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作品名:潮風のセレナーデ・・・会いたい気持ち・・・ 作者:HAPPYソフィア

第14回   ペンダントの輝き・・・記憶の糸
すると、「あぁ・・・うぅぅ」と言う奇妙な声がして振り返ると、

ホームスティの朝に出会ったヘジャと言う女の子と、

お手伝いのキムヨナが居た・・・

    そして裏口から入って下さいと言われ・・・

言われるままに、カノンはついて行った。

  裏口と言っても、立派な造りになっていて、豪華だった・・・・・



   そして、入る際に、ソンジェの父親が握りしめていた

     ゴルフのパットが裏口のゴミ箱に刺さっていた・・・

これは使えるかも?と思い、カノンは拾った・・・



  ヨナは、「それはゴミですよ」と言ったが、

       カノンは韓国語が分からない振りをして、

今、自分は日本の学校でゴルフを始めたから、、、

練習用で欲しいと言って、拾って部屋に運んだ・・・・

部屋は多分、表立った所は綺麗に片付いていた。

恐らく、盗聴した部分だけしか、点検していない事が分かったので、

カノンは安心した。

そしてヘジャがカノンの部屋にいる所で、

さっき拾ったパットをどこに置けばいい?と聞いた。

立てかけても変だし、、部屋の美観にも良くないからどうしようか?

として、、、少し考えながら、、、



     「あ!ベッドの下に置こう!」と、

         大きな声で言ってベッドにもぐりこんだ。

そして、ベッドの下から顔を出して、キムヨナに、ここに置くと言った。

        また、カノンは潜り込んだ。

蹴っ飛ばした携帯は、そのままベッドのしたにあったので、

カノンは嬉しくなって、もぐってパットを置くふりをしながら

携帯を取り洋服の中に、隠し入れた。

そして、ヨナにここに置いておけば、大丈夫だよね?

と笑顔で言って、ベットの布団をまくし上げて、ゴルフパットを

置いた事を見せた・・・・



  ヨナは変な子と思ったのか?笑いながら、部屋を出た・・・・・



カノンは、良かったと思いながら、着替えるふりをしながら、

明日、着る服のポケットに日本の携帯を押し込んだ。

そして何食わぬ顔をしてパジャマに着替え、スンミが用意していた

PCを開けてみた。。。。

テファからのメールはなくホットした・・・・

    

         ・・・良かった・・・

私のメッセージが伝わったのかな?・・・・・良かった・・・・

そう何度も言った・・・・



    すると・・・ペンダントがまた光った・・・・


  ギュッとペンダントを握りしめながら、、、

メールをチェックし、ベッドに入った・・・・・・・





------------------------------------------------------





一方、テファは、カノンからの伝言の携帯を聞き、

   更にはPCも確認した・・・・




     懐かしいカノンの声を何度も、何度も

        再生にして聞いてみた・・・・


 更に、日本の携帯番号とメルアドも変わっていた事に

   気が付いた・・・・





     きっと何かあったに違いない・・・・




・・・・・もしかしたら、カノンは、


   記憶を失っているのかもしれないと思ったり・・・・



    又は、先ほどの、カノンの携帯電話のメッセージや、

PCメールの内容を見て、何か事件に巻き込まれて・・・

事情があって、わざと他人の振りをしている

のかもしれないと思った・・・・



 とにかく、カノンを信じて、スンミが渡したメルアドや

電話番号にはかけたりしないことにしようと思った・・・

 だが、何も連絡もしないと、怪しまれるのでは?とか、

返ってカノンの立場を危うくするのではと思い、テファは、

やりかけのレポートがあるので、明日は日曜だが、大学の

研究室に行って、そこから大学の学生に配布される

メールアドレスがあって、そのアドレスを使って、

メールを送信してみようと思ったし、電話も、

大学の研究室から、かけてみようかと思った・・・・

  もちろん、内容も、当たり障りのないものにしようと

思った・・・・・

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




     スンミは、有頂天だった・・・・


何故ならば、カノンが、ソンジェを追いかけて行くのを見て、

自分もカノンを追って、逐一、ストーカーをしていたからだった・・・

  

    すると、帰り際に、カノンが

スンミとテファを応援したいとソンジェに言っていた言葉が

出たからだった・・・・

  やはりカノンは、テファに対しては何も思いが

              ないようだったし・・・・・

メモ書きも、本当になくしてしまったのだろうと思った・・・・・

       それに・・どちらかと言うと、

カノンはテファよりもソンジェの方が好きみたいだ・・・・



    ソンジェなんて私はもう飽きたし・・・

        興味もない・・・

兄としてファッションみたいな感じで歩くには良いかもしれないが・・・

所詮、ただの音楽にいかれた、甲斐性なし男・・・



       断然、私はテファ・・・


     テファ以外もう考えられない・・・・

                 そう強く思った・・・・



   テファからきっとカノンにメールが来る筈だから・・・

二人の会話を通して・・・・楽しませてもらうわ・・・・


   テファ・・・テファ・・・私の心は張り裂けそうよ・・・

今日はどの写真にしようかしら?・・・

そう言って、机の引き出しから、盗み撮りしたテファの写真を、

     1枚出し、何度も写真にキスをした・・・・・




    今日のテファも素敵だったわ・・・

         そして私を優しく庇ってくれた・・・・




   ・・・・・きっとテファも、私の事が好きなのね・・・・・

テファったら、照れ屋だから、本当は私の事が好きなくせに・・・

話しかけられないからカノンを介して、メルアドや携帯番号を

教え合ったのね?

   御免ね、テファ・・・・

  そして待っていて。。。。

    近いうちに貴方の腕の中に飛び込んで行くわ・・・・

          愛しているわ・・・テファ・・・・



  恍惚感に満ち溢れながら、スンミはベッドの中に入り、

           眠りに着いた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




     <次の日の朝>




テファは、大学の研究室から、学生用のメルアドで、

スンミがくれた名刺のメルアドに当たり障りのない内容の言葉で

メールした・・・・



※※※ テファのメール ※※※



カノンちゃん、昨日はお疲れ様でした。

カノンちゃんは、僕の姉さんのファンだったんだね?

早速、姉さんにサインの事、頼んでみるよ。

姉さんは最近、レポーターの仕事が忙しくて、なかなか

連絡も取れないけれど・・・

ファンの為なら何でもしてくれると思うよ。

それから、昨日、知らせた携帯番号の00000000番は

ユリの番号なんだ・・・・

僕の携帯は、実は故障していてね・・・だから、何かあったら

大学で会った時に、言ってね・・・

でも、後で教えてくれた君の携帯電話に電話するよ・・・

日本語で少しお喋りしようよ・・・

                テファ

※※※                    ※※※





  そして直ぐに、今度は、カノンの日本の携帯にメールをした。

※※※                     ※※※


  カノンちゃん、、、昨日の電話のメッセージ、聞いたよ。

もし、全然、連絡が無いと、返って怪しまれると思って、嘘の

携帯番号と、学生が共通で持っている、当たり障りのない

PCメルアドから、メールを送信したよ。

当たり障りのない事は、このメルアドで良いよ。

そして緊急な場合は、昨日、メモ書きした番号・・・

つまり電話をかけてくれた番号に電話してね・・・・・

   何かあったの?

何かあるの?

  良く分からないけれど・・・・・心配しているよ・・・・

大丈夫?


     ※※※           ※※※



     ・・・・っと送信した・・・・・



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




    カノンは、クローゼットから、

  今日、着る洋服を取りだして着替えた・・・



  そして携帯を入れて何食わぬ顔で、

ビトンのカバンを持ってベッドの真中に背中向けにして座った・・・・

          

      つまり死角に座った・・・

 

  携帯をポトンとカバンの中に入れて、中を確認する振りをして、

    携帯を、絶対に分からない内ポケットの中に入れた・・・


 カノンの日本の携帯は超薄型・軽量の物で、内ポケットに十分、

       入ったし・・・ばれる事はないと思った・・・

そして、心の中で「何だか、アンネの日記のアンネになった気分・・・」

裏部屋と言うか隠し部屋で見つからないように隠れ住むところが

ダブって見えた・・・・

       クヨクヨ考えても仕方ないので、この生活を、

          007並みに楽しんでみようかと思った・・・

   



   すると、カノンにまたフラッシュバックが起こった・・・・・




  カノンとオッパと呼ばれる男の子が手を繋いで、

                お台場に来ていた・・・・



     何故か、カノンはへの字の口になっていて、泣いていた・・・・


  オッパと呼ばれる男の子は、優しい頬笑みを、

    カノンに向けて、カノンに話しかけていた・・・・・

「カノン・・・泣かないで・・・

   カノン、自分の周りに変な人が多いのは、

  それだけ自分の人生が面白くて、

    楽しい、良い事なんだよ・・・

     だから泣く必要は無いし、

       むしろ笑って楽しんでしまえばいいんだよ・・・

               カノン、、、だから笑って・・・」

          

      え?本当?楽しい人生なの?良い事なの?



     「・・あぁ、そうだよ・・・

       カノンは泣いている顔よりも

         笑っている顔の方が

               ずっとずっと

          可愛いよ、僕の大好きな顔だよ・・・」



       ・・・・・分かった・・・じゃあ、笑うね・・・

            オッパ、こんな顔で良い?



 「ハハハ・・カノン、本当に面白いね・・そして可愛いね・・」



・・・・・・相変わらず、オッパと言う男の人の顔は、

              靄がかかって見えなかった・・・・

 唯、段々と、フラッシュバックで起こる二人の会話が

   克明になって行くのだった。




   カノンは、この部屋では独り言も、禁物だし、

       緊張を常にしていないと行けない

       と思い・・・外に出ようと思った・・・・・




   するとスンミが用意したPCに、

       テファからのメールが来ていた・・・・



   カノンは、最初、テファはメッセージを聞いてくれたり、

PCメールを読んでくれなかったんだと思いガッカリするやら、

ビックリするやらで、どうしようかと思ったが・・・

次の瞬間、安堵に変わった・・・・

昨日、教えてくれたメールのアドレスや、

    携帯番号が違っていたからだった・・・・・

         あぁ良かった・・・・

カノンは、ちゃんと自分の言葉に耳を傾け、行動に移してくれる

テファに好感をもった・・・・

  そして、もしかしたらテファは、

カノンが日本からの携帯電話に返信をしてくれたに違いないと思い、

確かめる為には、とにかく、この部屋や家から出ようと思った・・

 カバンを持って、階下に降りると、

   やはりスンミが待っていた・・・

カノンは、「今朝は、食欲がないので、一人で、この周辺を散策したい」

と言い、更には雰囲気の良い喫茶店を見つけて、

   そこで、読みかけの単行本を読みたいと言った・・・・



   スンミは、あっそう?と言ってあっさりとOKを出した・・・・


  実は、さっき送られたテファからのメールの返信を

              カノンとして送りたかったからだ。




   又、テファが大学の研究室にいると言うのも分かっていた・・・


  「ねぇ、カノンちゃん、テファからメール来た?」と

            スンミは知っているくせに聞いて来た。


  カノンは盗聴されているので、正直が良いと思い

    「何か来てたけど、、、良く読んでないんですよ・・・

      帰って来てから、読み直して、

       返信するかもしれないです。

   あっ、電話が来るって言ってたけど?

   もしよかったら、私の代わりに、テファさんとスンミちゃんが

   お話すれば?携帯、置いておくから・・・・」と言って、

   スンミが作ってくれた韓国での携帯を、スンミに渡した・・・・

         スンミ:「え?いいの?」

カノン:「・・・もちろん、、、

     私は別にテファさんとお話しすることないし、

     ファンでも何でもないし、興味もないから・・・

     あっ、良かったら、私の部屋に入って、部屋のPCから、

     私として返信しても構わないです。

     PCや電話だったら、顔は見えないし声だってスンミちゃん

     だってバレナイと思うから・・・・大丈夫だと思うから・・・

     私はやっぱりソンジェお兄ちゃんが良いな・・・

     正直な気持ちです・・・ソンジェお兄ちゃんの方が、

      大人だし・・・・優しいし何か落ち着くもん・・・」

スンミ:「え?テファとのメル友の方もいいの?・・・

     カノン、、カノンちゃん・・・有難う・・・嬉しいわ・・

     本当にテファには興味ないみたいね?

     シッカリこれからも私たちの事を、応援してよ・・・いい?」

カノン:「もちろん!!えへへ。応援するし、協力もするからね。

                      じゃあ、行って来ます」





 そう言ってカノンは、家を飛び出した・・・・

            一刻も早く、この屋敷から離れ、



    どこかのデパートでも喫茶店でも良いから入って、

    携帯の確認とメールとか電話をテファにしようと思った。

門を全力疾走で出て、早歩きと言うよりもマラソン選手のように、

          走り出した・・・

   丁度、タクシー乗り場があったので、

             タクシーに飛び乗った・・・・

     誰も追いかけてこない事を確かめながら・・・

            少しほっとした・・・



   運転手に「どこまで?」と聞かれて

           「仁寺洞」と言った・・・・




タクシーの中なら安全だろうとは思ったが、

          油断は禁物だったので・・・

とにかく仁寺洞へ行ってから、喫茶店にでも入ろうと思った・・・・

   案の定、そのタクシーはスンミに雇われたものだった・・・・


  カノンが仁寺洞へ無事に到着し、お金を払って、

近くの喫茶店に入って行くのを見届けてから、

   トランシーバーのような電話で、スンミに連絡した。



運転手:「仁寺洞へ一人で到着したようです。

         そして、タクシーを下ろした場所の


「チョントンダウオン」と言う韓国伝統茶やお菓子で

有名な店に、一人で入って行きました・・・

車の中では、不審な動きも言葉も何もしてません・・・

携帯も持っていないみたいで、架けたりもチェックしたりもしてません

でしたよ。えぇ、本当です。でも小さくて可愛い女の子でしたよ。

お嬢様が疑う必要なんて全くないですよ。

ところで、店に誰か見張りの者を出しましょうか?

必要ないと思うんですが??」



 スンミは、運転手の話を聞いて、大丈夫だと安心した・・・

そこで「もう見張りは良いわ・・・ご苦労さま・・・

支払いは銀行にしておくわ。有難う・・・」と言って、高らかに笑いながら

電話を切った・・・・・



    何だ、やっぱりカノンは

      単純で真っ直ぐな子だったのね・・・

       心配する必要はなかったわ・・・

    テファも、恐らく学校だし、、、

   お洒落の最先端を行くテファが、老人街には行かないだろうし・・・

コーヒー位は飲む事はあっても、甘い菓子や韓国伝統茶は飲まないだろうと言う

判断から、スンミはもうカノンに対しては疑うのは止めようと思った・・・

更に最近は、代わり映えのないカノンの日常を盗聴するのに

飽きて来たからだった・・・・




  カノンは、伝統茶とお菓子を頼んだ・・・

         まだ時間が早かったせいもあって、店にいるのは

     カノンしかお客さんはいなかった・・・・

それでも用心を重ねて、トイレをお店の人に聞いて、トイレへと向かった。

鍵をかけて、携帯に電源を入れた・・・

         案の定、テファからメールが来ていた。



      カノンは、またテファにメールをした・・・

「ちょっと事情があって・・・今も、こっそり家を抜け出して、メールしてます。

この携帯以外のメールや電話は、私である鈴木カノンからのものではないので、

信じないでください。済みません。」と急いでメールを打った・・・

そしてテファの携帯にも電話して、メッセージを声で、小声でした・・・

  何食わぬ顔をして席に戻ると、伝統茶とお菓子が運ばれてきた。


  カノンは単行本を取りだして、お茶やお菓子をつまみながら、

本をゆったりとした気分で読み始めたのだった・・・・



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





  
  スンミは、カノンの部屋に入り込み、カノンのPCから、カノンとして、


   テファにメールをした・・・・





※※※                    ※※※

    親愛なる鄭テファ

      鄭テファ、メールを有難う。


    皆の憧れのパランファのボーカルの鄭テファから先に

      メールが受けるなんて信じられないです。

 

      私は鈴木花音・・・日本の東京から来ましたよ。


         大学校韓国語学科2年生です。

 
  今、ホンデ日本語学科2年の李スンミの家に滞在していますよ。

毎日、李スンミに、韓国語を教えて貰っているので、良かったら韓国語で

メール上げますよ。韓国語は得意です。その上、書くのがもっと上手です。

李スンミのメルアドに直接、韓国語で送ってくれてもいいですよ。

 李スンミのアドレスはXXXXX@XXXXX


率直に聞きたいんですが、あなたは李スンミが好きなんですか?

  ・・・・・・・・と、打ったが、、、、

やはりもし「嫌いだ」と返信が来たらこのメールが終わってしまうので、

「率直に・・・」からの文章を削除してみた・・・・     

   先ずは、きちんと返信できるか、送信してみた・・・・

    テファの所にメールが送信された・・・

     スンミからだと言うのが直ぐに分かった・・・・

     人の名前をフルネームで呼ぶのは韓国人だし、、、

  日本語の言いまわしが、どこか堅くて、ぎこちないし横柄だからだ。

たまたま、後から研究室にレポートを書きに来たジュンギが、

一緒にそのメールを見て、「おっ、日本語のメールだ・・・

何て書いてあるんだ?」と聞いた・・・・

    テファは、、、簡単に韓国語にしてジュンギに伝えた・・・

  「李スンミって、、、、あの李建設の醜いお嬢様?

   あの家に滞在している日本人の女の子は、かなり可愛いって

   噂で聞いたぜ・・・日本語学科の学生が、皆で狙ってるって・・・」

テファ:「え?本当に?カノンがそんなに人気があるのか?」

ジュンギ:「凄く可愛いって・・・それにいつも笑っているし・・・・

      韓国語も出来ないのに頑張って話すんだけど・・・・

      一生懸命で・・・ついつい何とかして上げたくなるとか・・・・

       あの怪物の李スンミをいつも庇っているし、

      ミスキャンパスの姜ユリとも、やりあって李スンミを

     庇ってるって聞いたぜ・・・・優しくて、良い子だって

     聞いてるぜ・・・ファンクラブも出来てるみたいだぜ・・・」



テファは、カノンが機械工学科のジュンギにも知れ渡るくらい

人気がある事を聞いて、嬉しかったが、、、

沢山の男たちが狙っていると言うのに、心穏やかではなかった・・・

       テファ:「え?ファンクラブ?」

ジュンギ:「あぁ・・・何か日本語学科の男どもが中心で、作ったみたいだぜ。

   今度、交流会と称して観光旅行に誘うみたいだぜ・・・だけど・・・・」

テファ:「だけど?だけど何なんだよ?」

ジュンギ:「あの子には余計なオマケ・・・李スンミが付いてくるから

                       厄介なんだよな・・・・」

テファはある意味、スンミがおまけで居た方が、

カノンに余計な虫がつかないので、良いかも?と思った・・・

ジュンギ:「姜ユリ姫も、スンミをイジメれば苛める程、

     あの子の人気が高まるから、内心穏やかじゃないみたいだぜ・・・・

ましてや、お前が、あの子とメル友なんて知ったら、発狂するんじゃないか?」

テファ:「・・ハハハ・・あの子とは、別に・・ただ僕の姉さんのサインが欲しい

    って言ってたんで、姉さんにさっき電話したら、OKが出たんで・・・

        それで連絡しただけだよ・・・深い意味は無いよ」

                      と、慌てて言った・・・・

ジュンギ:「でもいいよな〜俺もあの子とメル友したいよ・・・

                          可愛いよな、、、」

ジュンギは、羨ましそうに、何度も何度もテファに言った。

テファ:「・・・・・じゃあ、ジュンギ、お前、僕のアドレスで、

          鄭テファとして、カノンとメル友するかい?・・・」

ジュンギ:「えぇ!!本当に?」

テファ:「あぁ・・・いいとも・・・」

ジュンギ:「でも、俺、日本語出来ないぜ・・・」

テファ:「韓国語でも大丈夫って書いてあるから、、、

          何でもスンミが翻訳してくれるみたいだし・・・

     韓国語を書くのが得意だって書いてあるし・・・・

                メールなら、バレないだろうし・・・」

ジュンギ:「え?本当に?本当に良いのか?」

テファ:「あぁ・・・お好きなように・・・

      それと、後で、その子に電話しないといけないんだ・・・

     お前、話しても良いよ・・・多分・・・

         韓国語で大丈夫だと思う・・・きっと大丈夫さ。

              電話だし、、、幾らでもごまかせるさ」

ジュンギ:「えぇ!!有難う、テファ・・・今度、何か奢るよ・・・」

テファ:「いや・・・結構・・・その代わり・・・後で文句言うなよ・・・。

          それからこの事は秘密にしてくれよ。。。

     カノンのファンクラブの奴らに殺されるかもしれないし・・・」

ジュンギ:「文句なんて言うもんか・・・・凄い幸せさ・・・

               秘密にすると約束するさ。有難う!

      ヤッタゼ!、、、あっ、でもユリには、

                  言った方が良いかもしれないぜ。

      じゃないと、スンミだけでなく、カノンちゃんが、

            イジメのターゲットになっちまうから・・・」

テファ:「え?どうしてだよ?・・・」

ジュンギ:「お前は、ユリ姫に対してはそんな恋愛感情は

     無いかもしれんが、ユリはお前の事、ゾッコンだし、

     誰かがお前の事を好きだと言えば、徹底的にイジメるからな・・・

     スンミは醜いから、未だユリは手加減しているが、

     万が一、カノンちゃんだったら・・・

      即刻、韓国退去になるかもしれないぜ・・・」

テファは「そんな、大袈裟だ・・・」と言って笑ったが、

       ユリならやりかねない・・・そう思った。

幼馴染のように育ってきたユリは、我儘で気性が激しく、

プライドも高かった・・・

自分より劣る者が、自分の欲しい物を手に入れると、

悔しがり、徹底的に苛めたりするのも知っていた・・・

ジュンギ:「・・・その時は、俺が、ユリに説明するから・・・

       ユリには秘密にはしないって事で、良いだろう?

      実は、俺がカノンちゃんとメル友してるって事で・・・

   お前は、全くカノンちゃんには興味は無いって言ってやるから・・・・

         それで良いだろう?」

テファ:「・・・・・あぁ・・・そうしてくれ・・・

       ジュンギ・・・済まないな・・・そして有難う。

            じゃあ、僕は昼飯食べて来るよ。」と

              言って研究室を出て行った・・・・・

  ジュンギ:「お礼を言うのはこっちさ♪ 

          あぁ、なんて返信すれば良いかな?

                 ドキドキするぜ」

 


       ※※テファとしてジュンギはメールした※※

          鈴木カノンちゃん

凄く名前も可愛いし、顔も可愛いね、、、日本語学科でも君は人気者だよ。

  君が韓国語でも大丈夫と言うので、韓国語でメールしました。

       僕は鄭テファ・・・機械工学科4年生だ。

 K POPのサークルに入っていて「パランファ」と

                 言うバンドのボーカルです。

         歌は「ソテジ」の歌が多いよ。

          カノンちゃんに質問します。

        好きな色や食べ物は何ですか?

         好きな歌手はいますか?

         韓国に何で来たんですか?

          好きなタイプの男の子は?

            BFは居ますか?

         土曜とか日曜は何をしてますか?

         韓国で行ってみたい所はありますか?

            趣味は何ですか?・・・・・

ジュンギは、いざテファとしてメールしようにも、

余りにも自分とテファが違いすぎるので・・・

テファの事を語れなかったので、、、カノンの事を聞きだそうとし、、、

質問攻めにした・・・・・・

        

          そして、送信した・・・・




   スンミは、またテファからメールが、

        スンミのメルアドに韓国語で来たので

            嬉しくてウキウキしながら読んだ・・・・・

スンミは、カノンになりきって答えようかとも思ったが、

話しに詰まってしまうので・・・自分の事を語り始めた・・・





好きな色は、赤  

食べ物は、ヘムルタン、タットリタン、キムチ、ビビンメン・・

辛い物なら何でも好きです。辛くないのだとスンデが好き。

好きな歌手はソテジ・・・

ソテジのアルバムなら全部持っているし、歌えます。

 韓国へは大学が韓国語学科だったからその研修で来ました。

BFはいません。自分に見合う理想の男の子がいないから・・・・

好きなタイプは、、、

   格好よくて頭が良くてお金持ちで、留学経験もあって・・・・

  強くて逞しい人・・・・将来は有名企業に就職出来る人・・・

  歌も上手くてスポーツ万能な人・・・・

土曜や日曜は、家に居て本を読んだり、勉強したりしています。

行ってみたいところは・・・・

まだ行った事がないけれどロッテワールドや

ショッピングがしたいので、百貨店巡りに行きたいです。 

今、欲しいネックレスがあってカタログで見て選んで、

取り寄せようかと思ってます。

日本の黒真珠なんですが、三百万ウオンもするんです。

お母さんに頼んで買ってもらう事にしようと思ってます。

趣味は、語学や読書、、、韓国語が得意です。

            こんなところです。

  

         スンミは早速、送信した・・・・・

ものの10分もしない内に、スンミからのメールが来て・・・・

ジュンギは、余りの返信の速さでビックリしたが、

嬉しかった・・・・

だが読んでいると、やっぱりカノンは、

テファが好きなんだと言うのが分かって、替え玉である

自分が悲しくなってきた・・・・・

 それでジュンギは、

  「カノンちゃん・・・今、電話しても良い?」とした・・・

         OKの返信は直ぐ来た・・・・



   研究室の電話機から

ドキドキしながらジュンギが電話すると、

       「もしもし」と日本語で返って来たので、

ジュンギはカノンと疑わずに、

  「えと・・・・あの・・・韓国語で大丈夫か?」と聞くと、

          あっさりOKと言われた。




     スンミは、カノンであると想わせる為に、、、

ところどころ日本語を混ぜながら、

      たどたどしく韓国語を喋るようにした・・・・

  僅か10分程度の間だったが、会話は弾み楽しかった・・・

丁度、電話が終わったところで、テファが、食事から戻って来た・・・

       姜ユリも一緒だったようだ・・・・

テファは、「食事に出たら、ユリがロッテデパートで弁当を買って

      来てくれて、それで下のラウンジでバンドの連中と、
 
       食べてたんだ」と、言った。

ユリ:「ソン・ジュンギ、何か嬉しそうな顔をしているけれど?」

ジュンギ:「あっ・・・・いや・・・その・・・」

テファは、PCを見た・・・するとメールのやり取りの跡があり、

     それを読んで、フフフっと笑ってしまった。




    明らかにカノンでは無いスンミのメールだからだ・・・・

ユリは、それを察知して、テファと一緒にメールを読んだ・・・・

最初、ユリはカノンとテファがメル友をしていると逆上しそうになった・・・・


  テファに秘密だが、ユリには誤解されるとまずいから

俺から話しても良いか?と目配せをして、ジュンギがユリに話をした、、、、



  テファはカノンには興味が全く無い様子で、ジュンギがカノンが良いな

っと思っている事を伝えると、あっさりとカノンの事を譲ってくれた・・・

と言ってくれたのだった・・・

      ユリは、ほっとし、冷静を取り戻した・・・・

ユリ:「オッパ、、、オッパは、豆狸・・・

            鈴木花音には本当に興味がないの?」

テファ:「・・・・あぁ・・・

       ただ、姉さんのサインの事で約束したから・・・・

                   姉さんはファンを大切にするしね」

ユリ:「そうよね・・・オッパがあんなチビでペッタンコで、

         幼稚な子に興味を持つとも思えなかったけど・・・」



    テファは、ユリの言葉でカッとなる心を抑え、冷静に振舞った・・・

           そうしなければ、このユリは、怒りの矛先を

                   カノンに向けてしまうからだ・・・




        それにしても・・・・

 見事なくらい、カノンの質問の答えを外していて可笑しかった・・・

先ず、カノンの好きな色は「白」 好きな食べ物は「アイスクリーム、

餅、お寿司」嫌いな物や苦手な物は スンデ・・・ポンテギ・・・

・・・それから辛い物・・・

胃腸が弱いのか、辛い物を食べるとお腹が痛くなって病気に

なるからだ・・・・

韓国料理は、ホットクや、プルコギ、キンパブ、おでん、

餅のお菓子が大好きで、何が食べたいと聞くと、

必ずこの5つの食べ物が出て来るのだった・・・・

好きな歌手はSEへEN 

俳優はウオンビン、

コメディアンは鄭テファ・・・つまり僕だ・・・・

 ソテジは、僕が好きだと知り、CDを新大久保で買って

聴いた様子だが、良く分からないし・・・・

    余り好きじゃないと言った感じだった・・・・

韓国に来た理由は分からないが、韓国語学科での交換留学かも

しれないし、、、、韓国ドラマや映画が好きだから、

それを勉強しに来たのかも?しれない。

彼氏は自分と付き合う前は、何人か居たみたいだったし、

男友達は沢山いた筈だ・・・

好きなタイプはSEへENみたいな綿菓子頭で、

甘い感じの男の子が好きなのは、あっているが、、、

だが、やっぱり「心」が1番だから外見も、頭脳も、財産も関係ない

と言った感じだった・・・

   歌も下手でも上手でも関係ないみたいだったし・・・・

趣味は、料理や編み物、掃除・洗濯と言った家庭科が好きで、

あとはピアノを演奏するのが好きだった・・・

読書や勉強が嫌いだし、、、韓国で行ってみたいところは、

多分、88オリンピック競技場の前に建つ高層アパートに住む

ガイドの田さんの家・・・・韓国語を沢山、勉強して上手くなって、

会いに行きたいと何度も言ってたからだ。。。。

水原の古城跡にも行ってみたいとか、利川の焼き物の里にも行って

みたいとも言っていた。

 好きな場所は、生まれも育ちも横浜だから、港や海が好きだ・・・

韓国でも海のある釜山や済州島が好きそうだ・・・・

ロッテワールドは修学旅行で行ったとも聞いていたし、

カノンは買い物が嫌いだ・・・・

無駄遣いもしない・・・

カノンの家はお金持ちだと言うのが分かるが・・・

欲しい物があっても衝動買いは一切せず、、、

カノンは他人に物を強請ったり、奢らせることも嫌いだった・・・・

もし買ってもらうとしたら、母親よりも父親の方だし、

両親の事を「パパとママ」とカノンは呼ぶ筈だから・・・

ここでも違う・・・・本当に見事に全問不正解?と言って良かった。




  それが可笑しくて、笑い出しそうになってしまったが、、、

    抑えた・・・・




ユリ:「オッパ、私は、もう帰るけれど?オッパは?」

テファ:「・・・あっ、まだレポートが終わってないから、

             あと少ししてから、帰るよ・・・」

ユリ:「・・・ふ〜ん・・・じゃあ、明日ね。」

テファ:「あぁ・・・明日・・・気をつけて帰れよ・・・

                      弁当、有難う。」

      ユリは嬉しそうな顔をして、帰って行った・・・・・

ジュンギは、ユリの気配がなくなるのを確認してから・・・

「テファ、有難うな・・・・もう俺、カノンちゃんと

    電話までしちゃってさ♪彼女、本当に韓国語、

                超上手かったぜ・・・」

テファ:「へぇ〜、良かったじゃないか・・・

             まぁ、仲良くやってくれよ」

ジュンギ:「あぁ・・・有難う・・・」

テファは、窓の外を眺めながら、カノンは今、どこにいるのだろうかと

思った・・・自分の携帯を取り出してみると着信があり、留守番電話に

メッセージがあるとなっていた・・・・・



         「カノンからだ・・・」


 そう思って、トイレに行くふりをしながら、メッセージを聞いた・・・

カノンの可愛い声が入っていた・・・やはり、何か事情があるのだ・・・

テファは明日の自分の予定を思い起こし、そしてカノンに電話した・・・

案の定、留守番電話になっていたので、メッセージを残した・・・・

「カノンちゃん、明日、授業が終わったら、

        K POPのサークルの部屋に

来て欲しい・・・スンミさんも一緒で構わないけれど・・・

恐らく、スンミさんはユリと同じクラスだから、

授業は18時に終わる筈だ・・・僕は、15時で終わるから、

サークルの歌の練習で、部室に行くんだ。

カノンちゃんは、16時には、遅くとも授業が終わるだろう?

18時の間に、チョット話したい事があるんだけれど?・・・

勿論、無理ならば、来なくて良いよ。

僕は、歌の練習をするだけの事だから・・・

秋の学園祭があるから・・・その為に練習をしないと

いけないんでね・・・じゃあ、明日会えたら、

宜しくね・・・」と入れた・・・・



  カノンは単行本を読み始めて、

      ついウトウトしてしまい・・・・

寝てしまったようだった・・・・

    ガクンとなった時、目が覚めた・・・・

店の時計を見ると、もう12時を回わろうとしていた・・・・

お腹がすいたので、この店を出て、何かを食べようと思った・・・・

大学の韓国現代文化の授業で、韓国人は、一人で食事をするのを

嫌うと習い・・・日本人が良く一人で食事をしたり、

お酒やお茶を飲んだりするのが、不思議だし、

変人と思われる事もあるからと言われた・・・

   特に女性が一人でいるのは物凄く変だと・・・・

食事をするならば、ロッテリアとかジャンクフードにするか、

百貨店の食品売り場にある屋台風のフードコートに行って、

好きな物を頼んで、そこのベンチで食べるか、

家に持ち帰って食べる方が良いかもしれないと習った・・・・



  カノンは、チョット楽しくなった・・・

よし!じゃあ、本場韓国のロッテリアに行ってみようかな?と、

思った。

  仁寺洞から、離れようと思った・・・

    だが、もしかしたら、スンミがいるかもしれない

        から用心しようと思った。



  外を見ても、老人ばかりで、、余り若者がいなかった・・・

お店の中も、お客さんが、殆どいないし、

中高年の日本人観光客のアジュンマが4人居るだけだった・・・・

     ・・・・大丈夫みたいだ・・・・・

カノンは清算を済ませて、店を出て、インサドンの伝統的な

小店をチョロチョロ見ながら、地下鉄に乗った・・・・・

      どこに行こうかな?

  

   そうだ!!スンミちゃんが行けない場所に

        行けばいいんだ・・・

    スンミちゃんが行けない場所は、、、、

         どこだろう?




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