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作品名:潮風のセレナーデ・・・会いたい気持ち・・・ 作者:HAPPYソフィア

第25回   秘密ちゃん大作戦・・・秋の気配・・・
午前中の授業が終わって、

昼食を取りに、三人は、ホンデ近くの食堂に行く事にした・・・


          その時、カノンは

    アクセサリー店の主人のクモクの父親に

  声をかけられた・・



      クモクの父:「お嬢ちゃん・・・

                えっとカノンちゃんだったかな?・・・」



      カノン:「あっ、オジさん、

            すっかり御無沙汰しています。こんにちは。」



    クモクの父:「・・・ペンダントの

                 お兄さんの事なんだけど?・・・」




   カノン:「・・・ハイ、お陰様で、見つかりました・・・

                        有難うございます。」


クモクの父:「そうかい・・・彼はちゃんと名乗ったのかい?」

カノン:「・・いいえ・・・でも、私は名乗ってくれなくても大丈夫です。

              あ・・・でもこの事は・・・

       秘密にしていてくれますか?済みません」




   カノンは簡単に、テファとの事、記憶が戻った事などを

   クモクの父に伝えた・・・・

   そして何度も、この事は内緒にして欲しいと頼んだ。



 クモクの父:「あぁ・・いいよ・・・お嬢ちゃん・・・

           でも良かったな・・・

         ペンダントを1つにする時とかあったら、

          持って来てくれよ。

         おじさんが、綺麗に1つに直して上げるからな・・・」



  カノン:「ハイ・・・その時が来たら、宜しくお願い致します。」

              カノンは笑って元気よく一礼をした。



  クモクの父は「良かったな・・・本当に良かったな」と言った。



   ヒロミとアヤとカノンは、

            インド料理の店「マハラジャ」に入った。



   流石に夏休みを取り始めているホンデの学生たちが

   いない為か、店の内は空いていた。

カノンは辛い物が苦手なので、お子様用の甘口のカレーを頼み、

ナンにつけて少しづつ食べた。それでも辛いのか?一口食べては

水を飲んでいた・・・

 アヤもヒロミも辛口や、大辛を注文し、ヒーヒー言いながら

食べた。


ヒロミ:「最近、うちらってさ、お昼は大概、韓国料理以外の物

     を食べてない?」

アヤ:「もう胃が韓国料理を受け付けなくて・・・疲れてるみたい・・・

    そう言えばもうすぐ、このホームスティも終わるんだね・・・

     早いね・・・」



    カノン:「・・・・そうだね・・・あっと言う間だったね。」




     アヤ:「ところで・・・カノン、朝、言おうとした事って?」





   カノンは、ハッと思い出し、スンミの不可解な事柄を話した。



  ヒロミ:「・・・カノンの見間違いじゃないかも?

       余りに謎が多すぎるし・・・

        うちらも最初の頃の、オドオドしてるスンミと、

         自信に漲るスンミを知って、何か2重人格?

           とも思ったけど・・・

         2人いると思えば不思議じゃないじゃない?」




アヤ:「それからトンスから聞いた話なんだけど・・・

            ヒロミはもう知ってるんだけどね・・

      もう5年くらい前の話し・・・

          李家で誘拐事件が起こったの・・・

            カノン、その話は知ってる?」



  カノンは、確か崔さんの家で、誘拐事件があった事だけ

   聞いた事を覚えていたが、詳しくは知らなかった。

   その事を二人に伝えた・・・・

 アヤは、カノンに誘拐事件の話しをしだした・・・・・





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



  ヒロミは、何だかこれらの事が1本の線でつながっている・・・

        そんな気がした・・・




そして「ねぇ・・・カノン、何か恐ろしい事に巻き込まれそうだから、

     無視した方が良いし・・・

     どちらにせよ、もうすぐ帰国だから・・・

              帰国までこのままでいようよ」と言った。




    アヤもヒロミの意見に賛成だった・・・

      しかし、アヤはソンジェ贔屓な部分があって、

  出来ればカノンはソンジェを選んで欲しいと願った・・・

   1番、波風が立たないし・・・

    1番無難な選択だと思ったからだ・・・

  カノンは兄のような存在と言ってたが、

  ソンジェの方は、多分・・・カノンが好きだと思った・・・

   恐らくテファに負けないくらい・・・・




   ヒロミ:「・・・・・・ね?アヤもそう思うでしょう?」

          と言われて、アヤはハッとして

    「・・う?うんそうだね」と慌てて口裏を合わせた・・・・




   カノンはカノンの方で、帰国までには、記憶が戻った事を

     テファに伝えようと思っていたし二人に、

     テファが好きだと言う事を話せて良かったと思った。

  更には、クモクの父親にも昼食の出先に会えて、

                話しも出来たし・・・・



   李家の秘密を探ろうとはもう思わないで・・・

    かなり不可解でも、マイペースでホームスティを楽しみ、

                 語学学習を終えようと思った・・・・




  最大の楽しみは、テファと江原道に行く事だったから・・・

      その楽しみがあれば、

    この夏は幸せな想い出になると思っていた・・・・



             カノン:「あっ!」



      アヤ:「どうしたの?」



        カノンは指をさしながら

         「オッパ・・・テファオッパだ」と言った。

   二人は、どこどこ?と言って、カノンが指さす方向を見たが、

   沢山の人の往来で、テファの姿が全く見えなかった・・・




     ヒロミ:「え?いないよ・・・

           私は両眼が1.5で、かなり視力が良いけど?

          それでも分からないよ。カノンの見間違い・・・」と

              言いかけた時、


      カノンは「ほら、、、今、右側の5番目位のトコに

             歩いてる人・・・」とニコニコしながら言った。

 

               テファだ・・・テファだったのだ・・・・



     カノンは自慢げに「ね?オッパだったでしょう?

           カノンね、オッパなら、どんなに豆粒でも、

          直ぐにオッパだと分かるよ。

         オッパのへんてこな日本語でも何を言ってるか?

        言いたいのかも直ぐに分かるし・・・

          オッパの事なら何でも分かるよ・・えへへ」

              と満面の笑みで言った。 



    ヒロミは「ハイハイ」と言いながら、

  時間だから教室に戻ろうと言い、三人は会計を済ませ、店を出た。


       丁度、テファが、通りの向こう側を歩いて来た。

  音楽を聴きながら歩いていたみたいだったが、

    カノンが「オッパ」と声を出すと、

        テファは立ち止まり、「やぁ、カノン」と言って

                 手を振って笑った・・・


   カノンは、アヤとヒロミに先に行っててとして、

                 テファのもとに走り寄った。



           カノン:「オッパ、学校?」

 テファ:「うん・・・秋に学園祭があって、ライブをやるから、

       その練習なんだ。大学には夏休みでも、

       ほぼ毎日、通うつもりだよ。研究もあるしね。」

カノン:「韓国の大学生さんは、凄いお勉強熱心だね?

      日本の大学生は、毎日、遊んでるよ。

       後はアルバイトをしたり・・・留学したり・・・

     旅行したり・・・余りお勉強はしないかも?」



テファ:「でも、カノンだって、今、韓国語の勉強をしに

      韓国に来ているから、勉強熱心じゃないかな?」

カノン:「えぇ・・・違うよ。

      カノンの場合は、お勉強嫌いだけど、

     これは日本の大学の授業カリュキラムの1つで・・・

     それで来ただけだし・・・

      お勉強と言っても毎日、遊びみたいなものが多いよ。」

テファ:「そうなの?・・・

      ところで、カノン、午後の授業大丈夫?

                   もうすぐ1時だよ・・・」



      カノン:「あっ!大変だぁ〜

                オッパ、またね。」

   

   カノンはピョンピョンしながら校舎へと走って行った。

   

  テファは優しく微笑みながら、その姿を少し眺めて、

   それからヘッドホンをつけ直して、歌を口ずさみながら、

   ゆっくりとサークルの部室のあるところへ向かって行った。
 


  その姿を、またクモクの父親は見ていた・・・

   「おっ、あの二人・・・上手く再会できて、

      仲良く話してるじゃないか・・・

         ペンダントを1つにする日も

                 近いかな?ハハハ」と

             目を細めながら、店の内に入った・・・・

 



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




   日本語学科6クラスの午後のテストが終わって

    生徒達は、テスト日半ばだと言うのに、

             講堂に集合させられた・・・・





  ザワザワとしている中で、

   先生が「静かにしなさい、直ぐに終わるから」と

   言って鎮め、学長が挨拶をした。



学長:「えぇ・・・テスト中、済みませんが、

        皆さんに、1つお話があります。


        このホンデに後期から編入する仲間を

           紹介します。」


 生徒たちは、たかが後期から編入する生徒の紹介だけで

このテストの忙しい中、召集をかけられては、たまったモンじゃ

ないと、半ば怒りにも似た言葉が飛び交った・・・・

学長:「あぁ・・・皆さん、静かに!!

            李ヘジャさんです。

       李ヘジャさんは、日本語学科首席の李スンミさんとは、

     御両親が違うものの、御家族です。

     長い間、アメリカにおられました。

         そこで日本語を専攻していたそうです。

     ホンデの編入試験も満点の成績でパスし、

      特待生レベルです。

     更に我が校の校舎の殆どが李建設の

      手がけたものでもあります。

     特に語学堂の校舎は、李建設に就職した我が校の卒業生が

        デザインさせて貰い、構築したものです。



      ・・・では李ヘジャさんに一言、挨拶して貰いましょう。

                  李ヘジャさんどうぞこちらへ。」






           生徒たちは一斉に歓声を上げた・・・

     そこには眩いばかりの大輪の薔薇が咲いたかのような

         美しいヘジャの姿があった・・・


   姜ユリも霞んでしまう位の、スレンダーで美しい女性だった・・・




  ヘジャ:「皆様、ごきげんよう。  

                李ヘジャです。

        李スンミとは家族ですが、私は生粋の李家の娘です。

               皆さん、後期から宜しく。」と言った。



  ユリは、自分よりも明らかに美しく目立つヘジャの登場に

    心穏やかでは無かった。

          何もかも、自分の上を行く女だったからだ・・・

            学力も、財力も、容姿も・・・・

                ユリはカチカチと指の爪を噛んだ。 
 



  ユリの取り巻きたちも、クラスメイト達も

    「ユリよりも美人だな」とか「ユリの取り巻きなんかより、

    ヘジャにヘコヘコした方が、恩恵が大きそうな気がするな」

     等々、ユリの神経を逆なでる言葉を

              聞こえるように言っていた・・・・

 

     李ヘジャが後期から来ると言う、

        その挨拶だけの為に、日本語学科全員が、

        集められたと言うのも、ヘジャの家の威力が

          あるからだと言う事も、ユリをイライラさせた。

 


   ヘジャはユリとすれ違いざまに

    「フン、姜ユリ・・・お前を奈落の底に

     突き落としてやるわ。ホホホ」と囁いて、

                     冷笑しながら通過した。



  先生達もヘジャにヘコヘコしていたし、

            付き人のように世話をしている先生も居た。






     次に注目を浴びたのは、スンミだった・・・

       今まで、スンミを率先して苛めていた学生達が、

      スンミにも「今まで御免な」とか

         「本当は、苛めるつもりはなかった」とか

       ヘコヘコしながらおべっかを使っていた・・・・


     それもたまらなくユリを怒らせた。



  ユリ:「あんた達、今さら何やってるのよ。

           この日本語学科のお姫様は、私・・・私よ。

                 違うの?」



グッチョル:「・・・姜ユリ姫は、お姫様には違わないけど・・・・」



          ユリ:「違わないけど何よ?え?」



グッチョル:「・・・なんて言うか李ヘジャは、、、

            女王様みたいな感じで・・・

             姫よりも上って感じが・・・

           そのぉ・・・するんだよな?」と言うと




           周囲も、そうだ、そうだと賛同した・・・・・




 ユリは怒って、取り巻きたちに、荷物を持たせて帰って行った。

  そこへ、バンドの練習が終わったテファ達、

         パランファのメンバーとユリ達はかち合った。



  ユリは、テファの顔を見るなり

       「オッパ・・・テファ・・・オッパ」と言って泣きついた。




      テファはビックリして「ユリ?どうした?」と聞いた。



     取り巻きのシネとヘギョが、さっきの事をテファに伝えた。



  テファは、微笑んで「何だ、、ユリ、ホンデのお姫様のユリも、

                たかがそんな事で、揺れ動くなんて

                  、、、いいじゃないか、


         言いたい奴には言わせておけばいいんだ・・・・

         李ヘジャと言う子が女王様なら、

            余裕でその座を譲ってやればいいのさ。」




       ユリは泣きながら「・・・だって、、、悔しい・・・」




  テファ:「何が悔しいのか?僕には分からないよ・・・

       女王もお姫様もどちらも近寄りがたい存在だし・・・

     そんな名前や地位にとらわれるなんて、気持ちが小さいぞ!

     李建設は超金持ちなのは誰もが知ってるけれど・・・

     でも人の幸せは、お金じゃないし、容姿でもないし、、、

     僕は、日本に行ってその事を学んだんだ・・・

    美しい物は、いつかは枯れる・・・

      特に生きているものは・・・・

           でも心は枯れたりはしない・・・

    お金がもしなければ無いなりに、過ごせるもんだし、

             気持ちの問題だと思うようになったよ・・・」



      テファは、日本でのカノンとの事を思い出していた。



   カノンが「オッパと一緒だったら、どんな場所だって構わない。

        駅のベンチでも公園の芝生でも良いし、、、

        食事だってレストランやちゃんとしたお店じゃなくても

        構わない・・・肉まん1個を半分に分けあって食べる方が、

        幸せだ」とも言った・・・・

    プレゼントがなくても、言葉や、繋いだ手と手のぬくもりが感じ

      られれば幸せなんだとも言ったから・・・・

    そう言えば僕は、そんなカノンの言葉に甘えて、

    カノンにプレゼントらしいプレゼントをした事がなかったし、

    ご馳走もして上げなかったと、思った。



   ユリは心を落ち着かせ手で涙を拭きながら

       「オッパ、李ヘジャの顔を見て、虜にならないでね?・・・

             約束よ・・・

        私は怖いの・・・あのヘジャが、私の持っているものを

        全部、奪い取りそうだから・・・

          オッパを取られちゃったら・・・

                 私は死んじゃうわ・・・」と言って、

                          テファにしがみついた。



      そのユリの手を解きながらテファは

           「ユリ、、、僕は物じゃないよ・・・

                だけど、これだけは言えるよ・・・

             僕は李ヘジャを見ても、

               心ときめいたりはしないと思うよ・・・」と言った。



    どんなに美人でお金持ちで、華やかな女性を見ても、

                    今のテファには、関係なかった。



       ユリは分かったとして、

               ニコヤカになりながら、家へと帰って行った。

       明日の試験も頑張るんだと張り切っていた・・・・





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 



    ソンジェとカノンは、今日も帰りに待ち合わせをして

                     崔雅子の家にお邪魔していた。






      崔:「カノンちゃん、その後、記憶の方はどう?」


 カノン:「・・・相変わらずです・・・

          でも、もう探せなくても良いかな?って

          思うようになりました。

      もしかしたら、このペンダントの人は、

      日本に居るのかも?とか・・・・

     あるいは、このペンダントを私がどこかで拾って、

     それで持ち主が現れるまでつけているのかもしれないし

          ・・・・なので、もう探すのを止めました・・・・」



 ソンジェ:「・・・カノンは、それでいいの?一緒に探してあげるよ?」



    カノン:「ううん、、もういいです。

         オッパちゃん、色々と心配かけちゃって御免なさい。

            雅子さんも御免なさい。・・・

               それにもう直ぐ帰国だし・・・

         あとは帰国まで楽しく過ごしたいです。」




   ソンジェ:「カノンがそう言うなら、いいんだけれど?・・・」


   雅子:「・・・もしもよ、そのペンダントの男の子が表れて、

                  名乗り出たら?

        そして、僕はカノンの恋人だ!って

        言ってきたらどうするの?」と聞いてみると、


 カノンは、その雅子の言い方が面白かったのでケタケタと笑いながら


      「・・・・ん〜・・・多分、あっ、そうですか?

               じゃあ、このペンダント返します。

                って言って終わりだと思います。」と言った。





              本当は、違うのだが・・・・

            ソンジェだけは傷つけてはいけないと

               言う気持ちが強く働いたので、、、

                とぼけるようにカノンは言った。


  そしてチラリとソンジェの顔を見た・・・

          ソンジェは相変わらず繊細で美しい横顔だった・・・

                 そして微笑んでいたのでホットした。



   雅子:「そうか〜、ほな、カノンちゃんは日本に帰っちゃうんやね・・・

        寂しいな〜カノンちゃん、いつでも韓国に遊びに来てね。

       カノンちゃん一人ぐらい、いつでも泊めて上げるわよ。」



   カノン:「有難うございます。雅子さんやオッパちゃんのお陰で、

        本当に楽しい韓国滞在になりました。

        オッパちゃんは、多分、また日本の大学院に入る為に、

        日本に来るだろうし・・・

        雅子さんも実家が関西だけど日本でしょう?

        だから、日本でも会う事が出来るから・・・楽しみですね。」



ソンジェ:「・・・・そうだね、カノン・・・

             僕の母親は日本人だったから、

       何れは日本に又行って、ずっと住みたいと思ってるし・・・

       住むならやはり東京だと思ってます。

          東京芸術大学の大学院が第一志望だから・・・・」



  カノン:「オッパちゃん、凄いね?芸術大学って、

       日本で1番の芸術大学だし、東大に入るよりも難しいと

          言われているよ・・・

       しょうがねぇなぁ〜だからカノンが、日本語と韓国語を

       オッパちゃんに教えて上げるよ。

                では、早速、、、

                     後について発音してね?」



 ソンジェ:「えぇ・・・嫌だよ・・・どうせ、TVが見たいな・・・

          スイッチオン・・・おっ、キムタクダって言う奴だろう?」



  カノン:「甘いな・・・更にナルシストだね?オッパちゃんは!!

      カノンは違うフレーズを教えて上げようと思ったのに・・・・」


   ソンジェ:「嘘・・嘘・・・嘘・・・カノンは本当に面白いね。ハハハ」




   雅子は、二人のふざけ合いを可愛いなと思いながら眺めていた。

    この二人は、きっとずっと一緒だろう・・・

          10年先・・・20年先も二人が一緒にいる気がした。

 

  実は雅子は、天理大学韓国語学部出身なのだが、

  大学の時に占いサークルに入っていて、タロットや星生術などを学び、

  チョットした占いが出来るのだった。二人の名前や、



   生まれなどをそれとなく聞いていたので、カードで占った事があり、

   相性は抜群で、夜空を司る月の神と星の女神がほほ笑んでいる

    最高のカードを引いたのだ・・・・


   しかし、障害が二人にそれぞれあるカードも引いていた

            ・・・多分、ソンジェにはジナ・・・



     カノンにはテファの陰だろう・・・

             しかし、何度占っても、

     10年、20年先も二人は一緒にいる・・・

                  そんな占い結果だった・・・・

  カノン:「雅子さん、帰国する前に、

          私、雅子さんに日本食を作って

       御馳走したいんですけれど?

        その時、キッチンとかお借りしても良いですか?」



雅子:「勿論よ・・・あぁ・・帰国なんてなければいいのにね・・・」




  ソンジェ:「僕も、料理を手伝うよ・・・

         日本に居た時、自炊してたから、

                    料理は得意だから・・・・」


      カノン:「オッパちゃん、趣味は何ですか?」


          ソンジェ:「え?趣味・・・えっと」



    カノン:「ブブーっ、甘いな・・・趣味は勉強です

                     って言わなくっちゃ・・・」



    ソンジェ:「ハハハ・・カノン趣味は何ですか?」



   カノン:「音楽活動です。ライバルは李ソンジェです。

         李ソンジェは生意気です。

        だって、カノンが、韓国語を教えて上げたのに、

       最近は生意気で、カノンの発音にケチつけるんだよ。

       更には料理もするって!

       カノンの得意は料理だから、カノンの真似っこしてるよ。

       生意気でしょう?」

ソンジェ:「えぇ、、、違うよ、カノンのお手伝いをしようと

       思っただけだよ。韓国語は、僕はネイティブだから、

       日本人のカノンに習う必要はないし、

      カノンに正確な発音や言葉を教えたいから、

                 こうだよって言ってるだけだよ。」

カノン:「嘘、嘘、嘘〜ナルシストだね、オッパちゃん・・・

        まっ、いいか・・・ね?」と言って笑った。

         ソンジェも「ね?」と言って笑った。



    雅子:「本当に仲が良いわね。それに楽しそうね。」

                と言って笑った。



    ソンジェは雅子の言葉を聞いて嬉しかった・・・

     カノンとは、出来ればずっと一緒に居たかったので、

    出来れば、カノンの帰国に合わせて、

    日本に留学出来る手続きをしたかった。

 遅くとも来年、卒業したら、直ぐにでも日本に留学したかった。

     ただ、鄭テファの存在が気になった・・・

          あいつ、何で名乗り出ないんだろう?



       カノンは目の前にいると言うのに・・・

            もしかしたら、心変わりをしたのだろうか?


      家族に日本人と付き合う事を反対されたのだろうか??

        カノンとは気まぐれか、遊びだったのだろうか?

            疑問ばかりが浮かんできたが、、、

     カノンが幸せならば、どんな事でもしてやろうと、

                       ソンジェは思った。
  




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



  
   よいしょ・・・・あぁ、しんどい・・・


 額の汗をぬぐいながら、サヤカは、世田谷のマンションに戻った・・

サヤカにとってカナダの語学留学は、退屈な物で、テストは案の定

首席レベルで終了したし、カナダの学校側では、更に1年〜2年、

大学で本格的な留学生活をしないか?との話しに、サヤカは、

首を縦に振らず、横に振った・・・答えはNOだった・・・

 サヤカにはキャビンアテンダントになる夢があったからだ・・・

 更に、カノンの事も気になっていた・・・

  誰もいない部屋に入ると、部屋の中は夏の暑さにモワっと

した・・・・・

 サヤカは、空気の入れ替えで窓を開けながら、TVをつけたり

郵送物に目を通したり・・・・荷物を開けて、洗濯機を回したりと

大忙しだった・・・・

  一息つこうと、珈琲を入れて飲もうとした矢先、

          電話が鳴った。


サヤカ:「もしもし・・・」

     長野の妹のカレンからだった・・・・

サヤカ:「・・・なんだ、カレンか〜どうしたの?」

カレン:「お姉ちゃんがカナダから今日、戻るって聞いたから、

     電話したんだけど・・・実は、我が家はリフォームする事に

     なって、お姉ちゃんの荷物とかも、一旦、離れの蔵に

     移したの・・・

    その時、たまたま今年の3月か4月にお姉ちゃんが送った

    荷物の段ボールが破けちゃって・・・中から、沢山の写真や

     手紙、手帳とか出て来て・・・余りにもサイズが小さいし、

     写真もカノンちゃんと男の子が一緒にうつってる物ばかり

     だったから、お姉ちゃんが間違えて送っちゃったのかな?

     って思ったの。手帳もカノンちゃんの名前だったから・・・

     それで、手帳や携帯もあったから、どっちも大切な物

     だろうと思って、郵便で送ったの・・・多分、ポストに

     投函できる様に送ったから・・・届いてる?」

 

          ・・・・・と言われた・・・・・・


 サヤカはハットして、郵送物をガサガサとして見つけた・・・

サヤカ:「あったわ・・・有難う・・・・お姉ちゃん、間違えてカノンの荷物を

      送っちゃったみたいね?ハハハ・・・御免、御免・・・」

     ・・・・と、言ってとぼけた・・・・


     カレンは変なお姉ちゃんと思ったが、気を取り直し

     「夏休みが終わる前に、長野に帰って顔を見せに来てよ。

     お父さんはなんだかんだ言っててもお姉ちゃんを応援している
 
     んだから・・・本当はお姉ちゃんの方が、お医者さんに向いてる

     って・・・私も思うもん・・・でもキャビンアテンダントになりたい

    気持ちもお父さんには最近、伝わってるみたいで・・・・

    飛行機や、キャビンアテンダントのドラマやCM、ドキュメントとか

    TVでやると、必ず見ているもの・・・」

  
   サヤカは、分かったX分かったと何度も言って、電話を切った・・


 妹のカレンから送られて来た携帯と手帳を目にして、、事故の事、

カノンのテファへの記憶の抹殺や、、、、様々な事が、想い出された・・

携帯の電源を付けて見ると、テファの笑顔の待ち受け画面がポップ

アップして来た。すると、カノンが、携帯から「フレンドネットランド」と

言うサイトに何度も受発信している事に気が付いた・・・・

 つい最近、フレンドネットランドからメールが何件か入っていた。

サヤカは、そのメールを見て、わなわなと震えた・・・・・



    ペンネーム「ナルカマ」より、「カノカマへ」と言うものだった。


 ナルカマはテファ、カノカマはカノンの事だと言うのが、

 直ぐに分かった・・・・  

 内容は、カノンに似た女の子をホンデのキャンパスで見かけた

事や、、、、カノンがサヤカや家族を騙してホンデに語学研修を

していた事などが、テファのメールから伺えた・・・・・

  カノンは記憶を取り戻したのだろうか? 

    私を騙しているのだろうか?・・・・

 いや、カノンはそんな子じゃない・・・・・・

  サヤカは、PCを立ち上げ、ソンジェにメールを打ち始めた・・・


 


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