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作品名:潮風のセレナーデ・・・会いたい気持ち・・・ 作者:HAPPYソフィア

第29回   大好きが止まらない・・・手と手の温もり・・・





  「お願いだから、出て!カノン!!」

 そう呟きながら、アヤはカノンに電話とメールをしていた。

 しかし、カノンは、今、目の前にある、楽しさと・嬉しさで、

 周囲がどんな状況になっているかも分からずに、テファとの

 愛の逃避行を?楽しんでいたのだった・・・・


 ホテルのテラスで、カノンはスイカを食べながら、テファに

  話しかけた。


  「オッパ、、、韓国の人はスイカ=スバが好きなの?」


 テファ:「え?!・・・どうして?」

 カノン:「だって、ドラマや、映画で、良くスイカが出て来る事が

      多いです。私の好きな映画に、ラブレター=クラッシッ
  
      クって言うのとか、八月のクリスマスって言うのがある

      んだけど、、、その映画にもスイカが出て来て・・・

      重要なポイントを占めてた感じがしたんだけれど?」

  テファは、真剣に、スイカを見つめながら話す、カノンの顔が

  面白くて、声を上げて笑いだしていた・・・・

  テファ:「カノン、、、どうしてそんなに面白いの?スイカが何で

       重要なポイントなの?」

  カノン:「・・・うん、何となく、、、楽しい時間を思い出した時、

       主人公が、笑顔で、スイカを食べているのね・・・・

       お話の結末が、悲しかったけれど、それでも何か、

       毎年、夏が来ると、何となくスイカを楽しそうに食

       べてた大好きな人を思い出すって感じで・・・

        スイカのシーンがなかったら、その二つの映画は

        ギュッてしまらない感じがしたのね・・・だから・・・」

  テファ:「ふ〜ん、そんなものかな?カノンは、スイカが好き

       なの?」

  カノン:「うん、、、割と好きです・・・美味しいし・・・それに

       私は夏の季節が大好きです・・・お日様の温かさが

       何か好きです・・・それに私の大好きなお兄ちゃんの

       お誕生日が夏だから・・・」

  テファは、え?っと思った・・・確かカノンのお兄さんは、秋生

  まれ・・・弟も新緑が綺麗な春生まれだった・・・なので夏生

  まれは・・・・僕だ・・・僕の事を言ってるの??っと思ったが

  まさか、カノンが記憶を取り戻している訳が無いと思った。

  テファは素知らぬ顔で、また「ふ〜ん」と言って笑った・・・・

  

   するとカノンの布バックから光っている物が目についた・・・

  テファ:「カノン、何か光ってるよ・・・携帯じゃない?」

  カノンは慌てて、カバンの中から、携帯を取りだした。

  カノン:「・・あっ、本当だぁ。携帯だった・・・アヤちゃんから、

       何度もかかってたみたい・・・」と言っている傍から、

 またアヤから、電話がかかって来た。

 カノン:「もしもし・・」

 アヤ:「あっ、カノン?カノンなの?」

 カノン:「うん・・・カノンです」

 アヤ:「よかったぁ!!!!やっと出てくれたわ。」

 カノン:「・・・アヤちゃん、御免ね、、なかなか出られなくて・・・」

 アヤ:「・・・ううん、、、出てくれてよかったわ〜もう半泣き状態

     だったのよ〜・・・・カノン・・・実は大変な事が起こってる

     の・・・・」

  カノン:「え?・・・大変な・・・事??」

   カノンは、フト、スンミやヘジャの事が頭をよぎった・・・

    もしかしたら、このテファとの旅行の事がバレテしまったの

    だろうか?・・・・心臓がバクバクして来た・・・・


  アヤ:「・・・うん、大変な事・・・今、私達も江原道に向かってる

       所なの・・・着いたら、カノン達に合流できるかな?

       詳しくは、会った時に話すわ・・・兎に角、一刻も早く、

       カノンに会いたいの・・・出来る?」

  

カノンは、慌てて話すアヤの声を聞いて益々、凄く怖くなった・・・

   テファの顔を見つめると、テファは、優しくカノンの電話を

   見守って聞いていた・・・

  アヤは、今、トンスやスンジュ、ヒロミと4人で、トンスの車で

  江原道へと向かっていると告げた。

テファは、カノンに、電話を貸してと言って、

カノンの携帯を受け取ると、スンジュに代わって貰えるかを

聞いた。

アヤは、自分の携帯をスンジュに渡した。


  テファ:「スンジュ、テファです。今、僕とカノンは、秋の童話と言う

       ドラマのロケ地になった江原道の山の中にあるリゾート

       ホテルに泊まってるんだ・・・明日もう1泊、

       このホテルに泊まってから、今度は牧場の

       あるプチホテルに1泊し、更に海のあるホテルに

       2泊して、帰る予定なんだ。

          その間に、会えるだろうか?

                  一体、何があったんだ?」

  

  スンジュは、実は、、、っと話そうとしたが、やはり会ってから話を

  したいと言った・・・ただ、大変な事が起こっていて、恐らく、スンミ

  や、ヘジャ、ユリなど、沢山の人が、二人めがけて、江原道に向か

  っているような気がするので、十分、気をつけて欲しいと言った。

  テファは、何となく事の重大さが分かり、忠告、有難うと言った。

  そして、宿泊しているホテルの住所や電話番号などを伝えた。

  スンジュは出来れば、明日、合流出来れば良いとした。

  テファも賛成だった。夕方、ホテルで会おうと言った。


  テファ:「スンジュ、君たちはどこに泊まるんだい?」

  スンジュ:「未だ決まって無いけど?民泊とかになるかもな?」

  テファ:「じゃあ、ここのホテルに一緒に泊まらないか?

        予約しておくよ。4人部屋で良いか?」

  スンジュ:「あぁ・・・助かるよ・・・じゃあ、予約頼むよ」

  テファ:「分かった・・・じゃあ、ホテルで会おう。」

      会う約束を交わし、電話を切った・・・

   

    心配そうに見つめるカノンに不安を与えてはいけないと思い

     テファは努めて明るく「カノン、明日、皆がこのホテルに

     泊まるって・・・何でも夏休みが皆、家族で過ごせなくて、

     つまらないみたいで、四人で江原道にでも行こうかって

     なったんだって・・・」と言った。

 カノン:「え?でも・・・何か大変な事って言ってたから・・・」

 テファ:「カノン・・・皆が来るのが大変な事みたいだよ・・・ハハハ〜

      僕らの邪魔をすることになるからね?ハハハ」

  カノン:「え?それが・・・大変な事だったの?」

 テファ:「・・・あぁ、そうさ・・・大変な事さ・・・僕はずっとカノンと二人の

       方が楽しいけれどね?」

  カノン:「え?_本当?」

  テファ:「あぁ・・・だってこんなに面白いカノンを独り占めしているん

       だからね・・・カノンは僕のコメディアンだから・・・」

   カノン:「えぇ〜カノンはいつも真面目だし、面白くないモン」

   テファ:「ハハハ〜面白いよ・・・」

   カノン:「何かね、何かね、、空しい・・」

   テファ;「どうして?」

   カノン:「だって・・・普通はね、面白いじゃなくて、可愛いねとか、

        楽しく幸せな気持ちになるねとかって言われるなら、格好

        良い感じがするけど・・・・???」

   テファ:「ハハハ〜、カノンはナルシストだね?」

   カノン:「えぇ・・・ナルシストはオッパだよ〜カノンじゃないよ〜」と

       言って頬っぺたをリスの様に膨らませた・・・

   テファは益々、面白くてお腹を抱えて笑っていた・・・

   テファ:「ハハハ・・・本当に面白いね・・・さて、カノン、明日は皆にも

        会うし、その前に海にもチョット行ってみるから、早く休もう、

        もうこんな時間だし・・・」と言って壁の時計を見た・・・

    
      時計は夜10時を回ろうとしていたのだった・・・・

            カノンはハイと言って、テファの言葉に従う事にした。

       どんなに怖い事が起ころうとしても、テファが居れば、カノンは

       いつだって安心していられるし・・・テファと一緒なら、世界中が

       敵でも大丈夫だと思えるくらい・・・テファがカノンは好きだった。


    カノンは、フト、ソンジェの事を思い出した・・・オッパちゃんも

     心配しているかな?  明日、電話してみようかな?・・・・

    オッパちゃんには悲しい思いや心配とか、かけさせては行けないと

    カノンは強く思っていたからだ・・・・
      
     こんな月夜で星が美しい夜は、何故かソンジェの事を思い出す

       カノンだった・・・・・



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  ヒロミ:「ねぇ、カノンは元気だった?」

  アヤ:「・・・多分、大好きなテファと一緒に居られて、物凄く楽しいんだと

      思うよ・・・私達の事なんてスッカリ忘れてるみたいだったもの・・」

  ヒロミ:「何も知らない方が幸せなのかも?」

  トンス:「でもさ、昼間、ゼミョンが電話で言ってた事が気になってさ・・・

        李家の家族や、姜の家族総出で、カノンちゃんとテファを追っ

       てるって・・・もうテファとカノンちゃんが一緒に旅行しているって

       事がバレてるって・・・」

  アヤ:「ねぇ・・・何でカノンがテファと一緒だと分かったのかしら?」

 ヒロミ:「二人が付き合ってる事も何で知ったのかしら?」

  アヤ:「  ソンジェさんがそんな事を言う訳はないし・・・むしろソンジェ

      さんはカノンの味方だし・・・」

 トンス;「スンミかな?・・・彼女は、自分が気に入った人間はストーカーでも

      何でもするからな・・・特にスンミはテファが好きだからな・・・」

 スンジュ:「ユリもテファが好きだし・・・ヘジャも、もしかしたら・・・」

  アヤ:「もしかしたら?って?何よ?」

 スンジュ:「ん?あぁ・・・ヘジャは、姜ユリとは敵対関係だから、ユリの

        物は全部、奪うんじゃないか?もう奪ってるけど・・・」

  トンス:「 先ず、財産・・・学力・・・地位・・・容姿・・・

そして次は・・・」





         鄭 テファ・・・・テファだ!!

  
            四人はテファと言う事を知った・・・・

  ヒロミ:「トンス・・・車、急いでよ・・・一刻も早く、カノン達と合流して

       二人を守るのよ・・・皆で、一緒に来ているって知れば、

       スンミにしろ、ヘジャ・ユリにしろ少しは安心するでしょう?」

  アヤ:「そうよ・・・早く、早く!」

  トンス:「大丈夫さ・・・奴らは、出発は、明日だと言ってたみたいだ。

       ユリが入院していた病院で看護婦している叔母さんに聞いた

       から・・・確かな情報だよ。ゼミョンも確か同じ事を言ってたし・・

        兎に角、明日の夜には合流としたけど、朝には会う事に

       しようぜ。」

   
  アヤ:「私・・・ソンジェさんに、協力を頼もうと思うの・・・」

   
  ヒロミ:「え?何、馬鹿な事を言いだすのよ・・・ソンジェさんだって李家の

       人よ・・・しかもカノンの事が好きかもしれないじゃない・・・」

  アヤ:「・・・だからこそ言うのよ・・・・ソンジェさんは、大人だし・・・・

       私は、ソンジェさんとカノンに上手くいって欲しい・・・そう今でも

       思ってるの・・・何だか、恐ろしい事が起こりそうだし・・・・

        テファとカノンが上手くは行かない感じもするの・・・」

  ヒロミ:「・・・・アヤ、、あんたは占い師?・・・違うでしょう?どうなるかは



       分からないけれど・・・兎に角、カノンが危ない・・・そんな気がする



    のね・・・・ユリやスンミ、そして私達の知らないヘジャと言う李家の

       本当の娘・・・とてつもなく恐ろしい感じがするのよ・・・」

  スンジュ:「あぁ、俺もそう思う・・・俺達も何か恐ろしい渦に巻き込まれて

       行きそうで・・・・だけど・・・俺たちは、ヒロミとアヤの事、全力で



       守るからな・・・・

同じ位、恐らくテファもカノンを守るだろう・・・」




                四人は顔を見合わせて笑った・・・・



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     次の日、朝から快晴だった・・・・

          今日はテファの方が早起きをした。

       すると、シッカリ、背中にしがみついて眠っているカノンがいて

        テファは、可笑しくて笑いだしそうになった・・・

       スヤスヤとカノンの寝息が聞こえた・・・

         テファは、もう少し、このままでいようか?

      それともカノンを起こして、早々に食事を済ませて出かけようか?

       と考えていた。

  

        昨日のスンジュの言葉を思い出した・・・

           李家や姜家の者たちが、皆、こちらに向かっている・・・

             当然、自分とカノンが一緒で、旅している事も、かつて

          二人は付き合っていた事も、バレテいる・・・そう思った。

         
          「先手必勝で行くか?・・・・それとも最後までしらを切って、



           見つからないように、旅行をして、帰るか?・・・・

      てどうしようかな?・・・」寝がえりをするフリをして、テファは

           カノンの顔を覗き込んだ・・・

           そして、腕枕をしてやった・・・

       カノンは、ムニャムニャとしながら「スイカ」とか、「アイス」とか

            食べ物の名前を寝言で言っていた・・・


       テファはそれを聞いて吹きだしてしまった・・・

   カノンは「うぅん〜」っと言いながら、目を覚ますと、テファの顔が目の前に

       大きく映ってビックリして飛び起きた・・・・


    テファ:「おはよう、カノン!」

          カノン:「・・・・オッパ?・・・おはよう・・・ちゃんです」




      テファ;「カノン、寝言を一杯言ってたよ・・・」

          カノン:「え?本当?」

      テファ:「・・うん、鄭テファは素晴らしい・・・世界一格好良い・・・



      スズキカノンは、今、ラーメン食べたい・・・スイカが食べたい・・

            アイスやお餅も大好きだって・・・」

         カノン:「えぇ・・・・何か、食いしん坊な寝言を言ってたの?

       ・・・・・それに何で鄭テファは素晴らしい?とか世界一格好

                良いって言ってたの?SEへENよりも?」

 テファ:「ハハハ〜、冗談だよ・・・でもさ、スイカとかアイスって言ったのは

  本当だよ・・・昨日、スイカ食べて、スイカの話をしたからかもね?」


              と言って、 テファは笑った・・・・



   テファ:「・・・さて、今日は早めに出かけよう。海に行って、カノンの約束を



              して貰わないとね・・・」


   テファは笑いながら、シャワーを浴びに、浴室へと向かって行った・・・・


   カノンは、からかわれたので「オッパ、カノンも、一緒に入る」と冗談で言って


 
   みた・・・テファはビックリして、戸惑った・・・・

  カノン:「仕返し・・・だってカノンのこと、からかったから・・・」と言って

           舌を出した・・・

 
     


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    朝食を取りにホテルのレストランに行くと、見覚えのある

     人達がいた・・・・





       アヤ・ヒロミ・トンス・スンジュの4人だった・・・・

        楽しそうに朝食をとっていた・・・・

        ヒロミが、テファとカノンに気が付き、手を振って呼んだ。


   

       ヒロミ:「カノン・・・オッハ!!」

  
    カノンはビックリして瞳を真ん丸にした・・・・


  テファ:「みんな・・・凄く早い合流じゃないか・・・」と言いながら、

 

      事の重大さを感じ・・・緊張した顔を見せた・・・

  


テファは「じゃあ、積もる話もあるんで・・・女は女同士、、

        男は男同士で、チョット、食事をしても良いかな?

        お疲れの所、悪いけど?・・・カノンも、それで良い?」

   カノン:「・・・うん、それでいい・・・」と言って笑った・・・





    ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



  ヒロミ:「カノン、凄く、元気そうだね?」

  アヤ:「本当・・・ついこの前、学校で会ってたのに・・・

       久しぶりって感じがするけど・・・カノンが何か

       物凄く楽しそうにしているんで、良かった・・・・

       うちらも、夏休みを彼氏と過ごせて、かなり嬉しいんだ。」

  カノン:「えへへ・・・私もオッパと一緒だから、超楽しいし、幸せ

        です・・・オッパと夏の季節を韓国で過ごせるなんて、、、

       絶対に忘れられない夏になりそうだし・・・毎日が本当に

        楽しくて、あっと言う間に過ぎちゃうから・・・ちょっとSTOP

       をかけたいです・・・このまま時間が止まればいいなって・・・」


  ヒロミ:「ハイハイ・・・それよりカノン、朝食はビッフェだから、食べる

       物、とって来なよ。」

  アヤ:「あっ、あたしもお代りに行くわ。」

  カノンは「うん」と言って、アヤと一緒に食べるものを取って、席についた。

  フト、ちょっと離れた席の男性陣を見ると、何やら深刻な話をしている

  みたいだった。カノンは、ハッとして、もう一度、ビッフェに行き、お皿に

   沢山のものをのせて、テファに持って行った・・・

   テファはクスクスと笑いながら「有難う」と言った・・・・

  カノンは笑顔で、自分の席に戻った・・・・

  ヒロミ:「カノンは、相変わらず、可愛いね・・・」

   アヤ:「うん・・・うちらなんて、トンスやスンジュになんて、食べ物を

       よそって持って行かなかったもの・・・」

   カノン:「えへへ〜だって、オッパ、あのままじゃあ、何も食べない感じ

        がするくらい、深刻な顔して話してたから・・・・」


    アヤ:「・・・あっ、テファが、カノンのよそった食べ物を、楽しそうに

         食べてるよ・・・」

        
        カノンは、本当だと思って嬉しそうに眺めた・・・

           そしてカノンは「ねぇ・・・昨日の電話で、気になった

                    んだけど・・・・大変な事って何?」

    ヒロミ:「うっ・・・うん・・・大したことないかも?」とモゴモゴして

        言い辛そうだったのをカノンはすかさず「だって・・・

        何回も電話がアヤからあったし・・・今日は夜に会う筈

        なのに、今、会ってるって事は、相当、大変な事があった

        んでしょう?何があったの?」っと心配そうにカノンは

       聞いた・・・

 アヤもヒロミも互いに顔を見合わせて・・・もはや隠さずにキチンと

 話すべきだとして、ヒロミが、口を開いた・・・・

  カノンは、話を聞くうちに、顔がドンドンと青ざめていった・・・・






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


  

  テファ:「・・・そうか・・・

         じゃあ、ユリや、スンミ達が、この江原道に向かっていて

        僕やカノンを探しているって事なんだ・・・・

         ユリは、家が倒産し、事故に遭い、顔が変わってしまった

        のかい?・・・・可哀想に・・・・今は、大丈夫なんだろうか?」


  ユリの事を一番よく知っているのはテファだったからだ・・・・

  プライドの高いユリの事だから、、財産も、学力も、地位や容姿も

  奪われてしまったら・・・発狂してしまうだろう・・・・

  恐らく、僕に救いを求めて来るだろう・・・そうテファは思った・・・

  スンミは、僕に対して、いつも愛情を注ぐ視線を送って来る・・・

  ナルシストかもしれないが、僕の事が好きなのだろう・・・

   では、まだ会ったことも無いヘジャは?・・・

       ヘジャはカノンに会いに来るのだろうか?

             何のために?

      兄であるソンジェは、カノンが目的で来るのは分かる・・・

      ソンジェはカノンが好きだと言うのが分かるからだ・・・


  テファが考え込んでいると、スンジュが「なぁ、テファ・・・俺達、考え

   たんだが、このまま、奴らに見つかったとして、奴らには、俺達

   皆で、江原道に来ているって事にしたらどうだろうか?そうすれ

  ば、ユリやスンミの怒りにも触れないだろうし・・・ 」


  テファは、首を横にふった・・・・「恐ろしく、頭の回転が速いから、、、

   その場しのぎの言葉で、逃げ切っても、真実が分かったら・・・

   返って逆上させてしまうだろうし・・・」と言った・・・

  トンス:「でも、二人で行動するのは危険だ・・・出来たら、俺たちと

        団体で行動しようぜ・・・向こうも沢山の人数だし・・・・

        ・・・だけど、危険と感じたら、別行動にして二人を俺らが

        逃がすから、、、そしたらサッサとソウルに戻った方が

        良いかもしれないぜ・・・良いか?君が思うほど、奴らは

        甘くは無い・・・・特に・・・特に李ヘジャが、一番怖いんだ」

  
  テファ:「・・・・え?何だって?どうして李ヘジャが怖いんだい?」


  スンジュもトンスも、何故かはわからないが、一番の恐ろしさは

  ユリでもスンミでもなく、、、、李ヘジャだと言った・・・・

  テファは不可解と思いながらも・・・それでもトンスやスンジュの

   一緒に行動しよう、そしていよいよ危険となったら逃がしてくれる

   と言う言葉を聞いて、心が温かくなった・・・


  テファ:「・・・有難う、、、」そう二人に言った・・・・






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   朝食が終わり、皆で、海に行く事になった・・・・

       そう、秋の童話で、兄のジュンソとウンソが、

    遊んだ場所・・・そして再会した場所・・・・

    想い出が沢山、詰まっている場所だった・・・・・



   車は、ホテルのワゴン車を借りて、皆で乗り込んで

   行くことにした・・・・

    運転は男性陣が交代で行く事にしたが、サングラス

    をかけ、頭には目立たない色のバンダナを巻いて

    髪型を変装させて行く事にした・・・・

    テファの運転は、帰りの、夜になってからの時間とした。


    助手席には誰も乗せず、兎に角、直ぐに隠れる事が

    出来るように座った・・・・

             それでも、

     カノンは、ウキウキしながら、テファに、秋の童話の

      シーンを楽しそうに話していた・・・・



車は一路、海を目指して走っていた・・・・

            小1時間も走っていた時だった・・・


     すると、視力の良いアヤが「ねぇ、みんな、伏せて!」

                     っと言った・・・


     対抗車線から、スンミらしき女の子を乗せた車が、来る

     と言うのだった・・・・


     皆は、暫く、伏せてホテルから持って来た毛布をかぶった。


          カノンはテファと一緒に毛布をかぶった・・・


       テファに抱き寄せられて物凄く近くでテファを感じた

     カノンは急に恥ずかしくなって真っ赤になってしまった・・・

       テファは、そんなカノンにも気がつかず、「シッ」っと

      カノンに言って、車が通過するのを静かに待った・・・・

         しかし、カノンにとっては、幸せな時間でもあった。


 


        運転していたトンスが「もう大丈夫だ・・」っと言った。

        無理な体勢でいたので、皆は、アイタタタと言いながら

          毛布を上げた・・・・・



    トンス:「アヤ、凄いぞ・・・良く分かったな・・・」


    アヤ:「だってスンミは体格も大きいし、あの顔は目立つもの・・・」


    トンス:「車が3台、連なって、反対側に向かってたぜ・・・恐らく

          洛山に向かっているんだろうな・・・林先生の実家

          の方向だから・・・・」

     スンジュ:「俺たちが見つかるのも、時間の問題かもしれないぜ。

           ・・・・まさかこんなに早く、こっちに来ているなんて考え

           もつかなかったぜ・・・・」


     ヒロミ:「ねぇ、テファさん、あなたの車のNOとかって、ユリさんは

          知っているの?」

     テファ:「・・・・あぁ、、、多分知っている筈さ・・・でもユリは一度も



           乗せた事は無いよ・・・ユリは乗りたがっていたけどね

           ・・・・」


   幸いに、ホテルの人達に、車の事は口止めしておいた・・・

    テファは、女優の姉、鄭アミンの弟だと言う事を明かし、この車は昔、

   姉の使っていたものだから、人に知れると大変なので・・・とも伝えた。

   ホテルの支配人も、従業員も、姉の演技や姉のファンらしく、快く協力

   してくれると言った・・・・その代わり、必ず、このホテルでドラマや旅の

   レポーターなどの仕事か、宿泊を姉にさせると約束した・・・・


           大丈夫だ・・・車は、このホテルを離れる時までは、

           個別の駐車場に眠らせておけばいい・・・そう思った。




  テファは不安がっているカノンを心配し、「カノン、ほら見てごらん」

   と言って、窓の外を指さした・・・・・




      キラキラと輝く真っ青な海が広がっていた・・・


   カノン:「わあ!!!」

    カノンは生まれも育ちも海のある港町である横浜だった・・・

    なので、海のある町や景色が大好きだった・・・・

    カノンは窓に顔をひっつけて、外を眺めた・・・・


    テファは笑いながら「さて・・・カノン、、、約束を守って貰

                わないとね?」と言った・・・

  カノンは、任せておいてっと言って、どんと胸を叩いた・・・

     

 
        


  −−−−−−−−−−−−−−−−−−−






    夏の海は、人で一杯のイメージだったが、、、

  ここは田舎だからか?又は、昼間の太陽がいてつくからか?

  余り人がいなかった・・・・・

   アヤ達、四人は水着を持って来ていた様子で、ホテルから

   着て来たらしい・・・いきなり水着になって、海で泳ぎ始めた・・

  
  カノンとテファは、水着は持って来ていなかったので、二人だけ

  取り残された気分だった・・・・・


   それでも二人は笑顔だった。


   カノンは、ふと、この旅の終わりと帰国と言う事を思い浮かべた。


   楽しい事って、どうしてあっと言う間に過ぎちゃうんだろう・・・・

       どうしてもう帰国なんだろう・・・・

     

    オッパ・・・オッパとは、もう暫く???暫くってどれくらい???

           お別れになっちゃうのかな??

   カノンは急に寂しい気持ちになった・・・

     ペンダントをギュッと握りしめてみたが、ペンダントは輝きすらも

        不思議な事に放ってはいなかった・・・・



     テファは、何かを思い出し、少し離れた所から、ある物を、

     ポケットから取り出した・・・・


        そして・・・「カノン・・・カノン」とカノンの名前を呼んだ・・・




   カノンは顔を上げて、テファを見ると、テファは、シャボン玉を吹いていた。


   一つ・・・二つ・・・三つ・・・・・・

         沢山のシャボン玉が、ふわふわと空を舞った。 




  カノンは、日本に居た時、テファとの別れの時を思い出してしまった・・・

   しかし、記憶が戻った事などを伝えたりしてはいけないと、心にブレーキ

   がかかった・・・・


                「オッパ・・・・オッパ・・・」


     今度は、カノンがテファを呼んだ・・・・


    テファ:「カノン、ほらこのシャボン玉・・・キラキラして綺麗だろう?

          掴もうとしたり、手に入れようとすると直ぐ壊れてしまう

           ・・・きっと想い出も、人の記憶も、シャボン玉みたいに

         脆くて壊れてしまうのかも?しれないね・・・・

         カノン、この夏、韓国に来てどうだった?

           楽しかったかい?

                想い出を沢山、作れたかい?

                    韓国に来て良かったかい?


             カノン、僕は、カノンが韓国に来てくれて、

               凄く嬉しかったし、楽しかったよ。

                壊れてしまったら、又新しく作れば良いし

            寂しかったり、悲しむ必要は全くないよ・・・

           いつも笑顔で、元気でいよう。そして、又必ず

            どこかで会おう!!約束だよ。」と言って笑った。


  カノンは、うんうんと何度も頷いて笑った・・・・・

     そう、悲しくなんて無い・・・私達には永遠に続く

          道があるんだと、その時、カノンは思っていた・・・





ーーーーーーーーーーーー





    カノンは涙を拭いて、元気よく「オッパ、約束のオンブします」

    と言って立ちあがり、テファのもとに駆け寄った・・・・


     テファは「ようし・・・じゃあ、約束のオンブ、やって貰うよ」と

     言って、素直におぶさった・・・・

     カノンは、ウンショウンショと頑張っておんぶして歩こうとしたが、

     幾らテファがスリムな男の子でも、やはりカノンにとったら、

      大きな男の子なので、みるみる汗びっしょりになった・・・・

     それでも約束だから、カノンは歯を食いしばって前に進もうと

     したが、ほんの10歩で、転んでしまった・・・・


       テファはたまらなく愉快になって砂浜に転がりながら

             笑ったのだった・・・・


    カノンも、つられてゲラゲラと笑っていた・・・・・

                     幸せな時間だった・・・・






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 ヘジャ:「キム、早く車を走らせなさい!!ったく、ノロマね!!

       お前なんて、秋からはクビよ。」


 運転手のキムは相変わらず我儘な娘だと思いながら、

   怒りをぐっと抑えた・・・・そしてわざと車をゆっくり走らせたり

   道をくねくねして運転させ、遅らせたりもした・・・・



   クビ・・・恐らく解雇されるだろう・・・もうどうでも良いと思った・・・

   ならば、出来るだけ、この我儘なお嬢さんの思惑にはならないよう
 
   にしたいと思ったのだった・・・・・

    運転手のキムは、この我儘で傲慢な李家の娘・・・ヘジャのせいで
   
    愛娘の美蘭が殺されたんだと・・・悔しくて、悲しくて仕方ない部分も

    あった・・・
   
       誘拐事件の真相はハッキリとはしていなかったが、妻の

     ヨナが、この家に住み込みで働かせて貰い、真相を探りたいと

     言ったので、その言葉に従ってみた・・・

     もし、ヘジャが、こんなに傲慢で我儘ではなく謙虚で優しい娘なら

      我慢もできるが・・・

       スンミのように、外見は醜いが、心根が優しければ、こちらも

       心穏やかでいられるが・・・・

      いつも夜中であっても早朝であっても、たたき起こされ、命令に

      服従しなければ、体罰は勿論、酷い仕打ちをする・・・・

          恐ろしい魔女の様な女だとキムは思った・・・・

       クビになったら、妻と二人で、済州島の実家に帰り、

        ノンビリと暮らそう・・・・そして、位牌となってしまったが、娘も


        済州島に連れて行ってやろう・・・・

                  そう海沿いの道を走りながら思ったのだった。





    車は、それでも洛山の林先生の家へと向かっていたのだった・・・・


            



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      <林先生の洛山の家>




林の妹のボラ:「お姉さん、・・・・じゃあ彼女たちが来たら、確かにこの家に

          鈴木カノンさんは来たけれど、次の日は、早々に家を出て

          鏡浦台へ向かったと言えば良いのね?一人では無く、

          今は音信が薄いうちの親戚のイム ソジン姉さんと行った

           って言えば良いのね?分かったわ・・・任せて!!

           鏡浦台で、クラスメイトの4人と合流するって言うのね?

           アハハハ〜・・・大丈夫よ、姉さん・・・・・

           こう見えても私、東国大学演劇科出身よ!女優になり

           たかったから、大芝居をうってみるわ!何だか面白いわ。」 



林先生(姉):「恐ろしく頭の回転が速い子だから、、、、慎重にね・・・

         メドゥサの女神みたいに、目を見て話してはダメよ・・・足元を

         すくわれて、ヤラレルから・・・いい?気をつけて・・・・

          李ヘジャは兎に角、恐ろしい子よ・・・」


  ボラ:「・・・えぇ・・・分かったわ・・・・どこまで持ちこたえるか?騙せるか

         分からないけれど・・・・」


   林先生(姉)「私も、そっちに行くから・・・

それまで持ちこたえてね・・・・」




   
           電話が終わって、ボラは武者ぶるいがした・・・・


               努めて普通に・・・・全く事の真相を知らない

                        フリをしながら     

                   相手を信じさせ・・・騙す・・・・・


                       それにしても・・・・



               李ヘジャ・・・・

                       李ヘジャとはどんなに恐ろしい

                          女性なのだろうか?

                    ボラは、ヘジャに少し興味を覚えた・・・






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           海でひとしきり遊んだ六人は

      ランチを海辺のチョットお洒落なレストランで取る事にした・・・

          



     スンジュ:「腹減った〜」


     ヒロミ:「・・・朝、あんなに沢山、朝食を食べたのに・・・お腹って

           空くのね・・・体は正直だね・・・」


     トンス:「久しぶりの海で、面白かったな・・・やっぱ夏は海だよな・・」


 
       
     アヤ:「・・・それより、何にする?」



       テファ:「・・・まって・・・・この店ってサ・・・・

                  スンジュ、トンス・・・・・

                      ヤバいかも?・・・」




                 え????





                 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

                     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     
                

   カノンは、もしかしたら、スンミ達がこのお店にいるのかも?

   と・・・緊張感が走った・・・・・


     テファは「この匂い・・・海辺のお洒落な店にも関わらず、

            余り人が入って無い・・・・・」

       カノンは、よっぽど不味いお店なのかな?とキョロキョロした。


     アベックも居ないし、家族もいない・・・来ているお客さんは、

     軍隊の洋服を着た男同士や、男の人達のグループばかり

     だった・・・・・


     「?」マークが飛び交うカノンやアヤ・ヒロミだったが・・・・


       トンスやスンジュは「この匂い」とテファが言った瞬間、

        察知した・・・・




        それは・・・・

                 「犬鍋」の店だったのだ・・・


           韓国は夏の暑い日は、夏バテや体力消耗に

             ならない為に、犬鍋を食べる事がある・・・・・


     テファも、昔、騙されて?家族に犬鍋を食べさせられた

        事があった・・・・

      少し癖のある香りと、肉が堅い感じがした・・・・

       その感覚が、ずっとあり・・・・

             テファは犬鍋の店だと直ぐに分かった・・

        よく見ると、小さく看板に「犬鍋店」と書いてあった。

      でかでかと書いてしまうと、誰も入って来ないと

       思ったのかもしれないが、不意打ちみたいなやり方を

       していて、テファもトンス・スンジュも「ヤラレタ」としか

       言いようがなかった・・・・


       テファは「皆、お店を替えるけど良いかい?」と言った。


   カノン達は、何が起こったのか?分からずに、言われるままに

    店を変えた・・・・・後で理由を聞いて、顔を見合わせて笑った。



   替えられたお店は、海辺の食堂で、人で賑わっていた・・・

   冷房も余りきいてなく、扇風機がグルグル回っていた・・・

    それでも暑い場合は、内輪で扇げと言わんばかりに、沢山の

     内輪が置いてあった・・・・


   暑がりのアヤは暑い・暑いと内輪をパタパタとして扇いだ・・・・

    カノンは、寒いより、暑い方が好きだったので、お日様を少し

    眩しそうに眺めながら、ニコニコと笑っていた・・・


    皆は、ビビン冷麺を頼んだ。カノンは辛い物が苦手だった

    ので、サンゲタンを頼んで、皆に笑われた・・・こんな暑い日に

    サンゲタン?と言われたが、テファだけは事情を知っているので

    笑わずに、サンゲタンが出されると、早く冷めるようにと、内輪で

    扇いでくれたり、御飯と混ぜてくれたりと、優しくカノンの面倒を

    見てくれた・・・・

       テファ達は真っ赤なビビンメンを美味しそうに食べていた・・

     辛さが足りないとトンスが言い、激辛ヤンニムや、コチュジャン

     、キムチをたっぷり加えて食べていた・・・・

     カノンはそれを見ていて、テファに「オッパ、韓国の人って、

     皆、辛い物が好きなの?例えば、韓国の人でもキムチが嫌い

     とか食べられない人っているの?」と聞いた・・・・

    テファは笑いながら「・・・勿論いるさ・・・・日本人だって、納豆とか

                  食べられたり、食べられない人がいる

                  だろう?それと同じだよ・・・僕は、日本に

                  いた時は、納豆が食べられなかったよ。」
     
     ヒロミ:「・・・テファさんは関西人みたいですね?納豆が

            食べられないなんて・・・・・」

      テファは微笑みながら「・・・そうかもしれない・・・」と言った。


  アヤは、ヒロミの肩を叩きながら「・・馬鹿ね、ヒロミ・・・ホンデの華麗

                       なる学生が納豆は似合わないわよ」

                        と言った・・・・

            それもそうだと笑った・・・・・



   食堂で出された物は全てが美味しかった・・・・

       カノンは辛い物は避けたが、辛く無い物を好んで沢山食べた。



        その時、また、ソンジェの事をフト、カノンは思い出した・・・・

           ソンジェは、今、どうしているだろうか?

          一人で食事をしているだろうか?

            ソンジェの寂しそうな横顔が、浮かんだ・・・・


            食後、カノンは、トイレに行くと言って

             ソンジェに電話をかけてみた・・・・

      電話は直ぐに出て貰えた・・・


            ソンジェ達も、お昼休憩を取っていたからだ・・・・


    カノン:「・・・・オッパちゃん、お久しぶりです・・・」

    ソンジェ:「・・・カノン?カノンかい?・・・今、どこにいるの?」



      カノンはソンジェだけには本当の事を言おうと思った・・・



     カノン:「・・・カノンは、オッパちゃんを傷つけたくなかったから

           ・・・オッパちゃんに嘘をつきました・・・御免なさい。

          実は・・・今、クラスメイトとホンデの日本語学科の

          人達6人で、江原道に来てます・・・今、お昼を

          食べ終わって、それでオッパちゃんに電話してます。」


     ソンジェは、ちゃんと連絡をしてくれたカノンに対して、むしろ

      嬉しい気持ちになった・・・・

     ソンジェ:「・・・僕は怒っても無いし、傷ついてもいないよ。

             正直に言ってくれて嬉しいよ・・・・

            今、僕も江原道に向かっていて・・・そう、カノンを

            迎えに行く所なんだよ・・・・チョット大変な事になって

             いてね・・・スンミも、美蘭・・・いやヘジャも、そして

             姜ユリさんも江原道に向かっているんだ・・・

              彼女たちに会う前に、僕と先に会えないか?」



     カノンは一瞬、戸惑った・・・・・

         きっとソンジェは、大変な事になる前に、それらを何とか

            丸く収めて、鎮めてくれるようにしてくれるだろう・・・



      しかし、ソンジェに会ってしまったら・・・この旅の終わり・・・

         つまりテファとの別れを意味する感じがした・・・・

           カノンは、テファの手を離したくなかった・・・・

      1分1秒でもテファと一緒にいたかった・・・・

            


    カノンは、なんて言って良いか分からず・・・・

      「えっと・・・その・・・あの・・・・」と言って、言葉を探した・・・




    ソンジェは「・・・カノン、答えて欲しい・・・

                大変な事が起こる前に・・・・

                   解決させよう・・・・

                       大丈夫だ・・・・・・

                           僕がいるから・・・・

                  カノン・・・・

                      だって僕らは

                          家族だろう??」


           ソンジェは祈る気持ちで、カノンに言葉を発した・・




        

      カノンの戻りが遅いので、テファが探しに来ているのを

        察知したカノンは、上手い言葉も探せず・・・・

            電話を切ってしまった・・・・・・






             「カノン・・・待って・・・

                   切らないで・・・」とソンジェは何度も

                  叫んでいたが・・・・

                電話の切れた音だけが耳に残り・・・

                空しく空回りしたソンジェの言葉と気持ち

                  だけが取り残された・・・・・



         「カノン・・・・君は、やっぱり、テファを選んだんだね?」


           ソンジェの頬から涙がこぼれた・・・・・





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       オッパちゃん・・・・

             御免ね・・・

                御免ね・・・

                    オッパちゃん・・・


  
 カノンは涙を手で拭きながら、テファのもとへと走って行った・・・



     テファは「カノンが遅いから、心配で迎えに来た」

           と言ってほほ笑んだ・・・・


        カノンは、テファの顔を眩しそうに見ながら、

             この大好きという気持ちは、抑えられないし

                自分の気持ちに正直に進んで行きたい

             そう思い、テファの手を掴んで、

                  皆のいるテーブルへと向かった・・・





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