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作品名:その手のぬくもりを 作者:御影 玉

最終回   永久
しばらく沈黙があり・・・
   

薫     『すいません、長々とついつい話すぎました。
       だから、私あなたと共に歩けません。
       本当にこんな私にありがとうございます。
       本当にありがとうございます。』

恵太    涙があふれて止まらない

薫     『・・・私そろそろいきますね。
       恵課長さん、楽しい一時を本当にありがとうございました
       恵課長さんならきっと、すぐ課長さんになれますよ。
       だって私にはずっと課長さんでしたよ、そしてこれからも』

恵太    『・・・・』

薫     『では、お元気で・・・・』

恵太    涙で引き止めることができない
      
      そんな時薫が躓きかける
      薫も震えていたから。ドキドキしていた。
      こんな自分を好いてくれる人がいたこと、
      それより何より、恵太と別れて以来誰にも話してこなかった
      過去を人に話した事、そして自分自身でも今の気持ちを
      言葉に出すことで、自分の隠していた思いが溢れて止まらなかった
      いるはずのない恵太に会いたくなった
      封印してきた思いが溢れて薫の気持ちを足をはやらせたのだった
      
      そんな薫を恵太が受け止める

薫     『・・・・あり』

恵太    『・・・気をつけてくださいね。薫さんらしくもない』
      
薫     『・・・・めぐみ課長・・・(小声で)』

恵太    『・・・?薫さん?』

薫     『めぐみ・・・・恵ちゃん?』

恵太    『・・・・か、お、る?どうして?』

薫     『けいちゃんっ・・・』
      
      我慢していた涙があふれて止まらない

      手で恵太を触る、始めはその手から
      そして、恵太の顔を確かめるように触る
      
      手を覚えていた
      感覚が覚えていた 
      手のぬくもりを、大きな手を、力強い感覚を
      恵ちゃんの感覚を 目は見えなくても体が感覚が覚えていた
      恵ちゃん、声がかれていたからわからなかったよ
      シャンプーも昔と変えたんだね
      わからなかったよ
      けいちゃんけいちゃん、本当に恵ちゃん
      夢じゃないんだ

薫     『恵ちゃんだったの?
       恵ちゃんだったの?
       ずっと恵ちゃんだったの・・・』

恵太    『かおる、そうだよ』

薫     『恵ちゃん・・・傍にいたんだね』

恵太    『かおる』

薫     『恵ちゃん、恵ちゃん、
       ・・・・ごめんなさい。
       恵ちゃんごめんなさい。恵ちゃん・・・・・
      (声にならない)』

恵太    『かおる・・・
       薫の気持ち初めてちゃんと言ってくれたね。
       ごめんね薫。寂しかったね薫
       僕のせいだったんだね、ごめんね薫、
       薫の手を離してごめんね 本当に一人寂しかったね
       よく頑張ったね薫 本当によく頑張ったね』
       (恵太の癖の髪をくしゃくしゃする)

薫      『恵ちゃんだね。本当に恵ちゃん』


       
       静かに時が流れ、二人手をつないだまま歩いていく



恵太     『薫、ただいま』


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