プルルルルル。 携帯の音がして春が電話に出た。 「はいもしもし、ああ分かった、今からそっち戻るから、うんよろしく。」
「母さんたちから?」
「そうだけど、栗谷さんは一人で帰れるか?」 春が心配そうに言った。
「ねえ、そのさん付けやめて、栗谷か楓って呼んで。」
「じゃあ栗谷、俺たち送っていけないから気をつけて帰れよ。」 そう言って、僕たちは、別行動をとった。
「匠は、今日楽しかったか?」 春は、僕のほうを向かづに聞いてきた。
「楽しかったけど・・・どうしてそんなこと聞くの?」
「いや別に、何となくだよ、何となく。」 春は、何でもない振りしてたみたいだけど、僕には、どうしても大丈夫には見えなかったんだ。
「そっかなら良いや。」 でも聞く勇気なんか僕には、なかったんだ。聞いたら、なにかが壊れてしまいそうで。
「遅いわよ!二人ともどこに行ってたの?」 母親がそれぞれの息子に聞いた。
「ちょっとそこまで・・・・かな〜。」 二人は、口をそろえて同じことを言った。
「まあいいわ、それよりお腹空いたし、早く行きましょうか。」
「そうね。」 二人は、楽しそうに見ていた映画の感想を言いながら目的地に向かった。
そこの予約を取った、洒落たレストランは、親しめそうな雰囲気を出しながらも、高級感を漂わせたレストランだった。
「なんか、もっとしっかりした服で来たほうがよかったかな。」 僕は、どうしようもない事に後悔をした。
「いいじゃん別に、どんな格好でも飯の味は変わらないぜ。」 春はそう言って、バイキング式のレストランから、好きなものを欲しいだけとりまくっていた。
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