すき、きらい、すき。
それはまるで花占いのように。 繰り返される言葉の呪文。
すき、きらい、すき。
自分に確かめるように。こころのわずかな震えをとらえて。
すき。
そのひとことで口をつぐむ。
すき、すき、すき。
なんども唱えてみて。 揺れるこころと、どうしようもない言葉。
手のひらでこぼれる言葉をすくって、そっと封をする。 わずかな隙間も残さずに。この一瞬だけの出来事にするために。
すき、きらい、すき。
花占いをするまでもなかった。
すき、すき、すき。
それはわたしだけが知っている、ひそやかな歌。
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