て、つなぐ?
その一瞬。 夜風の冷たさも、お酒でくらくらする視界のことも、すべて忘れた。
その一言がどんなにわたしを苦しくさせるのか、 あなたはきっと知らない。
そのときのあなたがどんなにきれいだったか、 あなたはしらない。
触れた手の熱が、どんなに甘いか、 あなたは知らない。
つないだ手から思いがあふれでて、 あなたに知られてしまうのではないかというほどに。
狂おしく、身が切れるような思い。
軽く手をひかれて歩き出した先に、あなたがいる。 それだけで心が震えて、手に力が入らない。
いつもは近づかせてくれないあなたに、触れていることが信じられなくて。 確かめるように、そっとまばたきをした。
目の前でゆらゆらと、あなたの髪がゆれていて。
みえない顔。 よめない心。
でも。 きっと考えていることは同じで。
ほんの少しだけ、寂しかったのだろう。
だから、紅く色付いた頬も、手にともった思いの熱も。 すべてをお酒のせいにして。
ほら、きょうは月がきれいだから。
いっしょにあるこう。
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