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作品名:その手のぬくもりを 作者:御影 玉

第5回   告白
恵太   『薫さん。今日はお話があります』



薫    『なんですか?あらたまって』



恵太   『薫さん、僕が今まであなたに話してきた事は、
      実は…過去の僕の栄光物語にすぎませんでした。
      僕は、会社に命を捧げるくらい、がむしゃらに
      働いてきましたが、リストラをされました。
      そして、人生に悲観している時に、あなたに会ったのです』



薫     黙って聞いている




恵太   『あなたに会って、話するようになり、
      自分の過去を今のように語って、
      最低な男と思われるかもしれません。
      でも、あなたに話している時だけ、
      僕は昔の自分に戻れて、すごく幸せでした。
      そして、話をするうちに、もう一度
      頑張ってみたいという気持ちが湧いてきました。
      恥ずかしながら、前の会社には全然及びませんが、
      小さな出版会社の営業をする事がきまりました。
      僕がもう一度人生のどん底から這いあがれたのも、
      あなたのおかげです。
      僕と一緒に、…人生を歩いてみませんか?
      僕に君の目の代わりをさせて下さい』





薫     とまどいながら『恵課長さん?』





恵太    『すみません、嘘をついていて…
       しかもいきなり…
       付き合ってもらいたいつもりが
       プロポーズのようになってしまい・・・
       でも、僕の嘘偽りない本当の気持ちです。』





      そういって、薫の言葉を待つ







      静かに静かに時が流れる





     告白を告げてドキドキなはずなのに、
     恵太はなぜか穏やかな気持ちだった



     じっと薫が耳を傾けてくれていたことに、
     何故か居心地の良さを感じてさえいた



     そして、言葉を口にして、前より
     もっともっと薫を好きになった



     薫を心から支えたい
     そして傍で支えて欲しいと強く思うようになった










薫    『・・・恵課長さん、
      お気持ちは本当に嬉しいです。
      本当にこんな盲目の私が、
      誰かに思いを寄せられるなんて
      こんな奇跡ないでしょうね。
      あなたが、本気でそうおっしゃってくれているのも
      あなたが優しくて、仕事熱心な方なのも
      あなたと、ここでお話をさせて頂き
      痛いほどわかっております。
      そして…
      きっとあなたとなら
      楽しい毎日が待っていることも・・・』



恵太   『絶対楽しいですよ』








薫    『・・・でも、
      私はあなたと共に人生を歩むわけにはいきません』


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