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作品名:潮風のセレナーデ・・・会いたい気持ち・・・ 作者:HAPPYソフィア

第27回   27
 








  ヘジャが、教室のTVをわざとつけた・・・・

   緊急ニュースがディベロップで流れ、

   それから一時、番組が中断されて

 キャスターが緊張した顔で、

           ニュースを読み上げた・・・・




 
※※※                    ※※※



     ここで、緊急ニュースを申し上げます。

       韓国IT大手会社の姜IT企業が海外事業に

     失敗・・・株が暴落し、倒産しました・・・・・

    今、姜IT会社の前に、

       多くの報道陣がなだれこんでます・・・・


   韓国経済にも大きな影響を与える事でしょう・・・


        姜社長は、

          行方不明のもようです・・・・

             
※※※                     ※※※





         教室がざわめいた・・・

 

   ユリは、事の重大さが飲み込めず、

         フラフラとTVに近づいて行った・・・



     そして、「嘘よ・・嘘よ・・・こんなの・・・

         これは嘘よ・・・」と言って

              床に座り込んだ・・・

  



       ユリの取り巻きの連中も、

ビックリして、どうしていいか分からず、立ちすくんだ・・・・

 

    ユリは携帯を取り出し、

     父親に電話をかけてみたが、

    電源OFFでつながらない様子だった・・・・・





   ヘジャはおかしくて仕方なく、

          ニタニタと笑いをこらえていた・・・

          
   さぁ・・・姜ユリ・・・・楽しいドラマの幕開けよ・・・

     先ず、あなたの大切な物の1つ・・・

       財力を奪うわ・・・・

        どうするのかしら?アハハハ・・・

  



       すると・・・

   担任の先生が、青ざめた顔をして

           バタバタと教室に入って来た・・・




     「姜ユリ、早く家に帰りなさい・・・

         今、大変な事が起こっているようだ・・・

      学校はもう夏休みだから・・・

         早く帰りなさい・・・

            荷物は後でクラスメイトが届けるから・・」


     そう言って、姜ユリを直ぐに帰宅させた。

 


     ユリは取る物も取らずに、

            逃げるように家へと向かった・・・・ 





   前々から、姜IT企業の株を買いこんでいた李建設会社は、

   実質、姜IT企業を買い取り・・・



        いや乗っ取る事に成功した・・・


     海外事業の失敗も、全て李建設の差し金だった・・・・




   ヘジャが、実父に、日ごろの姜ユリの意地悪さを、

            泣きながら訴えた甲斐があった・・・・



   父親は娘を溺愛しているので、

     言うがままに姜一家を奈落の底においやったのだ・・・






   ヘジャ:「私を怒らせたら、こんなモンじゃ済まされないわよ

            ・・・まだまだ苦しめてやるわ。

         姜ユリ、、、お前から財力を先ず奪ったわ、、


                  次は・・・・・

 

         その容姿ね。今、次の幕が開こうとしているわ・・・

            ホホホホ。醜くなったユリを早くみたいわ。」

   






         するとキキーっと

            けたたましい大きな音が外からした。




       ホンデの正門の前は、大きな道路になっていて、

            交通が激しい・・・

   大概は地下道を通って、通りを横断するのだが、


     慌てているユリは、横断歩道を渡ったのだろう・・・・


  ヘジャが雇ったバイクの男がユリをひき逃げしたのだ・・・


     特に顔をぐしゃぐしゃにするように命じていた・・・

   ヘジャの顔めがけて、塩酸の入った水溶液をかけて

  ひき逃げしたのだった・・・・ 



 

     救急車でユリは運ばれ

           緊急オペとなるだろう・・・・・


        そう、包帯が取れる頃は、

           ユリはその顔を見て発狂するだろう・・・

    なぜならば、スンミにソックリの顔になっている

        からだった・・・・

 

         これもヘジャの2つ目の計画だった・・・・




         最後の留め=3つ目の計画は、



               「テファ」だった・・・・




        テファを奪う事・・・・


      勿論、ヘジャはテファが好きで憧れていたし、

    自分にふさわしい男だと思っていたからだった・・・・



   美しい容姿に、頭の良さ、歌も上手い、人気もある、、

  日本語も上手、誰に対しても平等で優しく、強い・・・・

       理想的だった・・・・

 

   さて、どうやってテファの心を虜にしようか?

               と計画を練っていた・・・・






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






     そんな大事件が起こっている事も知らずに、

     テファとカノンは、江原道に向かって楽しくドライブ中だった

      ・・・・テファは運転が上手く、カノンは車酔いすることなく

         楽しく過ごしていた・・・




  カノン:「オッパ、オッパは運転も上手ですね?

                       この車はオッパの車?」



   テファ:「うん、そうだよ。正確には姉さんの車だったんだけど、

         貰ったんだ。僕は出来れば日本の車が欲しいな・・・」



      カノン:「オッパは、日本が好きなんですね?」




テファ:「あぁ・・・大好きさ。

          日本は良い国だよ。日本人も大好きさ。」




         カノン:「どうも有難うございます・・・」

                テファ:「え?」



 カノン:「だって、日本や日本人が好きだって言ってくれたから、

        嬉しいから・・・

     私は日本人だから、自分の国を好きだと言って

                          貰えて嬉しいです。」



 テファ:「ハハハ・・・そんなものかな?

        僕は、韓国や、韓国人が大好きだと言われても

              えぇ?そうかな?って思ってしまうから・・・」



カノン:「私も、前はオッパと同じでした。

            もう日本はダメだって・・・

       何か未来も明るく無い感じもしたし、

        経済状態も悪いし・・・良い事ないって思ったから・・・

              変な事件も多いし・・・

      だけど、オリンピックやワールドカップとかTVで見てた時、

        何か、ガンバレ日本って応援して熱くなってる

                   自分が居るし・・・

       海外旅行とかすると、日本や日本人の

      良さが分かるようになって・・・・

      今では、日本や日本人が大好きだし、

       自分が日本人で良かったと思ってるんです。

           きっとオッパも、韓国や韓国人が 大好きだと思うし、

        そう言う気持ちになると思います。

            自分の生まれ育った国は

                やっぱり1番じゃないとね?

                      えへへ。

              韓国も良い国だし、韓国人も優しくて私は

                     大好きです。」





   テファは、時々、カノンが大人の意見を言うところが好きだった・・・

      いつもは幼稚で可愛い甘えた女の子なのだが、、、

    実は凄くシッカリしていて、意見もちゃんと言える強い部分も

    あって、、、カノンは本当に素敵な女の子だと思った・・・・




   テファ:「カノン、あそこのドライブインで、少し休んで行こうか?

                             トイレとか大丈夫?」



  カノン:「ハイ・・・でもおトイレに行っておいた方が良いかな?

                              あとどのくらい?」




  テファ;「ハハハ・・・まだまだだよ・・・

               あと4時間はかかるかな?いやもっとかも?」



          カノン:「え?本当?えへへ、嬉しいな。」



                テファ;「え?嬉しいの?」




         カノン:「うん・・・

                だって楽しみは、

                    うんと先に有る方が

                            楽しいし、

                         頑張りが利くもん。

                  オッパと一緒だと

                     カノンは凄く楽しいモン。」



                 テファはハハハと笑った・・・

               車は、ドライブインへと入って行った。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー








    アヤもヒロミも、日本語学科で起きた事件を耳にしたのは、

    倒産のニュースがTVで流れて即座の事柄だった。

 




    アヤ達は、BFのトンスやスンジュと一緒に

                 お疲れ様会の飲み会を、

        ソウルに出店している日本の居酒屋でしていた。





        アヤ:「ねぇ、どうなっちゃうんだろう?」



    ヒロミ:「姜ユリも財力がなかったら、

               お姫様でいられなくなっちゃうかもね?」



      アヤ:「でもミスコリアにもなれる美貌があるじゃん」




     トンス;「それがさ、交通事故に遭って、

             顔に打撃があったらしいぜ・・・

           ひき逃げも、計画的だったのが?犯人は未だ

           捕まって無いって、ニュースで言ってるぜ・・・

           硫酸?塩酸?何か毒物を、顔にかけられたって」

   
  キャスターが話す韓国語を、同時通訳の様に、トンスがアヤ達に

  話した・・・・


   スンジュ;「顔じゅう包帯だらけだってさ・・・」


  スンジュ:「もし、これで整形手術が成功しなかったら・・・・

         ユリは財産も、美貌も失うことになるんだな・・・」



   ヒロミ:「じゃあ・・・・ユリは、何が残るの?学力は?

                         頭がいいんでしょう?」



   スンジュ:「ホンデは、芸術学部が看板で、

           機械工学も最近は良いんだけれど・・・

           日本語学科は、まぁまぁのレベルと言うか・・・・

         外国語大学や、他の語学

           大学に比べたら、大したことは無いんだよ・・・・

          就職も親のコネも多いし・・・・・・

        ユリ位の学力なら、韓国には腐るほどいるからな・・・・」




  トンス;「じゃあ、テファと結婚するんじゃないかな?

                          公認の仲だしな。」




        スンジュ:「いや、テファとユリは幼馴染みってことで、

               兄と妹みたいな関係だって聞いてるぜ・・・

                   テファは、

              ユリの事は恋愛感情は無いみたいだし・・・・」




      ヒロミ:「・・・・ユリが何だか、可哀想になっちゃうわ・・・

                    どうなるんだろう?」




              アヤ:「そうね・・・可哀想・・・」




     トンス:「・・・へえ〜、日本人の女の子って優しいんだな・・・」



                 ヒロミ:「え?どうして?」



     スンジュ:「大概の、日本語学科の韓国人の学生・・・

              女たちは、ザマアミロって思ってるさ。

              いつも威張っていて、

              お姫様みたいに命令して来て、

            意地悪をサンザして来たユリが、貧乏になり、

           醜くなったら?何も魅力がなくなったら?・・・

           そう思うと、今後のユリがどうなるのかも

           興味深々だと思うよ。

            ヒロミ達は、可哀想だと言うトコが、

                      韓国人と違う感覚だな・・・」




   アヤ:「そりゃあ、

        ユリは意地悪で嫌な女だと思う部分はあるけどさ・・・」



       ヒロミ:「人の不幸を見て楽しいとは思えないもの・・・」





    ユリの家に滞在していた金子瞳は、

         この事件に巻き込まれそうになったが、

      先生の計らいで滞在先が急遽変更になり、

       ヘジャの申し出で、滞在先はヘジャの家になった・・・




   金子瞳は、

      今日からユリの家の別荘で夏休みを過ごす筈だったが、

    こんな事になり、どうして良いか分からず、

                ボーっとしていたのだった・・・・・




  ヘジャ:「大変だったわね、瞳さん。

         帰国までの短い間だけど、この家で自由に過ごしてね。

       どう?我が家は?
 
       姜ユリの家の何倍?いえ、何十倍も豪華で素敵でしょう?


          そろそろ、カノンも、戻って来て、夜には江原道に

       行く事にはなってはいるけれど、

      こんな事件になったから、多分、取り止めになるでしょうね・・・

       残念だけど、四人でこのお屋敷で、楽しく夏休みを過ごし

       ましょうね。

           今夜は、ご馳走を用意させましょうね?」と

        ハシャギながら瞳に話しかけた・・・・






            瞳は、何故か?ヘジャが怖いと思った・・・

         他人の不幸を楽しむヘジャの姿が怖かったのだ・・・・・



       カノンちゃんが帰宅したら、

           スンミの事や、ユリの事、、、

              そしてこの恐ろしく意地悪なヘジャの事を

           相談してみよう!・・・瞳はそう思った・・・






       ところが、

           18時を過ぎても一向に

                 カノンが学校から戻って来ないので、

       ヘジャは、おかしいと思い、林先生へ電話をかけた。




       携帯は留守だったので、まだ教務室かもと思い、

               学校に電話をすると林先生が出た・・・・






       ヘジャ:「林先生、、、済みません。

               カノンさんが帰って来てないんですが?」





      林先生は、どうしたものか?少し考えたが、

          「御免なさい・・・李ヘジャさん、、、

            今、スンミさんのクラスメイトの姜ユリさんの事で

                    大騒ぎで・・・

           鈴木さんは、恐らく昼間の高速バスで

                    江原道に行っている最中かも?

               事件の事は知らないで

                     行ってしまったと思うわ。」




             ヘジャ:「え?だってチケットは夜出発では?」





        先生:「急遽、昼間のチケットが取れて、

               先に行っていて貰う事にしたの・・・・

                  多分、まだ高速バスの中だから、

                     ・・・・・・・・

               それに江原道の私の実家は、

                  とても田舎だから・・・・

             ソウルのニュースなんて疎いと思うの・・・・

                  TVも良く映らないんだもの。

             私の妹が居て、カノンちゃんを


              今日、バスが到着する頃、

                        迎えに行くと思うの・・・」





      ヘジャ:「先生・・・

                酷いじゃないですか・・・

              予定が変わるなら、

                 何故、言ってくれないんですか!」




     先生:「・・・御免なさい・・・急な事だったし・・・

                更には、こんな大事件も起きちゃって・・・」






       ヘジャ:「カノンちゃんに連絡が取れたら、

                  直ぐにソウルに戻るように言って下さい。」




     そう言って、電話をガチャ切りした。。。

              明らかに怒ってる様子を感じとりながらも、

     先生は、テファとカノンが楽しい夏休みを迎えて欲しいと思ったし、

      出来れば、こんな大事件、知らない方が良いと思ったのだった・・・




林は、それにしてもヘジャは物凄い威圧感がある女性とだと思った・・・

     とてつもなく悪の匂いがする・・・そんな気がした・・・

    幸いと言ったら気の毒だが、姜ユリの件で、
 
      取りあえずは、ごまかしが利いたと思いホットしたのだった・・・







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






    ヘジャはキリキリと怒りがこみ上げた・・・

              そしてソンジェに電話をかけた。






         ヘジャ:「あっ、兄さん・・・あたしよ。ヘジャよ・・」



          ソンジェ:「・・・ヘジャか・・・どうしたんだ?」



   ヘジャ:「ねぇ、兄さん、カノンが、

            もう江原道に行ってる事、知ってる?」




  ソンジェはヘジャが怒っているとピンときて、

       「あぁ・・・知ってるさ・・・カノンから聞いてるよ」と

         笑いながら言った・・・

        ヘジャは何だ、

          兄さんは知ってたんだと少し平静になった・・・

         実はソンジェは知らない事だった・・・・・



        ソンジェは、カノンが、昼間出発したのには、

            何か理由がある筈だと思い、

          ここはヘジャの機嫌を損ねないようにしようと

                  機転を利かせたのだった・・・・




   ヘジャ:「ところで・・・兄さん、TVの経済ニュースを見た?」



   ソンジェ:「・・・いや?TVは余り見ないんで・・・

                      何かあったのか?」



      ヘジャ:「うちの学校の女王様・・・

           いつもスンミを苛めている姜ユリの家が、

                   倒産したのよ・・・」




      ソンジェ:「姜?倒産って?姜IT企業かい?」




   ヘジャ:「ええ、、そうよ・・・

         何でも海外投資に失敗して、

            沢山の不渡りを出したみたい。

         それで、お父様が、姜企業を救ったのよ・・・

          って言えば聞こえが良いけれど・・・

         実質、乗っ取った?と言うか安く買い

                    叩いたの・・・フフフ」




       ソンジェ:「・・・ヘジャ・・もしかしたら、お前・・・」



  ヘジャ:「誤解しないでよ・・・

          何でも悪いのは私にしないでよ・・・

        お父様が、前々から姜IT企業が海外進出を

      大々的にやり過ぎてるって言うのは評判だったのよ

       ・・・危ない橋も一杯渡ってるって・・・・

        お金に物をいわせ、

        あの呉ジナの所属する楽団も

            全部買い取ったりしてたでしょう?

        一夜にして数十億ウオンのお金が動いてるって

          ・・・お父様は、そこにつけこんで、

        姜企業に一喝を入れたのかも?

         これからあの姜ユリはどうなっちゃうのかしら?

           屋敷も抵当に取られてるみたいだし・・・

            借金地獄みたいよ・・・・

       私は同じ学校の学友として助けて上げようかな?

          って思ったけれど?

         でもね、結構、苛められてたし・・・

        それに私の愛するテファを独り占めしてたから

                         ・・・許せないの・・・」



  


            ソンジェ:「え?テファって??」






   ヘジャ:「えぇ・・・姜ユリの幼馴染みで、

           ユリとは公認の仲の鄭テファ・・・

         ホンデのアイドルよ・・・

           バンドのボーカルもしているのよ。

        兄さんも彼を見たら、余りの素敵さにビックするわよ。

                直に私の恋人になるだろうけれど?」




       ソンジェ:「鄭テファは、スンミが好きな男だろう?」



   ヘジャ:「 違うわよ・・・あんな醜いスンミをテファが好きになる

         わけはないし、テファが選ぶのは、私よ・・・

         テファはきっと私を好きになるし・・・私と結婚するわ。」


  ソンジェ:「・・・ヘジャ・・・人の心は、

           そんなに自由に手に入るものじゃないよ・・

         テファと言う青年がお前を好きになるって

         言う確証なんてないじゃないか?

              ん?違うか?

          それと、テファだけは止めておけ・・・

           良くない噂を兄さんは聞いたぞ・・・」




  ヘジャ:「兄さんの意地悪・・・

         良く無い噂と言えば、私が引くと思ったんでしょう?

              でも私は大丈夫、、

           テファは、そんな男じゃないわ。

       ずっとスンミになり変わって、

           テファを観察して来たのよ・・・・

         テファこそ、私にふさわしい男だし、

            テファもきっと私を好きになるだろうし、、、

            テファを手に入れるわ。

            兄さんはせいぜい、

           チビ狸のカノンと仲良くすればいいわ。」




   ソンジェ:「カノンは、チビ狸じゃないぞ。兄さんは、怒るぞ!」




  ヘジャ:「ハイハイ・・・

         どうして男は皆、あんなチビ狸が好きなんだろう?

                まっ、いいわ・・・

              私はカノンには興味ないし・・・

         ライバルにもならないからつまらないわ。

        やっぱりライバルはユリクラスの女じゃないとね?

              でも、もうユリは終わったわ・・・

          この先、どう落ちぶれるか?

                       楽しみだわ。アハハハ」




   ソンジェ:「・・・ヘジャ・・・


            兄さん、これだけは言っておく・・・

          言葉はやがて自分に返って来るもんなんだ・・・

          相手を傷つけたら、必ず自分はもっと傷つけられる

          言葉で返されるんだ・・・

              だからヘジャ、、、、

                 そんな考えは止めなさい。

            お前は、優しい素直な妹だったじゃないか?

           他人の不幸を楽しむ性格ではなかったじゃないか?

                兄さんは悲しいよ・・・本当に悲しい・・・」



      ヘジャ:「・・・フン!兄さんになんて私の気持ち、

                 分かって貰おうなんて思わないわ。

             私はあの誘拐事件から、悪魔に生まれ変わったの。

            誰も信じないし・・・みんな大嫌い・・・・

            私を救えるのは、お金や地位・名誉・美貌・・・

                    つまり自分自身よ・・・

           そして私を受け入れられるのは

                   テファしかいないのよ

             ・・・テファなら素直に言う事をきけそうだわ。」





     ソンジェはこれ以上、何も言葉を発せなかった・・・

             そしてこの妹のヘジャが、

            何だか哀れな女の子だと思えて仕方なかった・・・




    話す事は以上と言って一方的にヘジャに電話を切られた後、

              カノンから電話があった・・・・





    カノン:「もしもし、オッパちゃん?カノンです。」




     ソンジェ:「あっ、カノン、今、バスの中だろう?」

    


                 カノン:「え?」




     ソンジェ:「ハハハ・・・実は、

            スンミ(=ヘジャ)から今、電話があって、

           カノンが昼間の高速バスで江原道に

           行ったのを兄さんは知ってたのか?と電話が来て、

           かなり怒っていたんで、知っていたって言って

                   おいたよ・・・これで良かったかな?」




カノン:「・・・オッパちゃん、、どうも有難う〜

      実は、あの家にいるとずっと干渉されてるみたいで、

      息が詰まるから、直ぐに江原道に行きたかったの。

       それで、敵を欺くには、味方も欺かないとと思って・・・

     それでオッパちゃんにも、クラスメイトにも内緒で

                  実行しました・・・御免なさい。」




  ソンジェ;「・・・だと思ったよ・・・ハハハ。

           カノンは何か理由があって、そうしたんだろう

          って思ったし、、、

         かならず僕に話してくれるだろうって思ったから・・・・

                    ・・・・だって、僕らは家族だものね?」




   カノン:「・・・あっ、、、

              うん・・・

                   家族だものね・・・」

      
                   と言いながら心がチクチク痛んだ。





 ソンジェ:「いずれにせよ、

           カノン、ゆっくり楽しい夏休みを過ごしておいで。」



カノン:「オッパちゃん・・いつも有難う・・・

           そうだ!お土産買って行くね。

        オッパちゃんはキムタクだから、、、

       秋の童話の韓国のキムタク、ウオンビンさんの

              何かグッズを買って来て上げるね・・えへへ」



  ソンジェ:「えぇ・・・何も要らないよ・・・

               それにウオンビンのファンじゃないし・・・」



  カノン:「オッパちゃん、、やっぱりナルシストだね?

        自分がウオンビンさんやキムタクだと思ってるでしょう?

       だからグッズが要らないって言いたいのかな?えへへ」




       ソンジェ:「えぇ・・・違うよ。

                 全然、ファンじゃないから・・・・

              そうだアバイ村はイカが有名だから

                 スルメイカを買ってきてくれるかな?」



   カノン:「スルメイカ?・・・分かった・・・

             でもオッパちゃんはスルメイカみたいだから

        何か共食いになっちゃうね?・・・

                まっ、いいや・・・楽しみに待っててね。」




 ソンジェ:「ハハハ・・・楽しみに待ってるよ・・・

              カノン、じゃあ、帰ったら連絡してね。」



   カノンは分かったとして、電話を切った・・・

       ソンジェだけには、余り心配や迷惑、

   嘘は付きたくは無かった・・・

       なので真っ先に、自分の口で直接、

                   伝えたかったのだった・・・

  クラスメイトのアヤとヒロミにはメールで、

                 ゆっくりと事の仔細を伝えた・・・



   テファと旅に出ている事や帰宅は日曜になる事など・・・・

   そのメールをアヤとヒロミはお疲れ様会の席で読んだ・・・・



  ヒロミ:「ねぇ・・・どうする?

         姜ユリのことは黙っていた方が良いかもね?」





   アヤ:「そうだね・・・知らない方が良いかも?

              知ったら、カノンは、直ぐにソウルに戻ろう

         ってテファに言って、

              テファをユリのもとに行かせるかも?」




   トンス:「さっきから、訳のわからない事を、

           二人で話してるけど?

         カノンちゃんは、ソンジェって言う男と付き合って

                        いるじゃないのか?」

     

             アヤ:「え?」



  スンジュ:「聞いてると、テファとカノンが付き合ってるみたいな

                     言い方に聞こえるからさ。」



  ヒロミは絶対に内緒にしてねと言いながら、

        実はテファとカノンは日本に居た時から、

                付き合っていた事などを伝えた・・・・



トンス:「あっ!だから、前にかき氷を食べた時、

                あの二人、良い線いってたんだ・・・」



スンジュ:「納得したよ。テファは、

           いつものホンデのテファじゃじゃない表情を

      カノンちゃんの前で、

             何回も見せていたからな・・・・

                    で?どうする?」

           

             ヒロミ:「どうするって?」



          アヤ:「スンジュ、トンス、、どうしたら良い?」




   スンジュ:「・・・・・なあ、俺達も、江原道に行かないか?」




     ヒロミ:「え?でも、家族には何て言えば良いの?」




トンス:「姜IT企業の倒産で、

       多分、ヒロミやアヤの家もそれどころじゃない筈だ。」




  アヤ:「そう言えば、ホストファミリ−のお父さんは、

       姜ユリの企業の子会社で働いて いるんだわ。」



 ヒロミ:「家もそうだわ。だからホストファミリーの

           朴ジュヒと金ウンミが、姜ユリに頭が上がらず、

       いつもペコペコしていて・・・

          李スンミを一緒になって苛めてたから・・・

      ジュヒの親も、いつもユリ様とは仲良くしなさいとか

       言ってたっけ・・・

      じゃあ、明日からの夏休みなんてとんでもないわね。

   だったら、私達は自分で自由に旅行でも何でも出来るわね?」

  

         4人は顔を見合わせて、大きく頷いた・・・・





スンジュ;「それに、もうヒロミやアヤと一緒にいられる時間も

           少なくなってきてるし・・・

            江原道で、楽しく過ごそうぜ・・・

        カノンちゃんたちに何かあれば、駆けつけて

              力になってやれば良いし・・・

        その必要が無ければ、見守るだけでいいじゃ
      
            ないか・・・なっ?」

   

     ヒロミ:「・・・・そうか・・・もう帰国だね・・・・」


   アヤ:「・・・行こうよ・・・想い出つくりしようよ!」



   お疲れ様会から、

      いきなり夏休みの旅行に話しが変わった・・・

      だが四人ともとても楽しそうだった・・・・・・






   ヒロミもアヤも帰宅すると案の定、

      ホストファミリーの家は、

     夏休み旅行どころではなくなっていた。






 ヒロミは、素知らぬ顔で「ただいま」と言うと

          ジュヒの家族は、リビングのテーブルに

                 腰掛け、項垂れていた・・・・




   それでもジュヒの母親は、ヒロミの声で、

        「あっ・・・・ヒロミ・・・お帰り。」と力なく言って

                    ため息をついた・・・・





     ジュヒの父:「ヒロミ・・・悪いんだが、

               明日からの釜山への旅行、、、

            行けそうもないんだ・・・

            知ってるかと思うが、

             姜IT会社が倒産した・・・・

             その煽りを我々も受けてしまい・・・

               どうする事も出来ない・・・

           唯、李建設が受け皿になってくれるみたい

           なんで、職は失われないままなんだが・・・・

            それで、もしヒロミ、夏休みをクラスメイトと

          過ごしたければ、

           自由に行ってくれても構わない。すまんな・・」

           と言った。




   ヒロミは「・・・分かりました。私の事は気にしないでください。

             大変ですね?・・・

         私だけ楽しんだら・・・

             何だか申し訳ない感じがします・・・」



  ジュヒの母:「いいえ・・・あなたには関係ない事だし、

              むしろとんだトバッチリよね?

           御免なさいね。

         大学二年の夏休みは二度と来ないのだから、

         私達に遠慮しないで楽しんで来て欲しいわ。

         大丈夫よ。

            李建設が何とかしてくれる筈よ・・・」




  ジュヒとその弟も、ヒロミはヒロミで楽しんだ方が

                    良いと言ってくれた。




ヒロミ:「じゃあ、私・・・お言葉に甘えて・・・

         お友達と夏休みを過ごす事にします。

     済みません・・・」としおらしくしながら、

     部屋に入って行き、

     急いでスンジュやアヤ、トンスにメールした。

  アヤもヒロミと同様で、金ウンミの家でも自分たちで

  夏休みを楽しむようにと言われたそうだった。



        「江原道での夏休み、決行だね?」となった。

            話しが決まれば早かった・・・

 



        明後日、昼に明洞のロッテホテル前に集合で、

             トンスの車で行く事になった。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





   

  夏休みと言う事で道路の混雑も有り、

        江原道の束草に着いたのは、夜の9時だった。



    途中、休憩したり、ご飯を食べたり、

        景色の良いところで写真を撮ったりしたので、



       かなり時間がかかってしまったが・・・・

                もう外は真っ暗だった・・・・





   カノン:「オッパ、あの場所、あの場所・・・」と言って指さした。




    テファ;「え?あの場所?ただの波止場みたいだけど?」



   カノン:「秋の童話でね、

          お兄ちゃんのジュンソと妹のウンソが、

             待ち合わせをして、

           キムチ鍋の作り方を話したり、

         次の日、一緒に山にハイキングをする約束を

            した場所・・・

        それから二人の関係がバレちゃって、

          また二人で牧場へ行こうって約束した場所・・・

        更には、離れ離れになる時に、

            

           汝、そなたを赦すって言う言葉を言って、

                 別れた場所・・・・」と説明した。





   テファは、瞳を輝かせて楽しそうに話すカノンを見て、

       カノンは本当に韓国ドラマや映画が

     好きなんだなっと思い・・・楽しい気分になった・・・・



           カノン:「・・・オッパ、聞いてる?」

     

     テファ:「あっ・・・あぁ、、、キムチ鍋だろう?」 



   カノン:「えぇ、違う違う・・・秋の童話!!

             オッパも出演しているんでしょう?」



          テファ:「ハハハ・・・そうだった・・・・」




  カノン:「オッパは、ナルシストだね?

         ・・・・だって自分の事、

           ソンスンホンだと思ってるでしょう?

         カノンなんて、もしカノンがオッパだったら、

             絶対に言えないよ・・・

                自分がソンスンホンなんて・・・」




     テファ:「違うよ・・・僕が言ってるんじゃ無くて、

           周りの連中が、テファ、お前、ソンスンホンに

               似てるなって言うからさ・・・

           1度や2度じゃないからさ・・・ハハハ。

             でもナルシストかもしれないな?・・・・」





    カノン:「ところで・・・・オッパは、

              男の子とか男の人が好きなの?」



         テファ;「え?何で!?」と笑いながら聞いた。




       カノン:「だっていつも男の人と一緒だもん・・・

                 ナルシストでオカマちゃんだから、

    


               ナルカマ・・・

                   ナルカマだね?えへへ」

                  と言ってからかった。

 




            ナルカマ・・・・




             日本に居た時、

            テファはカノンに何度も言われた言葉だった・・・




   懐かしい気持ちもあり、楽しい気持ちもあって、

    テファはいつも笑っている自分に気が付いた・・・

        カノンも又、いつも笑っている自分が居て、、

           更にテファを独り占めしている

                       幸せを感じていた・・・・




   テファ:「カノン・・・今日は、民泊に泊まるよ・・・

             明日は早起きして、束草観光をしよう。」




     カノン:「あっ、オッパ、、、これ・・・・」

         カノンは、カバンから封筒を取り出してテファに渡した。




    テファは「何?」っと言って封筒の中を見ると

                  1万ウオンが沢山、入っていた。



              テファ:「カノン・・・これ?」



    カノン:「うん・・・だって旅行するのにもお金がかかるし、

           だからこのお金、使って下さい。

                    足りなかったら、言って下さい。」




        テファ:「・・・お金なんて良いのに・・・僕が払うのに・・・」





    カノン:「それはダメです。

           だってカノンは自分の遊びや旅行の為に

                   使うんだし・・・

          オッパに申し訳ないです・・・

             貴重な時間やお金を使わせちゃうからです・・・

                  カノン、オッパの分も出したいです・・・・」




            テファ;「ハハハ・・・カノンは面白いね・・・」



                  カノン:「え?」




  テファ:「韓国人の女の子は、当然、遊びのお金や食事のお金とか、

        全部、男が出すもんだと思ってるんだ・・・

        だからカノンみたいに思う子はいないかもしれない・・・

              じゃあ・・・カノン、

          甘えて使わせて貰うね?余ったら、カノンに渡すよ。

                   それでいいかな?」



      カノン:「・・・うん、余ったらね・・・足りなかったら言ってね・・・」




      テファは分かったとしてカノンからお金を受け取った・・・

       カノンは、いつもお金に関してはキチンとしていて、

        決して奢らせたり、他人に出させたりする事はさせず、

       支払いをしていた。

        テファはそう言うところも、

           カノンが可愛いと思い、好きな部分の1つだった。

 



            束草には沢山の民泊があった・・・・

       テファは、インターネットで既に予約を入れていたので

            今夜は東海と言う民泊に泊まる事になっていた。

 


      カノンは、

       韓国的な民泊に泊まれる事が嬉しくて

                     ウキウキしていた。

 


    民泊の主人は、母子家庭の家みたいで、

             女主人で、小さな子供をおんぶしていた。




     部屋は4畳半程の広さで、オンドルになっていて、


         小さなエアコンがあったが、扇風機だけでも、

                十分、涼しかった・・・・

          ちゃぶ台と座布団、そして韓国的な布団が、

     端っこに折りたたんであった。

           女主人は、ここだよと言って、

                 自分の家に帰って行った。



    お茶は自由に飲めるらしく、

              麦茶がヤカン一杯に入っていた。

            氷はすっかり溶けていたが、冷たかった。




         するとまた、

           女主人が入ってきて、食事を運んできた。

 

                   ヘジャンクック だった。

     
          更にキムチやおかずが幾つかあって、

        食べ終わったら、外の縁側に出しておくようにと言った。




    お風呂は、近くに温泉があるし、

               チムジルバンもあるから、そこは24時間

         やってるから、いつでも入ると良いよと教えてくれた。





         テファもカノンも、ドライブインでご飯は食べたものの、

         チョット小腹が空いていたので、

               食事を出されて嬉しかった・・・・




            二人で向かい合ってご飯を食べることにした。

          ヘジャンクックは、海の幸が沢山、入っていて

                 美味しかった。

 



          食事が終わってから、二人は近くの銭湯に行った。

 
        夜空には満天の星が輝いていて綺麗だった・・・





   夜中だと言うのに、沢山の人がお風呂に入りに来ていて、

      入浴が終わった人達は、3、4人で集まって   

      茹で卵を食べたりお喋りに花を咲かせていた・・・・



     カノンがお風呂からあがると、

          共同の休憩所で、テファが見知らぬ人達と

             楽しく話しながら茶色の茹で卵を

              パクパクと食べていた・・・

                カノンも加わろうとした・・・・




     すると、一人の老人が、じろりとカノンを見て、

            「お前、日本人か?」と言った・・・・





        カノンは「ハイ、日本人です。」と笑顔で答えると、

            老人はプイと機嫌を悪くし、

                  向こうに行ってしまった。

 



    カノンは、自分のせいで、機嫌を悪くしたと思い

                 ・・・申し訳なくなった・・・





          テファは「カノンは悪くないよ。

              だから、気にしないで。」と言ったが、

              原因が分かっているだけに

             悲しくて仕方なかった・・・



         そう、田舎に行けば行くほど、

         反日の韓国人が多い・・・

             カノンは今、ここで改めて、

          日本人が起こした過去の歴史の罪を感じた。






       カノンはテファが心を痛めているのではないかと思い、

         努めて平静を装い「オッパ、カノンこそ、御免ね・・・

           きっとオッパも日本人であるカノンと一緒だと

       辛い思いをしちゃうかもしれないね?御免ね。」と言った。





   テファは「僕は大丈夫さ。

           日本や日本人が大好きだし・・・

               きっと未来の歴史は

                 変えられると思うよ・・・



           もっともっと日本と韓国が

                   仲良しになれると思うよ。

                  僕らみたいにね?」と言って、

                カノンの手をとってつないだ。

 


       カノンは、元気になって「うん」と頷いて、笑った。

         繋がれた手は温かく優しいものだった・・・ 






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