

 カイトは「寒い・・寒い」と言いだし、その日は戻ってから熱を出してしまった。

 母親のサヤカは反省した様子で「カイト、ごめんね。」と何度も謝りながら看病に追われた。

  サヤカは、昨夜、海仁にかなり責められていた。荒々しく罵倒され、手を何度もあげられて

  いた。顔は赤く腫れ上がり、そんな顔ではとてもではないが、迎えに行けなかったのだった。

    離婚しようとまで言われていたのだった。

    昨夜、ソンジェの家で、海仁は家に居ても安らげない・・・だから・・・と言いかけた言葉の

    先には、実は愛人が居たのだった。

       その愛人は、海仁のかつての恋人・・・結婚まで約束した仲の元キャビンアテンダント

       である宋メイファの妹の宋ミンジだった。

       宋は、サヤカの激しい感情に負け、キャビンアテンダントの仕事も追い出される事に
 
       なり、恋人も奪われた。心身ともに疲れてしまい、田舎の安東に帰ってしまった。

       仲の良い8つ年下の妹が居て、その妹も梨花大学に進み、KEのキャビンアテンダント

       として今も活躍していた。

       姉がKEを追われ実家に帰ってしまった事は衝撃であり、てっきり海仁と結婚すると思って

       いたからだった。

      しかし噂で、一周り年下の日本人CAとの争奪に負け、仕事をも追われて帰ってしまった

      ことを知り、密かに敵討ちをしたかったのだった。そのチャンスは意外にも早くやって来て、

      疲れている海仁を励ましたり、宥めたり、愚痴の相手をする内に、恋仲になってしまった

      のだった。実姉にも言えず、更には同僚や、サヤカにも言えず、本気の恋に堕ちてしまった

      二人だった。

      海仁は、メイファと似ているミンジに思いを重ねてしまい、あのままメイファと強行突破で

      結婚していたら、どうだったのか?を考えた時、多分、実の母親は許しはしなかった

      と思った。メイファと海仁は4歳違いで年下ではあるもののもう31歳になろうとしていた

      為、1歳でも若く美しい女性を母親は追い求め、更に妻方の財力も視野に入れなければ

      ならなかった。

      サヤカの家は代々続く名門の医者一家であり、財産はうなる程あった。

      教育も申し分ないし、1浪はしてはいるが23歳の若く聡明なCAは申し分ない存在だった。

      英語も、フランス語も、そして韓国語も独学でマスターした才女サヤカはどこへ出しても

      恥ずかしくない女性だった。

      母親も、サヤカとの結婚は渋々OKした。

      しかし、この結婚はしてはいけないものだったと気がついた時は遅かった。

      サヤカは権家の財産・名声・地位、それから海仁の職業・学歴などステータスだけで結婚した

     ・・・・そんな気持ちになる事が多かった。

     何でもサヤカは自分の思い通りにならないと、気が済まず、毎日、贅沢の限りを尽くしていた。

     節約とか質素と言うのが大嫌いな性格だった。逆にいつも綺麗で華やかな事が大好きだった。

     いつも話や輪の中心にいなければ気が済まない強気の性格に、段々と海仁は疲れてしまった。


     愛と言う言葉は程遠い・・・何となく野心とか邪心を海仁は感じてしまい、嫌気がさしてしまった。




     子供が生まれれば、少しは流れが変わるかと思ったが、全く逆だった・・・

     海仁は仕事を理由に益々、家には居たくなくなり、サヤカは子供の教育に熱中した・・・・

     どこかで・・・いや、最初から歯車が外れていた・・・そう思ったのだった。


     特にカノンとソンジェの家族の姿を見て、仲睦まじい姿に家族とはこういうものだと

     感じてしまった海仁だった。



  



   一方、マヤやソラミは皆を送り出した後、顔を見合わせてウンと大きく頷き、

   叔母が乗り合わせている車に乗り込んで出かけて行った。悪魔の計画が

   幕を開けようとしていた・・・・・






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





    マヤはソラミを洗脳していた。

   あんたは、権家では要らない子・・・・

      あんたはあんたのお母様の期待をいつも裏切る悪い子・・・


       だから、私とソラミは入れ替わるの。分かる?入れ替わるのよ。


  ソラミ:「え?どうやって?」

  マヤ:「簡単よ、私が今日からソラミになるわ。

       ソラミ、あんたは呉マヤになるの。分かる?有る程度、経ったら

       元に戻りましょう。それまでにあんたになり変わった私は、

       あんたのお母様の期待に応えられるソラミに変身して、

       あの生意気なシオンを叩き潰すわ。

       あんたと私は骨格も似ているし、今から顔を手術するの。

       怖くも、痛くもないわ。麻酔で寝ている間に直ぐに変わるわ。

       韓国の整形技術は世界1だから心配いらないわ。

       もとにもちゃんと戻して貰うんだから・・・いいでしょう?」


   ソラミは、それでお母様が喜んでくれるなら、嬉しいし、全ては

   上手く行くと云うマヤの言葉にかけてみたかったのだった。


   では、麻酔準備にかかります・・・看護婦は言い、二人は手術室へと

   向かって行った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







     カノン:「じゃあ、ジェファちゃん、ここにランチのサンドイッチやお菓子とか

          置いて行くから適当に食べてね?シオン、ちゃんとお行儀よくしてね?

         我儘やったり、おてんばはダメよ。」とカノンは笑顔で云った。


     シオンは「はーい」としながらも、バイバイとしてジェファの部屋にジニとサッサと行って
     しまった。


     そこへ昨夜酔い潰れて寝込んでいたテファが起き、シャワーを浴びに部屋から出て来た
     のだった・・・


    テファ:「誰か?お客さんですか?」頭をアイテテと抑えながら、タオル片手に

        玄関に出て来たテファだったが、突然のカノンとの遭遇に、ビックリした。

        カノンもまたテファに会ったのでビックリして驚きを隠せなかった。


       二人の動きが止まり、絵画の中にハマったかの様に見えた。



         「カ・ノ・ン?・・・」

                     「テ・ファ・オッパ?・・・」



       ジェファは子供ながらにもこの空気を読み取り


            「なんだ、サムチョン、もうとっくに起きて仕事に行ったと

             思ったのに・・・まだいたの?」と云った。

      テファは「あっ、、、あぁ、二日酔いでずっと寝てて・・今起きて、

           シャワー浴びて会社に行こうと思って・・・」とタオルを見せながら

           云った。


      カノンは、そのタオルがくしゃくしゃだったのと格好がパジャマだったので

      オッパはパジャマを着るようになったんだと思い笑ってしまった。

      しかし、そのパジャマもボタンがかけ間違っていたので更に笑いを誘った。



     テファは照れながら、ハハハと笑った。

     良かったら、上がってお茶でも飲んで行って下さいよとテファが云ったが、

     カノンは「いいえ、唯、ランチを届けに来たのと、シオンを連れて来ただけ

     なので・・・」と言って早々に退散した。



    カノンは、帰りのエレベータの中で、ドキドキが抑えられずにいた。

    オッパに会いたいと思っていたので、こんなに早く会えて嬉しかった。

    どんな格好でいようとも、やっぱりオッパは格好良いなとカノンは思った。

    
  一方、テファも昨日の今日、早くもカノンに会えてビックリはしたものの

  会えて嬉しかった。カノンの顔を見ると元気になれたし、幸せな気分に

   なれたからだった。


   セブンの鼻歌を口ずさみながらテファはシャワーを浴びていた。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



  シャワーを浴び終わって、テファは会社に行く準備をし、ジェファ達に

  「じゃあ、サムチョンは仕事に行ってくるよ。戻りは5時くらいかな?

   ジェファ、留守番頼むよ。もし、皆が、まだいたら、サムチョンが

   ジニちゃんとキョンワちゃんを送って行くよ。シオンちゃんはママが迎えに

   来ると思うから・・・」と言って笑った。


 シオンは「あっ、サムチョン、これ、オンマが・・」と言ってサムチョン用に作った
 ランチボックスを渡した。

 テファは受け取り「おっ、美味そうな匂いがするな・・・ランチボックスだね?

           有難う。シオンちゃんのオンマはお料理が上手なんだね?」

           っと努めて冷静に言って笑った。


  子供たちは一斉に「行ってらっしゃい」をして、また部屋に戻った。

  部屋でゲームを楽しんだ後、お昼御飯になって、カノンが作ってくれた

  サンドイッチや唐揚げなどをテーブルに広げ、皆で美味しく食べた。

 ジニもキョンワも「シオンちゃんのママはお料理が上手で羨ましい」と言って
 サンドイッチを美味しそうに頬張った。

 ジニ:「それにシオンちゃんのママは綺麗だし、優しいし、何でも出来て
     羨ましいな・・・パパだって格好良いし・・・」

 キョンワ:「うん、凄く羨ましい・・」と云った。

 シオンもまんざらではなく「うん、シオンはオンマ大好きだし、アッパも大好き。」
 と言って笑った。

  そんな姿を見てジェファは「ねぇ、シオンちゃんのパパとママはどうやって知り合って
  結婚したの?シオンちゃん、知ってる?」と聞いてみた。


 シオンは「うんとね、最初はオンマがアッパのお家でホームステイして、次はね、
      アッパがオンマのお家にホームステイしたの。それでアッパが、オンマの事
      がノムノムチョアでね、結婚して下さいって云ったの。それで結婚したの」

  キョンワ:「シオンちゃんのパパも格好良いけど、ジェファちゃんのサムチョンも格好
       良いね?まだ独身なの?」と聞いてきた。

  ジェファは「あっ、うん、まだ独身・・・」

  ジニもキョンワも「じゃあ、私たちがお嫁さんになりたい」と云った。

  シオンもつられて「私もサムチョンのお嫁さんになる」と云った。

  ジェファは「わぁ、サムチョンはモテモテで凄いな・・・羨ましいな」と言ってみた・・・

   皆が一斉に笑った・・・

  ジェファは更に「でもシオンちゃんのアッパの方が格好いいんじゃない?」と言ってみた。

  そうすると真っ先に「ううん、違うよ、サムチョンの方が格好いいし、面白いし、
             一緒に居たら凄く楽しい気持ちになるから、サムチョンの方が
             モテルと思うよ。」と云った。

  不思議な事にジニもキョンワも同じ答えだった。

  シオンのパパも格好良いし、優しいけれど何となく緊張する・・・言葉で上手く言えないが
  常に自分達が元気でちゃんとしてないといけないような・・・期待を裏切ったらいけない
  様な雰囲気になる・・・サムチョンの場合は、自分のダメなところや欠点を素直にさらけ
  出しても良い・・自然体でいられる居心地の良さを感じる・・・そんな存在だった。

  シオンも自分の親ではありながら、アッパはどことなく寂しい雰囲気があり、
  失敗や心配事があると、深く考えたり悩んだりしてしまう・・・生真面目さがある・・・
  反対にサムチョンは失敗やハプニングが起きてもそれを楽しさに替えてしまう不思議な
  明るさがあり、一緒に居ると勇気や元気な力が沸いてくるそんな気持ちになる強さが
  シオンとしては気軽さが合って好きだった。
  

  「オンマがもし、サムチョンみたいな人と結婚していたらもっと明るくて元気なお家に
   なってたかな?」と、シオンは何となく口にした。

     ギクリとジェファはし、シオンの顔を見た・・・シオンは冗談で唯呟いただけなのに
     ジェファが硬直した真剣な顔になっているのに驚いてしまった。

     ジェファはハッとして「シオンちゃんのママとパパはラブラブなんだろう?
                そんな事言ったら、ママもパパも悲しむよ。ダメだよ、そんな
                事を冗談でも言ったら・・」と言って笑った。

    シオンも、それもそうだと思って「ごめんなさい」と言って笑った。



  ジェファもシオンと同じ事を考えていたし、シオンに見透かされてしまったかと思い
  気持ちを冷静にするためにダメだよと咄嗟に言ってしまった。

   シオンちゃんのママとパパはお似合いだとは思うけれど、もっとお似合いなのは
   やっぱりサムチョンだ!!・・・ジェファはそう思った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
             

 


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 10324