20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:潮風のセレナーデ・・・会いたい気持ち・・・ 作者:HAPPYソフィア

第15回   カノン・・・僕だよ・・・

  すると、地下鉄の電車の中で、

  

    日本語の会話が聴こえて来た・・・・

 

   「買い物をこれからロッテマートでしてから、

           次はエステね。」



    「よもぎ蒸しって言うのが良いらしいわよ。

      女性の体の悪い毒を出してくれるんですって」

「私は、あのコーヒーの袋をかぶってやる汗蒸幕をやりたいわ」

  



         「そうだ!」




スンミちゃんは、

   必要以上に自分の容姿にコンプレックスを持っている・・・

休みの日は外出をしたがらず、学校が終わっても

       真っ直ぐに帰宅する・・・・・

        親しいお友達も居ない・・・・・・


  髪の毛やお化粧も、自宅に呼んでプロにやって貰う・・・・



洋服にしても全て、自宅に呼んで、オーダーメイドで作らせるか・・・

    あるいはカタログで選んで買い物をする・・・・



カノンは、ガイドブックを取りだし、

      パラパラとめくりながらエステのお店を探した・・・・


      人が一杯いる街の中心で、エステのお店・・・

ここだったら、

  人目を気にするスンミが行けない場所だと思ったのだ・・・・

        お財布の中身を確認した・・・・

もし足りなかったら・・・

    そうしたら、お父さんのAXのファミリーカードを

使わせて貰おう・・・

   帰国したら、アルバイトをして返そう・・・・

そう思いながら、余り遠出をしてしまうと、

           帰って来られないし・・・

反対に怪しまれると思い、2号線から外れない程度の場所にある

中区中林洞にあるシルロアムと言う汗蒸幕と言う

お店にしようと思った・・・

 それにこのお店は当日の申し込みOKとなっていたし、

予約なしで入れるらしい・・・値段も手ごろだった・・・

おまけに、ここは大型サウナなので、

沢山の人で賑わうとも書いてあったので、スンミには絶対に

来られない場所だと思った・・・・・

カノンは駅で降りてから、ロッテリアが目の前にあったので、

そこに入って、指さしで注文し、片言の韓国語で頑張った・・・

  店員さんのお兄さんもお姉さんもクスクスと笑った・・・

    カノンの仕草や発音が可愛いかったのだ・・・・

カノンは、笑ってごまかして、

とにかく腹が減っては戦は出来ないので、ロッテリアバーガーを

目一杯大きな口を開けて食べた・・・・

  甘い苺のロッテシェーキを飲んでは、

           ポテトも一緒に食べた・・・



   すると、窓の外で、黒山の人だかりの場所があった・・・

    

     「何だろう?」と思っていると・・・



   日本人の若い女の子と、その友人なのか?

韓国人の女の子が、お喋りをしていた・・・

恐らく、韓国人の女の子が、日本人の女の子を

観光案内しているのかもしれない。

韓国人の女の子が、流暢な日本語で、

黒山の人だかりの事を、説明していた・・・



 「あぁ、今、鄭アミンがコメディドラマに挑戦していて、

   その撮影が、あの場所であるみたいですよ・・・・

  相手役の若手俳優のチャ チサンも居るみたいですね?」

    と、日本人の女の子に言っていた・・・・

  

          「え?鄭アミン??」・・・


  カノンは、嬉しくなって、グーッと背筋を伸ばして、

  窓の外を見てみた・・・・

小さなカノンには見える筈はなかったが、

    眼鏡を出して、一生懸命見てみた・・・・


  すると豆粒ではあるがキラキラ光っている人物が居た・・・

  

       鄭アミンだった・・・・



鄭アミンと言えば、パランファのボーカルの鄭テファさんの

お姉さんだ!!そう思った・・・・

  遠くに居てもオーラが出ていてキラキラしていて・・・

      流石に女優さんだとカノンは思った・・・



カノンは、ふと店の内や周囲などの人々を見た・・・・

      皆、外の黒山の人だかりで・・・・

   カノンを見張っている人はいなかった・・・・



    よし、チャンスだ・・・・

もし今、ここで店を飛び出せば、一緒に店を出る人がいたら、

つけられていると思う事にしようと思った・・・・

カノンは、急いで食べ終わり、早々に、店を飛び出した・・

      誰も追って来なかった・・・

道も、わざと人通りがいない、大きめの道を選んだが、

誰も人の気配を感じなかった・・・

 更に用心を重ね、高層アパートがあったので入り、

    丁度、来ていたエレベータに乗った。

誰も乗っていない事を確認し、

取りあえず10階から30階まで5階飛ばしで停まるように

した・・・・

素早く携帯を取り出し、メールと留守電を確認した・・・・

もし、つけて来る者がいたら・・・・

エレベ−タは1つしかないから、非常階段で上がるか・・・

  或いは、下りて来るのを待つかだろう・・・・

15階になった時、エレバータのドアが開いて、

日本語を話している子供が二人、廊下で遊んでいた・・・・

日本人?かもしれない・・・・

    カノンは15階の段階で、下りてみた・・・・

共同廊下で、遊んでいる子供たちと、

見守っているアジュンマ一人が居た・・・

遊んでいる子供の言葉が日本語だった事もあって、、、、

「あの〜」と話しかけてみた・・・・

   「ハイ?あら、貴女、、、日本人ね?」

    とアジュンマは警戒心なく言った・・・

「ハイ・・・済みません。お手洗いを貸して

頂いても良いですか?」と聞いた・・・アジュンマは笑いながら、

どうぞと言って、エレベータ近くの家だったのか?

ドアを開けてくれた・・・・

子供たちも、こっちこっちと一緒に入って来た・・・・

アジュンマは、

 「私も日本人なんよ・・・主人が韓国人で、

      私は京都・・・最初は大阪に住んでたんやけど、

   仕事の都合で、今年の春、ソウルに来たの・・・・

          おトイレはここよ」と言ってくれた・・・・

カノンは泣きだしそうな顔をしながら、

      そのアジュンマに泣きついた・・・・

    

         「どうしたの?」

 

        カノンの泣き顔を見てビックリした・・・・

カノンは、泣きながら、トイレは口実であることから話し、

事の仔細を話し始めた・・・・

アジュンマは、お茶を入れるわとして、

カノンをリビングに通した。

子供たちに、部屋で遊んでいてと言い、

          そして玄関のドアに鍵をかけた・・・

  

   アジュンマは、崔雅子さんと言って、

      ご主人は、新世界デパートの食品管理課で

        マネージャーをしていると言った・・・・

ソウルに来てから、言葉も余り通じないし・・・・

   友達もいないから、寂しかったのだと言った・・・・・

久しぶりに日本人の訪問者が来てくれて嬉しかったとも言われた・・

雅子:「何か、凄い怖いわね・・・李建設って言ったら、

  韓国でも1番の建設会社よ。色々な黒い噂もあるの・・・

  そこのお嬢様って、李スンミって名前じゃないと思うんだけどな?

   何か、昔、大きな誘拐事件があったとかって聞いたけど・・・

     娘の名前は李・・・・李・・・なんだっけかな?

   主人が帰って来れば分かるのだけれど?・・・

    で、カノンちゃん、これからどうするの?」

カノン:「ハイ、、、とにかく、ストーキングから逃れるままに、

          エステのお店に入ろうかとも

     思ってました・・・

      スンミさんが、行かない場所って思って・・・」

雅子:「・・ようし!!おばさんも一肌脱ぐわよ、、、

            同じ日本人だもの・・・・

     まだこの家に居る事は分かって無いわよね?

          多分大丈夫だと思うわ・・・

    良かったら、我が家をアジトにして!

           電話もPCもあるわよ・・・

         誰か信頼のおける人はいないの?」

カノンはカバンからメモ帳を出して、

    ソンジェお兄ちゃんなら、大丈夫だと思った・・・・

電話を借りてかけてみた・・・直ぐにソンジェが出て、

          「今から、そっちに行く」となった。

どうやら、このアパートメントの近くにソンジェも

住んでいる様だった・・・・

場所も良く分かっている様子で、20分後に行くとした・・・・

  20分足らずで玄関のチャイムが鳴った・・・



雅子は用心しながら、インターフォンにでると、

ソンジェであることが分かり、家の中に入れた。

ソンジェ:「誰もいないし、ストーキングされてないみたいだよ。

          それに僕が家に出る前に李の家に電話を

      かけたら、スンミが出たし・・・

     今日は特別、出かけたりしていないみたいだったよ

・・・ためしにカノンちゃんは?と聞いたら、

 一人で出かけたって言ってたよ。スンミは、何でも忙しいみたいで、

テファと電話したとか?遊びに誘われたとか?有頂天だったよ・・・」

カノン:「えぇ!!本当?良かった・・・・

     ソンジェお兄ちゃん、カノンの命の恩人の崔雅子さんです。

    雅子さん、こちらが、李 ソンジェさんで、私が滞在している

    お家のお兄さんです。」

雅子は、ソンジェの長身でハンサムな姿にポーっとなってしまった・・・

更に日本語が流暢なので、日本人だと思ったのだ・・・・



   「崔雅子です・・・お茶冷めないうちにどうぞ」と言った・・・・

「李ソンジェです。取るものも取らずに来てしまったので、

気の利いたお土産も持たず、済みません・・・

         改めてご挨拶に伺います・・・」と挨拶した。



雅子:「本当に、素敵ね?李さん、モテルでしょう?

             何か・・・キムタクに似ているもの・・」




   キムタクと聞いて、カノンもソンジェも

             ゲラゲラと笑ってしまった・・・

   雅子もつられて笑ってしまったが、

      「え?でも似ているんだもの?言われた事無い?」

           っと言った・・・

              また二人は笑ってしまった・・・・



カノン:「ソンジェお兄ちゃんはキムタクにやっぱり似ているんだね?

        良かったね?」

ソンジェ:「えぇ・・・似て無いですよ・・・

      日本に居た時、キムタクに似ていると何回か言われました。

・・・あとはアジュンマから山下智久に似ているって・・・

でも自分としては全然、似て無いと思ってるし・・・

山下智久って誰?と言う感じでした・・・・

   
       それよりも・・本題に入りましょう。



 この度は、お騒がせとご迷惑をおかけして済みませんでした

        ・・・実は・・・」

雅子:「大体は、カノンちゃんから聞きました・・・・

         私で何か力になれればいいのだけれど?

     私は自由気ままな専業主婦だし・・・

         いつでも家に遊びに来て貰っても構わないわ。

     PCも電話も自由に遣って頂戴・・・

       崔の会社が負担してくれるから料金の心配も

    いらないしね・・・・

       ところで、私も未だソウルに来て間もないんですが、

    李さんの家のお嬢様の方の名前は、

    李スンミさんではないですよね?改名でもされたの?」

ソンジェ:「話せば長くなるし・・・複雑なんです・・・

        改名と言う事に、今は取りあえずしておいて

      頂けますか?後で、必ずお教えいたします・・・」

雅子:「・・・・分かったわ・・・」

カノンは、自分の日本からの携帯を取り出して、

        メールや留守番電話の、確認もした・・・・

そして明日、学校が終わったら、

       サークルの部屋に行こうと思った・・・・

明日、テファに会う話は、何故か、

ソンジェにはしない方が良い感じもしたので、避けた・・・

ソンジェ:「カノンちゃん、ビョンチョルから、

     有る程度話を聞いたよ・・・誰か人を探しているって

      聞いたんだけれど??何か分かった事・・・

             あるの?」と聞かれた・・・・




    ペンダントの話をしようかと思った時、

         またフラッシュバックが起こった・・・・





     「カノン・・・カノン・・・

         このペンダントは2つで1つ・・・
         

        僕とカノンの証しだよ・・・・、

        どんな時も、どんな事があっても、

         このペンダントは二人の証しだよ・・・・」



            声が聴こえた・・・・

    それでペンダントの話しは、しない方が良いのかも?

               っと思った・・・・・

そう言えば、春にソウル旅行に行ったのだが、

その旅行の事が殆ど記憶にない・・・・特に交通事故から・・・・・

   カノンはハッと現実に返り、ソンジェと雅子に、

当たり障りのない言葉を並べ、そして今1番困っている事は、

スンミの事だと強調した・・・・

雅子:「女の敵は女・・・何だかスンミさんが哀れね・・・」

ソンジェ:「多分、スンミはコンプレックスから逃れたい為に、

自分がテファと言う男に振り向いて貰える女になりたいと、

思い込み、妄想の世界・・・つまり、姜スンミになったり・・・

時にはカノンちゃんになったりしているんだと思うよ・・・」

雅子:「・・・おばさんが言うのも何やけれど、

    李さんの家、お金持ちなんやろう?

    ほなら、お金をぎょうさんかけて、

    整形手術とかしたり、痩身やエステとかして、

    ええ女になった方が良いんとちゃう?

    お金があれば、この世の中の殆どの幸福は手に入れ

    られると思うんやけど?・・・ちゃうかな?」

ソンジェ:「・・・・・そうですね・・・

      しかし・・・スンミには、、、

          それが出来ないです・・・

       その資格がないんです・・・・」




  一方ならぬ事情を雅子は察し、

        それ以上は言えなかった・・・・

 カノン:「スンミちゃんが今、一番夢中なのは、

       パランファのボーカルのテファさんだから、

      テファさんと上手くゆけば良いのかも?」

 雅子:「でも容姿が悪いんやろう?テファさんだって

         ・・・・所詮、男やし・・・美人な方が

                 ええんやろう?」

カノン:「・・・でも・・・テファさんて、

     凄い綺麗な男の人なんですが、

            心も優しい人みたいで、、

     良くスンミちゃんを助けてくれたり、

     庇ってくれるみたいです・・・どんな人にも優しい

     感じがしました・・・・・

     私にも、昨日のパーティで、

     韓国語が下手なくせにとか馬鹿のくせにって

姜ユリさんに厳しい事を言われた時も、庇ってくれたし、

私が下手くそな韓国語で自己紹介した時も、

ちゃんと聞いてくれて、韓国語で自分も自己紹介してくれたり

・・・お姉さんのサインとかくれるって・・・

  何か凄い人気があるのが、分かる気がします・・・・」

カノンは、ソンジェの事を気にして

「・・・でも、私は、ソンジェお兄ちゃんの方が、

もっと優しくて格好良くて、

好きだけど?」と付け加えた・・・・

     ソンジェの顔が、輝いた・・・・

雅子:「あぁ・・・そうなんや・・・

てっきり、カノンちゃんもそのテファさんの

事が好きなのかな?って思ったわ・・・ハハハ。

ソンジェさんの方が優しいやって・・・・」

カノン:「だってソンジェお兄ちゃんは、

約束とか直ぐに守ってくれるし、カノンの本当のお兄ちゃんの

タクトお兄ちゃんに似ているんだもん・・・

勿論、SEへENにも似ているしね・・・

ピアノも物凄く上手だし・・・・

カノンとソンジェお兄ちゃんは、家族だもん」




    「家族」だもん・・・・




その言葉を聞いてソンジェは心が熱くなった・・・・


    そして、呉ジナとの別れがあって以来、

      もう恋愛はするまいと思っていたし・・・

  誰かを好きになる事はないだろうと思っていた・・・

      ずっと独身でも良いと思っていたが・・・・・

 熱い感情が・・・温かくて・・・柔らかい・・・春のような

   そんな気持ちがソンジェに流れ込んできた・・・・




        僕は・・・僕はカノンが好きだ   

          好きになり始めている・・・・



 ソンジェは、それを認めた事によって、心が軽くなり・・・

     そして温かな優しい気持ちになった・・・・

      カノンも又、正直な気持ちだった・・・

       ソンジェが大好きだったのだ・・・・・

 ソンジェもカノンも顔を見合わせてニッコリと笑った・・・・      

   お互いに信頼しあっている顔だった・・・・

雅子は「ホンマにえぇなぁ〜若いって・・・

可愛いお二人はん、お茶とお菓子をどうぞ。

丁度、日本の和菓子と緑茶があったのを思い出したわ。

 京菓子やけれど?実家の母が送ってくれはったのよ・・・

召し上がれ」



二人は頂きますとして、お茶を飲んだりお菓子を食べた・・・・

ソンジェは、スンミの携帯に電話をかけ、

偶然に地下鉄でカノンと会い、一緒に食事をして帰ると

言って切った・・・怪しまれない為だった・・・・

スンミはまだテファとの事で興奮さめやまらずだったのか?

 

  「あっ、そう?」で、了解したようだった・・・・



雅子:「そうや!あんたら二人、付き合うって事にしたら

    どうやろう?そしたら、先ずは、スンミさんて子も

    安心するやろうし、ユリさんもテファさんに対して、

    ヤキモキする事もないやろう?

        一石二鳥やんか?ええやろう?」



        ・・・・と、提案した。

そうだ・・・取りあえずだが、

カノンとソンジェが付き合っているとすれば、先ずは、

この二人からはマークされる事は無いからだ・・・・

ソンジェもカノンも頷き、そうする事にした・・・

    これからの事をどうしたらいいかと、

       話し合いを、3人でした・・・


雅子:「じゃあ、またね。カノンちゃん、

       くれぐれも気いつけなあかんよ?

     いつでも家に来てね・・・

          電話番号とか、メモった?」

カノン:「すっかりお邪魔し、歓待までして頂いてしまい、

      済みませんでした。」

雅子:「いいのよ、久しぶりに日本語を沢山、

          喋れてホンマにうれしかったわ」           

ソンジェ:「お邪魔しました・・・ごちそうさまでした」





  雅子の家を後にして、カノンとソンジェは、

   地下鉄に乗り、新村へ先ず行き、そして新村の

    レストランに入ってご飯を食べた・・・

  話しのつじつまを合わせないといけないからだ。


        大切な事は筆談にした。

しかも、雅子と、カノン、ソンジェしか分からない暗号にした。

  カノンの事は、ソンジェが必ず守るとソンジェは言った・・・

      


     「だって、僕らは家族だろう?」



そう言って、ソンジェは笑いながらカノンにウインクした・・・


    カノンも、嬉しくなって、

  「うん、家族だもんね」と言ってウインクしながら、

ソンジェのお皿から、ソンジェが食べかけのキンパブを取って食べた・・・・

 
   カノンの好きな食べ物の中にキンパブがあった・・・

ソンジェも嬉しくなって、クスクスと笑いながら

        「カノン、もっと食べる?」と聞きながら

        キンパブを取ってカノンのお皿に入れようとした。

すると、カノンは、お皿ではなく、

   「あ〜ん」と言って口を開けてこの口の中へと指指した。

 

  ソンジェは、楽しい気分になって、

       キンパブをカノンの口の中に入れた。
 
カノンはえへへと笑いながら、ほっぺたを大きく膨らませながら、

 キンパブを食べた。

 「美味しいね・・・オッパちゃんも、食べる?・・

        あーんして!」とカノンはモグモグしながら、

          キンパブをソンジェの口に入れた。

 


   こんなに楽ししい暖かな食事は初めてかもしれないと、

           ソンジェは思った・・・・

       本当に笑いの絶えない楽しい食事だった・・・・

   


      「ソンジェ・・・ソンジェじゃないか?」




声のする方向をみると、

   ソンジェと同じ大学の百済大学音楽学科の連中だった。

  

  ソウルでの演奏会が近いので、近くのスタジオを借りて、

      練習をしている様子で、練習が終わり、

         食事に来たと言って、近づいて来た・・・・

ソンジェも、卒業学年の時に、もう既に将来を約束され、

ソウルの有名な演奏楽団にスカウトを受け、就職が決まったので、

百済大学がある全羅道のアパートを引き上げてソウルに

住んでいるのだった・・・

     「スンオク、お前ら、今、ソウルにいるんだ・・・

        そうか・・・久しぶりだな・・・」

スンオク:「あぁ、演奏会が近いんでね・・・

       お前は、もう就職先が決まったんだよな?いいな」

ソンジェ:「たまたま、運が良かっただけさ・・・

       でも、半分、社会人になっている気分だよ・・・

     楽団で、既に働いているから・・・

     今は、殆どがソウルタワー近くの楽団の

      スタジオに缶詰めさ・・・

 大学へは、週一回行ければ良いかな?っと言った感じさ・・・」



キョンワ:「ソンジェさん・・・そちらの可愛いお嬢さんは誰?」


   カノンは一斉に、5〜6人の韓国人の男女に見つめられた・・・  

ソンジェ:「あぁ・・・鈴木花音さん・・・

       今、我が家にホームスティで来ているんだ。」

カノンはどうやら、自分の事を聞かれて、

     ソンジェが紹介してくれているのだと思い、

ニコニコと笑顔を振りまいて、そして



   「私は鈴木花音です。日本から来ました。初めまして・・・

         宜しくお願いします」と元気よく言った・・・



余りにも可愛い発音で、外見も可愛い小さな女の子だったので、

そこにいた男も女も一斉に「可愛い」と言った・・・



   ソンジェはちょっと嬉しかったし、鼻が高かった・・・

     「だろう?可愛いだろう?」とキョンワ達に

        自慢した・・・

そんな嬉しそうでソンジェを見て、皆は、

ソンジェが明るく元気になった事を知り、嬉しくなった。



      呉ジナとの事は有名だった・・・・

呉ジナは、ソンジェを捨てて洪ヂャンフと言う

百済大学でも有名な金持ちの道楽息子を選んだ。

     


   愛よりも金や名声を選んだと

       有名になったのだ・・・・


実際に、ジナは、ジャズピアニストとして、

成功し、全国は勿論、世界中を回っているのだった・・・

 ソンジェは、ジナと別れてから、益々、心を閉ざし、

人を・・・特に女性を愛せなくなった・・・と、

噂が流れた・・・いつも寂しそうで・・・・

笑顔を忘れてしまった様子だったからだ・・・・



   しかし、彼の奏でる音楽は、

素晴らしく、洗練された美しい物だったし、

     高く評価されていた・・・



就職も、いち早く決まり、韓国随一の楽団に

   入団出来たのだった・・・・



  ソンジェが、こうして、女の子と二人で、

楽しそうに食事をしている姿を見て、皆はビックリした・・・

  だが、次の瞬間、このカノンと言う女の子が、

きっとソンジェの心の氷を溶かしてくれるだろうと、

  思った・・・ソンジェが、心の底から笑っていたり、

楽しんでいるのが分かったからだ・・・・

皆は、二人の邪魔をしてはいけないと思い、早々に立ち去った。

  



  「じゃ、ソンジェ、百済大学で会おうぜ・・・又な!」

       「カノンちゃん、、バイバイ」



  「またね〜」っとカノンも嬉しそうに言って手を振った・・・

ソンジェは、そんなカノンの姿を見て、カノンは可愛いなっと思った・・・

カノンは、この日を境に、

  ソンジェの事を「オッパちゃん」と呼ぶ事にした・・・

       「オッパ」と言おうかと思った瞬間、

      物凄い頭の痛みを感じたからだ・・・

    そして呼んではいけないと言う抵抗を感じた・・・ 

    多分、このペンダントの主が「オッパ」で、

       生涯唯一人の「オッパ」と

  呼ぶ人なのかもしれないと、思ったのだった・・・・



 ならば、「ちゃん」をつけて

       「オッパちゃん」として呼んでみた。


     今度は頭の痛みも無かった・・・

   ソンジェは「カノンて面白いね?」と

    言って笑った・・・

      でも、まんざら嫌そうでもなく、

  寧ろ「オッパちゃん」と呼ばれる事が

            嬉しそうだった・・・・





カノン:「オッパちゃん、あのね、もしね、オッパちゃんが、

     音楽家になったら、借金をしてオッパちゃんは、

     済州島にお家を買うのね、、

        それでね、そこで音楽活動を

     するのね?

      カノンは家族だから、一緒に住んで、、、

        音楽家は貧乏だから、

     生活の為に、

    カノンがジャージャー麺屋さんをするのね?

    オッパちゃんは、昼間は、ジャージャー麺屋さんの

    配達とか、お店のウエイターの仕事をするのね?

配達はエコに優しいチャリンコで頑張るのね?

それだけじゃあ、まだまだ貧乏だから・・・・

夕方から深夜まで、ホテルでホストをやるのね?

オッパちゃんのルックスを生かした仕事だよ・・・

NO1ホストになって、お金を一杯稼ぐのね・・・


  そして借金を早く返すのね?分かった?」



ソンジェ:「・・・えぇ、、、

    何かカノンは唯ジャージャー麺を作るだけでズルイよ」

カノン:「オッパちゃん・・・

     芸術の道は険しく厳しい物なんだよ・・・

     カノンはオッパちゃんに日本語と韓国語を教えて

     上げるからいいじゃん・・・」

ソンジェ:「えぇ・・・それでも、何かズルイよ・・・

      何で済州島なの?僕は、済州島とか詳しくないよ・・・

      1回しか行った事が事が無いし、、、

       小さい時だったから、、、覚えてないよ・・・・」

カノン:「・・・甘いな・・・オッパちゃん。

        カノンも済州島の事、良く分からないけど・・・

      海があって、温暖で、沖縄みたいな所だし、、、

      ママがドラマのロケ地が一杯あって凄く良いところ

    だって言ってて、更にはジャージャー麺屋さんが一軒も無い

   って言ってたよ・・・だから!チャンスじゃん。

   物価も安いみたいだし・・・・

   それから、男の人も女の人もみんな、身長が低いんだって!!

   だから、オッパちゃんみたいな長身で、

       キムタクに似ている人が行ったら、、、

    NO1ホストになれるわけよ。。。

       良かったね、オッパちゃん!!イヒヒヒ。」



      余りにバカバカしいような面白い話に、

  ソンジェは愉快になってずっとお腹を抱えて笑った・・・

        借金をして家を買うとか・・・

     更に音楽家=貧乏と言うのが面白かった・・・

    韓国では音楽家にしても芸術家にしてもお金持ちが多い・・・

   だが、カノンは相手が貧乏でもお金持ちでも関係ない

    と言った感じで、話しをするので、面白かったし、、、

         可愛いなっと思った・・・・

   明らかにお金や地位・名声など

   カノンには関係ないと言うのが分かったし・・・

友達にしても、恋人にしても、誰に対しても打算的な考えを

一切持っていないカノンに益々、好感が持てたのだった・・・




  食事が終わって、カノンはソンジェに

李家の玄関まで、送って貰った。

   スンミは、出迎えず、ヨナが、扉を開けた・・・

  カノン:「オッパちゃん、マタネ」

  オッパ:「カノン、マタネ。」

 そしてソンジェは屋敷を後にした・・・・





    帰り道・・カノンが言った、将来の設計図・・・

      済州島の家の事を想像してみた・・・

         余りに面白くて・・・

      一人で吹き出してしまった・・・・

      


        だが・・・


   ジャージャー麺屋とホスト・・・

      それもカノンと一緒だったら

        楽しくて・・・

   良いかもしれないと・・・

思いながら、以前、歌ってくれた変てこなカノンの歌を

   口ずさみながら、帰路に向かった・・・・





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





 カノンが、部屋に戻ると、

    スンミがカノンの部屋に入った形跡が

         感じられた・・・

     

   とにかく、疲れたので先ずは、

    シャワーを浴びようと思い、

       バスルームに向かった・・・・

 
 きっとこの姿も盗聴されているから・・・

  恐らくスンミは、浴び終わって一息ついた頃に、

     やって来るだろう・・・

  そしてテファの話をするだろう・・・

       そう思った・・・・




   案の定、一息ついた時に、

   スンミはカノンの部屋のドアをノックした・・・



      「どうぞ!」と言って、

  努めて平静を保ち、明るくカノンは振舞った。

     カノンはから、スンミに話しかけた。



「今日は、我儘言って、一人で出かけさせて

        貰って済みませんでした。」

          と言った。

スンミ:「いいえ、どう致しまして・・・

       こっちもお礼を言わなくっちゃ・・・

      テファと楽しくメル友出来たし、

       電話でも話が出来たの・・・

    有難う・・・もう夢を見ているみたい・・・・

    それで・・・テファに、

   ロッテワールドに一緒に行かないかって・・・

    誘われちゃったの・・・

   私は、勿論OKって言っちゃったんだけど・・・

  彼は、私じゃなくカノンちゃんを誘ってると思ったの・・・

それで韓国語が上手く出来ないから、

通訳でスンミも一緒で良いかと聞いたらOKって言われて・・・

カノンちゃん、、御免ね、良い?付き合ってくれる?

  彼の友達の、ジュンギって言う男も一緒だから、

      2対2でいいんじゃないかって・・・・

          どう?」



カノン:「え?・・・そうなんだ・・・

           ロッテワールド??・・・」

スンミ:「ごめんね、実は、彼にどこに行きたい?って

       聞かれて、ロッテワールドに行きたいって

    メールしたの・・・そしたら、電話で、行こうよ

    って言われて・・・」

カノン:「実は・・・

     ロッテワールドは、修学旅行で1回行って・・・

     それから、今、日本で一緒に暮らしている

    サヤカと言う親戚の子に、ロッテワールドは行かないで

    おいてねって言われてるの・・・

          だから・・・その・・・・」

スンミ:「え?・・・

     じゃあ、ダメって事?」

      少しスンミの声が怖くなった・・・・

カノン:「・・・・えっと、、、えっと・・・

       じゃあ、内緒で行こうか?

           いつ行くって約束しちゃったの?」

スンミ:「来週の土曜日・・・」

カノン:「・・・・そうか・・・じゃあ、来週の土曜日ね・・・・

         スンミちゃん、

     私ね、スンミちゃんとテファさんが上手くいくように

         応援や協力をするね。上手くいくと良いね。」

  


            スンミ:「え?本当に?」

                カノン:「うん」

カノンは、続けて「私はやっぱり、ソンジェお兄ちゃんの方が、

        好きだな・・・優しいし、一緒にいると

          楽しいモン・・・えへへ」

         と、、強調して言った・・・・

     スンミは、安心している様子だった・・・・

スンミ:「それで、カノンちゃんには悪いんだけど、

         カノンちゃんの部屋にあるPCを

     私の部屋に運んだの・・・

      代わりに違うPCを、置いたの・・・御免ね・・・

     それから、彼から携帯に電話があるから、

       携帯も新しいのを用意したの・・

               これを使って・・・・」

渡された携帯や、替えられたPCには盗聴マイクも

無い様子だった・・・

更に、盗聴カメラも撤退しているようだったが、

1つだけ盗聴カメラが残されていた・・・

「もし大学で、テファさんとの接触があったら、

逐一、スンミちゃんに知らせるね?」とカノンは言って、

今日は色々と一人で動き回ったので疲れたので、早々に休みたいと

して、明日ねとして、話を終わりにした・・・




    カノンは、少しだけ良かったと思い・・・ホットした・・


そして、崔雅子との新しい出会いと、

      親切に心から感謝して、ベッドに入った・・・




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







     次の日から又一週間が始まった・・・・




朝から重々しいどんよりした灰色の雲だったし

蒸し暑かった・・・



  いつ雷や大雨が降ってもよさそうな天気だった・・・・

    カノンの嫌いなものに、雷があった・・・・

     自分に落ちてきそうで怖いのだった・・・・

雷が鳴ると、ぶるぶると震えて、泣き出して、

しゃがみこんでしまうのだった・・・



テファは、授業が終わったら直ぐに部室に行こうと思った・・・

         きっとカノンは来る・・・

          来てくれると思ったのだった・・・・

一方、カノンは、スンミには下手な小細工や嘘は

禁物だと思い、正直に自分の行動を言った・・・・

 先ず、授業が15時半に終わったら、、、

友達と、ホンデのサークル見学をするかも?と言った。

そして、スンミの授業が終わる18時まで待っていると告げた・・・・

音楽が好きなので、もしかしたら、K POPにも行くかも

しれないと、それとなく伝えた・・・

だが、万が一、パランファのテファと接触があったら、

良くないので、なるべく接触しないようにすると言った・・・

 スンミは気を良くして、接触しても構わないと言い始めた・・・・

カノンは、動揺しながら、、、

偶然に会った場合は仕方ないが、なるべく接触はさけると言った

・・・じゃないと話しのつじつまが合わなくなったら、

嫌だし・・・変だし・・・

自分はテファさんには興味が無いし・・・

あるとすれば、テファさんのお姉さんの方だけだと

言っておいた・・・

 そして、昨日、偶然にもソンジェと地下鉄で会って、

一緒に食事をして、それから、二人は付き合おうと

言う事になったと伝えた・・・

 そう、つまり彼氏と彼女の仲になろうとなったと

    スンミに伝えた・・・





  その事は、スンミにとって、

        物凄く嬉しい言葉だった・・・



「ふうん、そうなんだ・・・

   まぁ、仲良くやってよ・・・

    ソンジェお兄さんがカノンには

       お似合いよ・・・」と言って

            高らかに笑った・・・・

    カノンは、良かったと、思った・・・・




ーーーーーーーーーーーーーーーーー





空模様を気にしながら、

  カノンは、ホンデ語学堂の校舎へ

          走り込んで入って行った。

 


  滞りなく授業が15時半に終わり、

カノンは綾とひろみの三人で、サークル巡りと称して

    K POPの部室に行った・・・・



  ひろみと綾には、授業中、手紙で、

事情を説明しておいた・・・

更に何かあれば、崔雅子の家のPCのメールを経由して、

ソンジェに届き、更に暗号化されて、

カノンの家に届く事にした・・・用意周到にした・・・・

    既に、テファは部室に居た・・・

 パランファのメンバーも、楽器の演奏をしていた・・・・

 カノン達がやって来たのに直ぐに気が付き、

「やあ、ようこそ!」と言った。



  ひろみも綾も、カノンほどではないが、

そこそこ可愛いお嬢さんだったし、、、

パランファのメンバーたちは、テファに、3人が折角、

来てくれたから1曲披露しようぜとテファに言った・・・

 テファも、「じゃあ、ソテジの如何歌を披露しようか?」

として歌った・・・



「ソテジの本名はチョン・ヒョンチョルって言うんだよ」と、

メンバーの一人のジノが言ったのを聞いて、、、




       「え?チョンさんて言うんですか?」と


       カノンはビックリした感じで聞いた・・・・




ホンデ・・・

   ホンデの近くにはソテジにまつわるパブも多い

     


    ・・・ソテジの名前は「チョン」・・・


   ボーカル・・・

      ソテジの歌も何故かカノンは知っている・・・




  カノンは「あの〜、ソテジさんて、

         日本に行った事とか・・・




つい最近、日本に居たって事ないですか?1984年生まれ

ですかね?」と聞いてみた・・・

       皆は一斉に爆笑した・・・

「ソテジは確か1972年生まれだと思うけど?」と

テファが笑いながら言った・・・・

ミング:「それにソテジは、アメリカと韓国でしか

知られてないと思うし・・・日本は余り好きじゃないかも??

愛国心が物凄く強いし・・・日本の戦争の時代とか余り良く

思って無いかも?行くとしたらアメリカかもしれないしね・・・」



   イルソン:「何でソテジについてそんな事を聞くの?」

カノン:「えっと・・・ただ何となく・・・えへへ。

      ソテジさんて凄いアーティストなんですね。」

ジノ:「僕らパランファのバンドは、90%がソテジの曲だよ

         ・・・10%はオリジナルだけど?

           余りオリジナルは披露しないかも?」

ひろみ:「オリジナルってどんな曲をやるんですか?」

ジョンア:「バラードもやるし、ロックもやるし・・・

              色々よ・・・」

テファ:「僕はボーカルなんだけど・・・

     ボーカルに歌えない歌は無いからね、何でも

                  歌えるよ・・・ハハハ」

       




       「え?」・・・・


         ボーカルに歌えない歌は無い???

           カノンは、ぎくりとした・・・・

             テファさん??チョン ・・・テファさん???

 

      カノンは、テファの顔をまじまじと見つめた・・・・

       テファさんも「チョンと言う名前だ」からだ・・・



カノン:「テファさんは、どこに住んでいるんですか?」

           ・・・カノンは恐る恐る聞いてみた・・・

テファ:「え?・・・江南だけれど?・・・」

カノンは江南と聞いて・・・

    そんな筈は無いと思っていたので、ホットした・・・

      チャムシルと言ったら、どうしようかとか・・・

     ペンダントの人だったらどうしようかと思って

       ドキドキしたのだった・・・

テファ:「あっ、それより、僕、、カノンちゃんに話があるんだ

     ・・・少し二人で話しても構わないかな?」

      っと皆に言った・・・

皆は多分、お姉さんのサインの話だろうと思い、

OKが直ぐに出て、二人は奥の部屋に言った・・・

   テファは、先ずはコレっと言って

    鄭アミンのサインをカノンに渡した・・・

カノン;「わぁ!!どうも有難うございます・・・

     凄く嬉しいです・・・

     昨日、テファさんのお姉さんが

     ドラマのロケやってるところを見ました・・・

     凄い人で一杯でした・・・・

     でも女優さんのオ−ラが出ていて、

     キラキラ光ってました・・・綺麗な人ですね?」

テファは「えぇ・・・そんなに美人じゃないよ・・・」と

言って謙遜した・・・・

カノン:「昨日やその前の歓迎会のパーティの時は、

      失礼しました・・・

       それから、メールや留守番電話とか

       しちゃって御免なさい・・・

       私の事、信じてくれて

       嬉しかったです・・・」

テファ:「何かあったの?凄く心配したよ・・・

 



 実は昨日、僕は自分の替え玉を

       使ってスンミさんとメル友や

          電話をしたみたいなんだ・・・

替え玉は友人なんだけどね・・・

   カノンちゃんだと思って、

      嬉しそうにメル友してたよ・・・

         僕の良心が痛んだけれど・・・・」




 カノンは李家に来てからの事を、テファに話した・・・

      たった1週間だが色々な事があり・・・

 

     心身ともに疲れた事も伝えた・・・


  更に、今、自分は人探しをしていて、、、

   春にソウル旅行に来て交通事故に遭った事なども、

何故か?テファに素直にペラペラと話してしまった・・・・




  その時、カノンの首にかけていたペンダントが、

      外れ、床に落ちた・・・・

   



        「あ」・・・・



     カノンは慌てて、拾った・・・・

   テファは、

    わざと「そのペンダントは?」と聞いた・・・・

 カノンは「・・・何でも無いです・・・・」と言って、

  大切そうに拾い上げ、カバンの中にしまった・・・

 テファは、やっぱり何かカノンにあったんだと思った

     ・・・恐らくその交通事故で、記憶を

       失ってしまったのだと思った・・・・

    そう思えば、全てが合点がいく事だった・・・・





 そしてカノンが探している人物は自分であることを、

伝えてしまいたい気持ちになったが、、、

   自然に思い出して貰える事を

      楽しみとしようと思った・・・

  



  まだカノンの留学生活は始まったばかりだから・・・・

   それに、姜ユリや、滞在先の李スンミ・・・

     李家の謎も気になった・・・・

  カノン・・・・僕がカノンを守ってやるから・・・

   カノン、僕の事を早く思い出しておくれ・・・



          オッパだよ・・・



     カノン、韓国に来てくれて嬉しいよ・・・



 テファは心の中で、優しくカノンに話しかけていた・・・


     すると・・・・

        姜ユリと、その取り巻き連中・・・

         そして後からスンミもやって来た・・・

  

 恐らくカノンを迎えに来る口実として、

         僕に会いに来たのだろう・・・





 さてどうしようか?テファは、目を閉じて考えた・・・・

  ここは怒りの矛先をユリとスンミの

      お互いにぶつけさせようと、

         テファは思った。。。



  「やあ、ユリ、一緒に帰ろうか?

      オッパは、今日は、姉さんが

        早く帰宅するんで、早く帰らないと

   行けないんだ・・・

   姉さんが、ユリに会いたがっていて、

   ユリを家に連れて行かないといけないんだ・・・

  ユリは、今夜は予定はないんだろう?僕の家に

  来るよな?」とスンミに聞こえるように言った・・





   ユリは、ふふんと嬉しそうに鼻をぴくぴくさせ

   「アミちゃんが、私に会いたがっているの?

      じゃあ、行かなくっちゃ・・・」




テファ:「じゃあ、帰ろうよ・・・

     あっ、スンミさん、今週土曜だったね、

     楽しみにしているよ。ロッテワールド!!

     君が通訳してくれたら、

      会話もスムーズだし助かるよ。

       ・・・・今日は忙しんで・・・マタネ」

     と言った・・・スンミの顔は輝き、


      「ハイ」と言って素直に頷いた・・・




ユリは、「バァカ」とスンミに言いながら

テファと帰って言った・・・

ユリは昨日、テファが替え玉でジュンギにスンミとメル友や

電話をさせていたのを知っていたので、逆上はしなかった・・・

ジュンギも、ズングリムックリで、

更にとても格好良いとは言えない容姿だった・・・・

    なので、ユリは、

「スンミとジュンギはお似合いかもね?オッパ」と

左腕を組みながら楽しそうに言った・・・・

ユリ:「オッパ、スンミ達とロッテワールドに行くの?」

テファ:「あぁ・・・だって、ジュンギが約束しちゃったみたい

だから・・・僕が行かないと変だろう?

僕は、スンミにもカノンにも興味は無いから、

途中で理由を作って帰るよ・・・・

さっき、カノンと話をしたけれど、

僕にカノンも興味ないみたいだったし、

姉さんのサイン貰って喜んでたしね・・・・

ユリが心配する必要は無いと思うけどね??ハハハ」

ユリ;「オッパ、オッパはどんなタイプの女の子が好きなの?」

テファは、ユリに左腕をギュッと掴まれたまま質問をされて、

言葉に迷ったが、

「そうだな〜、鄭アミン・・・

つまり姉さんみたいな人だったら良いかもね?」と言って笑った。

ユリは鼻をピクピクさせ

「えぇ、アミンちゃん?アミンちゃんは超美人だし・・・・

 勝ち目ないじゃない ・・・オッパ、他には?ねぇ、どんな子?」

        と言って来た・・・・・



テファは、薄ら笑いながら

「・・・今のトコ、居ないね・・・ハハハ」と言ってごまかした。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






 カノンは、テファとユリが

   二人で帰って行く姿をずっと見つめていたら・・・

    何だか心が痛く、そして悲しい気持ちになった・・・・

 そして、今日は、物凄い近くで1対1でテファと話ができ、、

テファが物凄く外見が美しい男の子だと言う事を知った・・・・



  更に、内面も、優しさが伝わって来て、

      カノンは時々、ドキドキしていた・・・・

そしてテファさんがペンダントの持ち主だったら、

どうしよう?と思った事が、可笑しくてクスクスと笑った・・・

   そんな筈はない・・・そう心の中で唱えた・・・


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 18361