恵太 『薫さん。今日はお話があります』
薫 『なんですか?あらたまって』
恵太 『薫さん、僕が今まであなたに話してきた事は、 実は…過去の僕の栄光物語にすぎませんでした。 僕は、会社に命を捧げるくらい、がむしゃらに 働いてきましたが、リストラをされました。 そして、人生に悲観している時に、あなたに会ったのです』
薫 黙って聞いている
恵太 『あなたに会って、話するようになり、 自分の過去を今のように語って、 最低な男と思われるかもしれません。 でも、あなたに話している時だけ、 僕は昔の自分に戻れて、すごく幸せでした。 そして、話をするうちに、もう一度 頑張ってみたいという気持ちが湧いてきました。 恥ずかしながら、前の会社には全然及びませんが、 小さな出版会社の営業をする事がきまりました。 僕がもう一度人生のどん底から這いあがれたのも、 あなたのおかげです。 僕と一緒に、…人生を歩いてみませんか? 僕に君の目の代わりをさせて下さい』
薫 とまどいながら『恵課長さん?』
恵太 『すみません、嘘をついていて… しかもいきなり… 付き合ってもらいたいつもりが プロポーズのようになってしまい・・・ でも、僕の嘘偽りない本当の気持ちです。』
そういって、薫の言葉を待つ
静かに静かに時が流れる
告白を告げてドキドキなはずなのに、 恵太はなぜか穏やかな気持ちだった
じっと薫が耳を傾けてくれていたことに、 何故か居心地の良さを感じてさえいた
そして、言葉を口にして、前より もっともっと薫を好きになった
薫を心から支えたい そして傍で支えて欲しいと強く思うようになった
薫 『・・・恵課長さん、 お気持ちは本当に嬉しいです。 本当にこんな盲目の私が、 誰かに思いを寄せられるなんて こんな奇跡ないでしょうね。 あなたが、本気でそうおっしゃってくれているのも あなたが優しくて、仕事熱心な方なのも あなたと、ここでお話をさせて頂き 痛いほどわかっております。 そして… きっとあなたとなら 楽しい毎日が待っていることも・・・』
恵太 『絶対楽しいですよ』
薫 『・・・でも、 私はあなたと共に人生を歩むわけにはいきません』
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