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作品名:潮風のセレナーデ・・・会いたい気持ち・・・ 作者:HAPPYソフィア

第12回   ペンダントの輝き・・・記憶の糸
韓国で、会いたい人・・・


 それは・・・自分が韓国語学部に進む事のキッカケをくれた

  ガイドの田鳳徳おじいさんだった・・・

  それと、この春、お世話になったJTBの

             オムさんも居たっけ・・・

  田さんもオムさんもJTBだから、知り合いかもしれないし・・・・

 カノンは「わぁ!李ビョンチョルお兄さんや田さん、そしてオムさんと

 3人も韓国で会いたい人がいるんだぁ。。。

  楽しいし嬉しいなぁ」と声に出して喜んだ。



 そんな声が、全てスンミに筒抜けであることも知らずに・・・

         メールの着信がピロピロと鳴った・・・

       クラスメイトの綾からだった。

       ※※  綾のメール ※※

 カノン、明日は土曜だから、ひろみと私とカノンの三人で

       どこかに出かけない?

     天気予報も晴れって出ているし・・・

      ひろみは、明洞をショッピングしたり、

    食べ歩きしたりして、修学旅行で

 行ったソウルタワ―にもう1回、行ってみたいんだって

            ・・・どう?

 もし、OKなら、10時に、明洞にあるロッテホテルのロビーの

         グランドピアノの前に集合よ。

        ※※          ※※

    カノンは、思わず「行きたい!」と思ったし、

       特に土曜の予定もなかったからだ。

  それに明洞のロッテホテルの地下に、JTEソウル支店の会社が

        あるので、オムさんに会えるかもしれないし、

        田さんの事も分かるかもしれないからだった・・・・

    時間があれば、その足で、地下鉄とバスを乗り継いで

  「88オリンピック競技場」に行って、田さんの住むお家に行ってみようと

             考えたのだった・・・・

   返信をしようと思った時・・・スンミの事が頭によぎり・・・・

      スンミに許可を貰わないと!!っと言う気分になった・・・

       何故か?憂鬱な気分に、カノンは一瞬とらわれた・・・

            スンミには親しい友人もいないし、

              いつも一人ぼっちだし・・・

     スンミちゃんを誘っても良いかと綾たちに聞けば、

      きっとダメとは言わないが、余り歓迎もしないだろう・・・・

    寧ろ、スンミの事を嫌っていると言うか、

         外見を見て、醜いと判断し、、、

   気持ち悪いから近づくな!っとホストファミリー達から

       言われていて、一緒に遊んだとなれば、

       綾もひろみも家庭滞在での立場がギクシャクして

     しまうだろうし・・・・姜ユリたちの嫌がらせがあるかもしれない

             からだった・・・・

スンミは、外出は殆どしていない感じがしたし、電車やバスなど

公共の乗り物は使わず、自家用車のみでの外出だった・・・・

 それは自分が外見が物凄く醜いと認めていたが・・・本当にイモムシみたいに

  醜い為、多くの人ごみの中では、反対に目立ってしまうし・・・

 もし、仮に明日、一緒に出かけても、沢山の人が集まる明洞などに行ったら・・・

   人々が好奇の目で見たりし、益々、スンミは落ち込んで、泣いてしまう

      だろう・・・ならば、誘わない方が、幸せなのかもしれない・・・・

       もし、スンミが外出の許可をしなかったら、、

    自分も諦めて、家でノンビリ過ごそう・・・そう思った。

   そして、ホームテレフォンでスンミの部屋に電話をかけた。

       その様子を、スンミは逐一、見ていたが、

        いきなり自分の部屋に電話がかかって

           来たので、慌てて、電話に出た。

           スンミ:「カノンちゃん、何?スンミよ。」

  カノンは、いきなり自分の名前を言われて・・・まるでカノンが電話を

  かけるのを知っていたかのように声をかけたスンミに驚きながら・・・

           カノン:「・・・・あっ、スンミちゃん・・・

                 あのね、明日は土曜でしょう?

                    私、クラスメイトと遊びに

              出かけたいんだけれど?・・・」努めて明るく、

               軽い感じでカノンはスンミに聞いてみた。

     スンミは仔細が分かっていたが、何も知らないふりをしながら

           OKをだしてあげようかと思ったが、

 チョット、カノンがどんな反応になるか?意地悪をしたくなった。

スンミ:「・・・・ふ〜ん、そうなんだ。

            明日は・・・土曜ね、、、

    実は明日、どうしてもカノンちゃんに付き合って貰いたい

                 場所があるの・・・だから・・・その・・・」

         カノンは、その言葉を聞いて、、

       やっぱりダメか・・・それにスンミちゃんが付き合ってと

        言ってきているから・・・そっちを優先しようと思った・・・・

         カノン:「・・・付き合って貰いたい場所があるの?

         ・・・喜んで!じゃあ、明日の友達の方は断るね?」と言った。

        スンミは、カノンの優しい気持ちが伝わって来て、

           イジワルした事を後悔し

     「カノンちゃん、付き合って貰いたい場所は、夕方からなの。

         姜ユリさんの家に滞在している金子瞳さんの歓迎会を

          ユリさんの家でするのよ。招待状を受け取ったので、、、

          だから、5時位に、家に戻って来てくれれば、出かけても

                大丈夫よ。楽しんで来てね。」と言った。

         カノンは物凄く嬉しそうな声で「ありがとう、スンミちゃん!!

          じゃあ、5時までに必ず帰って来るね?本当に有難う!」と

                      言って電話を切った。

       そしてカノンは、直ぐに綾に明日はOKと返信した。



        スンミの中で、またもやストーカー・・・と言うか

         一体化になる妄想が爆走し始めたのだった・・・

  電話が終わって、スンミは益々、可笑しくて高らかに笑った・・・

 カノン。。。本当に可愛い・・・小さくて細くて、、、可愛い・・・

            気持ちも優しいカノン・・・

         あぁ、、、私はカノンになりたい・・・

     私がカノンだったら・・・テファの心を直ぐにでも捕まえる

       事が出来るのに・・・・神様は本当に不公平だ・・・・

           いや、私は神様なんて信じないわ・・・・

     こんなに醜く可哀想な女の子はいないもの・・・・

          可哀想なスンミ・・・本当に可哀想・・・

       だけれど、私はこれからカノンと同化して、

      カノンとして生きてみたいわ・・・私はカノン・・・

               カノンなのよ!!

明日は、クラスメイトの綾とひろみと一緒に明洞のロッテホテルで

待ち合わせ⇒ショッピングを楽しみながらソウルタワーね?

分かったわ・・・

17時までに、家に戻らないと行けないから、忙しいわ・・・・

   何を着て行こうかしら・・・私はカノンだから・・・

      何を着ても可愛いし、沢山の男たちを

  魅了出来るわ・・・そう!18時から始まるユミの家での

           パーティも・・・

     そしてパランファのバンドの歌を聞きながら、

           テファは私に気が付き、

      私の可愛さに一目ぼれをするの・・・・フフフ〜

       その時の、ユリの顔を見てみたいわ・・・・

   19時少し前に、玄関のチャイムが鳴った・・・・

お手伝いのキム ヨナが、カノンの部屋に電話をかけた・・・・

 「今、李ビョンチョル様と言う方が、

  カノンお嬢様に面会されたいとおっしゃってますが?・・・」

 カノン:「あっ、ハイ、通して頂いても良いですか?」そう言って、

         早々に、電話を切り階下に降りて行った。

             既に玄関には、スンミが居た・・・

        カノンは、ビックリした・・・まるでスンミが、

         自分の事を何でも知っているかの様な

         素早い動きだったからだ・・・・

  カノンは満面の笑みで、ビョンチョルを出迎えた・・・

カノン:「ビョンチョルお兄さん、お久しぶりです。

            お変わりなくて、元気そうで・・・

  なによりです。今日は、迷わずにここに来られましたか?

  雨の中すみません」と矢継ぎ早に日本語で話した。

ビョンチョルはクスクス笑いながら、小さな花束と、

 ソウルでは有名な美味しいお菓子の詰め合わせの

 プレゼントを持ってやって来て、カノンに渡しながら、

「今日は、お招き有難う。カノンちゃん、久しぶり!

  おっ、チョット大きくなったんじゃないか?」

               と言ってからかった。

玄関は、段差があって、カノンの方が高くなっていたからだった・・・・

      カノンも一緒に笑った・・・

そして、ビョンチョルは、後ろにいるスンミに気がついた・・・

  カノンは、それを察知して「ビョンチョルお兄さん、

        こちらが、ホストファミリーで、

    ホンデ日本語学科2年生の、李スンミさんです。」

                    と紹介した。

 ビョンチョルは少し怪訝そうな??不可解な顔をした・・・・

その時、カノンは、ビョンチョルも又、ホンデの学生たちと同じで、

スンミの外見に対して拒絶感を現したのだろうと・・・そう思っていた。

スンミも又、自分が醜いから、ガッカリしたのだろうと思った・・・

男とは、やはり外見が大切なのだと思って、深いため息をついた。

      カノン:「お兄さん、上がって・・・上がって・・・」

ビョンチョル:「あっ、、うん、そうだね。失礼します。」と言って、上がった。

スンミ:「お食事はまだでしょう?食堂に用意してありますの・・・

                           皆で食べましょう。」

   と言って、直ぐに食堂を案内して連れて行った・・・

 ビョンチョルは、廊下や、部屋をキョロキョロしながら、

                食堂へと向かった・・・・

         途中で、カノンにコソコソと

  「カノンちゃん、こんな大きな家に滞在していて、

          迷子にならないの?」と言うと、

       カノンもコソコソと、小声で

    「うん、、、本当に大きなお家だよね?

         実は、私は、自分のお部屋と、

         食堂と・・・あとはここのお家の

      ソンジェお兄さんのお部屋しか知らないの・・・

        迷子になっちゃうよね?

     幾つお部屋があるんだろうって考えたけど・・・

  だって外の門から、玄関まで、結構、歩くし、学校へは毎日、

 車だから・・・外側から見ても物凄く大きくて立派な家でしょう?

           ビックリするよね?」

  真面目に小声で話しているカノンの顔が面白くて、

      ビョンチョルはゲラゲラと笑ってしまった・・・

  すると、お手伝いのキムヨナが、咳払いをして

             「お静かに!」と言った・・・

   二人は、小さくなって「すみません」と謝った・・・・

食堂に着くと、その豪華な食事にビョンチョルもカノンもビックリした。

   ホテルのシェフを呼んでの豪華な食事が用意されていた・・・・

          生のバンドも呼んでいるらしく、

     チェロやバイオリン奏者も来ていて、演奏を聴きな

                   がらの食事になった・・・・

        ビョンチョルは、食事をしながらスンミに

        「ところで、ソンジェは元気ですか?」と、

                        聞いた・・・・

スンミ:「え?ソンジェ・・・ソンジェお兄ちゃんを知っているんですか?」

ビョンチョル:「知ってるも何も・・・同じ小学校と中学校だったし、、、

仲が良かったんですよ。同じ名前だったから、良く間違われて・・・

         当然、怒られるのは私の方で、、、

          褒められるのはソンジェだったっけ・・・・

   彼は、本当に生まれながらにして芸術家ですよね?

    あいつの弾くピアノは、本当に心が震える位、、、

             素晴らしいものだったっけ・・・

 しかもルックスも、かなり良くて学校中の女の人気を独り占め

 していたっけ・・・・静かな性格だから・・・暗い感じがするけれど

     話してみると、気さくで優しい奴なんだよな・・・」

          スンミは、嬉しいような・・・

      それでいて、ちょっと複雑な心境になった・・・

 カノン:「わぁ!ビョンチョルお兄さんと、ソンジェお兄さんは、

同級生だったんですね?

           しかも、お友達同士で・・・凄いねぇ。

     ビョンチョルお兄さんが来てるって、ソンジェお兄さんに

連絡してみましょうか?」

スンミは、自分の携帯からかけてと言って、カノンに携帯を渡した。

      カノンは、一瞬、「え?」と、思った・・・・

何故ならば、カノンがアクセサリー店で買った、ストラップと同じ物が、

          ついていたからだった。

  しかし、アクセサリー店はホンデの近くにあるし、スンミが偶然・・・

   いやもしかしたら、カノンが偶然、同じものを買ったのだろう?と、

   思い、あらかじめ登録されていたソンジェの電話番号にダイヤル

   した。

            トゥルルル〜トゥルルル〜

      3回目のコールの後で「もしもし・・・」と声がした。

           優しい・美しいソンジェの声だった・・・・

 カノン:「ソンジェお兄ちゃんですか?私は鈴木カノンです。・・・えへへ」

          カノンは笑顔で弾んだ声で会話をしていた。

    そしてビョンチョルの話をし、今、家に来ている事を伝えた・・・・

        電話が終わって、カノンは満面の笑みを浮かべて

 「ソンジェお兄ちゃんが、後で、家に来るから、待っていてねだって!!」

                              と言った。

 ビョンチョル:「ソンジェに久しぶりに会えるんだ・・・嬉しいよ・・・

                もう7年か8年ぶりだからな・・・」

カノン:「あ!ソンジェお兄ちゃんが家に来るなら・・・

                     ウヒャウヒャウヒャ」

             っと可愛い声でカノンは笑い始めた・・・

スンミ・ビョンチョル:「どうしたの?」

カノン:「だって、この前、ソンジェお兄ちゃんは、今度、会った時は、

  カノンにSEへENの曲を弾いてくれるって約束したから・・・

                    えへへへ・・・ヤッタネ。」

 

             SEへEN?

ビョンチョルは「え?あのソンジェがSEへENの曲?」っと

おおよそ似つかわない姿を想像し、

食事の最後に出されるコーヒーを吹き出してしまった・・・



ビョンチョル:「あぁ・・・済みません・・・本当に済みません・・・」

 ビョンチョルは謝りながら、ハンカチやティッシュで、

    吹き出したコーヒーを拭きとろうとした・・・

 スンミはそんな姿を見て、やっぱりカノンは愛すべき

                       可愛い女の子だと思った。

         カノンのいるところには、常に人が集まり、

              笑顔や笑い声が絶えないからだった・・・

  食事が終わって、スンミは二人に、積もる話もあるだろうから、

   ソンジェが来る迄、カノンの部屋で、過ごしたらどうかと提案し、

          自分は部屋で調べ物があるから

    それまで、勉強していると言って、部屋に戻ってしまった・・・

     一見、聞きわけの良い、寛容な態度と言葉を見せた・・・

    実は、スンミは、カノンとビョンチョルの忌憚ない会話を

         逐一、盗聴し、知りたかったのだ・・・

     きっと私の事を悪くビョンチョルは言うだろう・・・

        その事を聞いて、カノンはどう答えるかも

          聞いてみたかったのだった・・・・

    時折、カノンは、自分に馬鹿丁寧な敬語を使う・・・

        凄く余所他所しい感じを受けるのだった・・・

  自分が、二人と一緒だったら、きっと自分に遠慮して、

        会話も考えながらするだろうし・・・・

        だから盗聴ならば・・・何でも聞けるし・・・・

  盗聴は、本当に面白いわ・・・・人の本心も分かるしね・・・

          それにカノンは私の楽しい玩具だもの・・・

    一方、カノンは何の疑いもなく、有難うと言って、

         ビョンチョルを部屋に案内した。

 ビョンチョルは、カノンに、あてがわれた部屋を見て、

        その広さや豪華さにビックリした・・・

ビョンチョル:「・・・凄いね?何だか、フランスの

         ベルサイユ宮殿に来たみたいだ・・・

        正に、カノンちゃんはお姫様みたいだね?・・・

             ハハハ」と言って、

         テーブルに飾られている調度品や、

           壁の絵画を見ながら言った・・・・

 カノン:「えへへ・・・そう思う?私も・・・そう思います・・・

            凄く恵まれた豪華な部屋で、

              何か、勿体ない感じがします・・・

    スンミちゃんは優しいし、お兄ちゃんのソンジェさんも

                 優しくて、大好きです・・・

       それにSEへENに顔が似ていて格好良いし・・・

   スンミちゃんは、至れり尽くせりな事をいつもしてくれて

          、、、、例えば、お洋服にしろ、

          靴やカバンを沢山プレゼントしてくれたり、

          この机にあるPCや韓国用の携帯や、

          部屋の電話も取り付けてくれたんです。

         お金を沢山、私の為に使わせちゃって・・・

                本当に申し訳ないと思いました。」

      ビョンチョルは、へぇ、そうなんだと思いながら、

      スンミが揃えてくれた電話やPCに手を触れた・・・

          その時、カノンの胸元のペンダントが、

     電気スタンドの明りに反射して、PCを照らした・・・

       ビョンチョルは、心の中で「ん?」と思った。



     そして、見る見る顔色が青くなって言った。。。。

      「ビョンチョルお兄ちゃん・・・どうしたの?」と

        カノンは言ったので、ビョンチョルは努めて

           明るく「いや、今、明かりが眩しくて、

         目が痛くなっただけ・・・でもさ、凄い豪華な

部屋でビックリしたよ・・・ハハハ。あっ、、、カノンのママとパパは元気?」

カノン:「うん、凄く元気です。唯、ビョンチョルお兄さんが帰国した時は、

       物凄く泣いて、ママは病気になるくらい泣いてたよ。

       私が、韓国に研修になった時も、見送りの空港で、

      必ずビョンチョルお兄さんに会って、プレゼント渡してねって

        言われたの・・・えっとね、、ハイ、これ」と言って、

      大きな紙袋一杯に、日本製のプレゼントが詰め込まれていた。

         その中の1つにカノンからのプレゼントもあった。

          それはカノンお手製の「浴衣」だった。

「日本の夏の着物」と言って渡した。カノンは家庭科の天才だった事を思い出し、

        ビョンチョルは、「有難うカノンちゃん」と言って大喜びした。

 暫くは、たわいもない話をしながら、ビョンチョルは、怪しまれない様に、

               部屋の隅々を偵察した・・・・

         あそこと、あそこだ・・・ここにもあるぞ・・・・

            心の中で何度も、確かめていた・・・・・

                      すると          

               カノンは、お茶を飲みながら、

         ビョンチョルにペンダントの話をしようとした・・・

      ビョンチョルは、直ぐにその話だと察知し、この部屋では

   マズイと思い、「シッ」と静かにと言うような仕草をした。

      そして「カノンちゃん、ちょっと掌を見せて」と言った・・・

       カノンは、掌を差し出しながら「どうして?」と言った。

           ビョンチョルは、笑いながら

   「実は手相に今、こっていて、占って上げるよ」

      と言いながら、隠しカメラには見えないように、

      カノンに回り込み、カノンの掌に、文字を書いた。

   ※※  ビョンチョルからカノンへの伝言文字  ※※

       カノンちゃん、信じられないかもしれないが、

           この部屋は盗聴されている・・

   隠しカメラが僕の背中側の、テディベアの中に1つと、

       PCのアダプターに1つ付いている・・・・

           電話も皆、聞かれているよ・・・

   恐らく、スンミと言うあの女の子がやっている・・・

                   気をつけて・・・

  「え?」っと小さな声をカノンはあげた・・・

           更にビョンチョルは、走り書きで、

   いいかい?カノンちゃん、大切な話は、

     この部屋にあるものでしてはダメだよ・・・

           君の行動や、君の言葉は全部

              相手に知られているから・・・・

 まだまだ話したい事があるけれど、怪しまれるから・・・

       学校が終わったら、スンミの居ない・・・

     目の届かない所で、会って話そう?いいかい?

 この家で、信頼していいのは、ソンジェだけかもしれない。

            あいつは本当に良い奴だ・・・

 何かあったら、ソンジェに相談したり、逃げ込めば良いんだ・・・

              分かったかい?・・・・・

      合図は、会話の前に「ウインク」をする・・・

                 いいかい?

      カノンは、事の重大さと怖さで、震えたが、

          ビョンチョルは、ウインクを1つして

       「大丈夫!お兄さんが、何とかするから・・・

           いいかい?この運命線はね、

           かなり太いし、真っ直ぐだから・・・

           強いんだ・・・だから大丈夫だよ。」

          と、聞こえるように、話しをした・・・・

 カノンは「大丈夫」「お兄さんが何とかする」と言った

     言葉を信じようと思った。

    

  ショックだったのは、盗聴されていた事だった・・・

                何のために?どうして?

       スンミちゃんを信じてたし・・・

               大好きなのに・・・

              悲しくなって泣きそうになったが

        悟られたらダメだと言う気持ちがあって、

                   努めて明るく振舞った・・・・

  スンミは、この光景を、楽しみながら見ていた・・・

  「手相か〜・・・私も占って貰おうかしら?

         テファと結婚と出るかしら?フフフ」

     スンミは、またもや高らかに笑った・・・・

 そうこうしていると、、ソンジェが、ビョンチョルに会いに来た・・・

 カノンは、ソンジェだけは、この家では大丈夫だと言っていたので

      ホッとした顔で、玄関に迎えに出た・・・

    やはりカノン達の行動が先読みされているのか?

             スンミが先に、出迎えていた。

      カノンは思い当たる節が幾つかある事を、

         ここでハッキリ分かったのだった・・・

       ソンジェ:「カノンちゃん、さっきは電話を有難う。

            おう、ビョンチョル、久しぶりだな。

   確か・・・お前はソウル大学に進んだんじゃなかったっけ?」

  ビョンチョル:「やあ、ソンジェ、お前も元気そうで何よりだな・・・

             偶然にも、再会が出来たのは、

          カノンちゃんのお陰だな・・・凄い縁と言うか

             引き合わせだな・・・・ハハハ。

                 会えて嬉しいよ。

     お察しの通り、今、ソウル大学電子工学部4年だ・・・

        この春に、政府の依頼で、日本に技術を学びに

                   短期研修してたんだ・・・」

        スンミ:「立ち話も何ですから、

             カノンちゃんのお部屋でお茶でも飲みながら

                  お話ししたら?」

  カノンは、心の中で、え?そうしたら、全部、会話を聴かれてしまう・・・

        そう思い、咄嗟に「リビングの方が、広くて便利だし、

                 皆で会話ができるから・・」と

  訳の分からない理由をつけて、シドロモドロになりながら、話した。

          ソンジェは、ケタケタと笑いながら、

               「ならば、僕の部屋はどう?

         カノンちゃんとの約束も果たしたいし・・・」と言った。

 ビョンチョルは「約束って・・・もしかしたら・・・SEへEN・・」と言おうとした時、

  ソンジェは「え?どうして、知ってるの?」と言って笑った。

   ビョンチョルは、ソンジェが、どんな顔をしてアイドルの曲を

             演奏するか見てみたかったので、

           ビョンチョルの部屋に行こうと行った・・・

 カノンは、ビョンチョルに、ソンジェの部屋も盗聴されているのでは?

            と言う不安な目をして見たが、

      ビョンチョルは、カノンにウィンクを1つして

     「おい、お前の部屋は相変わらず、完全防備で

           防音装置のあの部屋か?」と言った・・・

 ソンジェは「あぁ、そうだよ。スケルトンのグランドピアノは、

        世界中探したって、何台しかないもの・・・

          とても高価な楽器も沢山あるから、

              セキュリティは万全さ・・・

             僕しか入れない暗証番号だし・・・

                普段は堅く鍵がかかっているしね・・・

          1番安全な場所かもね?」と笑って言った・・・・

      そして、ビョンチョルは、カノンの肩をポンポンと叩き、

            安心しろと励ましてくれたのだった。

        カノンは元気を取り戻し、

    「ソンジェお兄ちゃん、本当にSEへENの曲を練習

           して来てくれたの?」とハシャイで言った・・・

    ソンジェは「勿論だよ・・・だって約束ってしただろう?」と

              笑って手を出して言った。

              見事な演奏だった・・・

ソンジェの手にかかれば、アイドルの曲だろうが、

                クラッシックやジャズだろうが・・・

  はたまた演歌だろうが、何でも名曲になってしまうのだった。

          自分流にアレンジもしてくれて、

              ピアノ演奏がより華やかに豪華になった。

    カノンは、ピョンピョン跳ねながら、曲の演奏を楽しんでいた。

      その姿がとても可愛いので、ソンジェも、ビョンチョルも、

                   愛おしさが増した・・・

      スンミは、今は大人しく見守るしかなかった・・・

             ソンジェの部屋は盗聴が出来ないし

                  厳重なセキュリティなので、

                手が出せなかったからだ・・・

 なので、3人の光景や、会話を静かに傍観するしかなかったのだ・・・・

         ソンジェも、ビョンチョルも帰る事になった・・・

   又の再会を語り合って、カノン達が玄関で見送ったのは、

        もう深夜12時を回りそうな時間だった。

         ビョンチョルは、自家用車で来ていたので、

     ソンジェをアパートまで送って行ってから帰るとした。

   車の中でビョンチョルは、ソンジェに話しかけた・・・

   ビョンチョル:「今日は、お前に会えてうれしかったよ。

     わざわざ、会いに来てくれてありがとうな・・・」

 ソンジェ:「いや、、俺もお前に会いたかったから、嬉しかったよ。。。」

ビョンチョル:「でもさ・・・ハハハ・・・お前がアイドル歌手の曲を弾くなんて

              前代未聞だ・・・」

ソンジェ:「・・・そうか?・・・何かカノンちゃんを見ていると、可愛いだよ・・・

     目をクルクルさせて、、、約束ねって言われると、分かった、

      分かったと言う気持ちになって、何でもして上げたくなるんだ・・・」

 ビョンチョル:「・・・分かるよ、俺もそうだから・・・可愛いよな・・・

                 素直だし、小さくて、、、

               ついつい顔がつられて笑顔になる・・・

                     カノンちゃんと居ると楽しくてな・・・」

ソンジェ:「あぁ・・・僕も同じだ・・・僕は、色々あって、久しく笑う事・・・

                            忘れてたんだ。

      だけど・・・カノンちゃんに会って、自然に笑えるようになって来たんだ・・・」

           ソンジェは、本当に楽しそうだったし、嬉しそうだった・・・・

ビョンチョル:「・・・ところで、ソンジェ・・・聴きたい事があるんだが?」っと言って、

            車を、近くの空き地に止めて、話しをした。

ビョンチョル:「お前の家・・・久しぶりに行ったけど・・・何か変だった・・・

        玄関に入った瞬間、違和感で溢れた・・・あのスンミと名乗る女は、

        ・・・・一体誰なんだ?」

             ギクリとしながらソンジェは、

  ソンジェ:「誰って?妹さ・・・父が再婚して、その連れ子さ・・・

                              ・・・・・だから妹さ・・・」

ビョンチョル:「嘘だ・・・お前の義理の妹の名前は・・

            ・・・確かヘジャ・・・ヘジャの筈だ

        カノンちゃんの様な小さくて可愛い女の子だった・・・違うか?

                更に、カノンちゃんの部屋は盗聴だらけだったぞ!」

                ソンジェ:「え?!・・・、盗聴?・・・」

 ビョンチョル:「盗聴カメラや、盗聴器が、沢山、取り付けられていた・・

               恐らく、カノンちゃんの行動や言葉は、

                   全て24時間、あのスンミって言う女が管理し、

                        筒抜けになっている・・・

                 あんな大きな家で、誰一人、味方もいない

                     閑散とした中で・・・

           カノンちゃんは、頑張って前向きに過ごしているんだぞ」

               怒りが、ビョンチョルに沸いて来た。。。。

    ソンジェ:「・・・そうか・・・ヘジャだけではなく、

            スンミはカノンちゃんに興味を持ち始めたのか・・・・」

        チッチチと爪を噛みながらソンジェは、何かを無心に考えていた。

        ソンジェ:「ビョンチョル、有難う・・・僕が何とかする・・・

                     だから心配するな・・・

                      話してくれて嬉しかったよ・・・有難うな」



ビョンチョル:「いいや・・・お礼を言うなら・・・カノンちゃんかな?

            彼女の純粋で優しいし・・・可愛いから、、、

           ついつい助けたりしたくなっちゃうんだよな・・・ハハハ

             それで1つ、頼みがあるんだが?力になって貰えるか?」

           ソンジェ:「あぁ・・・何でも言ってくれ・・・」

ビョンチョルは「実は・・・」と言って、カノンの日本での不思議な現象・・・

     フラッシュバックの話をした・・・

更に今日、再会した時、何かが分かったみたいな顔をカノンがしていた

が、盗聴されているので、話しが出来なかった事などを伝えた・・・

 俺も出来る限り、協力はするが、実は大学の研究が忙しく、海外出張も多いので、   

       時間が取れないかもしれない・・・

   だから、あの家に自由に出入りできるお前なら、丁度いいし・・・

      カノンちゃんを外に連れ出す事も出来るからだと言った・・・

        カノンに大丈夫だからと言う合図は

          ウィンクをする事にしていると伝えながら

           二人は、別れを告げた・・・・    

           ソンジェと別れ、一人、車をUターンさせ、

                  自宅に戻りながら、ビョンチョルは



                 李家には複雑な経緯や謎が

                           一杯だと感じ取った・・・

                特にあのスンミと言う女が、

                    侮れないし、怖い存在だと思った・・・

         外見もかなり醜く、化け物の様で気味が悪かった・・・

          それにしてもカノンちゃんは、あんな家でも楽しいと言い、

            醜いスンミに対しても警戒心もなく、

                 親しみを込めて仲良くしていた・・・

         寧ろ、盗聴されていると言う事を告げない方が

             良かったのかもしれないと、思ったが・・・・

               ビョンチョルは、あの家で

                   何かとてつもない事が

                 起こらないといいんだがと

                 不安な気持ちにかられた・・・・

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  次の日、朝食を早々に済ませ、

     カノンは、ひろみと綾との約束の明洞にある

        ロッテホテルに行こうと思い、準備を急いでした。



   案の定、食堂に行くと、スンミが、朝食をとっていた・・・

     お休みだと言うのに、きちんと身支度をしていた・・・

       カノンはその姿を見て、恐らくスンミは、

    カノンの後をそっとつけて、それを見て楽しむ・・・

          ストーカーをするのだろうと思った・・・・

          考えると怖いし、ゾッとしたが、、、

 

         スンミには友達がいないから・・・

    きっと、カノンの行動と自分を重ね合わせて

            楽しんでいるのかもしれないし・・・

                可哀想だなっと思った・・・

     とにかく、マイペースで、過ごそう・・・

        あれこれ悩んでいても仕方ないし・・・

      今のところ、ストーカーや盗聴だけで、、、

          大きな被害もないからだ・・・

       カノンは、開き直るのが得意だった・・・

      それが妙なパワーになるのだった。

  その時・・・カノンに又、フラッシュバックが起こった・・・



    バタバタと子供たちが走る姿があった・・・

    つんとした薬の臭いと・・・白い壁・・・

         パジャマ姿の人達・・・・

    そう、ここは病院??病院だった・・・・

     カノンの行きつけの慶応附属病院だった・・・・

       カノンは、幼い頃から、病弱で、

      良くこの病院にお世話になった・・・

  更に母親は、この大学で薬剤師のアルバイトを

            時々していた。

   お医者さん達や、看護婦さんたちとも

      カノンは仲良しだった・・・

    そんな中で、頭に包帯を巻いていた

      5歳くらいの男の子が、

          カノンの頭をポンと叩き、

     「やい、カノン、おいら、来週、手術して、

         元気になって退院する」と

   クレヨンしんちゃん風の口調で、言って来た・・・

 カノンは「良かったね・・・ケンゴ君・・・本当に良かったね。」

            と言っていた。



   ところが、手術の前の日、ケンゴ君の容体が悪化し、

     手術も出来ずに息を息をひきとった・・・

     小児科の子供たちも・・・ケンゴ君の家族も、

      皆が泣いていた・・・ずっと泣いていた・・・

         カノンも悲しくて泣いていた・・・



    病院は生と死を身近に感じる場所でもあった・・・

   生きる事は大変だし、苦しい事だと知ったのは、

    自分が病気がちだった事もあった・・・

       更に死ぬことも怖いし・・不安だ・・・



  そして、カノンは、電話を誰かにかけていた・・・

   「オッパ・・・あのね・・・1つお願いがあるの・・・」

      靄がかかった男の人の陰があった・・・

 そしてその男の人は「何?カノン?僕はカノンに弱いから・・・

         カノンのお願いなら何でもOKさ・・・・

           だから・・・何でも言ってみて・・・・」

        「オッパは、バンドのボーカルでしょう?

       ボーカルに歌えない歌は無いって

                   言ったでしょう?」

  「あぁ・・・言ったよ。

   本当に歌えない歌は無いよ。何の歌が良いの?」

     「うん・・・あのね、元気に楽しくする歌・・・」



   「じゃあ、カノンの好きなSEへENの歌にしようか?

               ・・・今、歌ってみようか?・・・」

        「ううん、今じゃなくてね・・・・、

                病院で歌って欲しいの・・・

                     カノンの為でも無くて、

                子供たちの為に・・・」

     「・・・いいよ・・・分かったよ・・・・

          子供たちが喜べる楽しい歌が良いね?

                     じゃあ、練習しようね・・・」

 「え?オッパ、練習するの?ぶっつけ本番じゃないの?」

  「もちろん、練習するよ・・・ぶっつけ本番はしないよ・・・

       折角、来てくれた人達が楽しくなるように、

                  練習は必要だからね?」

      「えぇ・・・何か格好悪い・・・

             肝っ玉も小さいね?

       カノンなんてぶっつけ本番が大好きだもん。

         エヘヘ・・カノンの方が格好良いね?エヘヘ」

     「ハハハ・・・カノン・・・本当に面白いね・・・



           カノンは僕のコメディアンみたいだね」





今度は、ハッキリとした、、、長いフラッシュバックだった・・・・

          「オッパ」「バンドのボーカル」

      「カノンに弱い」「ぶっつけ本番は苦手」

           言葉をハッキリ聞いたのだった・・・・



   やっぱり、私には、「オッパ」と呼んでいた

     韓国人の男の人が居たんだと思った・・・

    ペンダントがキラキラと光っていた・・・・

 カノンは、平静を保ち、「スンミちゃん、おはようございます。

            今日は、お言葉に甘えさせて貰って、

           クラスメイトと夕方まで遊んできますね」

                       と言った。

 スンミは「どうぞ、どうぞ、楽しんで来て!」と言って笑った。

 朝食を取りながら、スンミは、何故かテンションが高かったが、

            次の言葉で、カノンは納得した。



  その歓迎会のパーティにパランファのテファが来ていると

  スンミは言われたのだ。

      テファのバンドが、何曲か歌を披露してくれる事も

             はしゃぎながら話していた・・・

  カノンは、話しを合わせて、良かったねと何度も言った・・・・

 車で、明洞のロッテホテルまで送ってくれる事になった・・・

  カノンは、ここで逆らったら行けないと本能で感じ取り、

         何でもハイハイと従った・・・・

スンミ:「じゃあ、カノンちゃん、17時には遅くとも家に戻ってね・・・

     着替えて、ユリの家のパーティに行くので・・・」

  カノン:「ハイ、、じゃあ17時に!」

 スンミ;「あっ、カノンちゃん、もし帰り方が分からなければ、

           車で迎えによこすから・・・」

 カノン:「有難うございます・・・じゃあ、またね・・・」

   カノンはスンミと少しでも離れてホットした。

スンミから貸してもらった物・・・例えば携帯にしろI POTにしろ、

   今日は全て、持って来なかったし、、

        洋服も自分の洋服だった。



きっと、スンミは、カノンの1日の行動を見張っているだろうし・・・

一緒に観光をしている気分になっているだろうと思ったからだ・・・

     カノンには施策があったのだった・・・

   ロッテホテルのグランドピアノの場所で、

       カノンは二人を待っていた。

 二人は、直ぐに約束時間の5分前にはやって来て、

 じゃあ「早速、ソウルタワ―に行ってみようよ」とカノンは、

   スンミに聞こえるように二人に張り切って話した。

      二人は、変なカノン?と思いながら、、

         ソウルタワ―に行く事にした。

     そしてやはりスンミに聞こえるように、

       ロープウエイで行ってみようか?と

                言った・・・・

  スンミは、それを聞いて、慌てて車に乗り込んで、

    「急いで、ソウルタワ―へ」と命令して車を走らせた。

 なぜならば、ロープウエイは僅かな時間で頂上に到着してしまい、

      カノン達を見失ってしまうからだった・・・・

    「これからの時間だと40分出発の物だわ・・・

             頂上まで8分・・・

  そこから階段があるから・・・10分として11時前には

            頂上に到着しないと!

    キム、キム、早く走らせなさいよ!!」

         とスンミは強い口調で命令した・・・・

  カノンは二人をロープウエイ乗り場に行くふりをして、

 スンミの車が猛スピードで、

      ソウルタワーに向かって行くのを見届けた・・・

 そして、二人の足を止めさせて二人に手紙を渡した。

 「シィ〜」っと声を立てないで読んでと

         言うジェスチャーをしながら見せた。

       用心には用心をと、心がけた・・・・

        ※※カノンの手紙※※

  実は、私は、スンミさんに、ストーカーされてます・・・

          今も見張られてます。

    今日は、盗聴器とかがないとは思うけれど・・・

  凄く心配なので、、、大切な話は筆談でも良いかな?

                 御免ね?

       さっき、スンミさんに聞こえるように、

         ソウルタワ―に行くと言ったから、

    彼女はソウルタワーに向かっていると思う・・・

   だから、今日はソウルタワーは外して別の場所に

               行かない?

  例えば、修学旅行でお世話になった田さんに会いに

                行かない?

      ひろみも綾も同じクラスだったから、

      田さんにガイドして貰ったんだよね?どう?

       ※※             ※※

   二人は、その手紙を読んでOKとした。

 明洞のロッテホテルに戻って、地下へ降りてJTEの

ソウル支店に顔を出した。

    するとオムさんらしき女性が居た・・・

     カノンは「オムさん」と呼んでみた。

  すると「ハアイ!」とニコヤカに振り返りながら

          返事が返って来た・・・

             オムさんだった。。。。

  オムさんはカノンの事を覚えていた様子で

   「あら、お久しぶり・・・カノンちゃんでしたね?

 交通事故に遭って大変だったけれど?今は大丈夫?・・・」

         矢継ぎ早に質問された。

 再会をお互いに喜んでお土産をオムさんに渡しながら、、、

       カノンは本題に入った・・・

 「あの、今から5年くらい前、高校の修学旅行で、

   JTEの田鳳徳さんと言うおじいさんのガイドさんが

         お世話して下さったのですが・・・

         その田さんに会いたいんですが?

           オムさん、知ってますか?」

 オム:「おやおや、今回は、田さんに会いに来たんですね?

        勿論、田さんの事は知ってますよ・・・

  私の大先輩です・・・日本語もお上手だし、優しくて親切で、

          人気NO1ガイドさんでしたよ・・・・

     今は、お年なのでガイドを辞めて、

           家でノンビリ過ごしている筈ですよ・・・・」

    

    カノン:「自宅って、88の・・・」

 オム:「ええ、オリンピック競技場の前の高層アパートメントよ・・・

                   知っているのですか?」



 ひろみ:「ハイ・・そこの3棟の803号室に住んでいますか?」

      オム:「その通り!良く知っているわね?」

  綾:「だって、田さん、何度も何度も言ってたから・・・

              必ず又いらっしゃいって!」

 ひろみ:「私達、もし田さんに又会うなら、ちゃんと韓国や、

      韓国語の事を勉強して会いたいと思ってました。

       今は、少しですが、韓国語、、、出来ます。

             大学で韓国語学部なんです。」

 綾:「大学の語学堂で韓国語の語学研修をしているんです。」

カノン:「まだ、韓国に来て1週間も経たないのですが、早速、

         田さんに会いたいと思いました・・・よかった!!

      それに私はオムさんにも会いたかったです。エヘヘ」



 オム:「韓国と日本の未来は明るいわね?更に頼もしいわ・・・

        貴女達がいる限り・・・今、そう思ったわ・・・

   気をつけて行ってらっしゃい。88へは地下鉄でチャムシル・・・

 そうロッテワールドまで行ってしまって、そこからバスに乗ると

   早いですよ。バスの乗り方は、ロッテワールドホテルの

   受付の人に聞いてみれば良く教えて貰えるわよ。

   そうだわ!私も田さんに連絡とっておいて上げるわ。

         可愛い来訪者が3人で行くって・・・フフフ」

 三人はオムにお礼を言って、早速、88オリンピック競技場へと

         向かおうとした・・・

    その時、フトカノンは、オムに

     「あの、オムさん、今回は田さんに

          会いに来たっておっしゃってましたが、

        私は、春に誰かに会いに来たんでしょうか?」

                          と聞いた。

   オムは、じっと眼を閉じて思い出そうとした・・・

            「よく覚えてないんだけれど・・・

              確かホンデと言う大学の事を

                しきりに気にしていたし、

                  聞いていたわ。

 ドラマが好きだとか・・・その舞台になっているからとか・・・」



               「え?ホンデ?」

           カノンの心はトクンと鳴った・・・・

           何度も何度も出て来るホンデ・・・

         更に渡韓前に、ビョンチョルが言ってた

               ホンデが鍵かも?

 もしかしたら、ホンデにその男の人がいるのかもしれないと

               フト思った・・・

         身近に、、、いるのかもしれない・・・        

       かすかな期待がカノンの心を躍らせた・・・・

 ぐずぐずしていたら、スンミが引き返して来るかもしれないから、

           急ごうよとひろみが合図した・・・

     ハットして、そうだ!急ごう!!!そう思って

   オムに再度、お礼を言って、三人は地下鉄2号線に乗り、

           チャムシルへと向かった・・・・



 チャムシルに着いた時・・・またカノンにフラッシュバックが起こった。



    「カノン・・・僕の家はチャムシルと言う所にあるんだよ・・・」

       チャムシル?あ!ロッテワールドがある所?

              修学旅行で行ったよ〜

 「ウン、良く知ってるね?大都会で、凄く綺麗な所だったろう?」

              え?大都会?・・・そうだったっけ?

    何か、千葉の浦安とか、東京の多摩の永山みたいな

                所に思えたけど??

  「えぇ!!、、、違うよ、、、凄く都会だよ・・・ハハハ

       姉さんが、チャムシルに住んでいるから、

        もし、カノンが姉さんに会いたければ、

   チャムシルのロッテワールドで待ち合わせをして、

  一緒にロッテワールドで遊んで貰えばいいよ・・・

   僕は、ロッテワールドでアルバイトをしていたから、

      全部の乗り物に何回も乗ったし・・・

       天国の階段の壁画も毎日、見て・・・

           飽きちゃったよ・・・

       今はもう壁画もないけれど・・・

カノンは、何かロッテワールドのキャラクターに似ているね?」

   え?そしたら、ローリィちゃんに似ているの?

              「うん」

   でも、・・・・狸じゃん!!私は狸なの??

          「うん・・・ハハハ」

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        「オッパ・・・オッパ・・・」

   カノンは、何度もオッパと呼んでいた。

  

 それでも、そのオッパと言う男の人が誰なのかも

     まだ分かっていなかった。



        「カノン、下りるよ」

   そう綾に言われて、ハッとして下りた。

 オムさんに言われた通りに、ロッテワールドホテルの

受付の人に、「88オリンピック競技場まで

どうやって行けばいいですか?

          バスは何番に乗れば良いですか?」

  と、聞いている時、何やら懐かしい声が聞こえて来た・・・・



          「お嬢さん・・・お嬢さん・・・」

     三人は振り返って、その声の方向を見た・・・



          「田さんだ!!」

 三人は顔を見合わせて、「田さん!!」と言って、駆け寄った。

  田:「可愛いお嬢さん方・・・ようこそ韓国=ソウルへ」

         田さんは両手を広げて喜んでくれた。

   JTEのオムさんから電話を貰い、居てもたってもいられず、

   ロッテワールドホテルまで迎えに来ていたと

               話してくれたのだった・・・・

  あれから、何人かの修学旅行を世話した生徒たちが、

    一人・二人と尋ねて来てくれたと語ってくれた・・・・

 田さんは、タクシーを呼び、タクシーで

             田さんの自宅に案内してくれた。



 「チャムシル 88オリンピック競技場前の

               高層アパート3棟の803号室」

     私達三人は呪文のように声を揃えて言うと、

         田さんは、目を細めて笑った・・・

     田;「わぁ、皆さんは、頭がいいですねぇ・・・

          教えた私も頭がいいですねぇ・・・ハハハ」

            更に皆で、一斉に笑った・・・・ 

   田さんは、今は、老夫婦二人で住んでいると聞いたが、

          高級アパートで、凄く綺麗で広かった・・・

            奥さんも日本語が少しできて、

     かいがいしくお茶やジュース、ケーキやお菓子を

              どんどん出してくれた・・・

          時間がお昼になっていたので、

           食べて行きなさいと言われ、

        ジャージャー麺の出前を取ってくれたり、

  キンパブやトッポギなど、韓国料理がずらりと並んだ。。。

    料理の得意なカノンは、率先して手伝った・・・・

     楽しく・美味しく語らっての昼食会となった。

 三人は、修学旅行以来、韓国が大好きになり、

大学の韓国語学部に進んだ事や、少しだが、

韓国語が出来る事などを話し、今は、ホンデの語学堂で、

サマーセミナーを受けていると伝えた。



  ひろみは西方神起の大ファンで、出来たら、

コンサートを韓国で見てみたいと田さんに言うと、

田さんは「あぁ、西方神起だね?

   韓国でも物凄い人気ですよ・・・

           特に若い子が好きですね・・・・

   8月に88で、コンサートがありますよ、、、

   ヨボ(=妻よ)・・・確か・・・

あれがあるんじゃないかな?・・・」っと言って、

               奥さんに話しかけた・・・・

  田さんの奥さんはハイハイっと言って

  立ちあがり、寝室から、

      手紙の様な物を持って来てくれた・・・・

田:「ひろみさん、良かったら、行きなさい」と言って

         チケットを2枚くれたのだった・・・

ひろみはビックリして「え?え?どうして?

            凄い!プレミアムチケット!!

      ファンクラブでも取れないし・・・・

       電話でもネットでも僅か5分で

  売り切れたって・・・・だから諦めてたのに・・・・

  田さん、いいんですか?」 

田さん:「いいですとも・・・私たちはおじいさんだから、

       少しも興味が無いですよ・・・

   たまたま88の近くに住むアパートメントの

   住人さん達にって事で、ここのスーパーマーケットで、

   コンサートチケットが当たるくじ引きがありましたよ。

  そしたら、当たってしまい、孫が行きたいと言ったら

       上げようか?とも思ったのですが、、、

孫たちは、勉強合宿が学習塾であって、行けないわよと

母親である娘に言われてしまい・・・だから・・・

ひろみさんに上げた方が、良いかなと思いましたよ・・・・」

 ひろみは「凄く嬉しいです」と、涙を溜めて言った・・・・

  そして「あっ、チケット代金、、、」と言うと

田さんは「元々、当たったものだし、ちゃんとコンサートに

      行って楽しんでくれたら・・・・

       それで良いですよ・・・」と笑って言った・・・・

    楽しい時間はあっと言う間に過ぎていった・・・・・

 別れの時、やはり高校時代の修学旅行の別れとダブって、

           三人は泣いた・・・

 「またいらっしゃい・・・今日は会いに来てくれて、

                    本当に嬉しかったよ。

       有難う・・・出会えた事に有難う・・・

          会いに来てくれて有難う・・・

       この縁に有難う・・・どんな事でも有難う・・・

       そう思ったら、世界は平和で美しくなる

                と思うよ・・・

            私の好きな日本語が、

        この「ありがとう」と言う言葉だから・・・

   だから、私は、沢山、この言葉を皆に言いたい・・・

            本当に有難う・・・」

     田さんも目が涙で溢れていた・・・・

  カノンもひろみも綾も、「カムサハムニダ」と何度も

          口に出して言っていた。

       カノンの好きな韓国語の言葉は

      「アンニョン」と「カムサハムニダ」だった。

  「アンニョン」と言っただけで、人懐っこい韓国人は

   笑顔になり「アンニョン」と返してくれるからだった。

    カムサハムニダは発音が美しいし、

           綺麗な韓国語だと思ったし、

      そう言う美しい言葉を発音していると、

      何だか心までも綺麗になってゆくようで

           好きな言葉だった・・・・・

 ロッテワールドホテルまでのバスが、

高層アパートから出ていたので、それに乗って、

先ずはチャムシル駅まで行くことにした。

バスの中で、、、フト、オムさんの言った言葉を思い出した・・・

   「今回は、田さんに会いに来ましたか?」の

        「今回は」と言う言葉だった・・・

     カノンが考えるに、きっと前回は、

         このペンダントの人に、

    自分は会いに来たのではないか?

             と思った・・・・

  そして、ホンデに、もしかしたらその男の人が

       いるのかもしれない・・・・



 フラッシュバックで起こる言葉を繋ぎ合わせてみよう・・・・

    ホンデ・チャムシル・ロッテワールド

         ・お姉さんがいる・・・・

  病院・・・ボーカル・・・歌えない歌は無い・・・・

      新宿都庁?・・・ソテジの歌・・・・・

      海・・・さざ波・・・・優しい声・・・・

      何かが分かりそうで・・・・

     それでいて靄がかかっていた・・・・・

 カノンは、ペンダントをギュウっと握りしめた・・・・

 このペンダントの半分を持つカノンは、その半分の

  ペンダントをする・・・ペンダントの持ち主の男の人が

 身近にいそうで・・・・そんな気がしてならなかった・・・



  ロッテワールドホテル前に、バスは到着し、

 三人は、チャムシル駅へと地下に下りようとした時、

    プップーと言うクラクションが鳴った・・・




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