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作品名:潮風のセレナーデ・・・会いたい気持ち・・・ 作者:HAPPYソフィア

第18回   花の薫り・・・風の囁き・・・
このペンダントの主のオッパはテファだと思うものの、

実際、カノンは全く、テファとの記憶がないのだった。

確証はペンダントだが、夢やフラッシュバックで起こる事柄だったので、

万が一、違っているのかもしれないし、、、

テレビや映画が大好きなカノンが作り出した妄想かもしれなかったからだ。

それに、カノンはテファみたいな、美しい青年と自分が付き合えるはずはないし、

新大久保へは母親に付き合って、イ・ビョンホンのグッズを買いに行く位で、

テファとの出会いの接点がなかった。


母親にテファの話や、一緒に新大久保に行った時、仲良くなった男の子はいる

のかと聞いてみたが、母親は記憶にないと言っていたし、格好良い男の子が居

たら、逆に紹介してねと言う位だった。

  だが余りにも夢やフラッシュバックに出て来る男の子と

テファが、ソックリなので、

           ビックリしていた。



          万が一、テファがその男の子ならば、、

いやそれは困るし、

            嫌だと思う部分が大きかった。

 

テファは、何となく自分の弟のトワに似ていた、美しい容姿や、

バンドのヴォーカル、自信に満ちた言動、

頭の良さや回転の速さ等々・・・・それらを考えた時・・・・

カノンは、自分自身がスローテンポで、ノンビリ屋、

ピアノは弾く事は出来るが、上手ではないし、

歌も下手くそ、頭も悪いし、勉強も嫌い、チビだし、豆粒みたいで、

タヌキみたいな顔だし、、しかも弟とは、しょっ中、喧嘩を

していて、泣かされていた。


そう考えても、釣り合うわけはなかったし・・・・

苦手なタイプの男の子かも?と思った・・・

 

更に、ユリやスンミをライバルにしてまで戦いたくないし、、

どちらかと言うと穏やかに楽しく過ごせる方が良いからだった。


    テファさんが、こんな豆タヌキの私なんかと

付き合ったりはしないよね?と、

考えただけでも笑いが出て来て、カノンは、

何か大きな勘違いをしているんだと思い込み

たかった。



テファの顔と弟のトワの顔がダブって見えた・・・・

  トワにメールしてみようかな?カノンはふふっと笑いながら、家路を急いだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




一方、テファはカノンから今日の記念にと貰った

携帯ストラップを見ながら、

電車の中で、笑い出してしまった。

  おそらくカノンは、テファにロッティの物を渡したかったのだろう?

自信満々にプレゼントと言い切ったので、引っ込みがつかなくなり、

ローリィーの方を渡したのだろう。

  

        昔、日本に居た時、

         カノンがローリーに似ていると言った事が合った。


       カノンは、最初は狸なんて!と言っていたが、

            ロッテワールドのロッティや

          ローリィは可愛いくて好きだと言っていたし、、

          狸は狸でもローリィに似ていると言うと気分を

           良くしていたのを思い出した・・・

     携帯ストラップを揺らしながら、

          今日はジュンギに感謝しないといけないな

        っと思いながら、電車を下りてから、ジュンギに電話を入れた。



   テファ:「おっ、ジュンギか?チョンテファだけど、、、、」と言いかけた時、

        ジュンギはテファの言葉を遮り「今日は、悪かったな・・・

       この埋め合わせはするから・・・

           今日、お前はどうしてたんだ?」と言われて、

   テファは「・・・あぁ、朝、チャムシル手前でお前から電話を貰って

             チャムシルからUターンしようかと思ったんだが、

             昔、僕はチャムシルに住んでたのは知ってるかい?・・・

        それで、その時の友達に偶然会って、今まで一緒に居たんだ・・・

           それなりに楽しかったから・・・

        ただ、ジュンギが気にしているんじゃないかと思って

              電話したんだけど・・・

                お前の方こそ、大丈夫か?」と、言った。

    ジュンギ:「お陰で、腹痛もおさまって、今は元気さ♪

      あぁ、しかしカノンちゃんとデートできなくて残念だったぜ・・・・」

  テファ:「まぁ、次回もあるさ♪じゃあ、また学校で!」と言って電話を切った。

   



     テファは、カノンの好きなセブンの歌を口ずさみながら、家に帰ると、

    姉のアミンとユリが母親と一緒にケータリングのパーティーオードブルを

      楽しんで食べ、酒を交わしていた。



   母親:『あら、テファ、お帰り・・・今日は割と早いのね?」

     アミン:「テファ、テファもこっちに来て、一緒に食べない?

                ご飯、まだでしょう?』


   テファ:『いや、お腹は一杯だし、今日はこれからやらないといけない

                   事があるから・・・』

  母親:『せっかくユリちゃんが、ご馳走を持ってきてくれたのに〜』

   ユミン:「オッパ、今日は新羅ホテルのパティシエのケータリングなの。

        ここのローストビーフが美味しいのよ。一口だけでも食べてみて!」

      


    そうなのだ、最近の韓国人の女性は、男性と対等を意識し、

    学歴にしても、仕事にしても、男性の上を行きたいと言う意識が強く、

         その分、家事を軽視し、お金を出して人を雇い、

       料理、洗濯、掃除をしないと言うより出来ない女性が多い。

     確かに一流ホテルのケータリングは豪華で美味しい、業者が入っての

      洗濯や掃除は完璧だが、テファは韓国の女性の行く末を案じた。



   日本は先進国でありながら、更にカノンは、資産家のお嬢様ではあるが、

  家庭的で料理や女性らしい事を好むので、可愛いなとテファは思ったものだった。

   お湯も沸かす事ができないユリに比べて、同じお嬢様でありながらも、

   何でも作ったり出来るカノンはテファにとっては可愛い安らぎの存在だった。



     テファ;『ユリ、もうこんな時間だぞ、帰った方がいいよ』

    母親:『あら、ユリちゃんは、今夜は家に泊まるから、いいのよ、

             それに、ユリちゃんは家族同然の仲だもの。』


    ユリはウフフと笑って「じゃあ、今日はお母様と一緒に寝ても良いの?」

                    と言って甘えた。



   母親も、娘のように甘えてくれるユリが可愛いかったし、

    ユリの家柄も学歴も、容姿の美しさも気に入っていた。



    そして出来れば、息子のテファと結婚し、家を継いでくれるか?

    或いは、姜IT会社を継いで財力を築き上げてくれれば、

     鄭家も安泰だと思った。


     鄭家は、娘のアミンに継がせ、婿養子をとればいいのだとも

        思っていたからだ。



     テファは、女たちばかりのかしましい中は苦手だったので、

          「勝手にどうぞ」と言って、部屋に入って行った。



        母親:「ユリちゃん、無愛想な息子で、御免なさいね。

                 私達にもいつもそっけないのよ。・・・」


   ユリ:「いえいえ、オッパは、いつも優しいし、

              私の我儘にも付き合ってくれるし

            ・・・ホンデでは、物凄い人気で・・・

         オッパの隣りのポジションを勝ち取るのは難しいですわ。

                特に右側は・・・諦めてますの・・・・」


              アミン:「え?どうして?」


           ユリ:「強力なライバルがいますもの・・・」

   

         ユリのその言葉を聞いてアミンはギクリとした・・・



       もしかしたらカノンとの事をユリが知って

           しまったのだろうか?と思ったのだ・・・・



        母親:「ユリちゃんでも勝てないライバル???」



        フフフと笑いながらユリは


          「えぇ、、それは・・・お母様ですわ。」と

                   モッタイつけて言った。



          母親:「あら、いやだ!!フフフ〜」

      ユリ:「・・・だから私は左側のポジションを頂きましたの。

         お母様・・・それならいいでしょう?ウフフ」



      母親:「左と言わず、右側を喜んでユリちゃんに差し上げるわ。

         テファも、卒業して、社会人になれば、次は結婚だと思うし・・・

           私はユリちゃんしかテファには考えられないんだけれど?

              ねっ?そう思うでしょう?アミン?」



            アミン:「・・・え?えぇ・・・そうね。・・・」

        

           どもりながらアミンは、二人の会話に合わせた・・・・



   アミンは、皿にオードブルや食べ物をのせて、テファに話したい事もある

         から持ってゆくわと言って、テファの部屋に向かった。

       



           トントン(=ノックの音)




              テファ:「誰?」


  アミン:「・・・私、姉さんよ・・・テファ・・・ちょっと良い?」


  テファ:「・・・姉さんか?・・・・あぁ・・・良いよ、どうぞ〜」

          

        アミンは、テファの部屋に入り、皿をテファに渡した。



  テファがかなり機嫌がよさそうだったので、

            きっとカノンと進展があったのでは?

            と思い、気になって話しに来たのだった・・・

   アミン:「何か、良い事あったでしょう?」


     テファ:「え?・・・・ハハハ・・・何も無いよ

                   ・・・いや、あったかな?・・・」

     


          テファは、今日の事を姉に話した。



     アミン:「やっぱり、カノンちゃんは、記憶をなくしてる・・・

          そんな感じがするわ・・・・春に電話を私が貰った時は、

             明らかに、テファに会いに来た感じがしたし・・・

                  テファの記憶はあった筈よ。」

   テファ:「・・・うん、僕もそう思った・・・でも、もう記憶が戻っても、

            戻らなくても構わないと思っている・・・」



       アミン:「え?じゃあ、カノンちゃんの事、諦めるの?」



    テファ:「いや・・・今の鄭テファを見て貰って、また0から

             スタートしてみたいと思う・・・

          日本に居た時、僕らは、結構、喧嘩もしたし、

         カノンを泣かすことも多かった・・・色んな事があったんだ

       ・・・今なら、ここは韓国だし、僕の方が心にも余裕がある・・・

         だから、これからは楽しい事ばかりをカノンに提供して

            上げられる・・・そんな気がするんだ・・・

                だから姉さん、心配しないで欲しい。

         僕はこの状況を結構、楽しんでいるんだ・・・」


      アミン:「テファって、本当にポジティブで面白いわね。

        姉さんと一緒に芸能界で働かない?ルックスだって割と良いし、

          歌も歌えるし、、、人気が出るんじゃない?」


    テファ:「ハハハ・・・ゴメンだね、、、そんな気持ちは全くないよ。

          僕は、前にも話したけど、出来れば日本に又行きたいんだ・・・

         カノン抜きにしても、最初から日本のIT企業で働きたいと思って

         いるんだ・・・だから、芸能界は姉さんが頑張れば良いよ。」

  アミン:「ハイハイ、分かったわ。じゃあ、そろそろ戻るわ。

         じゃないとユリちゃんがうるさいから・・・

         でもね、ユリちゃんは、貴方の事、本気みたいよ。

                 十分に気をつけなさい。」

       テファ:「・・・・あぁ・・・姉さん、サンキュー!」


       姉が去った後、テファは一人、机に向かいながら、

       携帯のマスコットのローリィを見ながら、カノンを思った・・・


        カノン、カノンが、記憶がなくても構わない・・・

         今の自分を見て、また自分を好きになってくれたら

          良いなっと思った・・・

          0からまた築いてゆけば良い・・・

               そう思った・・・



         「うん、美味い!!」テファは姉が盛ってくれた

          皿のオードブルを1つ、食べてみて、



        流石は、新羅ホテルのオードブルだと思ったのだった・・・・


      ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


   
    カノンが家に戻ると、スンミは、帰りが遅いと

                 少し怒っている様子だった・・・




          カノンは「遅くなって御免なさい」と素直に謝った。

          スンミ:「ねぇ、ロッテワールド行ったんでしょう?」



          ・・・と言われた瞬間、

             カノンは、ビクリとした・・・

               もしかしたら、カノンの後をつけて、



         カノンがテファと会って一緒にロッテワールドに

                行った事がバレテしまっているのかな?

                 っと思ったからだ・・・・

         カノンはここは言葉を慎重にしようと思った・・・・

       
        カノン:「・・・ええとォ・・・そのォ・・・実は・・・」

       スンミ:「アハハ・・・カノンちゃん、御免ね、

             実は、あなたが出かけてから、テファから

             電話があって、今日は行けないって・・・

            だから、ずっと待ちぼうけ?だったんじゃない?

         今日は一人でこんな時間まで何をしていたの?」と笑いながら

           言って来た・・・

    ⇒カノンは、内心、ホットした。スンミはつけて来てなかったのだ・・・

カノンは「・・・実はずっと待ち合わせの場所のベンチで待っていたんだけれど、

     来なくて、仕方ないので、ロッテワールドに一人で行こうかとも

     考えたんだけれど、土曜日のテーマパーク一人って言うのも寂しいし、、、

      仕方ないから、ロッテリアでハンバーガーを食べてから、、、

    えっと、えっとデパートに入って、色々と見たりして、

    それから、オリンピック競技場に行って散歩しました。

 
                 あっと言う間に時間が経って・・・

                    それで帰りました・・・」と言った。

     スンミ:「ふうん、、、一人で良く迷子にならなかったわね?おや?

             そのロッテワールドの半券は?何?」

            

               カノン:「え?」

      ・・・・カノンは、真っ青になったが、

              何とかごまかさないといけなかった・・・



       カノン;「えっと、・・・ロッテリアで拾ったの・・・

              それで、届けようとしたんだけど・・・

           なんて韓国語で説明して良いか分からなくて・・・

           それでその・・・あの・・・記念、、

                 そう!記念にしちゃいました・・・・」



      スンミは疑いもせず、変な子・・・と思って笑った・・・


   そして、夕食がまだなら、キムヨナに何か作らせるから、部屋に運ぼうか?

    と言ってもらった。カノンは、お腹が一杯だったが、ここで要らないと

   言うと何かまた言われるから、

        「じゃあ、ラーメン食べたいです」と言って

          作って部屋に持って来て貰えるようにした。

  部屋に戻ると、カノンは、ホットした・・・

        そして、部屋のPCを点検をすると、幾つかメールが来ていた。

         相変わらず、当たり障りのないメールばかりだった。

        カノンは盗聴から、かなり慎重になり、

          部屋のPCには、当たり障りのない内容で!と、

         先に根回しをしていたからだった・・・

          唯、サヤカや、両親、栄子や紀子たちには、

       この事は伝えず、この部屋のメールでやり取りをした。



       サヤカからのメールが来ていて、カナダでの語学研修が、

        意外にも早く終了し、日本に帰国するのが、

       カノン達よりも2週間早まったとあった・・・

      サヤカに、春休みの韓国旅行の話をしたり、

               事故の事も聞きたかったが・・・・



       心配するだろうし、、、

              このメールだと、

               スンミが全て見ている可能性があるので、

                            聞けないかった。



       そこで、カノンは、ソンジェの話をする事によって、ソンジェとも、

        サヤカが仲良くして貰いたいし、

       ソンジェからその事故の話とかして貰えたら

                      良いかな?っと思った。

         

             カノンはサヤカに、メールした・・・



         ※※カノンからサヤカへ宛てたメール※※

             サヤちゃん

      メール、ありがとう。やっぱりサヤちゃんか優秀だね?

      帰国が早くなったの?

          私は、韓国で、楽しく過ごしています。

     滞在先のお家のソンジェお兄ちゃんと仲良しになって、

              付き合う事になりました。

       ソンジェお兄ちゃんは、芸術大学の大学4年生なんだけど、

     韓国で有名な楽団に就職が決まって、演奏会と言う仕事を

      しながら学生生活を送ってます。

       外見がSE7ENに似てて格好良いです。

       それに優しいし、演奏も物凄く上手です。

      今日は、地方に演奏会に行ってて月曜に帰って来ます。


     サヤちゃんに是非、紹介したいので、

           ソンジェお兄ちゃんとメル友になって下さい。



       日本語は、日本に留学してたから上手だし、

              英語も多分、大丈夫だと思います。^^

      ソンジェお兄ちゃんは、カノンの実のお兄ちゃんの

       タクト君に似ているよ。



       だからカノンは、ソンジェお兄ちゃんといると、

          平和で穏やかな気持ちになれます。

          大好きです。

      ソンジェお兄ちゃんにも、サヤちゃんの話をしています。



        ソンジェお兄ちゃんのメルアドは

      sonjaiLEE///・・19841224@hanmail.ne,comです。



       今日は、一人で、韓国市内を散策しました。

         地下鉄にも乗りました。



     交通事故に遭わないように、地下の歩道を利用したり、、、

       結構、楽しかったです。



      何かお土産をサヤちゃんに買おうかと探したのですが、

        日本の物と変わりないし、、、



      日本でも買える物ばかりだったので・・・

         それにまだ帰国はずっと先だから・・・

     ギリギリになって、お菓子とかキムチとか買うね。

            お楽しみに〜!!

   ※※※※※※              ※※※※※※※※※※ 




   


    送信完了しましたと言う文字を見て、カノンはホットした。

    ラーメンが運ばれてきて、カノンは、ラーメンを食べた。

    インスタントラーメンで、具が何もないシンプルなものだった。

      カノンは、それを見越して、ラーメンを注文したのだった。

        これだったら、食べきれると思ったからだ。



     カノンは、今日は、テファを独り占めして、

           一緒に遊んで貰った事が思い出されて、

              何だか不思議な気持ちだったし・・・

      このペンダントの主が、もしかしたらテファかも?


            とは思うものの、未だ確証はなかったが、

           それでも、余りにもテファが、フラッシュバック

               に出て来る男の子にそっくりで、

         ビックリした事や、万が一、テファだったら・・・

           そう思うとドキドキはするものの、

              違うだろうと言う気持ちの方が強かった・・・



        あんなに綺麗な男の子と付き合える筈はなかったからだ・・・

        そんな出会いの接点も全く考えられない日本での生活だし・・・

          ソテジのようなバンドの歌は、カノンの趣味ではないし、、、




         ・・・・今日もロッテワールドで、

            沢山の女の子たちが、

              テファを見て振り返って居た・・

  

      更に、ロッティとローリィとの写真を

            撮って貰った時も、観光客の日本人たちが、

              こぞってテファを撮っていた・・・・


      写真家の人にも「君達をモデルにしても良いか?」


         と聞かれ、写真を何枚か撮って貰った。

         そして、きちんとした写真が出来たら、

         カノンの隠れ場所の崔雅子さんの家に送って

            貰う事にしたのだった。

              用心に用心を重ねた・・・・



      写真家は「辺」さんと言う名前で名刺をテファとカノンにくれた。



      そして1週間経っても写真が届かなければ、

                   連絡してくれと言った・・・・



       二人は「ハイ、分かりました。宜しくお願い致します。」

             と丁寧に言葉を発し、

                       お辞儀をした・・・・

 


    カノンの携帯には、写真機能もついていたので、

                 携帯で二人の記念写真を撮った。



    テファも自分の携帯で撮ろうとしたが、

           ユリや誰かに見つかる可能性が高いので、

                    止めておく事にしたのだった。



          テファがチャムシルに住んでいた事も、

             今日、遭遇した高校時代のテファの友人達

            から聞いて、カノンは、本当にペンダントの

             男の子とソックリだと思って笑った・・・・

      

             -----------------------------------------




     スンミは、、、

         いやヘジャはカノンに対しては

                   スッカリ安心していた。



       テファよりもカノンは兄のソンジェと

             付き合っているみたいだし、、、

                  興味もなさそうだと思い込んでいた。



スンミ:「ヘジャ様、もうカノンちゃんを疑うのは止めて!可哀想よ。

     それにソンジェお兄様と付き合っているみたいだし・・・

     カノンちゃんは、私と・・・

            いえヘジャ様とテファが上手く行くようにと

          応援してくれるって言ってたし・・・だから・・・」



ヘジャ:「おだまり!

      私に意見などお前にする資格は無いわよ。・・・

                フフン、・・そうね

            カノンは安全だし・・・

       もう解放するわ・・・テファには興味ないと言った感じが

             分かるもの・・・・テファは外見の美しさとかに

          惑わされる人ではなさそうだし・・・

       醜い外見のお前でも、優しく接してくれるしね・・・

           益々、気に入ったわ。

       テファを私の結婚相手にするわ。フフフ〜

       早速、お父様にもお伝えしないとね。フフフ」



    スンミ:「でも・・・ヘジャ様・・・テファには姜ユリが?・・・」



    ヘジャ:「おだまり!

           ユリと私では格が違うし、

              お前はユリと私のどちらが美しいと思ってるの?

         財力や知性、品格・・・よく考えて意見しなさい・・・

                      さあ、どっち?」

  


       鞭を持ちながら、ヘジャはスンミに詰め寄った・・・




        スンミは脅えながら

         「やっぱり・・・

            ヘジャ様の方が美しいし、

                テファにふさわしいと思います。」と答えた。




     ヘジャは怒りを少し和らげた・・・

       「・・・でしょう?スンミ、生意気な事を言うのは

          100年早いわよ!!

          ソンジェお兄さんは、カノンにくれてやるわ。

             音楽馬鹿だし、、、、

        お父様に反抗ばかりするから、そのしわ寄せが全部、

         私に来て・・・私はお父様の人形になってしまったのよ・・・

         スンミのように醜い外見だったら、

           私もこんなに家の犠牲にならなくて済んだのに・・・

         今でも時々、あのおぞましい事件を思い出すわ・・・



             うぅぅ・・・頭が痛い・・・

                 割れるように痛いわ・・・・

                    薬・・・薬を頂戴・・・」



    スンミは慌てて、医師から処方されている薬を出し、

                     ヘジャに飲ませた・・・・



     薬を飲んでから、少し落ち着いたヘジャは、

       「スンミ、お前は一生、私の陰として生きるのよ・・・

         そうしなければならない恩義があるのだから・・・

           分かったわね?」と

                   言って睨んだ・・・・・

   スンミは涙を溜めながら「かしこまりました」と言って跪いた・・・・・





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




     週明け、学校が終わるとテファは、

          江南にある貿易会社でアルバイトを始める事に

              していた、まだ少し時間があったので、

          ホンデの近くのアクセサリー店に立ち寄った。



 

       「いらっしゃい」




       店に居る殆どの客が、女の子ばかりだったので、

                入るのにかなり抵抗があったが、


        大学ではクモクの弟のハンスと言う同期の友人が

         居たので、テファは弟のハンスに会うフリをして

                         店を訪ねたのだった・・・



         テファ:「あの、、、ハンスいますか?」



       クモクの父:「ハンスの友達か?まだ、大学だと思うが?」



            テファ:「・・・そうですか・・・」



          クモクの父:「何か急用なら、伝言しておくが?・・・」



       テファ:「・・・いえ・・・

              実は直して貰いたい物があって・・・

                        出来るか聞いてみようと

                       思って・・・また来ます。」



        クモクの父:「あっ、ちょっと待って!

                    何を直せばいいんだ?

                         アクセサリーなら、

                わしが直すが?

                ハンスは確かにホンデの工芸科だが、

                            まだまだ腕は未熟だ。

               どれ見せてごらん」と言って手を差し出した。




      テファは、実はこれを直して欲しいと、

               ペンダントを差し出したのだった・・・・



     クモクの父は、そのペンダントを見て

               

               「あっ!」


                     っと心の中で叫んだ・・・・




     4週間程前に、丁度、女の子がこのペンダントと

               同じ物を修理に出しに来たからだった。




     三角形のペンダントを見ながらクモクの父は

            「そうだな、ちょっと時間がかかるんだが・・・

                 綺麗に直せるよ・・・

                     ただ値段がはるよ。

               20万ウオンはするんだが??」と言った。




  テファは、一瞬、高いなっと思ったが、

         もし日本で直したらもっと高いだろうし、

     このペンダント作った時も、かなり高額な値段だったので、

                   いか仕方ないと思い・・・・・

 

               「分かりました。」

                 と言って修理をお願いすることにした。


    するとクモクの父は、その潔さに好感を持ち

             「じゃあ、13万ウオンでいいよ」と、

                        笑いながら言った。



       テファの顔は明るくなり

         「有難うございます。助かります。」と言って

            何度も頭を下げ、お礼を言った。 



      クモクの父は明後日の夕方、受け取りに来て欲しいとして、

       テファの名前と電話番号を 聞き出した。



          「鄭テファ TEL010XXXXXXXX」

       テファは、引換券を貰って、財布の中に押し込んで、

               一礼をして、店を後にした。



   すると入れ違いにハンスが帰宅して、声をかけてきた。


           「よう、テファ」


   テファ:「あっ、ハンス、今、帰宅だったのか。。。

                 お前の家の店に行ったんだよ。」


     ハンス:「え?店?女しか来ない・・・あの店に?」



   テファ:「・・・あぁ、、、恥ずかしいんで

               お前に会うフリして行ったよ・・・

                   ペンダントが壊れちゃってさ・・・

          それで直して貰いに行ったのさ・・・」



    ハンス:「ふうん・・・父さんにかかれば、

            どんなアクセサリーでも新品同様に直して貰えるさ」



   テファ:「あぁ・・・知ってるさ、前、姉さんが大切にしてた

         ピアスが壊れて、姉さんが持って行ったら、

          見事に直してくれたって、褒めてたし、、

                 今も気に入ってつけてるよ・・
     
           ハンスの親父さんは、凄い腕の持ち主だよな・・・」



     ハンス:「ハハハ・・・俺も、卒業したら、

           店を継いで、父さんみたいにアクセサリーを直したり

            作ったりする職人になりたいよ。

          テファ、贔屓にしてくれよ!!」



    テファ;「もちろんさ・・・じゃあ、バイトの時間だから・・・」

              と言って別れた・・・・




         ーーーーーーーーーーーーーーーー




   ハンス:「ただいま〜今、この店にテファって言う男が来ただろう?」

父:「あぁ、来たよ。最初は、俳優が来たと思ったよ。綺麗な男だからさ。」



ハンス:「だろう?ホンデの機械工学部で同級生なんだけどさ、

     バンドのボーカルやっててアマチュアなのに、

      物凄い人気があるんだ。。。。

     テファの姉さんは、女優だし、芸能人一家って感じの

                   華やかな顔立ちだよな・・・」



     父:「そんなお前が何で、あのテファと友達なんだ?」

ハンス:「実はさ、毎年、学園祭で、テファのバンドの限定

                GOODSを任せて貰って、、、

    特に缶バッチや、ストラップ、ペンダントとか作ったら

    飛ぶように売れて儲けさせて貰ったのさ・・

     テファ自身は気さくで良い奴でさ、いつも俺らに感謝して

     くれたりしててさ、、、何となく仲良くなったのさ・・・」



     父:「鄭 テファ・・・か・・・・お前と同い年か?」


    ハンス:「あぁ・・・確かそうさ。

        1984年、今は江南に住んでるけど、

        その前はチャムシルって聞いた事があるよ・・・」



  

        父:「え?何だって!!チャムシル?」




        ハンス:「あ?あぁ・・・そうだけど?」

       父:「ハンス、もう少し、詳しく聞きたいんだが・・・」

   ハンス:「・・・何だよう?父さん・・・何か怖いぜ・・・

                       テファが何かしたのか?」



父:「・・・済まない・・・詳しくは話せないんだが・・・

               兎に角、テファの事が知りたいんだ・・・」

ハンス:「唯、俺は、学部が違うし、、、

        サークルも違うから・・・知ってるのは、その位だけど?

      ホンデ1番のバンドのボーカルだから、

       ホンデの学生でテファを知らない奴はいないよ・・・

       特に女には絶大な人気さ。

       ミスキャンパスの姜ユリって言う美人がいるんだけど、

       そのユリもテファにメロメロだとも聞いたけど??」



父親:「・・・そうか・・・・テファって言う子は、

               日本とは何か関係があるのか?」



ハンス:「え?日本・・・

         そう言えば、この2月まで日本の東京に居たって

               聞いたけど?

     日本語も上手で、東京に住んでたんじゃないかな?

     軍隊も俺と同時期だったから・・・

       除隊して直ぐに日本に行ったんだよ。

                 そうだ、そう聞いてるよ。」



父親:「・・・うむ・・・・分かった・・・有難う。・・・

                  良く分かった。もう十分だ・・・」



   ハンス:「変な父さんだな・・・・」

        そう呟きながら、ハンスは店の手伝いに入った。



    ハンス(=クモク)の父は、ペンダントを見つめて、


                  謎が解けたと思った・・・・





                 鄭 テファ



              1984年8月8日生まれ


                出身:チャムシル


                水原第五基地1286部隊・陸軍




          女の子は、

           「鄭」「チャムシル」「1984年」

                 の文字が刻まれた三角形のペンダント

                   だった・・・

     今日、テファが差し出した三角形のペンダントを合わせると、

      一致する・・・



     更に男は「♪」=「音」と「FAR」

                       =

         TEFFARのFARとカノンの「花」音の「花」の発音をかけて、

                     いる文字のペンダント・・・・・



     女の子は「花のデザイン」と「TEF」だった・・・・

     ハッキリ覚えていた・・・・

          確か女の子はホンデの語学堂に夏の間いると聞いた・・・

     こんなに近くに、ペンダントの主がいる事を

              女の子は知っているのだろうか?



   受取りの明後日までに女の子が来店しなければ、

         テファに、片割れのペンダントを持つ女の子がいる事を

                        伝えてやろうと思った。



        ハンスの父は、フフフっと笑った・・・

          そしてペンダントに向かって



         「お前さん、

             やっと半分に会えるな?

                 もう一つの半分も会いたがっていたぞ!」

             と話しかけたのだった・・・・




     ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

   



     ソンジェのPCにカナダ留学中のサヤカからメールが入った。



       サヤカの事は、カノンから既に聞いていて、

         サヤカには、自分がホンデに語学留学して


      居る事は内緒であるとして欲しい事と、

           春に一緒にソウル旅行をし、交通事故に遭ってからの

         前後の記憶が無い事を、それとなく聞き出して

                       欲しいと頼まれていた。



         ソンジェも、その交通事故がキッカケで、

            何か重大な事が隠されているのかも?

             と思っていた。故に、サヤカから、色々と話が

                 聞き出せれば良いと思った。

 




      ※※※サヤカからソンジェに宛てたメール※※※※

          初めまして、ソンジェさん。

      私は、カノンの親戚の鈴木サヤカです。

        今は、同じ大学に通い、私は英文学科なんですが

       、、、カノンとは世田谷のマンションで一緒に

             シェアして住んでます。



          カノンはいつもソンジェさんの話ばかり

            メールでします。

            凄く滞在が楽しいって・・・



       ところで、これから話す事・・・

          カノンには内緒にして欲しいのですが?

                  出来ますか?・・・・


       ソンジェさんだから、お願いと、相談があります。

        突然で、すみませんが・・・早急性も要すので・・・・・



       カノンは、時々、変な幻覚やフラッシュバックが

                      起こるのをご存知ですか?

            
            その事に対してなんです・・・・

     ※※※                     ※※※

 


       ソンジェにとっては思いがけない、

                   内容のメールだった・・・



       ソンジェは、カノンには内緒にするとして、返信した。



          すると直ぐにサヤカからメールの返信が来た。

        

            この春、一緒にソウル旅行をし、

               交通事故に遭った話や、

              記憶喪失や暗示・・・

                  事件の真相・・・

          ソウル旅行は、日本にワーキングホリデイで

              来ていた男の子を探しに行く為の物等々・・・・





      そしてその男の名前は、

          ホンデの「鄭テファ」であり、

                    姉は有名な女優の

             「鄭アミン」元々はチャムシルに住んでいた・・・

       鄭テファは物凄く美しい青年で、

              誰もが振り返っていたし、

                 本人も、ナルシストが入っており、

        自分は美しいし、モテルと思っていること、

                 色々な女性の噂やスキャンダルが

             日本でもあった事や、、、

                     事細かくソンジェに伝えた・・・

 


        ソンジェは、やはり相手の男はテファだったのか・・・

             と思った。





         唯、カノンは、全くテファには興味がないみたいだし、

         テファについて何も思い出したりはしていない

           みたいだった・・・・




           腑に落ちないのは、テファの方だった。

           カノンである事が分かっていながら、、、、

            何故、自分は付き合っていたと

               名乗り出ないのか?




       サヤカには、テファの話しはしないでおこうと思った。

       何故なら、カノンの話しによるとサヤカは物凄い心配性だと

         言う事や、恐らくテファの想い出を思い出させ

         無い為に苦肉の策と言葉でカノンに話を

          していたのだと思った・・・




           全てがテファと接点を持たせない・

                  持たせたくないと言った言葉だった・・・・





        ソンジェはわざと

            「多分、カノンは、テファの存在自体も

                       知らないみたいだし、


               ホンデにもチャムシルにも近づいたりも

                 していないみたいですよ」と返信した。





         更に何故、サヤカは、

          そんなにテファの事を嫌っているのか?と聞いた。





     サヤカは、テファが余りにも華やか過ぎ、

           更には性格の強さや、自信満々な態度や言葉に

               傲慢さを感じ、

           カノンを良く泣かしていた事を知っていたから

      ・・・・カノンには、もっと穏やかで堅実で

                 優しい人の方が合うので、

      テファさんとは、合わないし、、、

              このままだと不幸になるから、、、、

          記憶から消した方が良いに決まっているんだと

           切々と返信メールが書かれてあり、

      メールだと誤解を招いたら嫌なので、

           良かったら国際電話をしましょうか?とまで、

                        サヤカは言って来た。




    ソンジェはその必要は無いし、

          サヤカのカノンを思う強い気持ちが伝わって来て、

             十分、理解できたからだ・・・・




     テファの事を思い出させてはいけないと思った・・・

         ペンダントの片方を、

               きっとテファも持っているだろうし・・・

  

           ソンジェはテファに会ってみようと思った。

          テファの真意を

             聞いてみたいと思ったからだった・・・・・

   



           どうなるか?分からないが?

                  とにかく、前に進んでみよう?




          本当に、テファがカノンを不幸にしたり、

               悲しい思いをさせるなら・・・

        

          このまま記憶のないままにした方が良いし・・・・




     ソンジェは、演奏会が終わったので暫くは、

              ソウルタワーの近くの楽団のある

        オフィスに通うものの、午後からは自由なので

         ホンデ大学に行って、サークルがある部室を

             訪ねてみようと思った。

  



        また、手帳を取り出して、

              ホンデに通う同級生はいないかを探した。




        ホンデもまた、韓国1番の芸術大学を誇っていた・・・

    音楽と言うよりも、

            美術系統が有名で、

          ホンデの前はピカソ通りと言われる位、

     アートや工芸品で溢れ、更には、路上ライブや大道芸人が

               催し物をしていて、

           楽しい雰囲気と最先端の若者文化を醸し出していた・・・・・

  


       早速、ソンジェは、ギターを抱えながら、

             ホンデの学生を装って、

          キャンパスに入り、K POPの部室のある方面を

             目指した。





      テファに関してはスンミから、

           嫌と言う程、情報やスケジュ−ルを

              聞いていたので、

                 暗記できるくらいだった・・・・

        確か今日は、大学が早く終わり、バンドの

             練習の日だったな?16時には来る筈だ・・・

          そう思いながら、待っていた。





        すると、

             「おっ、見かけないけど、

                  君も音楽やってるの?」と

            

           K POPサークルのメンバーらしき、

             男が数人で、ソンジェを囲んだ・・・




     ソンジェ:「あっ、、、あぁ、、、音楽をやってるけど?

               今日は、パランファのボーカルの

               鄭テファに会いに来たんだ。」と言った。

           


            すると男たちは後ろを振り返った・・・・ 

    



          「僕に用かい?・・・・僕が鄭テファだけど?」

         

           ・・・・・とニコヤカな笑顔で話しかけた青年の声がした。

             太陽の光を一杯に浴びた、美しい青年が現れた・・・




         ソンジェは余りの眩しさで、手をかざしながら、

       


          「僕の名前は李ソンジェです。

                今日は君とどうしても話したい事があって

              ・・・・突然で済みません」と

                言ってテファに言った。




       ソンジェもまた、美しい青年だった・・・

             真っ直ぐな目で、

          どこか寂しそうな陰のある話し方をしたが、、、

       テファは、仲間に先に練習をしていてくれとし、

                ソンジェを、部室の個室に呼んだ。





        テファ:「ここなら、防音になっているし、

                   音や声が漏れないから・・・」と言った。





       ソンジェは、テファはやはり頭の良い青年だと思った・・・

           並々ならぬ雰囲気を感じ取って、

                この部屋に案内してくれたのだろうと思った。




      ソンジェ:「僕は、ホンデ日本語学科2年に通う、

                  李スンミの兄であり、

                今、日本から韓国語の勉強で来ている

              鈴木カノンさんのホームスティ受け入れ家庭です。

                  今日は鈴木カノンさんの事で来ました。」

                     ・・・・と言った。




  テファ:「・・・そうですか・・・どんな話ですか?」と

                          冷静に聞き返した。



   ソンジェは、これまでの話し・・・

          サヤカからの話しやカノンのフラッシュバックの話し

                              等を話した・・・




   テファ:「・・やっぱり、カノンは記憶を失っているのですね?

         君の話で、良く分かりました。

              わざわざ、話しに来てくれて有難う。」



          ソンジェ:「・・・で?それでどうするんですか?」


           テファ:「え?・・・どうするって?・・・・」



    ソンジェ:「カノンに、自分がペンダントの主だと伝えるんですか?」





                テファ:「・・・・・」



       ソンジェ:「何で、直ぐにカノンに名乗って上げないんですか?」





            テファ:「・・・いいんです、これで・・・」






    ソンジェ:「え?カノンは少なくとも、貴方を探しているんですよ。」





             テファ:「・・・・・・」






      ソンジェ:「何故?何も話をしてくれないんだ?・・・」




    テファ:「ソンジェさんはさっき、言ったじゃないですか?

         カノンは僕との事が全く思い出せないって・・・

                 だから・・・

                    このままでいいんです。」




     ソンジェ:「・・・そんな、残酷な・・・

               貴方はカノンの事は遊びだったん

                            ですか?」




          テファ:「・・・・・・」





      ソンジェ:「カノンの事、好きだったんじゃないんですか?

              今は違うんですか?

              カノンが、可哀想だと思わないんですか?」




                 テファ:「・・・・」




    ソンジェ:「おい、何で何も言わないんだ?何とか言ってくれ!」

 


    テファは冷たい微笑をし「何故、関係ない貴方に話さないと行けない

             んですか?それに僕が名乗ったところで、

             カノンは僕との記憶がないのなら、

                意味は無いし・・・

             自然に思い出してくれるのを楽しみに

             待っても良いと思ってるし・・・

             過去の自分たちの事を語っても

              ナンセンスだと思う・・・

  


           カノンの記憶が戻っても、



              戻らなくても僕は構わないし・・・




              関係ない・・・」と





         言った瞬間、ソンジェは激しい怒りに震え、

                   テファに殴りかかろうとした・・・





     テファ:「殴りたければ、殴れば良い・・・

              暴力を振るわれたからって、

                  僕の気持ちは変わらないし・・・

                     僕は僕自身の言葉や考えを信じる・・

                        人には左右されたくない・・・」





     ソンジェ:「・・・どうやら、僕はとんだ見込み違いをしたようだった

             ・・・カノンが幸せになるなら、、、、

                 君がカノンを幸せにしてくれるなら・・・

            僕は喜んで見守ろうと・・・・

                     思った。。。

             でも、その言葉は撤回するよ。


             君ではカノンを不幸にするし・・・

                   カノンを泣かせる・・・

               僕は・・」

       「ソンジェさんは、僕は彼女が好きだ・・・

            そして僕ならカノンを
    
          幸せに出来ると言いたいのでは?」・・・・

         自信に満ちたテファの言葉に・・・


 

     ソンジェは「あぁ・・・そうさ・・・

           僕はカノンが好きだ・・・

             だから、カノンを幸せにしたいんだ・・・

           君にはやらない・・・あぁ、絶対に君には・・・」




         テファは可笑しくて笑いだした・・・

                    バカバカしい・・・

            カノンは物ではないし

         

         やる・やらないと言う言葉自体が変だし・・・

         カノンにはカノンの気持ちがある・・・・



         ・・・・自分の考えや想いは、

             その人に直接言ったり、伝えたりするのが好きな

         テファは、周囲の人間にベラベラと話をしたくなかったし、、、

        記憶が戻らないならば、今からまた二人の出会いや気持ちを

        育んでゆけば良いと思っていたから、、、

           だから、別に名乗り出る必要は無いと思っていただけの

                   事だった・・・・

  


         ソンジェは、「全面対決だな」と言って、

                  個室を後にした・・・・



          

             鄭 テファ・・・・

     何と言う生意気で、自信満々な男なんだろう?

        サヤカさんの言った言葉通りの、人物だった。

         きっとカノンはテファとは合わないし、

       カノンはいつも笑顔どころか泣いてばかりの毎日になるだろう?

             と思った・・・・




    


         部室を出て、校門に向かう途中で、

               ソンジェめがけてカノンが突進して来た。

  



            「オッパちゃん」と言って

                  ソンジェの背中に抱きついた。





     ソンジェは、ビックリしたのと、

       カノンが迷わず、自分を見つけて

                 飛びついてくれたのが嬉しくて

    

        「おっ、その声はカノンちゃんかな?」

                    と言って振り向いた。



     カノン:「えへへ、当たり!!オッパちゃん、何でホンデにいるの?」



       ソンジェ:「・・・あっ、うん、カノンを待ってたんだ・・・」


    カノン:「え?本当?カノンもオッパちゃんに会いたかったから、

                以心伝心・・

                ・・・テレパシーが通じたのかな?えへへ」



      ソンジェは益々、嬉しくなって

           「カノン、今日は暑いから、冷たい物でも飲んで帰ろうか?

             スンミなら、僕からカノンの事を伝えておくから、

                             大丈夫だからね。」

                               っと言った。

  


          カノンは「ヤッタ!」と言って飛び跳ねて喜んだ・・・・

     


          ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


    

            「ハイ、ちゃんと直ってますよ。」



     クモク(=ハンス)の父は、テファにペンダントを渡そうとした。

    テファ:「有難うございます。綺麗に・丁寧に直して頂いて嬉しいです」

  クモクの父:「ところで、私は今から4週間前に、

               同じデザインの物を直しに来た日本人の女の子が

         いたんだけれど?今、ホンデの韓国語の語学堂で

             勉強しているんだが?知ってるかね?」



                テファ:「・・・・。」




     クモクの父:「・・・何も語りたくないならば、

                しなくても良いが・・・聞いて欲しい。

               少なくとも彼女はこのペンダントの

                片方の男の子に会いたがっていたし、、、

            ペンダントも元の1つに戻りたがっているようだった

              ・・・・まだ

              君が、その女の子に会っていないならば、

              語学堂へ行って会ってやって欲しい。



               会いたくなければ、無視すれば良い・・・



     おじさんが君の立場だったら、素直な気持ちで行動すれば良い・・・

      ただペンダントは1つに戻りたがっているって事、、

                 忘れないで欲しい。」




       テファ:「・・・・分かりました・・・

                  有難うございます。

                      13万ウオンでしたね?」



 

         テファは13万ウオンを払って、

            ペンダントを受け取り、

              一礼して店を後にしたのだった・・・・




       周囲にこうしろ、ああしろと言われる度に、

               テファは意固地になる傾向にあった。



        自分の事は自分で決めるし、、、

                 周囲の言葉は関係ない・・・

                   自分はそうやって

            日々を過ごしてきたという

                    自信があったからだ・・・・



         ただ、ペンダントは悲しそうに蒼白く輝いていた・・・・




      「お前、、一つに戻りたいのか?

            チョット、待っていて欲しい・・・

               いつか元に戻してやるからな・・・」

      テファは、そう呟きながら、

              ペンダントをつけた。。。。




           ーーーーーーーーーーーーーーーー





          カノンの語学研修も1ヶ月が過ぎ、

           大分、慣れて来たし、段々と楽しくなって来た。




      ホンデ自体が、夏休みに入ってしまうので、

               その間は、語学堂の生徒だけが、

                     大学に通う事になるのだ・・・




          今は夏の前期試験に入るので、

            学生たちは、日々、徹夜の毎日で、

                    テストに追われていた。



          スンミも、テストなので、


              ガリ勉の本領を発揮し、頑張って勉強している

                              みたいだった。




    カノンはその間は、スンミの目がカノンに向けられていないので、


          安心して遊んだり、行動出来たりしたのだった・・・・




      テファ達の4年生も日本の大学4年生とは違って、

               テストに追われ忙しそうだった。



        韓国の大学生は、日本の大学生と随分違うと思うところが、



          大学に入ってからも、韓国人は勉強に励む学生が多いし、



        卒業してからも留学したり、

            外国の大学に入り直したりする学生が多い

                        と言う事だった・・・・





          カノンは、勉強が嫌いだったので、

              大学は、そんなに勉強しなくて済む

                  天国のような場所だと思っていたが、、、




      韓国は違うとまざまざと分かって、、

             日本人で良かったと思ったりもした・・・



        今日も学校が、無事終わって、ヒロミもアヤも

            「暑いね」と言う言葉の連発をしていたので、

                カノンは「かき氷を食べて帰ろう」と提案した。




     更に、ミドリとクミコも誘ってみようとし、

                電話をすると二人ともOKが


                          直ぐに返って来た。

     


              ホンデの正門で合流となった。




        蝉がミンミンと鳴いていて、

          本格的な韓国の夏がやって来た

              と言った感じだった。



     日本のように、唯、蒸し暑く厳しい暑さではなく、

         韓国の場合、小陰に入ると、

           さほど日差しが厳しくなく、涼しい感じがした・・・



           ヒロミもアヤも木陰を好んだ・・・



       更に二人は、ホンデでBFが出来たとカノンに報告した・・・



         そう、以前、学食で声をかけて来た

          トンスとスンジュだった。




       カノン狙いだったが、

           カノンが物凄い人気であり、

             最近は、カノンにソンジェと言うBFが

                 出来たと聞いて、それで諦めもつき、

           ヒロミとアヤと付き合う事になったのだった。




       「ねぇ、彼のスンジュを誘っても良い?」とヒロミは言った。


         アヤ:「え?じゃあ、私もトンスを誘っても良い?」



               カノンは「勿論OK」と言った。




      二人は「カノンはソンジェさんを誘わなくても良いの?」

       と聞いたが、残念ながらソンジェは、

      今日は地方の講演会で仁川に行っているので、無理だった。



    高麗大学と、梨花大学に語学留学している

    ミドリとクミも待ち合わせ場所にやって来て、

             人気のかき氷屋さんに向かった。

  


          トンスやスンジュも直ぐにやって来て合流した。




    ミドリ:「二人とも、いいな〜ホンデで彼氏が出来てさ・・・」

           クミ:「一番いいのはカノンだよね」




           カノン:「え?どうして?」



   クミ:「だって、超イケメンのソンジェさんと

               付き合ってるんでしょう?

        しかも、ソンジェさんの家はお金持ちだし、、、

             音楽家になれるんでしょう?」



   トンス:「・・・実は僕ら、カノンちゃんに失恋しました・・・」




      スンジュ:「カノンちゃんは、日本語学科のアイドルだったから、

              ショックでした・・・」とおどけて言った・・・



    でも今は、トンスもスンジュも、

          アヤとヒロミがGFで嬉しいと言って、

                       幸せそうだった・・・・




    カノンは、皆から離れてピョンピョン跳ねながら

             先の道に歩いていたので、

              その話は聞こえてなかったみたいで、、、



         はしゃぎながら、

   

     カノン:「かき氷は、韓国語でパッピンスと言います。



            今日は皆さん、

            韓国のパッピンスを食べましょう!

                        楽しみですねぇ」

                と言った。

    


         その時、ドンと人にカノンはぶつかった・・・・

          カノンは慌てて「・・・・すみません」と謝った。


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