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作品名:潮風のセレナーデ・・・会いたい気持ち・・・ 作者:HAPPYソフィア

第22回   蒼い月の涙・・・ペンダントの輝き・・・




ユリ:「オッパ、もう機械工学部は夏休みでしょう?

良いな〜私は、来週の金曜までなの・・・

しかも、最後のテストがヒアリングの聞き取りを、

   書いてゆくテストで、相当の集中力が必要とされるから、

日本語学科の上級クラスは、ホンデの学部で

一番最後の時間帯を取って金曜の14時半から

1時間半のテストが始まるの・・・

夏休みは、そのテストが終わらないと、

始まらないわ・・・憂鬱だわ〜

    ところで、オッパ、金子さんが再来週1週間、

ホンデの語学堂がお休みになるんだけれど・・・

どこかに連れて行こうと思うの・・・

ねぇ、オッパも一緒に行かない?あら?・・・」と

言って、テファのPCを覗いた。

 

        テファは慌てて、PCを消した・・・



ここでユリは、何で消しちゃうの?と怒ったが、、

次の瞬間、ピンと来た・・・



多分、ユリや金子瞳の為に、テファが、色々と、

内緒で下調べをしてくれているのかも?と思った・・・



       確か、江原道・・・・・・洛山とあった・・・



海があり山もあって、良い場所だった・・・

更にユリの別荘も近かったからだ。




ユリは鼻をピクピクさせながら、まぁ、いいわ、


今日の所は早く帰るわとして、

          ソソクサと帰って行った・・・・



 テファは、カノンの携帯電話にメールをし、

今日、会えるか?会えるなら、


EVANSと言うホンデ近くのジャズクラブに

  来て欲しいと書いた・・・



     午前中の授業が終わって、

トイレでカノンは携帯メールを確認した。



カノンは、テファに会える事が嬉しかったので、

勿論、行くとして返信した。

  

それにジャズクラブと言うのも、興味があった・・・

日本にいたら、絶対に行く事も出来ない事や

         体験を韓国に来てしていて、

           カノンは凄く楽しかった・・・



   又、テファとの記憶も戻って来たからだった・・・・



        昼ご飯を学食でとりながら、

今日、学校が終わったらどうする?と言うのが

ヒロミ、アヤそしてカノンの合言葉のようになっていた・・・



カノン:「今日、私はホンデ前のEVANSと言う

ジャズクラブに行きます。」

ヒロミ:「一人で行くの?」

カノン:「え?ううん、違います。待ち合わせをしています。」

アヤ;「え?誰?誰・・・?」



カノン:「・・・えっと、その・・・えっと」

カノンの顔は見る見る赤くなった・・・・



アヤ:「・・・・分かった!!ソンジェさんでしょう?

ジャズとか好きそうだもの・・・」



カノンは、ソンジェの名前が出た時、

否定はできず、もごもごしながら



「まぁ・・・そんなトコです・・・」と言って

テファと待ち合わせとは言えなかった・・・



ヒロミ:「いいな〜、アヤ、うちらはどうする?

江南にあるコエックス・モールに

     行かない?欲しいDVCとかCDとかあるんだ。

雑誌も買いたいし。」


アヤ:「・・・しゃーない・・・そうしようか?」と言って

二人は笑った・・・・




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





 その頃、ソンジェは、崔雅子に呼ばれて、

雅子の家に居た・・・



    ソンジェも雅子も、話したい事が

    山盛りにあったが、結局は、カノンの会いたい



 男の子は「ホンデの鄭テファ」である事に

                     行きついた・・・・



 雅子:「凄い偶然なんだけれど、私の主人の両親が、

       この春にカノンちゃんに

     会っていたの・・・

     カノンちゃんは鄭テファさんに会いに

    ソウルに来たってちゃんと記憶していたわ・・・」



ソンジェ:「僕も、カノンのルームメイトで、

      親戚、更にはこの春、一緒にソウル旅行を

      した鈴木サヤカさんと言う人から、

      鄭テファの事を聞かされました。

     だけど、サヤカさんは、余りテファの事、

     良く思ってないみたいでした。

     寧ろ、テファの事を完全にカノンの記憶から

     消し去りたい様子でした・・・・

   実際、僕も彼に会いましたが・・・

            かなりの自信家で、、、

              人の意見も聞かない、

                  頑固な感じがしました。」



 雅子:「カノンちゃんは、まだ相手がテファさんだと

        言う事は少しは気づいてはいるだろうけれど、

         決定的な証拠がないし、、、

      認めたくないって感じがしたわ・・・

       なんて言うのかしら?自分との出会いの接点も

     無いし、あんなアイドルスターみたいな男の子と

        付き合える筈は無いって・・・

    万が一、テファさんが相手だと困るとも言っていたわ。」



ソンジェ:「雅子さん、済みませんが、今暫くこの事は

      カノンに内緒にして頂けませんか?

      サヤカさんの意見も再度、聞いてみたいし・・・

     僕もカノンとテファとの付き合いは反対です・・・



           カノンが傷つく・・・

              そんな感じがするんですよね?」



             雅子:「・・・と言うのは?」



ソンジェ:「サヤカさんの話では、日本で、二人は付き合って

      いたけれど、カノンが、テファの事で泣く事が

      多かったし、いつも傷つけられていたって・・・・」



          雅子:「・・・例えば?」



 ソンジェ:「例えば、あの通り、テファはモテます。

       韓国のホンデの大学でも、バンドのボーカルだし

       ・・・・お姉さんは女優・・・華やかな芸能一家みたいな

      感じがします・・・日本に居た時も、

      同じように日本人からもモテていたみたいです・・・

        ここからはサヤカさんの話ですが・・・・」





    ・・・と、言って

         テファのスキャンダルの1つを話しだした・・・




テファがワーキングホリディをしていた「宮殿」と言う食堂は、

コリアンタウンでも日本一の歓楽街である歌舞伎町の近くに

位置していた。

 いつもの時間には沢山のクラブやキャバレーなどで

働くホステスやホストで溢れて居た。

 その中の1人である源氏名「モモコタン」と言う自称28歳の

  ホステスが居た・・・(=本当は25歳になっているか・・

      いないかも定かでは無かった・・・)

  モモコタンはいつも決まった時間に、

  決まった席(=窓側のカウンター席のある近くの

  テーブル席に)腰掛けて、外の道行く人の姿を見ながら、

  ソウロンタンを注文し、食べていた・・・・

  テファは、毎日、常連で来てくれていたので、

  顔もすっかり覚えてしまった・・・

  出前で、キャバレーに食べ物を持ってゆく事もあった・・・



    ある日、偶然にも歌舞伎町の

  キャバレー「アゲハ蝶」にトッポギやキンパブの出前を

 頼まれて、持ってゆく事になった・・・・



   すると、客に絡まれながらも、

      必死で客のセクハラを交わしながら、仕事を

    懸命にするモモコタンの姿を見かけた・・・・

        目が合ったので軽く会釈をし、

             出前を置いて帰って行った・・・

 

  するとその日も、定時にモモコタンはテファが働く

  宮殿食堂にやってきた・・・

 モモコタンはその日は、窓の外を眺めず、


        ずっとテファだけを

                熱く見つめていた・・・・



  テファは軽く会釈をしながらソウロンタンをモモコタンに

   持って行った。



 テファ:「お待ちどうさまです。ソウロンタンです。どうぞ。」と

      言って去ろうとした、



         ・・・その時、モモコタンは

              テファの腕を引っ張り、

                   テファに言葉をかけた・・・



モモコタン:「ねえ、あんた、今日は何時にお店が終わるの?」



  テファ:「え?僕ですか?・・・

              ・・・あと1時間ですけれど?」



モモコタン:「私は、今日と明日はOFFなの。

              ねぇ、どこかに行かない?海・・

                     海が見たいわ・・・」



テファはモモコタンが、余りにも強引で、ビックリしたが、

逆ナンパされて、ちょっと興味を持ったのもあったし・・・

      面白そうな感じがしたのでOKを出した・・・


    店が終わってから、二人は横浜に向かった・・・



  モモコタンが一方的に自分の話を語ってきて、

        テファはそれを黙って聞いていた・・・・



      モモコタンは可哀想な生い立ちだった・・・

   名古屋で生まれて、父親は職人だったが、

天候に左右される仕事である事や、こう不景気だと、

仕事がなく、年中酒びたりになり、その内、

ギャンブルに手を出し・・・借金まみれになった事や・・


  母親は自分を含め子供を5人も抱えながら、

   内職や夜の仕事や、清掃の仕事など

幾つも抱えながら頑張って働いていたが、

夜の仕事で知り合ったヤクザと良い仲になり、

子供を置き去りにして逃げて行ってしまった・・・

  離婚届と、腹を空かせ泣き叫ぶ子供たちが

     残された・・・父親は、

  酒に相変わらず逃げ・・・

    俺が悪いんじゃない・・・

        不景気な世の中が悪いんだ・・・



     と言って、酒を飲んでは暴れた・・・・

まだ小さな子供たちは、児童相談所が

引き取ってくれ、口減らしが出来たが、

中学三年のモモコタンは、あと半年で中学卒業

だったので、児童とは認められず、

          父親の元に残された・・・



  年で言えば高校生の年齢の兄も、

高校には通えず、必ず成功して金持ちになるからと

言って東京に行った・・・

 半年後、歌舞伎町でキャバレーを経営して

成功していると言う手紙が届いた・・・

    そして封筒の中に3万円もの大金が

入っていたので、モモコタンは兄を頼って、上京した・・・



  15歳・・・まだ中学を卒業したばかりだった・・・

兄から貰ったお金は、なるべく使わずに、

無銭乗車を繰り返しながら、東京を目指したのだった・・・



食事は、派遣村に行っては、

 そこで無料でご飯の提供をして貰ったり、慈善団体の

バザーがあると聞いては、そこに行き、

洋服や、食べ物を同情心を煽って分けて貰ったりした。

 

    ところが、いざ上京してみると、

        兄は、キャバレーの経営どころか、


    末端の呼びこみの仕事さえもさせて貰えない、

         ポン引きの手伝いの危ない

             仕事をしていたのだった・・・・


  親父狩りや中高生のカツアゲもしていた・・・

 

   暮らしぶりは酷く、4畳一間の古くて汚い

             ボロアパートに住んでいた。




モモコタンは、仕方なく兄の紹介で歌舞伎町の

キャバレーで働くことになった。


年齢がまだ15歳だったが、化粧で大人びた顔つきにし、

背伸びをかなりして20歳だと偽って働くことになった・・・

その内に、肌のピチピチさから、ヘルスや、AV女優の

声もかかったが、それだけは拒んだ・・・・


   年齢もそうだったが、せめて1つくらい純潔を

      守りたいからだとモモコタンは

               言って拒んだそうだ・・・・



 ところが、1年と少したった時に、兄が、

      とんでもない失敗をしたとかで、ヤクザに追われ、

        逃げてしまったのだ・・・

  良く聞いたら、ヤクザの女を寝とってしまい、本気で好きに

     なってしまったのか?二人は手を取り合って

          逃げてしまったらしいのだった・・・



       数日後、港から男女の遺体が引き揚げられ、

        どうやら兄と兄の女のものだと分かった・・・



   恐らく闇で何かが動き、

         兄達は殺されたのかもしれなかった。

 
    残されたモモコタンは、また行くあてがなくなった為、

         この先どうしようか?と思ったが、



       根が真面目で働き者だったので、

                 キャバレーアゲハ蝶の



   オーナーは、そのまま働いても

                 良いよとしてくれたそうだ・・・・



   モモコタン:「ねぇ、あんたの名前は?」



        テファ:「・・・え?名前ですか?」


   モモコ:「フフ、、別に本名じゃなくても良いのよ・・・

        あんたって言うのもなんだから・・

           名前で呼ぼうかなって思ったのよ」



      テファ:「・・僕の名前は・・・テファです。」



モモコ:「・・・ふーん、テファ・・・テファか・・・どこの国の人?」



         テファ:「・・・韓国です・・」



モモコ:「ギャハハ・・そうか?韓国だよね・・・

          だってここってコリアンタウンだもんね・・・

     でもテファってサ、日本語、上手いね?頭、いいんだ。」




       テファ:「・・・それはどうも有難うございます・・・」



モモコ:「ねぇ、テファ、結構、ルックスいいじゃない?

      歌舞伎町でホストも出来るわよ。

            人気も出るんじゃない?口きいてやろうか?」



       テファ:「・・・いえ、僕は興味ないです・・・」



  モモコ:「あたしは、テファに興味があるんだけど?

           ・・ねぇ、あたし達、付き合ってみない?

             お試しでどう?

            まだ処女だし、こう見えても綺麗だよ。

     年も訳ありでごまかしてるけど、テファと同じ位だと思う・・

            だってS60年生まれだもん・・・

     

      あぁ、、、東京に来たのが、

                    丁度2000年・・・

                    もう直ぐ10年になるんだ・・・・・」

         と言った・・・・




      テファは突然のナンパにしろ、

         こうしたデートにしろ、付き合わないかと

         言う言葉も意表ばかりつかれて驚くやら、

              面白いやらで、好奇心から

              付き合ってみようかな?っと思い、

          友達から始めましょうとし、OKを出した。




   その頃、まだカノンとは知り合ったばかりだし、、、

こうして面と向かって付き合わない?と告白して来たので、

悪い気はしなかった・・・

  それにモモコタンは腐っても歌舞伎町のキャバレーで

   働くホステス・・・かなり魅力的な体型だし、

       顔もそこそこ綺麗だった・・・・

日本に来て、きちんと向き合ってくれる日本人が思ったよりも

少なく、寂しい思いをしていた事も事実だったので・・・・



   付き合うと言っても、それまでの生活とは変わらず、

 モモコタンは定時に店に来て、定位置に座り、

 食事をして帰る・・・店が暇だとテファと会話をしたり、

休みと時間が合えば、東京や近郊に出かけたりした・・・・ 




 ところが、カノンとのメル友が意外にも楽しく、

  更には電話したり、写真メールの交換をしたり、

実際に会ってお茶を飲んだりするようになって、

どんどんテファはカノンに魅かれて行ったし、、、

 忙しくなってしまったのだった。

 

  モモコタンと違い、カノンは、自分と同じ学生である

   ことや、育ちの良さや、安心感もあったからだ・・・・



  段々と、モモコタンとの二股みたいな付き合い方に

 抵抗を感じ始めていた・・・

 


  モモコタンとの付き合いが、カノンにバレテしまった事が

     あった・・・



   カノンは、物凄く悲しんで、自分が身を引くと言って、

            テファの前を去ろうとした・・・


  テファは、改めてカノンが心から好きだと言う事を

      認識し、モモコタンとの事に決着をつけようと

                    思ったのだった・・・・




 テファ:「モモコさん、僕、好きな子できました・・・

                 大切に思ってるんです・・・」



         モモコタン:「・・・ふーん、、、だから何?」



  テファ:「・・・え?・・・だからモモコさんとは、

                     もう付き合えません。」



 モモコタン:「・・・あたしだって、テファの事、

                 本気で好きなのよ・・・

         あたしがホステスだから?

         あたしが、テファよりも

                 年上のおばさんだから?」




       テファ:「違う・・・

              違います。

                  僕は、今、一番好きな女の子が

                 出来たんです。

    

           彼女の事を考えると幸せな気持ちになるし、、

                ずっとずっと彼女と

                  一緒にいたいから・・・

               自分の気持ちに嘘はつけないから・・・

    


           あなたとは、好奇心もあったし、

                 まだ日本に来て間もなくて、

            知り合ったり仲良しの

            日本人もいなかったから・・・

           それでOKと軽く言ってしまったんだけれど・・・

            これじゃあいけないし、、、

           あなたを深く傷つけてしまうと思って・・・

                   本当に済みません。」と

                          言って頭を下げた。



 モモコタンは、そんな・・・酷いと言いながらも、

               その時は、動揺していたのか?

                      その場を去って行った・・・



     テファはこれで終わったんだと思い、

                     ホットしていたのだったが、、、



    モモコタンはカノンにまとわりついたのだった。。。

    カノンにテファと別れてくれとか、自分とテファとの

       付き合いは深く長いとか・・・

    色々と吹きこまれて、カノンは耐えられず

                泣きだしてしまった・・・・



   テファの口から聞く、テファの気持ちは

          カノンに向けられていたが、

     モモコタンとテファの二人の仲の真相は、

        どうなのかは分からないとサヤカは言っていた・・・




  モモコタンは、名古屋の実家に帰ってしまったらしいと

      風の便りでテファが聞いたと

              カノンに語っていたそうだった。




   そして、カノンに、自分はカノンだけだ、

           カノンをもう悲しい思いをさせたりしない


           と言いながらも、カノンはテファに

              傷つけられる事が、

       度々あって、カノンが泣いている姿を

             サヤカは何度も見たと言っていた・・・




   そう、カノンはモモコタンの他にもテファとの事で、

        何度も泣かされていたとサヤカは言った・・・

    聞いている内に、韓国人の嫌な部分が見えてしまい、

          ソンジェは、

    申し訳ない気分になり、サヤカに謝りのメールを

     送ったりもした・・・・




   雅子:「聞けば、聞くほど、その鄭テファさんて

             モテモテで綺麗な男の子なのね?

        カノンちゃんも、日本人のおばさんから見ても

          かなり可愛いと思うけれど?

        二人はお似合いなんじゃないのかしらと

        思ったけれど・・・

       でも、テファさんは綺麗な美少年に隠された棘が

                 沢山あるのね?危険だわね・・・」



ソンジェ:「テファはカノンに再会しても名乗りもせず・・

      高見の見物をしていて・・・自分は名乗るつもりは無い

       みたいな冷笑をしました・・・

     僕は、腹が立って、思わずこぶしを上げようとして

      しまいました・・・」



  雅子:「え?あなたのような人でも、

               拳を上げたくなったの?」

    雅子はビックリした・・・

        ソンジェは見るからに繊細で穏やかで優しい青年で、

     決して暴力を振るうような性格ではないと

      思っていたからだ・・・・・



  ソンジェ:「・・・雅子さん・・・僕は、カノンが好きです。

        僕の悲しく暗い過去を全て明るい未来に変えてくれた

         のは、カノンです・・・だから、

        今度は僕がカノンを笑顔の未来にして上げたいです・・・」




雅子:「分かったわ・・・私は、どんな時も、ソンジェさんとカノンちゃんを

    応援するわ・・・頑張って!」と言ってガッツポーズを作った・・・・



雅子は、この目の前に居る美しい青年もまたカノンが好きで、

カノンの幸せを願っているのだと思うと嬉しかった・・・

カノンちゃんは、やっぱりソンジェさんの方が良いかも?と思った・・・




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




ソンジェはカノンの事が気になったので、

早々に、雅子の家を後にし、ホンデに向かった・・・・



  今日は、カノンは午後の授業があって、

そこから大学図書館に行って宿題を済ませて、

帰ると言っていたから・・・恐らく18時には、門を出るだろう・・・・



  今からホンデに行けば、十分、かち合えるだろう・・・

  そう思いながら地下鉄に乗り込んだ・・・・

 

  ところが、カノンは今日は、授業が15時半に終わったので、

真っ直ぐに家に帰ってから、着替えをして夕方18時に

EVANSに向かおうと思った・・・

  テファオッパに会うからだ・・・

     可愛いお気に入りの洋服を着て会いたかった

          からだった・・・・

  


      カノンは、ヒロミ達と、早々に別れ、家に向かった・・・


  ヒロミ達は、ホンデ前のお店でお茶をした後、

             コエックスモールにでも行こうか?

  と言う事だった・・・・

         日差しがまだまだ強い夏の午後だった・・・



   ホンデの校門近くのテラス張りのコーヒーショップで、

        二人はお茶をしていた・・・



    韓国の甘いアイスカフェオレとこれまた甘いドーナッツを

頼んで、二人は景色を見ながらたわいもないお喋りをしていると、

見覚えのある姿を目にした・・・



    アヤ:「あれ?あの人・・・ソンジェさんじゃない?」



ヒロミ:「あっ、本当だ・・・

        でもさ、カノン、今日はソンジェさんと

     ジャズ倶楽部に行くって言ってなかった?」



 アヤ:「待ち合わせを間違ったのかも?

                言いに行って上げようか?」


  その時、ヒロミは「・・・・・アヤ・・・待って!」と

                ストップをかけた・・・・

アヤ;「何で?だってソンジェさん、探してるみたいだよ・・・」

ヒロミ:「カノンは、ソンジェさんに会うとは一言もいって

                     なかったじゃない・・・?」


アヤ:「・・・・え?でも、カノンがジャズクラブで

              待ち合わせをする人って?」



   カノンの友人関係を考えた時、

            誰も思い当たらなかった・・・

   唯、嬉しそうに、今日はジャズクラブに行って

      人と待ち合わせをしているって、

   顔を赤くしながら言っていた事を思い出した・・・


ヒロミ:「ねぇ?カノンてさ、

        馬鹿正直だよね?嘘つくのが苦手で、、

         嘘つこうとすると、

      やたらに、えっととか、あのそのって

               言葉を連発するよね?

     それに、テファの話をする時は、

          直ぐに顔が赤くなったりするでしょう??」



アヤ:「・・・・そう言えば・・・・って事は、

          今日、待ち合わせをしてるって相手は、

                              、、、、」




            鄭 テファ・・・・・



            二人は声を合わせて言った・・・・



 ヒロミ:「・・・でもさ、カノンといつから、

         どやって付き合うまでに進展したの?」




アヤ:「・・・・朝、先生の言ってた事って本当だったわけ?」


ヒロミ:「かき氷を食べた時の事、、、覚えてる?

       うちら、皆が二人はお似合いだって・・・

           思わなかった?

     私は、二人はもうずっと昔から知っている

         付き合っている仲だと思えたもん・・・」



アヤ:「ねえ、去年は、うちらはカノンとは

         別のクラスだったけど、

     同じクラスだったノリや、

     エイコに聞いてみる?あの子らだったら、

    去年も今年も超仲良しだから・・・

             何か知ってるかもしれないじゃん・・・」



  ヒロミ:「・・・そうだね。でも絶対に、

        カノンはホンデの語学堂って言ってはダメだよ。

        カノンが言ってたし、ミドリ達も言ってたじゃん・・

                      ・約束だしね。」



  アヤ:「OK。今、電話してみるね・・・」

        アヤは携帯を取り出し、釜山にいるエイコに電話した。



   エイコの方が生まれが京都とあって、オットリしているし、

   チョット天然があるので、話しやすかったからだ・・・
  
  ノリは千葉出身で、テキパキシタ性格だから、

  話しを理詰めでして来そうだったので、、、

     更にはルームメイトのサヤカとも波長が合うらしく、

          ツーカーの仲だったので、侮れなかった・・・

              なのでエイコに電話をした。



    「もしもし?」と言う京都弁のノンビリした声がした。


    エイコ;「へえ、エイコどすけど?あんたさんは?」

    アヤ;「エイコ、私よ、ソウルに語学研修に来ているアヤ、

          アヤよ。元気?」



   エイコ;「やぁ、、、ビックリしたわぁ・・・

             アヤちゃんやんか?どないしたん?

    でも嬉しいわ・・・こっちは毎日、大変なんよ。

    民宿のエアコンは壊れるし毎日、扇風機で我慢なんよ。

    しかも海が近いから、海の匂いがキツクてな、

    気分が悪くなるわ〜、あぁ、はよう、日本に戻りたいわ。」



   アヤ:「こっちも、似たようなもんよ。

          ところで、エイコ、チョット聞きたいんだけど・・

         カノンが大学1年の時、

        付き合ってた韓国人の男の子の名前教えて

              欲しいんだけど?」・・・

         もちろん、アヤの引っ掛けの言葉だった・・・



   アヤもヒロミも知る筈はなかったが、

             エイコに探りを入れてみたのだった・・・・




  いないといえば、それで会話は終わりだったが・・・・

    

     ところが、エイコは

             「なんで、アヤちゃんが、

                そんな事、知ってはるん?」と

              強張った声が聞こえて来た・・・



     アヤは更に話を続けた・・・

       アヤ達の通う語学堂はホンデで、

         そのホンデで、一番人気のパランファと言う

       バンドのボーカルの男の子が、

     カノンの名前を口にしていたから・・・・

     カノンと言う名前は結構、特徴のある名前だし、、、

    彼も今年の春まで日本にいたらしいから・・・・

     その彼が、更に、この前、明洞でカノンに似た女の子を

      見たって言ってたの・・・・偶然かもしれないけど、

   彼の言うカノンが、私達の知る、

         今、延世の語学堂にいるカノンだったら?って

   思ってね・・・・彼はカノンに会いたがっていたから・・・

      それで、今度、カノンに会わせて上げようかな?

    なんて思ってね・・・っと咄嗟の作り話をエイコにした。

        エイコ:「あかん!!あかんて!!」

              アヤ:「え?・・・どうして?」


     エイコ:「その・・・ホンデの男って・・・鄭テファじゃない?」

     


            やっぱり・・・テファだ・・・・



     アヤ:「うん・・・多分、そんな名前だと思う

                           ・・・鄭テファ?」



      エイコ:「アヤ・・・この話、うちがしたって

                 黙っててな?カノンは、

               その鄭テファと付き合ってたんや・・・

                 日本で半年くらい・・・ラブラブ大恋愛や・・・

           テファはんて男は、ホンマに綺麗な男の人でな、、、

           うちも見惚れてしもうたわ・・・

           カノンにだけ見せる笑顔や、優しい顔があるんえ・・・

            でもな・・・春にソウルに行って、

           カノンが交通事故に遭ったのは、

          テファさんが原因らしいんよ・・・

                   サヤカはんは、それを恨んでいて・・・




     テファはんの記憶をカノンから全部、

           消し去るようにお医者はんに頼んで、暗示と言うか、

             催眠術をかけたんやて・・・

        だから、カノンは、多分、テファはんに会っても、

      テファはんの記憶が無いから、、、、思い出せへんと思うんよ・・・」



      思いがけない事実を、

             アヤとヒロミはエイコから聞かされた・・・・

                    やっぱりカノンとテファは付き合っていた・・・

                   カノンは、記憶を戻した??

  

     それもつい最近になってからだ・・・

          少なくとも、ホンデの語学留学の最初の一カ月は、

                      何とも無く過ぎて行った・・・

       時々、記憶が思い出されるが、それでも確証がないまま・・・

        時間だけが悪戯に過ぎた・・・・




   エイコと電話を切ってから、

        二人はコエックスでショッピングどころの騒ぎでは

                            なくなった・・・・




    そして、ヒロミは「ねぇ、それよりも

             校門でずっと待ってるソンジェさん、

                   可哀想だよ・・・どうする?

              EVANSってこの近くだよね?カノンと

                 もしかちあったらどうする?ヤバいよ・・・」

アヤ:「・・・うん、ヤバいよね。何とかしないと・・・」


ヒロミはアヤにチョット、ここで待っていてとし、

         校門に行き、ソンジェに何やら話をして来た。



   ソンジェはニコヤカに笑いながら、帰って行った・・・・



  店に戻るとヒロミはアヤに

        「カノンは、今日は、梨花大学の語学堂に通う

        日本の大学の友人とチョンロで会うんで、

           今日はもう大学に居ないと言って来たわ。

        丁度、コーヒーショップでお茶してたら、

         ソンジェさんが見えたから・・・

         きっとカノンを待ってるんだろうと思って、

        言いに来たとしたの・・・

        そしたら、ソンジェさんは分かったとして、

       カノンに宜しくって言って帰って行ったわ・・・

        あ、ちょっと待って!」



   そう言ってヒロミは携帯でカノンに電話した・・・

              留守番電話だったが構わず録音した。




   「カノン?私、ヒロミよ・・・

      ねぇ、カノン、今、ソンジェさんが校門でずっとあなたの事、

    待ってたんで、今日は梨花の日本人の友人とチョンロへ

     行ったって言っておいたわ・・

    今日は、ソンジェさんではなく、

          テファさんと会うんでしょう?

     私達は、カノンのいつだって味方よ・・・

    だから水臭いことしないでよ・・・

       頑張れ、カノン・・・テファさんと楽しい時間を過ごしてね?」

      と言って切った・・・アヤも、その内容を聞いて、

           私も同じ気持ちだと言って笑った・・・・



  アヤ:「さて・・・大体の謎は解けて来たわね?

         ヒロミ・・・どうする?ソンジェさんが、何か可哀想だわ・・・

                   ソンジェさんは呉ジナさんの事もあるし・・」



      ・・・・と言って、呉ジナの話をヒロミにした・・・

         ジナと別れてから、大好きなアルトサックスが吹けなくなり、

          弦楽器に転身した・・・

        女性をもう二度と愛せないと思っていた時に、

          カノンが現れて、カノンがもう一度、

          音楽の楽しみやアルトサックスを吹けるように

         させてくれた・・・・

      そしてもう一度、恋をする楽しさを教えてくれた・・・

            そのカノンも又、

        ソンジェから去ろうとしたら・・・

             致命的な傷を負う事になってしまうからだ・・・

           

          余りにも残酷だとアヤはヒロミに言った・・・・



   しかしヒロミは

         「出会ったのも、お互い好きになったのも

             テファとカノンの方が

                  先なんだよ・・・・

               全てはカノンの心だと思う・・・そう思わない?」



     アヤ:「それはそうなんだけど・・・

               でも・・・ソンジェさんが、

                         可哀想だわ・・・」と言って

                泣きだしてしまった・・・・



  ヒロミは、「何も、カノンの心がテファさんに向かっているとは

         限らないし・・・

          もしかしたらソンジェさんを

               選ぶかもしれないじゃない・・・

                 可哀想か?・可哀想じゃないかは?

           誰にも分からないし、、、決められない事だよ・・」




             と言って、アヤの背中をポンポンと叩きながら、

                   言った・・・・



      ヒロミも、その時、フト、カノンはソンジェを選ぶのではないか

      と思った・・・・



      アヤは最初からソンジェファンだったので・・・

        出来ればカノンとソンジェが

               上手くいく事を願ったのだった・・・・・

  


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