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作品名:潮風のセレナーデ・・・会いたい気持ち・・・ 作者:HAPPYソフィア

第4回   たった一人の大好きな人の為に・・・


韓国旅行2日目が始まった。


いつもは目ざまし時計を、幾つもかけても起きない私は、

時計の助けを得ないで、目が覚めた。

韓国に来た事が夢ではないかと、辺りを見回した。

TVやチェアやテ−ブル、、見慣れないレイアウトの景色に、

 やはり韓国にちゃんと来ている事を、ベッドに寝ながら確かめた。

           窓の外はまだ薄暗く、闇夜に包まれていた。

               今、何時だろう?

            そうっと携帯電話で、時間を確かめてみた。

   携帯の画面は、テファお兄ちゃんの笑っている顔写真が写っている、、、

           「5時02分・・・」

             っと心の中で、呟いて、私は笑った。

           静まり返った部屋の中で、

        サヤカのスヤスヤとした寝息だけが

            隣りのベッドから聞こえた。

     私は、頭の中で、今日のスケジュ−ルを組み立てた。

 先ず、朝食をホテルでとって、それから、買い物をしながら、

            ソウルタワ-に行こうとなっていた。

           そして、お昼にホテルに戻って、

           食事とナンタのミュ−ジカルを観て、

            そのまま、地下鉄2号線に乗って

  弘大入口駅で降りて、弘大正門の近くのコ−ヒ−ショップで、

テファオッパが出て来るのを待とうと言う事になっていた事を確認した。

       私は、目が悪いので、眼鏡をしっかり持って

            行かなくっちゃっと思った。

      テファオッパが、日本に居る時、選んでくれた、

            可愛い赤のフレ-ムの眼鏡だった。

       テファオッパが、働いていた時の新大久保眼鏡店で、

     作ったもので、値段がたったの3000円だった。

           しかも20分で、出来ると言われて、

           安さに魅かれたのと、テファオッパが、

     「これが似合うよ」と言ってくれたものだったからだ。

          テファオッパも、眼鏡をかける時もあった。

     多分、勉強のしすぎだと、私は思ったが、テファオッパは、

       お洒落の為にかけているんだと言った。

韓国は、物凄い学歴社会だし、猛勉強をする国だと、

韓国文化の授業で聞いた。

朝早くから、夜遅くまで、学校に行って勉強をしているし、

競争も激しい・・・

更には、親も夢中になって、英才教育をしていると聞いた。

      「1番以外は意味がない」とか

            「100点取って当たり前」・・・

そう教授が、講義していた時に、

私は「もし、私が韓国人だったら、ずうっと、

ビリっケツで、毎日、親に叱られて、大嫌いな勉強を朝から晩まで

しないといけないのかな?」っと隣りの席の典子に言うと

     「私も同じ・・・日本人に生まれて良かったよね」

   と言った。本当に・・・日本人に生まれて私は良かったと思った。

 私はまだ時間が一杯あるので、目を閉じて一寸、寝ようとしたが、

韓国に来ていると言う事やテファオッパに、

今度は韓国で会えるかもしれないと言う気持ちで、

ドキドキと心臓が鳴り寝る事なんて出来なかった。

 テファオッパは、私を見たら、驚くだろうか?

そして喜んでくれるだろうか?

       なんて言う言葉を発するだろうか??

   テファオッパは、サプライズな面白い事が大好きだから、

               多分、笑顔で

           「ようこそ、韓国へ」

         と言って駆け寄ってくれるだろう・・・

         そう・・・私は信じてやまなかった。

会えると良いな・・・ずっと会いたかったから・・・きっと会える・・・

 首にかけているペンダントを握りしめながら、奇跡を信じた。

    あれやこれやと考えている内に、時間は過ぎ、

 サヤカが、昨夜、フロントに依頼したモ−ニングコ−ルが鳴った。

    サヤカは、「うるさいな」っとぶつぶつ言いながら、

       モ−ニングコ−ルの電話を切った。

 私は「おはよう!サヤカ、GOOD MORNING!」と言った。

サヤカは、私の下手くそな英語をクスクスと笑いながら、

            バイリンガル並みの英語で

              「MORNING!」と返した。

  そう、サヤカは日本語よりも、英語に反応が良いからだ。

         私は、活動開始の支度をした。

   サヤカは、朝食を食べている時も、まだ眠いのか、

             欠伸を何度もした。

     逆に、私は満面の笑顔で、張り切っていた。

        更に、ホテルですれ違う人達にも、

      「おはようございます」とか「アンニョン」

              とか声をかけていた。

    サヤカは「カノン、凄い元気ね、

 何か世界中の人にも挨拶しそうな勢いだし・・・

     あぁ、私はもっと寝たいけど・・・

カノンの為に頑張ろうかな?カノンの笑顔を見てたら

          私は嬉しくなったもの。

カノンがこんなに元気になれるなら、

もっと早くに韓国に来れば

              良かったね。」と言った。

カノンは「エヘヘ・・・サヤカ、有難う。

凄く楽しいし、嬉しいし、韓国に来る事が出来て

      幸せだし・・・テファオッパに会えたら、

  今年は何もねだったり、我儘とか言わない・・・

サヤカに何か美味しい物も御馳走する・・・

 サヤカの言う事も聞くし・・・」と言った。

サヤカはお腹をかかえて笑ったが、

本当に私は、テファオッパに会えるなら、世界中の人々を

敵に回してもいいやと思うくらい嬉しかったのだった。

朝食が終わって、ホテルから明洞の露店や、

お店、百貨店などを見ながら、ソウルタワ-に向かった。

ソウルタワ−にはバスで行けば良いですよと、

言われたが、修学旅行の時にバスで上ったので、

今回はロ−プウエィで行く事にした。

凄い速さであっと言う間に頂上に到着したが、

それでも景色は壮観だった。

   春先で、まだ肌寒かったが、

 柔らかな春の日差しと、優しい甘い風の香りがした。

   あぁ、もう春なんだと、季節の移り変わりを感じた。

  平日の昼間だった為か、人も少なく、静かだった。

      タワ−に上る前に、私たちは飲み物を買って、

      ベンチに腰掛けて、外の景色を楽しんだ。

   すると、韓国の武楽団が、舞台で何かを演奏したり、

         舞を踊ったりしていた。

サヤカは「何だか、京都とか奈良に来ているみたい。

似ているね?」と言った。

「うん、やっぱり韓国は、日本と似ているね。

お隣りの国だし、奈良時代の

文化や建物は、やっぱり韓の国からの影響が高いしね。

今はハングル文字だけど、韓国は昔は、

漢字も使っていたし・・・似ている所が沢山あるね。」

っと言って、私は笑った。

     タワ-のてっぺんにも、行ってみた。

 ソウルの市内中が、360度見える展望台になっていた。

    私は、ゆっくり、ゆっくり回りながら、見て回った。

そして、心の中で「テファオッパ、カノンです。

ソウルに来ています。アンニョン」

           っと言いながら、回った。

              そう!

  このソウルの何処かに、大好きなテファオッパがいる・・・

          そう思うと心がドキドキし、

           更には嬉しくてウキウキして来た。

      ペンダントも私の弾んだ気持ちが分かるのか、

           時々、ブラウスの隙間から、

    太陽の光を浴びて、嬉しそうにキラキラと光っていた。


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サヤカが「もうこんな時間だよ。ホテルに戻らなくっちゃ。」と言ったので、

 戻る事にした。

   丁度、明洞に行くバスが来ていたので飛び乗った。

      乗客は、私たちと、韓国人の大学生らしきカップルと

      韓国人の老夫婦の6人だけだった。

       ハアハアと息を切って

「よかった!!間に合ったね」と、

私はサヤカに言った。

           すると老夫婦はクスクスと笑いだし、

           「よかった!!間に合ったね・・・」

             と私の言葉を復唱した。

            私はビックリして、二人を見つめた。

 おじいさんも、おばあさんも、ニコニコしながら私たちを見つめ

「私の息子夫婦が、今、日本の大阪にいますよ。

日本語、少し、私たちも出来ます。

お嬢さんの日本語が、可愛いかったので・・・

つい楽しくなって、、、」と言って笑った。

          私も嬉しくなって、笑った。

   私たちは、おじいさんたちの、同じ列の反対側の席に座った。

  おじいさんも、おばあさんも、日本語で、

            明洞までの道のりを案内してくれた。

          バスが信号で停まった時、

    おばあさんが「そうそう、ここ、ここは有名な幼稚園リオが

    あるのよ。ほら・・お嬢ちゃんたち、、、見て御覧なさい。

    このリオ幼稚園は、創始者が日本人なのよ。

     今は、韓国人の現実グル−プの社長さんと結婚して、

           名前が「金 リオ」になっているけれど?

        日本の学習方法が上手く取り入れられていて、

         お受験で有名な私立の幼稚園なのよ」と言い、

        更におじいさんが「そうそう、この幼稚園に入れば、

              人生も安泰と言われてるんだよ。

            ただし、入ってからも大変なんだよ。

         私立の幼稚園だが、法外なお金が、かかるんだ。

         それでも親たちは、この幼稚園に入れたいから、

            何としてでもお金を用意するんだ・・・

        ヨボ(=おばあさんに向かって)、

               確か今年の入学金は?

            3000万Wと言われてるんだっけ?

        サヤカが「3000万W?・・・・って

              言うと幾ら?」と私に聞いた。

私は「大体、0を1つ取った円で計算すれば良いかも?

      3000万だから、300万円位の入学金かな?」と答えると、

        サヤカはビックリして「WOw!高いね?」と言った。

おじいさんも、おばあさんも「いえいえ、その子の人生が薔薇色に

なるなら、安いですよ。私たちの孫もリオ幼稚園に

入れたかったんですよ。

しかし、物凄い競争率だったのと、試験が難しいので、落ちました。

            ハハハ」と言った。


サヤカは、カバンからデジカメを取りだし記念と思い、

リオ幼稚園の景色の何枚かを車窓から撮っていた。

サヤカは写真を撮りながら「もしかしたら、私がアシオニの

キャビンアテンダントになって、アシオニのパイロットと結婚し、

子供が出来たら、このリオ幼稚園に通わせるかもしれないしね?

だから、写真を撮っておくわ」と言って、舌を出した。

     明洞へ着いて、老夫婦に別れを告げた。

       おばあさんもおじいさんもクリスチャンみたいで、

   「二人のこれからの旅に、神の御加護がありますように!」

                  と、祈ってくれた。

    バスの中で、サヤカがちょっとうたた寝をしている時に、

              私は老夫婦に、

           ホンデの行き方を、確かめた。

 「お嬢ちゃん、ホンデに何か用事でもあるのかな?」と聞かれた。

      私は簡単に、帰国してしまって、

         音信が取れないお兄さんに会いに来たと

    言う事と、そのお兄さんはホンデに通っている事を伝えると、

    二人は、深く頷いて、

     「ホンデも大きな大学だし、人も一杯いるから、

         探すのは大変かもしれないけれど・・・・

     そのお兄さんの名前は分かるのかい?」と言った。

   私は「ハイ、鄭 テファさんと言います。」と答えた。

「鄭と言う名前も沢山いるだろうから・・・でも、会えると良いね。」

         とおじいさんは言ってくれた。

            いつもは苦しい時の神頼みの私だったが、

               二人に祈って貰って、何となく

            神の御加護がありそうな、そんな予感がした。


      

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 ホテルに戻るとJTE旅行社のガイドのオムさんが、既に待っていてくれた。

 「食事をしてからナンタに行きましょうか?」とニコヤカに言ったので、

  頷いてそのまま、用意された車に乗った。

        オム:「どこに出かけられましたか?」

サヤカ:「明洞をウインドウショッピングしながら、抜けてソウルタワ−に行

     きました。景色が良くて楽しかったです」

オム:『「花より男子」や「美しき日々」の舞台の1つになった所ですよ。今は

    夕方から夜になると、カップルのデ-トスポットになっています。』

私は「美しき日々」と聞いて、真っ先に、お母さんを思い出した。

      そのドラマの主役は「李・ビョンホン」さんだからだ。

チェヂウが扮するお姉さんが、妹と待ち合わせをする場所が、思い出された。

          しかし、二人は会う事が出来なかった。

     母が、何度も何度もDVDでこのドラマを見て、

                  解説までしてくれるので、

                      覚えてしまったのだった。

            そうだ!!

      後でお母さんに李・ビョンホンさんのGOODSを

            買って帰ろう!!と思った。

        今度は、私の方がウトウトして来て、寝てしまった。

     「着きましたよ。先ずは、石焼ビビンバを召し上がってから、

       ナンタへと向かってそれが終わったら、どうしますか?

         ホテルまでのリムジンタクシ−を用意しますか?」

            と言ったが、

      サヤカが「あっ、いいえ結構です。私たち、行きたい場所が

            あるんです。そこで人を探すんです。

        なので、ナンタの劇場前で解散で良いです」と言った。

オムさんは「あら・・・お楽しみですね?歌手か俳優さんを探すのかしら?・・・

       分かりました。何かあれば、私の携帯に電話を下さい」と言って、

       名刺を渡してくれ、オムさんと、別れた。



        パチパチと音をたてながら、熱々の石焼ビビンバが運ばれて来た。

         サヤカが、混ぜずに、端から食べて行こうとしたので、

      私が「ビビンには混ぜると言う意味があって、沢山、混ぜて食べないと

      美味しくないんだって。」と言って私は率先してガチャガチャと混ぜた。

サヤカは「えぇ、折角、綺麗なのに・・ぐしゃぐしゃにしたら勿体ないじゃない?」

        と言ったが、それでも混ぜた方が美味しいよと言って混ぜて

         「美味しい!」と言いながら食べ始めた私を見て、

          渋々とサヤカは混ぜた。

  そして、私がもう食べごろだと言うと、サヤカは進まない顔をしながら、

   口に入れた。

   「あっ、本当だ。こっちの方が美味しいね?」と

         サヤカは納得して、パクパクとビビンバを頬張った。

  新大久保の宮殿食堂で、お兄ちゃんを待ちながら、

     ビビンバを食べた時の事を思い出した。

               そう!・・・

   丁度、サヤカの様に、私も、ビビンバを混ぜずに、端

            から少しずつ食べていた。

テファオッパは笑いながら「ビビンバって、何でビビンパって言うか

           知っている?」と、聞いた・・・


   私は「ビビンバと言う野菜が入っているから」と、

               適当な事を言って答えた。


テファオッパは、ゲラゲラ笑いながら、

         「ビビンには、混ぜると言う意味があるんだ。

           そしてパと言うのはご飯の事・・・

             だから、混ぜて食べるご飯の事なんで、

        沢山、混ぜないと美味しくないんだよ」と言った。

       テファオッパは、私のビビンバを、上手に混ぜてくれた。

       「ハイ、出来あがり!カノン、食べてごらん」と言った。

        炒飯みたいに、最初に見た綺麗な盛り付けとは全く違う姿の

           ビビンバを見て、恐る恐る食べてみると、

              凄く美味しかったのだった。

          「美味しい・・・」と私が言うと、

         テファオッパは、「・・・だろう?」と言って

      笑顔を見せてくれたのを、思い出した。。。。



      ナンタも、韓国語の言葉が分からない人でも

        誰でも楽しめる料理ミュ−ジカルだったので、

       サヤカも私もお腹を抱えて笑って鑑賞した。

    ナンタを観終わって、いよいよ地下鉄に乗って、

    ホンデへと向かった。

           私は、鼓動がドキドキして来たが、

          一方で、会えなかったらどうしようかな?とか、

                段々と不安になって来た。

          拳をギュッと握りしめているのを、サヤカは見て

          「カノン、最初から希望通りに成功したり、

           夢を叶えられるのは、希な事・・・

            万が一、会えなくても、ガッカリする事は無いし、、、



           そしたら明日も探しに行けばいいし

           オムさんに頼んで、テファさんのお姉さんに

           電話して貰って事情を話して貰っても

          良いしね?だから、大丈夫だよ。」と言った。

         私はサヤカの優しい気持ちが伝わって来て嬉しかった。

         車内アナウンスが「次は弘大入口駅」と流れて来た。

          駅から、大学正門までは、丁度よい散歩コ-スみたいに

           なっていて、とてもお洒落な、、、

            そう、本当に原宿みたいな街並みだった。

     
        
         ----------------------------------------------

   


   正門が見えた時、サヤカと私は、正門から出て来る学生が良く見える、

    正面側のテラス式のコ-ヒ-ショップで待つ事にした。

   私はコ-ヒ-ショップにも関わらず、韓国に来てもココアを頼んだ。

        サヤカはコ−ヒ−を頼んだ。

           時計は既に5時半を回っていた。

     指先をカップで温めながら、私はずっと正門を見つめていた。

   そう赤い眼鏡を取り出して、それをかけて、ずっとずっと見つめていた。

       テファお兄ちゃんを、どんなに人ごみの中にいても、

     直ぐに探す事が出来る特技?とも言える事が、私は出来るのだった。

        豆粒の位置であっても、何万何千の人がいても、

          直ぐに見つける事が出来ると自負していた。

        またテファお兄ちゃんの足音でも、

           直ぐにテファお兄ちゃんだと分かった。

   なので、私は神経を集中させて、ずっと正門を見つめていた。

   サヤカは、コ−ヒ−のお代わりを貰って来るね?と言って、

         カップを持ってカウンタ-に向かった。

    私は頷きながらも、正門をずっと見ていた・・・

         すると、見覚えのある髪型やスタイル・・・

         楽しそうに笑う笑顔が正門から

             出てくる姿が見えた・・・

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