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作品名:潮風のセレナーデ・・・会いたい気持ち・・・ 作者:HAPPYソフィア

第30回   30





 皆のいるテーブルの席に戻ってカノンは、ソンジェ達が、こっちに

  向かっている事を伝えた・・・カノンは怖くて、テファのTシャツの

 端っこを強く握りしめていた・・・・


    皆もどうしたものかと考え始めた・・・

  テファは、「こうなったら、先手必勝法で行こうか?」

         と言って、笑顔で話しだした・・・・

   
        一同は、先手必勝法??と言葉を繰り返した・・・


  テファ:「だっていつまでも隠していても、いつかはバレルし・・・

        余り良い事も起きそうにもないから・・・・

                         ならば・・・

            正々堂々と・・・開き直って楽しんだ方が良いかも

            しれないし・・・自分たちの夏休みを誰と

            どう過ごそうが自由だと思うんだ・・・ビクビクする

            必要は無いと思うし・・・向こうが探しだす前に、

             向こうをおびき寄せ、待ってましたよって言う感じ

             でいようじゃないか?」と言って笑った・・・


   更にテファの言葉が続いた・・・・

           

         「向こうの目的は何かを考えてみたんだ・・・

               つまり僕とカノンだ・・・・

            ユリは、どうやら、李家のお嬢様二人?いや、恐らく

            李ヘジャとはライバル?関係だと思うよ・・・

           だから、今までユリが手にしているもの全てを奪おうと

           しているんじゃないかな?

            ユリは今、プライドもぐしゃぐしゃになっている筈だ・・・



           そしてユリは、ヘジャに対して、物凄く恐れていた・・・・

            自分の好きな物・大切な物・手に入れているものを全部

            ヘジャが持って行ってしまうって言っていたから・・・・・



             ユリは確かに我儘で華やかだし、意地悪な部分もあるが

             人の物を徹底的に奪ったりはしない・・・割と素直で優しい

            部分も一杯あるんだ・・・・留めは刺さないし・・・・

             次に狙うのは・・・恐らく、僕だ・・・・

          皆にはナルシストと思われるかもしれなけど・・・・

     ユリは僕の事が好きで、出来たら結婚したいといつも言って



     いるからだ・・・・ユリの父親からも、姜IT企業を継いでユリ

              とともに人生を歩んで欲しいと言われていたし・・・・



        でも・・・僕は・・・・いや、僕はユリとは幼馴染みと言うか

              兄と妹みたいな関係で・・・恋愛感情はないんだ・・・



              ユリはかねてからスンミに、テファは私の物だと言って



      自慢していたから・・・次にヘジャが狙うのは、僕だと思う・・

              スンミも又、僕に対して恋愛感情を持っている筈だ・・・

              大学に復学してからも、何度もストーキングされたし、



     高価な贈り物やファンレターなど、山のように貰ったから・・・

      今回、カノンと旅をすることを知ったヘジャ・スンミそして

              ユリは、怒りの矛先を、カノンに向け、そして救いを僕に

               求めているに違いないと思ったんだ・・・

              だったら、逃げるより堂々と立ち向かって、、、救いの



       言葉を僕から先に、三人に伝えれば良いんだと思ったんだ。

               カノンに対しても、僕は妹と言う感情だと伝えれば、



               落ち着くだろうし・・・・」







                 い・も・う・と ・・・・・

                        妹・・・・・・・・・

                           イモウト・・・・・・・

                   「トンセン」





  カノンはテファの言葉を聞いて、少し悲しくなった・・・・

                       いやかなり悲しくなった・・・・・  


    ここでカノンは誤解をしてしいまったのだった・・・

       テファは、皆の手前もあったし・・・これから大きなうねりを上げ

          てやって来る恐ろしい事を回避させるために、自分には

          カノンに対して、恋愛感情は無いと言っておいた方が、

          カノンが安全だと思ったからだ・・・

             カノンに対する怒りの矛先を和らげるためだった・・


       カノン以外の皆は、テファの気持ちが良く分かり、

             テファがカノンを物凄く大切に思っている事を感じ

                 とったのだった・・・・・


     カノンはやっぱり、オッパは、カノンに対しても恋愛感情はなく

      妹だと・・・そう、トンセンだと思っていたんだと思いしょんぼりと

      してしまった・・・

      テファは、当然、カノンは自分の気持ちや考えを理解してくれ

      ているだろうと思っていたので、しょんぼりしているカノンを

      見落としてしまったのだった・・・・



   テファ:「・・・・・そしてカノンに対して女たちは、嫉妬から、

            何とか懲らしめてやろうとか、怒りをぶつける

        つもりだろうから・・・・

             ただ・・・ソンジェと言う男は、カノンに対して

                恋愛感情を持っているかもしれない・・」


      カノン:「え?」

          カノンは顔を上げた・・・・

 テファは微笑みながら頷いて、「うん・・・恐らく、カノンの事・・・

               ソンジェは本気で好きだと

                僕は思う・・・・・だから、、、

               こっちへ一緒に向かっている

                 んだと思う・・・」




   カノンの心はトクン・・・トクンとした・・・

             オッパちゃん・・・・

                 きっと今、オッパちゃんは

                        悲しい気持ちかも?


         オッパちゃん・・・御免ね・・・・


             オッパちゃんの気持ちにも応えて上げず

                 電話を切ってしまって・・・

    


  その時、カノンの電話が鳴った・・・・

            ソンジェからの電話だった・・・・・


     戸惑っているカノンを見て、テファは、カノンの代わりに

      出た・・・・


  テファ;「もしもし・・・・」

  ソンジェは直ぐにテファだと気が付きカノンに代わって欲しいと

   言ったが、テファは嫌だと言った・・・明らかにカノンが動揺

   しているからだった・・・・


   ソンジェからの電話は絶好のチャンスだったので、自分たちは

   二人で旅しているのではなく、アヤやトンス、ヒロミ、スンジュも

   一緒だと言う事も伝えた・・・テファは学生生活最後の夏を、

   車で韓国縦断の旅に出るとして回っている最中に、偶然、カノン

   の乗っているバスと遭遇し、それでカノンと旅したくなったと話し

   た・・・唯、二人で旅すると、後あと問題になるので、出来たら

   カノンのクラスメイトも呼んで合流したと付け加えた・・・全てが

   無理の無いつじつまの合う話しだった・・・・

    ユリや、スンミ達が躍起になって、自分たちの行方を探そうと

   している事を察知した我々は、どうしようかと思ったが、逃げて

   いるのも変だし、正々堂々としようと思った。自分たちは、今夜

   は山の上のリゾートホテルに泊まるが、明日は牧場にでも

   行こうかとは思ったが、予定を変更し、海の見えるリゾートホテ

   ルに二泊して、帰るよとした・・・そのホテル名もソンジェに伝えた。


    折角だから、合流して、皆で一緒に泊まって楽しもうと言ったの

    だった・・・・

    更に、この電話が終わったら、ユリやスンミにも自分から電話して

     その話をしようと思ってるとも言ったのだった・・・・

    カノンは、まだ記憶は無いみたいだし・・・このまま、記憶が無くても

    構わない・・・僕は名乗り出るつもりも無いし・・・・

    カノンはユリと同様、可愛い僕の「妹」だから・・・

        と言って電話を切った。    



     どこまで信じて貰えるかは分からないが、少しの時間稼ぎには

     なるだろうし・・・・カノンへの怒りの矛先を少しでも和らげるなら

     テファはどんな事でもすると、強く決意していた・・・・




      テファはソンジェとの電話の後、言った通りに、先ず、ユリに

      電話をかけた・・・・


     ユリは直ぐに出た・・・そうテファの電話は遅くとも3コール内には

      ユリは出るのだ・・・

      ユリ:「オッパ・・・オッパ・・・今、どこにいるの?

     私・・・私・・・もう死にたい・・・・どうしたらいいのかも・・・

    もう分からない・・・オッパに会いたい・・・オッパ、オッパ」



       泣きながら会いたいと言っているユリを宥めながら、テファは

       「ユリ、明日、皆でホテルで合流しよう。ユリはいつだってホンデの

        お姫様だろう・・・涙なんて似合わないぞ・・・笑っていろ・・・

         明日は笑顔で会おう、いいね?」と言った・・・

         ユリは平常心が戻って来たが・・・自分の醜い姿である現実を

    知り、、、「オッパ、私ね、事故でね・・・凄く凄く・・・」泣きながら

  言おうとしたが、テファは「あぁ・・・分かっているよ・・・言いたくない

        事は言わなくても良い・・・大丈夫だ・・・僕はどんな姿のユリでも



 驚いたりはしないよ・・笑顔で会おう・・良いね?」と言った・・・・


     次にスンミに連絡をし、ソンジェに言った言葉そのものを伝え、

       二人では旅行してない事と、兄と妹の関係を強調した・・・

      しかし、どうも話し方を聞いていると、、スンミで無い者・・・つまり

      ヘジャと会話している感じがしたので、返って強調したり、言い訳すれ
  
     ば、墓穴を掘ったり、恐ろしい事が怒りそうだったので、他人行儀に

     ソツなく振舞った・・・・・






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    電話が終わるとヘジャ・・・つまり本当のスンミは、テファの言葉に

     疑問を感じていた・・・・


        明らかにカノンを擁護する言葉だったからだ・・・



            お生憎様、鄭テファ・・・・

        私は、人を信じないの・・・

            これまで信じて来て何度も騙されて来たから・・・


            家族だって同じ・・・

                お母様は、李家の財産や地位・名誉の為に


             私を生贄にしたの・・・・

                私はもう誰も信じないし・・・

                  誰も愛さないの・・・・・

      信じられるのを、自分である「私=李スンミ」だけよ・・・・


             鄭テファ・・・・

                あなたは私の目障りな姜ユリの大切な物の1つ

                   ただそれだけのことよ・・・・


        でも・・・

           あなたを知れば知るほど・・・私はあなたに興味を持ち・・

              あなたに恋愛感情を抱き始めてしまったのが・・・

                 誤算だったわ・・・・


        私にふさわしい男は・・・

                 鄭テファ・・・そう・・・

                     あなたしかいないのよ・・・・


        あなたは私と結婚し、そして李家を継いで、

            この国を支配して行くの・・・・

              李家の財産はもはや韓国経済の要・・・



          姜ユリはあなたもいなくなってしまい・・・

            きっと発狂し、死を選ぶかもしれない・・・・


      自ら滅んで行く姿を見るのも・・・面白いわね・・・・・



     さて・・・・鈴木カノン・・・・


          ウロチョロして目障りだわ・・・・・


              でも、、まぁ、帰国も近いし・・・

                叩き潰さないでも良いかもしれないわ・・

    下手に手を出すと、火傷をしそうな感じもするしね・・・・


     音楽馬鹿の兄さんにセイゼイ頑張って、カノンとテファの

      仲を引き離して貰わないと・・・・





       どんな男だって、私の美しさや

                  李家の財産・地位・名誉に

                       なびく筈だわ・・・・




    先ずは財産も地位も名誉もなくなり、醜い容姿になった

     ユリを見て、後ずさりをするテファの姿を見て見たいわ・・・

                 アハハハ

    おかしい・・・本当に愉快だわ・・・・早く明日にならないかしら?






    洛山の林先生の実家に行くのを止めて・・・・・

           ソンジェ達は、明日の合流場所のホテルへと

          向かう事にし、車をUターンさせた。


  スンミであるヘジャは、美蘭にホテルに連絡させて、宿泊の

  予約をさせた・・・

     当然、スンミ(ヘジャ)はスイートの部屋を予約するように

     命じた・・・・美蘭や、ユリ達は、近くの民泊にでも

      泊まらせようと思ったが、ソンジェもいるし、更には

      明日はテファ達も来るので、明日は、同じホテルに

      泊まって良いとして、今夜は、ユリの家族・金子瞳、

      スンミは民泊にさせ、ソンジェ・美蘭・運転手のキム

        はスタンダードクラスの

      部屋を取って宿泊させることにした・・・・


   スンミ(=ヘジャ)は、ユリ達は、兎に角、評判の悪い、

   物凄く古くて薄汚い安い民泊にしろと言ったのだった・・・・


    美蘭は、命令に従うしかなかった・・・

    



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    今にも壊れそうな・・・埃のたまった

          安い民泊に案内されたユリ達は、、、

   余りの酷さに・・・愕然とした・・・・



     しかし、親子水入らずで一緒の部屋で、食事をし、

    語らい、瞳がいるものの、四人で一緒に寝る事は

    何だかとても懐かしいような、楽しい気分になって

    来たのだった・・・



  父親は、就寝する前、お茶を飲みながら語りだした・・・


  ユリの父;「お父さんは、今はじっと機会を見計らっているんだ。

         ユリ、済まないな・・・そんな姿になって・・・

         だがな・・・待っていてくれ・・・きっと姜IT会社を

         立て直す・・・そしたら、整形手術をして、元の

         ユリに戻してやるからな・・・・」

  ユリの母親:「ユリちゃん・・・御免ね・・・ママは李家のあの娘が

           凄く怖くて、表面上はハイハイとかペコペコする

          しかなくて・・・・もっと立ち向かって言い返したり

          すれば良かったけど・・・・でもね、あの李ヘジャと

           言う子は、物凄く世の中を憎み、人も憎んでる・・

           お父さんも私も怖くてね・・・私達はどうでも良いの

          でもね、ユリちゃんが、大変な目に遭う・・・そんな気

          がしてね・・・あなたには、まだまだ未来があるのだ

           もの・・・・」

  ユリの父:「瞳ちゃんにも、申し訳なかったね・・・・こんな事になる

         なんて予想もつかなかった・・・・いや、こうなって、

         もしかしたら良かったのかもしれない・・・・」


               「え?・・・良かった???」 

        3人は不思議そうに父親を見つめた・・・・


   ユリの父;「・・・あぁ、、、どこか私の中には、驕りもあった・・・

          欲をかき過ぎて、どんどん強気で海外進出をして

          行った・・・ユリに少しでも財産もつけてやりたかったしな。

          しかし、会社は倒産し、今は1文なしになったが・・・・

          沢山の者たちが、私の再建を望み、今も頑張って姜IT

          会社を離れずに守ってくれている・・・・・

           金が無くなた途端、離れて行った者も多い・・・

           それは仕方がない事かもしれないが・・・

             こうして、家族の温かさや、人の気持ちの温かさが、

           何よりも財産だと言う事を知ったんだ・・・・

           さっき出された食事も、酷い内容の物だったが、私は

          可愛い娘のユリや、愛する妻、、、そして娘の友人の瞳さん

         がいてくれて、楽しかったし・・・何よりの御馳走だと思った

          のだ。こんな楽しい食事は何年振りだろうか・・・・・」

  ユリの母:「・・・・・そうね、、、ママも凄く楽しかったし、今もこうして家族が

         1つの部屋で寝て、こんな風に話をして・・・これが家族だって

         そう思ったの・・・・良かったわ。」

   ユリ;「・・・・ママ・・・・パパ・・・・

          私は、今まで、自分は凄く美人で、お金持ちで、頭もよくて

             何でも手に入る生活をしていたの・・・

        それらのものが全部、今はなくなりつつあるのだけれど・・・・

        私は、テファお兄ちゃんがいなくなったら・・・・

        ううん、きっとこの醜い姿を見たら、お兄ちゃんは私の前から

    去ってしまうと思うの・・・でも、小さい頃から、ずっとずっと・・・・

        ずっとずっとお兄ちゃんが好きで、お兄ちゃんの為に、日本語を

        勉強したり・・・お兄ちゃんと同じ大学に入る為に、猛勉強したり

        ・・・・頑張って来たの・・・・

           お兄ちゃんが、私から離れてしまったら・・・私はもう

          死んでしまいたい・・・・

         ヘジャが、お兄ちゃんをきっと奪うと思うの・・・それだけは


    耐えられないの・・・・ううううううっ〜」ユリは泣きながら訴えた。



ユリの父も母も「・・・・ユリちゃん、元気を出して・・・大丈夫さ、テファはきっと


           ヘジャには振り向かない・・・テファは、良い青年だし、

      物の真価を知っている人間だ・・・・決してヘジャには奪われ無い

            から・・・元気を出しなさい。」と言って慰めた・・・・


 瞳は一呼吸してから「ねぇ・・・ユリちゃん、ヘジャにはきっとテファさんは心を

                  奪われたりはしないと私も思うわ。・・・・

        ・・・・・・でも、テファさんはカノンに心を奪われている

                    から・・・・」

    ユリ:「え?・・・カ・ノ・ン?カノンてあの豆狸???」

   泣き顔を上げながら、ユリは瞳を見た・・・瞳はそうだと、首を縦に振った。

       瞳は、スンミ(=美蘭)やソンジェから聞いた事をユリ達に伝えた・・・

        

              ユリは少し考えて、フフフっと笑いだした・・・・

     

      あり得るかもしれない・・・

        オッパは、いつだってカノンには優しかった・・・・

   オッパは、カノンの事を悪く言うと、少し怒って、ムキにもなったり

               していた・・・・・

   軍隊を終えて日本へとワーキングホリディに出かけてしまい・・・・

        帰国してから、テファは変わった・・・・

               考え方も、好みも・・・話し方も・・・・


   

  それまでは、ユリと同様に、美しい物が好きだったし、

        お金も無いよりはあった方が良いし、

          面倒な事は嫌い、、、見て見ぬふりをしていたし・・・


    完全に「勝ち組」に乗っていた・・・

          しかし、ホンデに復学し、学校生活が始まってからも

     言葉1つにしても、柔らかく

                  優しく・・温かくなったのだ・・・・

    お金にしても、大切に考えるようになったのか?

             豪華で贅沢な事はしないようになった・・・・ 


     ホンデで1番、醜いスンミが苛められていると、

       必ず庇うようになったし・・・・・

                ユリのお願いも、断る事も多くなり・・

       バンドの歌も、歌い方が少し変わった感じがしたのだった・・



   
     
        鈴木カノン・・・・

            彼女とは最初からソリが合わなかった・・・

              彼女を見ているだけでイライラしたのは・・・・

                  きっと・・・・

             オッパの心が・・・・

                     カノンに向けられてしまう事を・・・

             本能的に・・・・

                 感じとっていたのかもしれない・・・



                     そっかぁ〜

                         オッパは

               鈴木カノンと、日本で付き合っていたのか〜


            フフフ〜  豆狸さん・・・・

                          私の負けね・・・

        

 ユリは涙を拭いて、瞳達に「パパ、ママ・・・そして瞳ちゃん・・・

                   私は大丈夫・・・・・

                       鈴木カノン・・・・

                    彼女にだったら素直に負けを

                      認めるわ・・・・・

                         彼女は可愛いし・・・・

                      とても・・・そう・・・・

                          とても良い娘よ・・・・

                        大丈夫・・・・

                        ヘジャになんてオッパは

                        心を奪われたりしないわ。」



             四人は、笑顔で笑い合った・・・・



  


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





   一方、カノン達は、昼食を終えた後、テファが宣戦布告し、

   明日、スンミ達と合流に予定変更になってしまったので、


           牧場に行く事にした・・・・・



    15歳のウンソが、ジュンソ達の家族がアメリカに行って

    しまってから、借金取りに追われて、逃げ込んだのが

    牧場だった・・・・

     そして、大人になって再会し、お互いの愛を確認し、

     周囲に反対され、逃げ込んだのもこの牧場だった・・・


           生まれ変わったら

              「木」になりたい・・・・

           その木も、この牧場にあったのだった・・・




      スンジュ達は、カノンとテファを二人の世界にして

       やろうと言いだし、4人は、割と街並みが華やかな

       商店街で買い物や食べ歩きを楽しむとして、

       二人とは別行動となった・・・・


     「じゃあ、6時にここでおち会おう・・・・」そう言って

      別れた・・・・・・



      カノンの秋の童話の解説は、熱がこもり、

                  加速していった・・・・



   カノン:「オッパ・・・オッパ・・・・


             ここ・・・

                ここがね、ウンソの木・・・


             あ!!!」


   ロケで使われた木を見て見ると、高い場所に、

    ウンソとジュンソの名前が木に彫られて

         いるのが見えた。  



    小さなカノンはピョンピョン跳ねながら指さすと、

    テファはカノンを肩車した。

     テファ:「カノン、良く見えるかな?」

      カノン:「うん・・・良く見えるね・・・わぁ〜

             本当に二人の名前が彫ってあった」



   カノンは喜んでいた・・・・

     テファはバランスを崩し、二人は転がってしまった・・



  テファ:「カノンが凄く重かったから・・・転がっちゃったよ」

   カノン:「え?重かったの?」

   テファ:「うん・・・カノン、太ったんじゃないの?凄く重いよ」

   カノンはビックリしたが、多分、テファが冗談を言っている

   のだと思い「オッパ、情けないねぇ〜カノンの事、重いなん

            て言ってるようじゃあ、まだまだ甘いね・・・

            体力がないと言うか・・・もうアジョシ・・・・

            と言うか、ハラボジだね?」

   テファ;「えぇ・・・ハラボジ?」

   カノン:「うん・・・だって口うるさいし、体力ないし・・・

         カノンを見る目が、孫を見るみたいな目だもん」

             ・・・・と言ってからかった・・・・


  

    ロケで使われた家の中も見せて貰ったりして、

       カノンとテファは楽しい時間を過ごしていた・・・・・




    カノンは帰り際、またあの「木」を振りかえって見た・・・

      また今度、来る事が出来るだろうか・・・・

    
         その時もあの木は、あるだろうか?

            ウンソとジュンソの名前も消えずに

              残っているだろうか・・・・・


    もしあっても、きっと今度は、肩車をして貰っても

        見える事が出来ない位、高い場所に

              あるのだろうか?  



      繋がれた手を見つめて・・・・

          出来たら、またテファとこの場所に、

            二人で来たいと思った・・・・・






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 牧場は山間にあったので、五時になると、もう薄暗く

   なっていた・・・
   

   少し冷え込んでも居た・・・

  テファは、隠れるのに使った毛布を出し、助手席の

   カノンにかけてやった・・・・


     カノンは、昼間のテファの言った言葉・・・

       カノンは「妹」と言う言葉を思い出した・・・・


          そうだ・・・・


          私は、オッパの妹だった・・・

             妹は、自分であるカノンが望んだ

          お気に入りのポジションだった・・・

    日本にテファがいる時、カノンは何度も

          「妹」が良いと言っていたからだ・・・


   「妹」ならば、バイバイが無いからだ・・・・

       どんなに喧嘩しても・・・・

         どんな事があっても・・・・・


   我儘だな・・・カノンはフト、自分に言い聞かせた・・・

   あんなに望んで気に入っていたポジションなのに・・・

    いざ、そうなると悲しくて切ない気持ちになっていた・・・




    カノンはもう一度、テファの気持ちを確かめてみたくなった。


 カノン:「オッパ・・・1つ質問しても良い?」

            運転するテファに聞いてみた。

 テファは「うん?何?」と聞いた・・・・

 カノン:「良く、オッパが、話してくれる、日本に居た時の女の子・・・

       その女の子は、オッパの彼女ですか?」

  テファ:「・・・ん〜、、、難しいな・・・彼女では無いよ・・・うん・・・

        妹って感じかな・・・」

         「妹・・・妹かぁ〜」カノンは、ニッコリして言った・・・

       やっぱり、私は妹だったんだ・・・日本に居た時も・・・

          今も・・・ずっとそのポジションは変わらず

              「妹」だったんだ・・・・・

           カノンは、今度は少し割り切れたのかお昼の

           時ほどショックでは無かった・・・・・


   テファは、カノンに質問されて・・・どう答えて良いのか迷った

   のだった・・・

     記憶の無いカノンに、日本でカノンとは付き合っていて、

     そのカノンとは恋人だったと言ったら、今、ここにいる

     カノンは悲しい気持ちになるだろうからだ・・・更に恋人

     と言う者がいながら、こうしてカノンと旅行する事、自体

     変な感じもするからだ・・・・

      かと言って、昼間は、スンミ達の魔の手からカノンを

      防衛するためには、今、ここに居るカノンを恋人だとか

      彼女だと言うのも変だし、ヘジャやユリ達の逆鱗に触れ

      てしまうから、敢えて「妹」と言ったまでだった・・・

       カノンが誤解していないと良いけれど?そう、テファは

      願っていたが・・・・・カノンは満面の笑顔だったので、

      きっと大丈夫だとテファは思っていたのだった・・・・





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    約束の時間にテファとカノンは行くと、

     四人は遅い・遅いと言っていた・・・・

     そして自分達も、牧場に行けば良かったと言っていた・・・


   田舎町なので、見る場所も少なく、、、男たちは釣り堀を始めて

    しまい・・・ヒロミとアヤは取り残されて、仕方ないから

    コーヒーショップを探したが、どこにも無かった・・・・

    田舎は、時々、来てノンビリするのは良いけれど・・・・

     生活するには不便で大変だと言っていた・・・・



   与えられた環境は、何日か過ごせば、人は適応して行くのだろうが

   長年、培われたものがガラリと変わってしまうと、人は戸惑ったり

    辛くなるものだと思った・・・・


    カノンは、テファを見つめながら・・・少し反省をした・・・

     テファが、日本に居た時、自分はテファに常に優しかったり

     しただろうか?・・・・

       いつもテファの事を大切に考えて、手助けをして

        上げただろうか?

               答えはNOだった・・・

       自分の我儘な意見を押し付けたり・・・・・

          助けるどころか困らせたりしてばかりだった・・・


        オッパは、知らない言葉や環境、人の中で、

          一人で頑張っていたのだ・・・・・


         それでも常に楽しく元気に過ごしていた・・・

          オッパは、強くて・・・頼もしくて・・・

            本当に、カノンにとっては、

           手の届かない人なのかもしれなかった・・・







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四人は、ホテルで食事を戻ってする事にして、

      一応、八時〜食事が、部屋のテラスで出来るようにと

      予約を入れて、車を走らせた・・・・・



  

    もう逃げる必要は無いし、隠れる事もなく、

     開き直って、楽しく過ごそう・・・
 
         時間は貴重だから・・・っとした。


   帰りの車の運転はテファの番で、助手席はカノンが

   座った・・・テファは、ソテジの歌を口ずさんでいた・・・・

   カノンも、ソテジの曲について詳しくなり・・・

     今まではそんなに好きでも嫌いでもなかったが、

    テファが好きなソテジに理解を示すようになってから、

    少しずつ、ソテジが好きになっていた・・・・



     アヤもヒロミも、テファはやっぱりホンデの華麗なる

      学生であり・・・

       パランファの華やかなボーカル・・・

                 美しい青年だと思った・・・・・ 




  
  ホテルに戻ると、食事となり、六人は同じテラスのテーブルで

  食事を楽しんだ・・・・


   六人部屋も四人部屋もなかったので、二人ずつの部屋を

   3つ取る事になり、それぞれのカップルで泊まる事になった。



     食事が終わると、男たちは、ビールを飲み始め、

     女たちは、離れた場所の、芝生の上に腰掛けて、

     夜空を見上げながら、お喋りに花を咲かせた・・・


  アヤ:「カノン・・・もう記憶が戻った事、言ったの?」

  カノン:「・・・ううん、言って無い・・・・」

  ヒロミ:「言った方が良いよ・・・明日は海辺のホテルでしょう?

       しかもスンミ達と合流だし・・・・何か怖いね?」

 カノン:「・・・私も怖いけど・・・でもオッパがいたら怖くない・・・

         オッパは、私をいつだって元気に照らしてくれる

               そう・・・

                   太陽みたいな存在だから・・」

 


ヒロミ:「太陽?」



カノン:「うん・・・太陽・・・

           いつも元気で、強くて・・・暖かくて・・・・


              人や草木やお花、動物・・・あらゆるものに

        光と温かさを与えて、エネルギーを平等にふり注ぐ


         ・・・・・・・・私は時々、そんなオッパが眩しくて

                 見えない事もあるもん・・・

                    太陽って凄いよね・・・」



  アヤ:「・・・太陽か・・・何かそんな感じがするね・・・

         キラキラしてるし・・・

            何か存在感もあるし・・・

             自分と言うものをシッカリ持ってるし

                強い感じもするもの・・・」


 ヒロミ:「そんな、テファと、カノンはどうやって知り合ったの?」



    カノンはクスクスと笑いながら、出会った時の事や、、、

               これまでの事を語りだした・・・・
  



  アヤ:「・・・あ〜あ、、、何か残念だな・・・」

   話を聞いて、アヤはガッカリしながら呟いた・・・・

    カノンは「え?ガッカリって?」と不思議そうに

         聞くと、ヒロミがアヤの代弁をした・・・

  ヒロミ;「アヤはね、カノンとソンジェさんが上手くいって

       欲しいとずっと思ってたからね・・・・

       だから・・・ガッカリしてるのよ・・・」



 カノンは「・・・オッパちゃん・・・ソンジェお兄ちゃんは、

         優しくて・・・テファオッパが太陽なら・・・

       ソンジェお兄ちゃんは・・・・・

          そう・・・

          あのお月さまみたいな・・・・

               月と言う感じがする・・・

         優しくて、チョット寂しそうで・・・・・

      いつも地球の周りを回って・・・・・

        地球上の人や物や、草木花・・、動物達

        の事を心配そうに見守ってる・・・・

       月は一人でも大丈夫だけど、二人ならもっと

       元気になる・・・そんな感じが似ている・・・


       オッパちゃんは・・・ソンジェお兄ちゃんは、

       強さよりも、繊細で、美しいメロディが似合う

       芸術家そのものだと思う・・・・

       ずっと一緒にいるなら、ソンジェお兄ちゃんは

       凄く良いパートナーだと思うな・・・・」


  カノンは月を眺めながら、そう言った・・・・・


    太陽と月・・・朝と夜・・・黄色と蒼色・・・・

        全てが背中合わせな存在・・・・



  
       カノン・・・
  
           カノン・・・

               だって僕らは家族だろう?



         オッパちゃんの声が、聴こえた気がして、

         カノンはきょろきょろとした・・・・


                変なの・・・・


       今までは、ずっとテファオッパの

              声が聞こえていたのに・・・


         今度は、

             ソンジェの声が聴こえた気がした・・


  
           オッパちゃん・・・・

               御免ね・・・

           カノンは、今はテファオッパしか

              見えないです・・・・・


          テファオッパの事で、頭の中が一杯です・・・






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    飲み物が足りなくなって、カノンは、

      フロントの自動販売機で買ってくるとして、

         立ちあがって走り出した・・・・・



   フロントに行くと、見覚えのあるスラリとした美しい

    青年が立っていた・・・・


    カノンに気が付くと、カノンに歩み寄った・・・・


    「カノン・・・久しぶり・・・」

        努めて明るくソンジェはカノンに声をかけた。

        ジュースの缶が一つ転がった・・・


   ソンジェはそれを拾って、「カノン、チョットいい?」と

    言った・・・

      カノンはうんと頷いて、ソンジェの後ろについて

       行った・・・・


    ロビーのソファに腰掛けて・・・・

       ソンジェは下を向いているカノンを見て、

          笑いだした・・・・


  ソンジェ:「カノン・・・僕らは家族だろう?

           喧嘩もするし、言いたい事も裏表なく

              話しもする・・・だって家族だからね。


          僕は何とも思って無いよ・・・

        カノンにだって事情はあるし・・・

          カノンは自分の夏休みを楽しんでいるんだ

        から、誰の遠慮もいらないしね・・・・・

        カノンは、テファが好きなんだろう?
 
         そしてこの旅行を凄く楽しんでいて、邪魔され

         たくない気分だったんだろう?」

  カノン:「・・・・オッパちゃん・・・」


      ソンジェ:「・・・ハハハ・・・やっぱり・・・

                 カノンの考えてる事は、

                   僕は何でも分かるよ・・・

              大丈夫・・・

              きっと僕がカノンが心配しないで済む

            ようにして上げるよ・・・・

               カノン、だから僕は、大変な事が

            起こらないように、どうしても先にカノンに

            会っておきたかったんだ・・・

            カノン・・・心配するな・・・・

            スンミの事も、ヘジャの事も・・・・・・

             明日は、怖がることはないんだ・・・

             いいかい?いつも元気で笑顔でいて

              いいんだよ・・・分かった?


             それだけ伝えたかっただけだよ。お休み。」




     カノンは、一言も伝えられずに、ソンジェの後ろ姿を

      見送った・・・・・オッパちゃん・・・御免ね・・・

                そして、有難う・・・・






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