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作品名:潮風のセレナーデ・・・会いたい気持ち・・・ 作者:HAPPYソフィア

第24回   秘密ちゃん大作戦・・・秋の気配・・・
  テファは、自分の計画を全て説明し、林先生も快く協力をし、

     カノンも、言われるまま実行に移す事を約束した・・・・

          実行は、金曜の昼からとした・・・・




   そして、周囲には3泊四日と言って出掛ける・・・

   天候悪化や交通至難を理由に、帰宅が遅れ、

           結局、夏休みが終わる



               日曜の夕方に帰る・・・・

 

    場所は、先生の故郷と言うカモフラージュを貸して貰い、

          泊まる場所は、民泊とした・・・


    お金は、テファがカノンの分まで、全額払うつもりだったし、

    日本で働いて貯めたお金があるので、それを使おうと思った

    のだった・・・

 

       しかし、カノンは、カノンで自分の分はちゃんと

       払うつもりだったし、貴重な時間を使って一緒に観光して

       くれるオッパに、何かお礼をしたいと思っていたし、二人分

        の旅行費を払っても構わないと思っていた・・・・・




   カノンは胸が高鳴りドキドキして来た・・・

                    そして10日間近くも

        大好きなオッパを独り占めできる事が、嬉しかった・・。



     用意周到に計画を進めて行こうとなって、

     その日は解散になった・・・・



テファは帰り際に「先生、今後、何かありましたら、

           僕の自宅の個人メールでお知らせください・・・

           又、これが僕のプライベート携帯の番号です」と

         言って番号を書いて渡した・・・

先生も、自宅のメルアドともう一台のプライベート携帯の

番号を書いて渡した。



   林:「へぇ、、AUなんだ・・・帰国してからも未だ持ってい

            るんですね」と先生が言った。。。。

  


           え?AU?AUって、、日本の携帯?



   テファ:「えぇ・・僕は将来また、日本に行くつもりですから・・

          日本のIT企業に勤務するつもりです・・・

       それに、この携帯には想い出が沢山、

                       つまっているから・・」



  カノンは、その携帯をチラリと見た・・・・

       するとカノンが上げたロッテワールドのローリィの

                ストラップと、

       手作りのトウモロコシみたいな髪型の

               男の子のマスコットが付いていた・・・

   

           先生はそれを見て笑った・・・

      テファの髪型はトウモロコシみたいだったから、、、

         それを思いながらマスコット人形をフェルトで

           カノンが作ったのだ・・・

テファは「えぇ・・・僕に似ているでしょう?日本で仲良くなった

     女の子が作ってくれたんです・・・大切な物です」

        ・・・・・と韓国語で言っていた・・・・



                 オッパ、、、

      有難う・・・カノンは何度もオッパを見つめながら

                   呟いた・・・・・





-----------------------------------------

 




       その日、カノンは夜遅くに屋敷に戻った・・・



  スンミが、まだ試験勉強をしていた様子で、階下から

      カノンを出迎えた。



   スンミ:「夕方、ソンジェ兄さんから電話があったの。

          カノンちゃん、明日、学校が終わったら、

            正門で兄さんが待ってるって・・・

         何か話したい事があるみたいよ。

        明日も15時半に語学堂が終わるんでしょう?」



      カノン:「・・・ハイ、15時半に終わります。

            お兄ちゃんが門で待っているんですね?

           分かりました。・・・特に用事も約束も無いし

          、、、、久しぶりにお兄ちゃんに会えるから、

            嬉しいです。・・・了解しました。」



      スンミ:「・・・ところで、今日は帰りが遅かったわね?

             どこに行ってたの?」



     カノン:「えっと・・・あのその・・・チョンロに最初は

          行きました・・・それからご飯食べたり、お茶

          したりしました・・・スンミちゃん・・・あの、

           その・・・えっと・・・」

   スンミ:「カノンちゃん、話しは別の日で良い?私は前期末

          試験の最中なの・・・明日も難しいテストだ

                               から・・・」

         カノン:「・・・ハイ、、、、お休みなさい。」



  カノンは、嘘が苦手だったし、やがてバレテしまうならと思

  って、今日はテファとジャズクラブに行った事や、そこでジナ

    と遭遇した事を話してしまおうと思っていたが、テストで忙

    しいと言われ、仕方ないと思った・・・

    明日、スンミの時間が空いた時に話そうと思った。

    部屋に向かおうとした時、

      スンミが「カノンちゃん、そうそう、

     カノンちゃんの担任の先生が、語学堂の夏休みに、

     あなたを先生の田舎に連れて行っても良いかって、

      聞かれたんだけど?

     色々と考えたんだけど、

     先生となら安心だし、いいんじゃないか?って

     思ったの。

            カノンちゃんもその話し、聞いてる?」



  カノン:「ハイ、、じゃあ、先生の田舎に行っても良い

                           んですか?」

          スンミ:「ええ、、良いわよ」



   カノンは、嬉しくて満面の笑顔で一礼して、部屋に入った。

       ヤッタ!・・・カノンは心の中で喜んだ・・・



  とにかく来週の金曜迄に、少しずつ荷物を運び出そうと思った。

  まだこの部屋には、盗聴カメラがあるので、油断はできなかった

   が、、、、




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






 テファは、家に戻ると、「秘密ちゃん大作戦」を成功させようと、

   旅の下調べを再確認した。

 ユリの話では、ホンデの日本語学科の試験は、

   全学科の中で1番遅くまで行われ、来週の金曜の16時半

   近くまでかかる様子だった。



  最後の試験がヒアリングと書き取りなので、

  学校が静かになった第4限・・・

        つまり14時半〜16時半過ぎまでかかる・・・

   

       チャンスかもしれない・・・・



  カノンの方は、語学堂の勉強は14時に終わると聞いたので、

    出発は金曜のこの14時半頃にしようと思った・・・




   この日は、学校の近くにテファは車を止めて、

   カノンを待つことにしようと思った。

   カノンの荷物は、少しずつ、自分の部室に運ばせ、

  当日は、自分が、バンドの練習に行くフリをして、

   運び出してしまえば良いと思った。

 

    旅の当日は、カノンは、

        簡単な格好で語学堂に行かせ、

           一旦、家に戻ってから、

         荷物を持って夜に高速バスで出発すると

    言う事にして、学校帰りに、

        そのまま旅に出てしまうと言う

         不意打ち作戦に出ようと思った・・・

 

  一方、自分であるテファは、

      学生生活最後の夏休みなので、

    一人旅がしたいとし、韓国横断の旅に車で

    出るとして、出かける・・・

  両親は、自分のやりたい事は大いにやりなさい

     とし、賛成してくれるので、安心はしているが・・・



  問題はユリだ・・・

    多分、昼間、研究室に来たユリは、PCを

      覗き込んでしまったので「江原道」と

                   言うのを見た筈だ・・・



   ユリの別荘が江原道の鏡浦台にある・・・

      ユリは昼間は直ぐに退散したのは、

       恐らく勘違いしたのだろう・・・



   滞在している金子瞳とユリの自分達の為に、

   夏休みを一緒に過ごしてくれるのだろうと・・・

  しかもユリの別荘のある江原道で・・・

  鏡浦台からアバイ村や束草はかなり離れてはいるが、

   用心した方が良いと思った・・・



      それにしても・・・

         カノンは相変わらず可愛かったな・・・



   テファは今日のカノンとの出来事を思い出しながら

   笑ってしまった。




--------------------------------




   次の日、語学堂が終わって、

              カノンは正門に向かった・・

 

         既にソンジェが待っていた・・・



  カノンは、大きく深呼吸をして、

               ソンジェのもとに向かった。

 

      ジリジリとした日差しがまだ強い午後だった・・・




        カノン:「オッパちゃん、お待たせ〜」

ソンジェ:「やあ、カノン、久しぶり・・・

        暑いからどこかに入ろうか?」と言って、

    コーヒーショップに先ず二人は入った。




カノン:「オッパちゃん、

       カノン、このキャラメルとかアイス

     クリームが一杯入ってる飲み物がいいな」と

                  言って指さした。



ソンジェは「分かった・・分かった」と目を細めながら、

          注文をしてくれた。



    席は、普段よりも割と空いていた・・・

   恐らく学生たちは、学部にもよるが、

  次々と夏休みに入っていっているのもあるし、

   この時間帯は、微妙で、人の往来が少なくなる

     のかもしれない。



    飲み物を飲みながら、カノンは、

                  先ずはソンジェに謝った。



   ソンジェは意味が分からず、

          「どうして?」と首をかしげた。



カノン:「オッパちゃん、

       カノンはオッパちゃんとは家族だよね?

      だから、オッパちゃんに嘘つくの、嫌だし・・・

     正直に言います・・・えっと、、あの、、、その、、」


    もごもごしながら、

      カノンは、昨日は、テファと二人で、

     ホンデ近くのジャズクラブに行った事を話した・・・

  すると演奏家の一人に、

   「呉ジナ」さんが居て、呉ジナさんが、

    オッパちゃんと言う人がいながら、

      二股かけてるって誤解した言葉を言った事・・・

   そもそも、昨日、テファさんと会ったのは、

   スンミちゃんとの事で

    (=これは、昨夜、テファと話して、

     こう言った方が良いとした秘密ちゃん大作戦の

     1つの事だった)話しがあるって言われて

     会っただけのことだと、ソンジェに伝えた。



 ソンジェは、カノンが正直にテファと会った事を

  話して貰えて嬉しかったし、まだテファの記憶が無いと

  確信し、安心した。



      ソンジェ:「スンミの事で話し合い?」



  カノン:「ハイ、実は、テファさんも私も、

       替え玉で、お互いメル友をしています。

       私の替え玉はスンミちゃんで、

      テファさんの替え玉は、同じ学部のソン・

      ジュンギさんと言う人みたいです。

      私達は、お互い自分たちの知らないところで、

      メル友で、付き合ってる?みたいな感じに

     噂が流れているけれど・・・

     全くの誤解だし、気にしないで行こうとなりました。

     オッパちゃん、もしオッパちゃんが、

   ジナさんとの仲が拗れたら悪いかな?っと思って・・・」



    ソンジェ:「もうジナの事は過去だし・・・関係ないよ」


    カノン:「・・・でも、そうは言っても、どこでどうなるか?

         分からないし、キムタクのオッパちゃんと

         良い女のジナさんはお似合いだし、、

        何か芸術的な感じがするから・・・」



  ソンジェは、カノンの話が面白くて笑いだしてしまった・・・



    ソンジェ:「ハハハ・・・誤解なんてしないよ。分かったよ、

          カノン・・・正直に話してくれて有難う。ハハハ」



    カノンの心がチクリと痛んだが、

   ソンジェをこれ以上、傷つけたくないとカノンは思った・・・



ソンジェ:「ところで、カノン、スンミから聞いたけど、再来週から

       1週間、夏休みだって?」




    カノン:「うん・・・あのね、

          カノンの担任の先生が、行くところがなければ、

                 先生の田舎に行かないか?って・・」



       ソンジェ:「カノンは、どうしたい?」



   カノンは、先生の田舎へ行こうと思っていると言おうとしたが、

   きっとこんな質問をソンジェがすると言う事は、ソンジェは何か

    カノンの為に計画をしてくれているのかも?しれないと思った。



    言葉を発するのを躊躇していると、

      ソンジェが、少し照れたように

   「カノン、もし、行くところや、計画がなかったら、済州島へ、

               一緒に行こうか?」と言った・・・

  


                 済州島!!!!




   日本で言うと沖縄みたいな、南の島・・・

                 海が綺麗で、

           年中、温暖で、人も優しく、食べ物も美味しい・・・

      ドラマのロケ地も沢山あるし・・・

               行ってみたい場所だったし、、、



   もし韓国に住むならば、

           済州島だったら、

              寒いのが苦手なカノンでも過ごせるだろうと

                 言う場所だった・・・・・

 

     しかし、

         済州島は韓国人に人気の場所ではあるが、

           旅行代金は割と高いし、

              自由に直ぐに行ける場所では無かった・・・

 


      苦学生のソンジェは、

             かなり背伸びをした旅行計画だろうし、、、

         半ば、社会人であり、楽団の演奏会もある

           ソンジェが1週間もの休みを取るのも

                       大変だとカノンは理解した・・・




  カノンは、「オッパちゃん、凄く嬉しいし、

            済州島も行きたいけど・・・

                         今は止めておくね・・・」



                    ソンジェ:「え?」



カノン:「済州島はね、やっぱり将来の為に

          取っておきたい場所だもん・・・

       オッパちゃんが、借金してお家を買って、

             カノンがジャージャー麺屋やって、

      オッパはホストをしながら音楽活動するところだもん・・・

      今は、オッパちゃんもカノンも大学生だし、

      ・・・済州島は日本で言うなら沖縄みたいで、

      なかなか行けない憧れの場所で、

                お金が沢山かかるから・・・・

     オッパちゃんは、楽団の演奏会もあるし・・・

     学校の勉強もあるから・・・

      カノンね、先生の田舎で過ごそうって思ってるよ。

     だから大丈夫・・・

          気にかけてくれて有難うちゃんです。

     やっぱりオッパちゃんはカノンの家族だね。えへへ」




  ソンジェは、カノンが自分の事を考えて、

   傷つけないように断ってくれたのだと直ぐに分かった・・・

   確かに済州島への旅行は学生には身分不相応な

    豪華なものだったし・・・

   丁度、楽団の演奏会が、あって、

    せいぜい出かけられたとしても2泊三日の旅行だったし、

    楽器の練習は、毎日しなければならなかったからだ・・・




ソンジェ:「そうか・・・そうだね?

       今年は止めておいた方が良いね・・・

      でもカノンをどこにも連れて行って上げられないね?

                  ホストファミリーだと言うのに・・・」



カノン:「オッパちゃんはホストに済州島でなれるし、

     ファミリーにはもうなってるから、いいじゃん

     ・・・カノンは大満足だもん・・・

     カノンは観光旅行で韓国に来たんじゃないし・・・

     韓国語の勉強で来たんだもん。

           どこにも行けなくても構わないよ・・・えへへ」



  ソンジェ:「カノン、凄いな・・・勉強熱心だね?ハハハ」

カノン:「あぁ!何そのハハハって!!

      オッパちゃんに韓国語を教えて

              上げないからね!!プンプン」

ソンジェ:「ごめん、ごめん・・・ハハハ。

       いつから先生の田舎へ行くの?」

カノン:「えっとね、金曜の夜に高速バスで行くみたい。

     先生がチケット買ってくれるって・・・

     江原道の洛山って言う所だって・・・・」

ソンジェ:「カノン、江原道は、いい所だから、

       楽しんで来ると良いよ。」



    ソンジェは、カノンの江原道を喜んで賛成してくれた。

カノンの心は又、チクチクと痛んだが、、、

それよりもテファと一緒に過ごせる夏休みが嬉しくて

たまらなかった・・・・






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






   ソンジェは、カノンと別れ、帰り道で、後ろから車の

          クラクションが鳴った。

 


            呉ジナだった・・・



                 ジナ:「李・ソンジェ・・」



            ソンジェ:「やぁ・・ジナ・・・」



   ジナは、チョット話しがしたいと言って、

   ソンジェに車に乗るように促した・・・

    ソンジェもジナに話しがあったので、車に乗った。



  ジナ:「この前は、演奏を助けてくれて有難う。

      あなたのサックスのお陰で大成功だったわ・・・

      実は、昨日、面白い物を見ちゃったの・・・

       あなたの耳に入れておいた方が良いのかも?

      っと思って、車に乗って貰ったの・・・」



  ソンジェは、さっきカノンが正直に話してくれた

  昨日の事だろうと思い、ジナの言葉を遮って

  「昨日、カノンが、ジナに会ったんだろう?

   その事かな?」と言った・・・

ジナは驚いて「え?知ってるの?」と言った・・・

ソンジェ:「あぁ・・・知ってるさ。

         カノンは何でも僕に話をしてくれるし、、

       お互い隠し事はないんだ・・・

      昨日はカノンだけじゃなく、カノンの通う

     ホンデの学生の男と一緒だったろう?」


  ジナ;「恋人同士みたいに仲睦まじかったわ。

                      そう恋人よ・・」




   恋人同士と聞いて、

         ソンジェは、当り前さ、

   日本では付き合っていた仲だし・・・っと

             心の中で思いながら、微笑んだ・・・





  ジナ:「ソンジェ、あなたは騙されてるわ・・・

             あのカノン、

      あなたとあの男と二股かけてるのよ。

      私よりシタタカだし、意地の悪い女よ。」と

                     言った・・・



    ソンジェはジナの言葉に腹が立った・・・





ソンジェ:「カノンの事を悪く言うな・・・

         カノンは、僕と君がお似合いだから、

        また寄りを戻せばいいよと何度も言って

         くれていたし、、、

        君の事も美人で格好良くてピアノ演奏も上手で

        って尊敬もしていたし、褒めていたんだ・・・

       気持ちの優しい子さ。それを君は、

       カノンを悪く言っているが・・・

       僕は益々、君に幻滅したよ・・・降ろしてくれ・・・」




ソンジェは、車のドアを開け、車から降り

   「もう君とは話もしたくないし・・・

         一緒に演奏をする事もないだろう。サヨウナラ。」

          と言って、地下鉄の駅へと下りて行った・・・・




    ジナは、ソンジェの1つ1つの言葉に心が痛み・・・



     ソンジェの心が、もうジナから離れている事に気づき・・・

         
         ハンドルに顔をうつぶせ、泣いた・・・・



   自分が取り返しのつかない言葉を発して、

    ソンジェを怒らせてしまい

          更には信用も失ってしまったからだ・・・

 


      それでもジナは、

             まだソンジェを愛していた・・・・






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






 ユリ:「金子瞳さん、じゃあ、来週から夏休みなので、

     私の別荘へ家族で行きましょうよ。

     パパもママも行くって言ってるしテファオッパも

       来てくれそうなの・・・」

金子瞳:「テファさんも来るの?あのパランファの?凄いわ。」

ユリ:「私とテファオッパは、子供の頃からの付き合いなの・・・

    オッパの両親とも、お姉さんとも仲良しだし、、もう家族ぐ

    るみの付き合いなの・・・お母様には結婚もOK貰ってるのよ。

    ・・・でも・・・」

瞳:「でも?」

ユリ:「オッパは、日本から帰国してから、何だか感じが変わっ

    たの・・・」

          瞳:「感じ??」

ユリ:「えぇ・・・私の知らないオッパの顔が幾つも有るし・・・

    日本で何かがあったのかもしれないけれど?考え方も、

    言葉も、変わったわ・・・前は、私の言う事なら何でも

    聞いてくれたし、オッパの左腕はいつも私の物だった

    の。ところが、日本から帰って来てから、オッパは、

    私のお願いを断る事が多くなったし、私を叱る事も

    多くなったの・・・例えばスンミに対しても、前の

    オッパなら、興味のない事や、汚い・醜い物に対し

    ては、流してしまうか、無視するかだったの。でも、

    最近のオッパは、スンミを庇うし・・・私に対し

    ても怒るし・・・オッパがいつ・どこで何をしている

    かも直ぐ分かってたのに・・・今は、オッパが何を

    しているのか?どこにいるのかも分からないの・・・」


       瞳:「ユリさんの思い過ごしよ・・・」

ユリ:「違うわ。唯の思い過ごしではないわ・・・オッパが、

    変わったのよ・・・最近、、、特に変わったわ・・・

    オッパは、誰か好きな子が出来たのかも?・・・」

瞳:「それこそ、ユリさんの思い過ごしだと思うわ。ユリさんの

   他にテファの周囲は誰も女の子なんて近寄る事が出来ない

    じゃない・・・」

ユリ:「・・・そうかしら?・・・でもオッパの目や心は、もっと

    遠い誰か違う女を映しているみたいなの・・・」



       ユリは泣き出しそうな顔になっていた・・・・

  瞳は、そんなユリを見ながら、

      天下のユリも、

          テファにはメロメロで、

  ウィークポイントもイイトコなんだなと思った・・・

   万が一、テファが、ユリ以外の女性と付き合う事になったら・・・

         ユリはどうなるのだろうか?と

               考えただけでも、恐ろしくなった・・・・





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






    カノン様、今朝は、早めの登校が宜しいですよ。

      道路状況が良くありませんから・・・」と言って、



   いつもの1時間も早い時間に、お手伝いのキムヨナが起

    こしに来た。外は雨が降っていたのか?木々が濡れて

     いたし、葉があちこちの庭に散乱していた。



   キムヨナの話だと、昨夜は洪水の様に雨が降り、

   道路は木々や看板などが風や雨で倒れたり、

   落ちていたりと、散々だから、

   本来ならば、電車の方がいいのかも?と

   言っていたが、スンミが、今日はカノンと一緒に登校する

    と言ったので、それで早めに起こしに来たそうだ。

 

    カノンは支度を急いでして、

    食事に階下へ降りようとした時、

        スンミの部屋のドアが開き、

                    スンミが出て来た。



             スンミ:「おはよう、カノンちゃん」



       カノン:「スンミちゃん、おはようございます。」



  スンミは大きな欠伸をして

      「昨日は、物凄い嵐だったわね?

        徹夜しながら、勉強してたんだけど、、、

         風も雨も激 しかったわね?」と

     言ったが、カノンは疲れていたのか?熟睡してしまい、

     嵐には気がつかなかったと言って笑った。



  スンミは、未だテキストをカバンに詰めてないから先に

    食堂へ行っていてとカノンを促した。



   カノンは分かったとして、

          階下に降りて行き、食堂に行くと



           ギクリとした!!!



      たった今、2階でスンミと会い、

           話をしたのに、既にスンミが、

          席について食事をとっているのだった。




スンミ:「・・カノン、おはよう。今日は一緒に登校しましょう。

             あなたに聞きたい事もあるしね。」




    カノンは、この食堂にいるスンミが怖くて、

    ブルブルと震えた。

       威厳があって怖い雰囲気を醸し出していたからだ。



       2階に居たスンミと確かに話をカノンはした・・・・




        ・・・・・スンミは双子なのだろうか?・・・・

 


      深く考えないようにしようと何度も思いながら、

     食事をした・・・





    スンミ:「ねぇ、カノン、あなたとメル友しているテファは

          偽物だったって、知ってる?

         テファは、あなたの事、何とも思ってないみたい。

         だから、偽物と言うか、代わりに同じ学部の

         ソンジュンギって言う不細工な機械オタクの男が

         テファになり変わってメル友してたんだって!

         ソンジュンギは、カノンのファンらしいわ。

         だからテファに頼んで、替え玉じゃないけど、

              メル友してたみたい・・・

             姜ユリが、自慢げに言ってたわ・・・

          テファはやっぱり姜ユリみたいな女・・・

                      外見が好きなのよ。

           そう、ユリみたいに美人な・・・」と
  
                       言って唇を噛みしめた。




     カノン:「・・・そうなんですか?・・・」としか

                      カノンは言いようがなかった。



         余り刺激をしない方が良いと思ったからだ。




     スンミ:「まぁ、いいわ。ところで、

           あなたはもう帰国しちゃうから関係ないんだけれど、

         2学期から、面白い事が起こるわよ。

          ここのお屋敷の本当のお嬢様、李ヘジャが、

                   ホンデ日本語学校に編入するのよ。」



           カノン:「え?李・・・ヘジャ・・・さん?」



      スンミ:「えぇ・・・そうよ。

            ヘジャは何回か見た事あるでしょう?

           周囲にはアメリカに留学していたって事にして

             いるんだけれど・・・ヘジャはユリよりも美人だし・・

               頭も良い・・

          そして財産も姜IT企業なんかよりも何十倍もあるし・・・

         きっとテファはユリなんかよりもヘジャを好きになると思うわ。

           フフフ〜」



                 カノン:「・・・・え?・・・」

    スンミ:「恥をかかせ、

            いつも苛めていた姜ユリが許せないわ・・・

               必ず復讐してやろうって思ってたの・・・

                楽しい事がこれから起こるわよ・・・

                  カノンにも少し見せて上げられるわよ。」




                  カノン:「・・・スンミちゃん・・・」




   学校の行きの車の中でも、スンミは高らかに笑いながら、

     姜ユリを奈落の底に落とし込む事を

                      カノンに熱く語った・・・




   カノンは、そんな事、止めた方が良いと言いたかったが、

   スンミの目がギラギラしていて怖かったので、

                   何も言えなかった・・・・

 

   そして今朝の出来事が腑に落ちないので、

     何でだろうと考えてみたが、、、

     やっぱり双子かも?とか、、目の錯覚かな?とか・・・・




  語学堂の教室に行くと、既に夏休みを取ってホストファミリーと

一緒に旅行に出かけた生徒も居て、欠席者の席が目立った。



   ヒロミとアヤに、

     カノンは、記憶が戻って、去年、1年生の時に

        テファと知り合って付き合う仲になっていた事を語った。




       ヒロミ:「やっぱりねぇ・・・だと思った・・」

                    カノン:「え?」



   ヒロミ:「だってさ、二人を見てたら、超お似合いだったもん・・・」


    アヤ:「・・・私はソンジェさんの方がカノンにはお似合いだと

         思ったけど?・・・でもさ、カノンが物凄く楽しそうな・・・

       って言うか嬉しそうな笑顔をしているのを見て、テファさんと

         も有りかな?って思った。」



    ヒロミ:「ミドリもクミも、何となくあのかき氷の時から、

         カノンとテファさんが、怪しいって思ってたみたい。

         うちらはカノンを応援するよ。

         だって友達だし何があっても、カノンの味方だよ。

          だから・・・話してくれて良かったよ・・」



   カノン:「私も、いつも夢やフラッシュバックで出て来る人が、

        テファさんだとは、ずっと分からなかったの。

        漢江の遊覧船に乗って、倒れた時、病院に運ばれて、

        帰宅した次の朝、何か頭の中がスッキリして、

         記憶が戻ったの・・・

        だからかき氷の時も、まだテファさんの記憶が

        なかったんだけど・・・

         ミドリちゃん達って凄いね?えへへ」



  アヤ:「テファは、ホンデでは物凄く人気があるし、

       あの姜ユリがゾッコンでしょう?バレタラ怖いよね。

                   更にソンジェさんも傷つくんじゃない?」



   カノン:「・・うん、ユリさんに知られても構わないけれど、

        ソンジェお兄ちゃんには、記憶が戻った事は

           知らせたくないの・・・傷つけたくないから・・・

          ソンジェお兄ちゃんは、優しいお兄ちゃんだから・・・」



  ヒロミ:「でもさ、何でテファは

            カノンに、自分たちは付き合ってたとか、

                             名乗りでないの?」



アヤ:「甘いな・・・ヒロミ・・・

          テファは華麗なるホンデのスターだよ。

    カノンに被害が及ぶ事を考えたら、名乗り出ない方が

       良いって思ったんじゃないの?」




    カノン:「オッパは、過去の事とか

               余り重要視しない性格だと思った・・・

                       もし、

           記憶がなければ、また新しく記憶を作って行けば良い

             と思っている人だから・・・

             名乗ったりしないんだと思った・・・

          オッパの事、想い出せて本当に良かったと思ってるし・・・

          でも、ソンジェお兄ちゃんや他の人達には

          未だ内緒にしていてね・・・

            テファオッパにも、記憶が戻った事を内緒にしてね・・・」




           ヒロミ・アヤ:「え?テファも知らないの?」



  カノン:「うん・・・だけど、それでいいの・・・

                  本当に今はその方が良いの・・」



ヒロミ:「分かった・・・だけど、帰国までには、ちゃんと知らせなね?」



                       カノン:「うん」



       アヤ:「カノン、ソンジェさんとはどうなっちゃうの?」



カノン:「元々、スンミちゃんの干渉から逃れるためのカモフラージュの

     付き合いだから・・・なんて言うか、ソンジェお兄ちゃんは、

     本当のお兄ちゃんみたいな感じ・・・

       一緒にいると穏やかな優しい気持ちになるの・・・

       それに、自分が元気いっぱいで、

       ソンジェお兄ちゃんを楽しませて上げたいって思えて・・・

        嫌いか好きかって聞かれたら好きだし・・・

     その好きって言う意味が、、、

                 何かこう家族愛みたいな感じ・・・」




             ヒロミ:「じゃあ、テファは?」




       カノン:「大好き♪

              一緒にいるだけで楽しくて、

                        心がウキウキして、

                            そして

             ドキドキするし・・・

                  オッパが笑うと私も嬉しくて笑うし、

                  私が泣いていると、

              オッパはいつも笑顔に変えてくれるし・・・

                 オッパとの記憶がなくなっちゃった時期が

                あった事・・・

            本当に申し訳ない気持ちで一杯になったよ。



             カノン、オッパが大好きです。

     オッパとずっと一緒にいられるなら妹でも良いと思ってる・・・」





                  アヤ;「妹?」



カノン:「うん・・・だって恋人とか奥さんて、

     もし仲が悪くなったら最悪、別れる事になっちゃうでしょう?

      ・・・でも妹なら、どんなに仲が悪くなっても、

      バイバイがないから・・・だから妹と言うポジションが

      気に入ってる時もあったし・・・今もそう・・・

     オッパが他の人を好きになって、

     他の人と付き合う事になったとしても妹のポジションだったら、、、

      ずっと一緒にいられるでしょう?」

       カノンは話しながら泣きだしていた。



アヤもヒロミも慌てて

       「カノン、分かったから・・・泣かないで!」と言って

          宥めた・・・


     カノンは完全にテファに恋していると思ったし、

     テファを心から好きなのだと思った・・・

 


      カノンは、少し落ち着いて、

          「ところで、今朝、変な光景を見た」と言いだした時、

          授業が始まるチャイムが鳴った・・・・・




     この話しは後でねとして、

          三人は自席に着き、テキストを開いた・・・・ 







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