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作品名:潮風のセレナーデ・・・会いたい気持ち・・・ 作者:HAPPYソフィア

第21回   オッパ・・・ポゴシッポヨ・・・ナド・・・ポゴシプタ
日射病だった・・・・


長い時間、外の強い日差しを浴びていたからだった・・・


カノンは、体が弱い・・・

特に冬の寒さは大敵だが、夏の猛暑も弱かった・・・



カノンは大事をとって、遊覧船観光が終わると

病院に行く事になった・・・・



カルテを見ながら、医師は青ざめた・・・

この子は、この春に交通事故に遭った子ではないか???

 

     医師は、困惑しながら、カノンの寝顔を見つめた・・・・ 



更に、熱で魘されているのか?

「オッパ・・・オッパ・・」と、まるで記憶が戻った かのような

言葉を発していた・・・・



暗示が解けてしまったのか?・・・

真実を知ってしまったのだろうか?・・・・


次の瞬間・・・
      
                  医師はカノンが記憶を取り戻したとのだと

                        誤解をした・・・・

        「オッパ・・・テファオッパ・・・ペンダント・・・

                      ペンダントが・・・テファオッパ・・・・」

  
     春に病院に付き添って来た鈴木サヤカからの話から、

        鄭テファの話しや、ペンダントの話などを聞いていたからだった・・・

     きっと記憶が戻り、そのテファと言う男に会いに夏休みを利用して
 
      来たに違いない・・・・



            医師は日本語ができる、暗示をかけた精神医療師を

                呼んで、もう一度、暗示をかけるように言った、、、



     精神医療師は、医師に、

           本当に、暗示をかけ直して良いのかと?確認をした。



        何故なら新しい暗示は、前の暗示が完全に解けていないと、

         かけることは出来ないし、万が一、かけてしまうと、

            記憶を全て取り戻してしまうと言うのだった・・・・・

 

            ここで医師は、気持ちの焦りからか?

                        誤算をしてしまった・・・



       カノンは、記憶を取り戻したので、前の暗示が、

                        リセットされている・・・

          だから新しい暗示をかけてくれと

                   言ってしまったのだ・・・・



      精神医療師は、責任は持てませんよと言いながら、

             新しい暗示をかけた。



     もう二度と再び、気になる人間や思い出したい

           想い出の人の記憶は、

      頭から消し去るようにと・・・・・

            強い暗示をかけたのだった・・・・



        カノンが目を覚まして・・・

               医師は、カノンに探りを入れた・・・

            医師:「気分はどうですか?」 



     カノンはまだボーっとしていたが、意識はあり

         「ハイ、大丈夫です・・・御迷惑をおかけしました」

           と言って一礼をした・・・・



    学校の先生やアヤとヒロミが見守ってくれていたらしく、

       病室に入って来た。

   

        カノンは、そのまま、家に連れられて帰って

          行ったのだった・・・・



          先生:「鈴木さん、本当に大丈夫?」


         カノン:「ハイ・・・大丈夫です・・・

               何か薬のせいか?

                  まだ少しフラフラしますけど?」



  ヒロミ:「カノン、御免ね・・・

         うちらがデッキに行こうって誘っちゃったから・・・」



アヤ:「カノンは体が弱かったの忘れてたから・・・御免ね」

カノン:「ううん、こっちこそ、御免ね・・・遅くまで付き合わせちゃって・・・」



       先生は、明日の午前中の授業をお休みして良いから

         安静にしていろと言ってくれたが、カノンは、出来れば

        学校で過ごす方が楽しかったので、大丈夫だと言い切った。





   無理はしないようにと言われて、家の門の前で別れたのだった・・・・

   カノンは、家に戻ると、今日は疲れたとして、直ぐにベッドに入った・・・・



      その時、頭をハンマーでガンと殴られた痛みが走った・・・・

           そして余りの痛みに気を失ってしまったのだった・・・・






-------------------------------------------







    朝、目覚めると、

      カノンは、テファの事を全て思い出していた・・・

         頭の中がスッキリしていたのだった・・・・



       だが、次の瞬間、

       記憶が戻ったからと言って、どうしたらいいのか?

       どう進むべきなのか?全く分からなかった・・・




   それでも家にいるよりは、学校に行っていた方が

   良いと思い、カノンは、学校に行く支度をした・・・・

 
  スンミは既に、学校に行ってしまった様子で、

  カノンは、地下鉄に乗って一人で登校する事になった・・・



      これが当たり前の生活・・・

              そう思うとカノンは

                      嬉しかった・・・




   地下鉄が、ホンデ近くになると、沢山のホンデの学生たちが

  乗り込んで来て、電車の中は賑やかになった・・・

    テスト期間中なので、必死のノートを見ている学生も居た・・・・



   もう試験の事を諦めて、

       友人と楽しそうに会話をしている学生たちもいて、



         日本とそう変わりは無い光景にカノンは目を細めた・・・・

 


    電車を降りると、前方に豆粒の大きさのテファが居た・・・

          そうなのだ、カノンは、

          テファをどんなに人ごみの中でも、、、

               どんなに遠くても、直ぐに分かるのだ・・・



     記憶がどんどん戻って来て、

          カノンは、自然とテファを目で追っていた・・・・



 テファは、沢山の友人に囲まれ、、、

          いつも話しの中心に居た・・・

      更に左腕をしっかりとユリが、キープしていた・・・・



   カノンは、春休みに韓国旅行に来ていた事を思い出した・・・

         そうだ、私は、オッパが、学生生活に戻って、

               楽しく過ごしている姿を見て・・・

       悲しくなって事故に遭ったんだ・・・

        その悲しい気持ちや記憶を失っていたんだ・・・・・

     

     ある意味、知らないでいた事が

             幸せだったのかも?しれない・・・・



        あの時・・・・

           オッパは、日本語や日本の事を忘れるのと同時に、

             自分の事を

             忘れてしまっているのかも?と思った・・・・



    しかし、韓国に語学学習に来て、

            オッパと再会し、

       オッパの韓国での生活を少し知って・・・

         そしてオッパとロッテワールドに行ったり、

      かき氷を食べた事は、、 本当に楽しい想い出だった・・・・



          オッパはいつでも優しくて、

                   変わらなかった・・・・

              今も変わってない・・・




      時々、オッパが語ってくれた、

         日本での親しくなった女の子・・・

           つまりカノンである自分の事を、

        懐かしんでくれたり、楽しかった想い出として

    キチンと記憶に今でも留めていてくれていることが、

               カノンは嬉しかった・・・・



        オッパは、まだカノンの事を、

                少しは、思っていてくれている・・・   

                

             そうカノンは信じていた・・・

 

     教室に行くと、クラスメイト達が、

           昨日の事を心配してくれて駆け寄ったり、

               声をかけてくれた・・・



      カノンは「軽い日射病だったみたい・・・

              今は元気だし、迷惑をかけちゃって

            御免ね」と言って謝った・・・・

 

             朝のホームルームで先生が、  



     再来週ホンデは語学堂も含めて1週間、

        お休みに入るとプリントを配りながら言った・・・

  

         ホンデの学生も、早ければ学部によっては

             今週末から、

     遅くとも来週中旬から夏休みに入るので、

      家族と一緒に、

        旅行や観光を楽しむようにとの事だった・・・



      先生は、カノンに

          「鈴木さんの家は、

             皆さん、忙しいみたいだし、

              恐らくスンミさん自体も、

          余り出かけたりしないでしょう?なので、

          良かったら、先生と一緒に先生の田舎の

          江原道へ行かない?・・・

          実は、昨日、スンミさんを呼んで、

         そうして良いか?聞いたの?

            まだ返事は貰ってないんだけど・・・



   多分、大丈夫だと思うわ・・・ね?

             予定がないならそうしましょう?」と

                         言ってくれた・・・・



             カノン:「江原道?」



     先生:「えぇ・・・避暑地みたいなものでね、、

                 海も山もあるし、、良い所よ・・・」



            ヒロミ:「いいな〜私も行きたいな」

                      アヤ:「私も!」



   先生は「あらあら・・でも一人じゃ寂しいから、

             あなたたちは仲良しだし・・

       そうねぇ、、、

        あなた達も一緒の方がもっと楽しくなるかもね?」



           ヒロミもアヤもヤッタ!っと言って喜んだ・・・・



  するとクラスメイト達が「えぇ・・・先生、いいな・・・

  もし僕らも行く所とかなかったら一緒に行っても良いですか?」と

  声が上がった・・・



    先生は・・・まぁ良いわ!でも、一応、家族と話をして、

    許可を貰って頂戴とした・・・

    正し、あくまでどこにも行く予定のない人が優先だと言った・・・



   先生は、恐らく、各家庭で行き先はもう決まっているので、

   不参加の子が多い筈だと思った・・・



    今年のホームスティプロジェクトが決まった際に、

    各家庭に夏休みを1週間設けたとしたら生徒を

     どんな風に楽しませたり、旅行に一緒に行くなら、

    どこに行けるかをアンケートを取り、

       実行の有無も取ってあるからだった・・・



   カノンの家族を抜かして99%の回答率で返って来た・・・


    春川・大田・大邸・釜山・慶州・木浦・遠くは済州島・・・・

      
          山・海・史跡・テーマパーク等々・・・




        ・・・・・なので、恐らくカノンだけがあぶれ、

    一人ぼっちの寂しい夏休みになってしまうと、

     先生は思ったのだ・・・・・

 


       ヒロミ:「先生、江原道のどの辺ですか?」

 
         先生:「洛山と言う所よ・・凄く田舎よ・・・」


        アヤ:「ソウルからどの位かかりますか?」

  先生:「高速バスで4時間から5時間ってところよ・・・」

   カノン:「もしかしたら、、

         アバイ村って言う所や束草も近いですか?」


   先生:「あら、良く知ってるわね?

            ハハン、鈴木さんは、もしかしたら、

                    秋の童話のファンでしょう?」




  カノン:「ハイ、大好きです・・ウオンビンさんが大好きだから・・」



  先生:「え?ウオンビン?

         先生はてっきり、ソンスンホンだと思ったわ。

              だって

         パランファのボーカルの

       テファと付き合ってるんじゃないの?

         パランファのテファはソンスンホンに似ているでしょう?

     
       だからてっきり、ソンスンホンが好きなんだと思ったわ。」と

            意外な事を言った。



    カノンは何で先生がテファと付き合っていた事を知っているのか?

    分からなかったが、凄く恥ずかしくなって真っ赤になった・・・・・



ヒロミ:「え?先生、違いますよ。カノンは、李ソンジェさんと

      付き合っているんですよ・・・

     滞在先の李スンミさんのお兄さんで音楽家になろうとしている

      優秀なイケメンですよ・・・・」


   カノン:「あ・・・えっと・・・えっと・・・それはその・・・」

         カノンはモゴモゴと言葉に困った。


   先生:「・・・あら?そうなの?

         実は、日本語学科首席の李スンミさんが、

          いつものように、クラスメイトにからかわれていて、

        ノートやプリントアウトされたメール見たら、

        鈴木さんとテファのアドレスでお互いがメル友していて

    ・・・・それを日本語訳にするのをスンミさんがやってるって・・・ 

                  そうよ、そうなのよ・・・・

    鈴木カノンさんとあの鄭テファが付き合っていてメル友

    しているって、もう日本語学科ではその噂が持ちきりだって・・

    そう聞いたものだから・・・」

   

           カノンは、その言葉を聞いて、ホットした・・・

 


   先生も日本や、今の韓国での二人の関係を知っている訳では

    無かったので、安心したのだった・・・・


アヤ:「先生、この事で、姜ユリさんは?発狂してないんですか?」

        周囲はアヤの言葉を聞いて、爆笑した・・・・

先生:「そう言えば、、、かなり冷静で、、、微笑んでたって・・・」

ヒロミ:「でも、それは誤解ですよ・・

             カノンは、ソンジェさん・・・

      つまりスンミさんのお兄さんと付き合っているんです・・・

        ね?そうでしょう?カノン?」



  カノン:「え?・・・・うん・・・

             ハイ、、、そうです、そうです。

       ソンジェお兄ちゃんです。

                 でも・・・、あの・・・、その・・・」

  
      カノンは、言葉を探していた・・・・

先生:「じゃあ、違うのね・・・・でも、先生は鈴木さんとテファってお似合

     いだと思ったんだけどな・・・だから、鈴木さんと付き合っていると

     聞いて嬉しかったもの・・・」

アヤ;「先生・・・ソンジェさんを見てから言って下さいよ・・・テファとは違

    った超イケメンで格好良いし、もう楽団に所属して演奏会にも

    出てて何か大人って感じもしますよ・・・カノンにはソンジェさんが

    お似合いですよ・・・」

ヒロミ:「・・・でもさ、テファもホンデでは有名なバンドのボーカルだし・・・

     綺麗な男の人ですよね・・・ホンデは芸術大学が看板ですけど

     頭の優秀さは機械工学部がダントツですよね?」

アヤ:「え?そうなの?」

ヒロミ:「そうなのよ・・・偏差値にすると、文学部より10は上よ。他大学

    にだって負けない大学の学部なのよ」

アヤ:「でも・・・ソンジェさんの百済大学だって優秀でしょう?先生?」

先生:「百済は全羅にある大学よね?有名な大学よ・・・特に音楽が

    有名で、その大学から世界に羽ばたく音楽家や演奏家が輩出

    されているわ・・・李さんの家は韓国で1番の建設会社だと聞い

    ているけれど?お兄さんはお家を継がないのかしら?」

アヤ:「・・多分、継がないんだと思いますよ・・・・」

先生:「韓国は、家族の繋がりが特に強くて、両親の許可なくしては、

    大学も、就職も結婚も諦めなければいけない場合の方が多

    いのよ。特に息子は大変なの・・・・期待も大きいから・・・」

周囲の生徒達「え?何か、昔の日本見たいだな」

         「子供の人生なのに、親が決めるの?」

         「面倒くさいし・・・何か反抗しちゃいそう」

         「でもさ、俺は家が会社やってるんで将来は、

         父さんの会社に就職して社長になるつもりなんだ

         けど・・・世襲制度賛成だな・・・だって日本は不景気

         真っただ中じゃないか?就職だってままならないからさ」

         「・・・私は嫌だな・・・今の日本の家族で、もし韓国ス

         タイルの家族のやり方をされたら・・・家出人口が増加

         しそう!!自分の好きにさせてよって叫びたくなるわ。」

         「結婚だって、好きな人同士で自由にしたいし・・・・

         仕事だって、自分のやりたい事をしたいもの・・・」

         「自分のやりたい仕事って?」

         「・・・・それはその・・・まだ決まってないけどさ・・・・」



  教室が思わぬ方向に話しが進んで行き、ざわついて来たのを見て、

先生はパンパンと手を叩きながら「ハイハイ、話しはその位にして、

では、もうすぐ韓国語文法講座が始まるので準備して下さい。


   今、配ったプリントは、家族の方に見せて下さいね。

   どこにも行く予定がないとか、寂しい思いをするなら、

  是非、先生の田舎へ行きましょう。

  当番さん、号令かけて!!」と言って、その場はおさまった・・・

 

       カノンは、まだ顔を真っ赤にしていた・・・・



  ただ、自分の好きな人は、

          やっぱりソンジェではなく、

    オッパであるテファだと言う事をハッキリと認識していた・・・・



  ・・・そして偶然が偶然を呼んだのかもしれないが、

       こうして韓国で又、テファと会えて、

    テファと同じキャンパスで、

           同じ時間を過ごしている事が嬉しかった・・・・




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




  今朝の日本語学科は、

         テファとカノンがどうやら付き合い始めたと言う話しで

         ハチの巣をつついた騒ぎになってしまった・・・

 


   スンミ・・・

       いやヘジャは得意だった・・・

              今日もスンミに変装したヘジャが、

    ホンデに来ていて、

      代わりに日本語作文のテストを受ける事になっていた。



    ヘジャもスンミも

      1番苦手とする学科試験だったからだった・・・

 

     スンミよりもヘジャの方が若干、

           日本語作文には自信があったし、

      点数も取れるので、

          今日はヘジャが身代わりで

                テストを受けることにしたのだ。

 

     ユリに負ける訳には行かなかったし・・・



      ずっと首席を取ってきたと言うプライドもあった・・・・

  

   ヘジャは、ユリや日本語学科の学生たちに動揺を与えようと、

       わざと、このような騒ぎを起こしたのだった・・・

  

          全てが計画通りに進む筈だった・・・

  


   朝、いつものように教室に行くと、

             自分の席の前で足を引っ掛けて

 
          転ばそうとするクラスの学生が居る・・・

               ⇒転ぶ⇒カバンの中身が飛び出す⇒

  何か面白そうな物はないか?を探す⇒

        見つけるとソレをネタにクラス中がからかうのだった。

      ⇒そこへ女王様の登場・・いつものパターンだった・・・・

 ヘジャはわざと足にひっかかるふりをして転んだ・・・

  豪快にカバンの中身が出る様に転んだのだ・・・



      クラスの学生が集まって来る・・・⇒計算通りだった・・・・


     ユリの取り巻きNO1のグッチョルとシネが、

      興味シンシンでスンミのカバンの中身を見た・・・・



         グッチョル:「おや?何だコレ?」

            グッチョルの顔がみるみる青ざめた・・・・

                   シネ:「どうしたの?」

 それはテファとカノンのPCでのメールの交信の内容がプリントアウト

された物だった・・・・それも1枚や2までは無く悠の3・40枚はあった。


   スンミ(=ヘジャ):「あっ・・・それは・・・カノンちゃんとテファさんに

               頼まれて・・・

     私が日本語と韓国語に直してあげている物なの・・・

      返して!返して下さい・・・」と大袈裟に叫んで言った・・・




 教室に居た学生全員が、その言葉に注目し、大騒ぎになった・・・

=ヘジャ):「・・・二人は、付き合ってるし、好きあってるんです。

        どうか、邪魔しないで!テファが私に親切だったのは

        カノンちゃんの事があるから・・・・とにかく早く返して!」 

          ・・・・と言って今度は泣きだした。

 
   そこへユリが何人かのクラスメイトと一緒に教室に入って来た。



   今日はどんなネタで、醜いスンミを苛めているのか?と楽しみにしながら、

       スンミに近づいて来た・・・・




 ユリ:「・・・どうしたの?・・・まぁ、いつもの事だけど?今日は何の騒ぎ?」

       と腕組みをしながら、グッチョル達に話しかけた・・・・



 グッチョルはモゴモゴしながら、言いにくそうにしていたが、周囲の皆が、

 語学堂の鈴木カノンと、パランファの鄭テファが付き合っていて、毎日、

 メール交換をし、その翻訳や通訳をスンミがしているらしいと言う事を

  話して来た・・・ちゃんと証拠も有り、プリントアウトされた物をユリに

   見せた・・・確かにテファのメルアドとカノンのメルアドだった・・・

    お互い韓国語で書かれていた。

   ユリは、クククっと可笑しくて笑いだしそうになった・・・・

   日本語が達者なテファなら韓国語ではなく、日本語でカノンにメールを

     送るだろうし・・・

    おバカな鈴木カノンが、こんな見事な韓国語をかける訳はなかった・・・



       もし、これをカノンが書いたとしたら、

        とっくに上級コース入り出来るし、韓国一番の外国語大学にだって

        入学できるだろう・・・・

       カノンのメールは、恐らくスンミが見事に翻訳したのだろう・・・

        多少、脚色もして・・・そして自分がカノンになり代わって

         メル友になっている気分なのだろう・・・

 

    それに男の方は、明らかにテファオッパのメールではないし、

             内容からしてソンジュンギのものだと分かった。




     何故なら、テファは必要以上に自分の感情を表に出さないし、

            言葉にもしないからだ・・・



       このメールは、カノンちゃん、可愛いの連発だし、

          ナンパ・・・と言うか中身のない、

                 遊びの誘いの物ばかりだった・・・



           ユリは、不気味な笑いを浮かべただけだった・・・

     ヘジャは、何故?ユリは動揺しないのだろうと焦りを感じた・・・

       いつものユリなら烈火のごとく怒り、

                        取り乱すからだった・・・・

 



       そしてユリは、テストが始まる5分前に、

                        逆にヘジャに動揺を与えた・・・



     ユリにとっても今日の日本語作文のテストは

                         苦手な科目だったし、

                  いつもほんの1・2点の差で、

             スンミに1位を獲られてしまうからだった。


        今回のテストは、

                   私が貰ったわ!

                         とユリは思いながら、

                         意地悪く話し始めた。



           「テファオッパは、

                   鈴木カノンなんて好きじゃない・・・

              メル友もしてないし、

                    ダミーを遣ってさせてるだけよ・・・・

                 そうとは知らず馬鹿な鈴木カノンは、

                   テファオッパだと思ってメル友をしたり

                 電話で話したりしている・・・アハハハ・・・

                   滑稽だわ・・・」と

                  高らかに笑いながら、ユリは言いのけた・・・・




    スンミ(=ヘジャ):「嘘よ・・・そんな・・嘘よ、

                 これはテファのメールよ、

                  テファのメルアドだもの・・・」



    ユリ:「テファオッパのメルアドの1つだけど、

           学校で貰える公式のメルアドよ・・・

                誰もが交信できるものじゃない?

それにテファオッパからのメールはいつも、

昼間の学校に居る時間帯だけ・・・

研究室から交信しているじゃない・・・

いいわ、教えて上げる・・・

このメールは同じ機械工学のソン・ジュンギと言う男が

テファオッパのダミーとして、

鈴木カノンとメル友しているのよ・・・調べてみるといいわ。

     オッパは言ったわ・・鈴木カノンは自分の好みでは無いって・・・

     オッパ自身に聞いてみるのも良いかもね?電話してみましょうか?

      ・・・・あの豆狸、、、本当の事を知ったら驚くかしらね?

       アハハハ〜」




ヘジャは、そんな馬鹿な・・・と

何度も何度も思ったが、余りにも自信たっぷりに

言いのけたユリの言葉が気になって、

テストどころではなかった。



 テストは何とか書くには書いたが・・・

出来栄えは微妙だった・・・・



   ヘジャの敗北に終わりそうな散々なものだったと

言っても良かった・・・






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日本語学科の隣りのクラスの何人かも、

テストが始まる迄の間、

その騒ぎを聞いていたし、見ていた・・・




そして自分たちの教室に戻り、

ビッグニュースとして、クラスの連中に

「あのパランファのボーカルのテファが、

語学堂の鈴木カノンと付き合っている」と噂を流した・・

  



 瞬く間に、噂は流れ、教官室まで届いた・・・・


テファも有名だったが、

語学堂では、鈴木カノンは、何かと有名だった・・・



先ずは、大金持ちだがホンデ1の醜い李スンミの家に

滞在していると言う事で話題になった・・・・



鈴木カノンもかなりの資産家のお嬢様だったが、

決して姜ユリの様な傲慢さは無く、素朴で純粋な、

更には容姿も可愛い女の子だったからだ・・・



あの笑顔にヤラレル男子学生も多く、

ホンデの日本語学科では1番人気だった。

ファンクラブまであると聞いて、注目を浴びたのだった・・・・

勉強は、あまり得意ではない様子だったが、

一生懸命さは感じられて、先生たちにも評判は上々だった・・・・



教師達:「あの子は、何か可愛いですよね・・・」

      「いつもニコニコしているし・・・・」

     「決して人の悪口も言わないし、謙虚ですよね・・・」

     「ホンデの華麗なる男の鄭テファと、留学生の鈴木カノン・・・

      お似合いじゃないですか?テファも、日本に留学してたから、

      日本語が出来るし・・・本人は日本に又行きたいと希望している

      んですよね?」

     「ええ、そうみたいです。半導体の勉強をしていますから、日本の

     半導体の会社に就職を希望しているって聞いた事があります。」

     「そうすると・・・携帯電話の会社かな?」

     「でも、韓国の方がITは進んでいるのに・・・何故、IT後進国の

     日本に行きたいんだろう?」

     「・・・そうですよね、、、姜ユリとは公認の仲だし、このまま卒業し、

      姜IT会社に就職・・・そして姜ユリと結婚でもすれば、会社の

     社長じゃないか・・・順風満帆な人生・・・私なら、こちらを選び

     ますね・・・ハハハ」

     「湯先生は計算高く野心家ですね?ハハハ〜私は鈴木さんを

     断然、応援したくなりますね・・・可愛いんですよ、湯先生、

     近くで見て、話して見て下さいよ・・・・親父キラーかも?」

               職員室中が笑いで包まれた・・・・

     
     カノン達の担任である初級クラスの女教師、林先生は、

    その噂を耳にして、鈴木さん頑張れ!と思うものの、テファが以前、

    日本に居た時、日本で好きな子が出来た・・・だからその子の

    名前を取って、バンド名を作りかえたと言う事を思い出していた・・

    その子とは、今、どうなっちゃったのかしら?と気にはなったものの、

    朝のホームルームが始まったので、教室に向かう事にしたのだった・・・

   


途中、廊下で日本語学科の学生が、その噂をしていたので、林先生は

   「ねぇ、テファと公認の仲の姜ユリさんは、どんな様子?さぞかし、悔しい

    でしょうね?」と聞いてみた・・・すると生徒たちは「いいえ?何か余裕で

   笑ってましたけど?」と意外な答えが返ってきた・・・詳しく聞きたかったが、



    


学生たちも試験の時間だったし自分もホームルームの時間だったので、

    聞く事は出来なかったのだ・・・・  







ーーーーーーーーーーーーーーー




ホンデは芸術学部が看板で、多くは陶芸家・画家になる学生が多く、

工芸学科は、家がアクセサリー店などを経営しているならば、その店を継ぐ

者が多く、、、又絵画を志す者は、更に上を目指す為に、パリの大学に

留学しなおしたり・・・建築学部は、イタリアやアメリカに渡って勉強する者

も居た・・・機械工学部は、殆どが留学は、学生時代に休学して済ませ、

就職をする関係から、就職活動を夏の間にする為、いち早く、夏休みを

迎える事になっている・・・故に、夏休みも早く、テストが他学部を抜いて

一番手で始まる・・・機械工学部であるテファ達は、明日から夏休みだった。

テファは、日本に再度、行く事も考えて、韓国では就職せず、

日本の企業を受験するべく、その勉強と研究をするべく、

夏休みでも大学の研究室に通う事にした・・・

受けたい企業は幾つかあった・・



先ずは半導体の最先端を行くNGC⇒東芝⇒そしていちかばちかで

AONY・・・この何処かに入りたかった・・・・



試験は10月から本格的に始まるので、

やるだけやってみようと思ったのだ。

  だがそうは言っても、今日はテストがやっと終わったばかり・・・

学生生活最後の夏休みが始まろうとしている・・・



 テファはカノンとどこかに観光旅行に出かけたかった・・・・


カノンが、秋の童話のロケ地に行きたいと言っていたので、

研究室で束草についてPCで調べていた。

 

今朝のユリの話では、語学堂の生徒も再来週の1週間は、

家族と過ごしたり旅行や観光に出かけても

ヨシとなったと聞いたからだ・・・



2泊三日でも良いし・・・

出来れば1週間全てを遣って、カノンと一緒に束草や、

アバイ村に行っても良いと思った・・・



自分の運転で車で行っても良いかな?っと

テファはフト、思った・・・・

 

するとユリが取り巻きの女のヘギョとシネを連れて

テファに会いに来た・・・


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