20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:恋わずらい 作者:ひな

第2回   恋歌

すき、きらい、すき。

それはまるで花占いのように。
繰り返される言葉の呪文。

すき、きらい、すき。

自分に確かめるように。こころのわずかな震えをとらえて。

すき。

そのひとことで口をつぐむ。

すき、すき、すき。

なんども唱えてみて。
揺れるこころと、どうしようもない言葉。

手のひらでこぼれる言葉をすくって、そっと封をする。
わずかな隙間も残さずに。この一瞬だけの出来事にするために。

すき、きらい、すき。

花占いをするまでもなかった。

すき、すき、すき。

それはわたしだけが知っている、ひそやかな歌。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 1053