僕は、久しぶりに春と出かけられるのが楽しみでしかたなくって、あわてながら、支度を済ませた。
「母さん僕先行ってるから。」 そう言って、春の家の前まで行った。
「よう、さっきぶりだな!」 春は僕のことを見つけると嬉しそうに笑いかけてきた。
「これからどこ行くのか春は知ってる?」 僕は、春が僕を見つけて、嬉しそうに笑う顔が大好きだった。なぜなら、僕のことを大切に思っていてくれている気がするから。
「母親たちは、デパートで映画見るみたいだけど、俺たちには詰まんないから、匠君と時間つぶしてろって俺の親は言ってたよ。」
「そうなんだ、これが女子と男子だったらデートだな。」 僕は、何となくそんなことを思いついて口に出してみた、きっと乗ってくれると思ったから。
「デートって、時間を待ち合わせて一緒に行動するんなら男同志でもいうみたいだぜ?」 春が、一瞬真面目な顔をした後、冗談だとでもいうみたいに笑いかけた。
すると、僕の母親がちょうど車に乗ってやってきた。
「さあ、二人とも乗って。春君のお母さんはまだかしら?」 母さんは、桜井家の玄関を眺めながら言った。
「もうすぐ来ると思いますよ。」 春が、そことなくつぶやいた。
「お待たせ〜。ごめんなさいね、鍵が見つからなくて。」 春の母さんが、謝りながら車の助手席に座った。
車の中では、僕は春と楽しく話し、親は親同士楽しそうに話をしていた。 僕は、春が帰った後の図書室で会ったことを少し話した。
「それでさ、楓さんは春のことばかり聞いてくるんだよ。たぶん春のこと好きなんじゃないかな?」 僕は、少し春に嫉妬していたのかもしれない。
「ふーん、でも俺は、あんま興味ないからいいや。」 春は、楓のことについてまったくと言っていいほど興味を示さなかった。
「そうなの?でも楓さんは凄くきれいだと思うよ!肌白いし、顔は整ってるし、優しいし。」 楓の興味持ってもらってるのに、春が興味を持たないことに僕は、イラついてたのかもしれない。
「・・・そっか、匠はああいうのが良いのか?」 茶化しているような顔で春が、問いかけてきた。たぶん、嘘でも否定してほしかったのだろう。
「そんなことどうでも良いよ。僕思ったんだけど、どうして春って女の子に興味持たないの?中学の時もそうだったよね。」
「そんなことないって、現に匠の前であの子かわいいとかいったじゃん。」
「でも、告白されたの全部断ってたじゃん。」
「俺は、俺よりブスとは付き合わない主義なの!」 ニターと笑いながら、僕の顔を見た。
その後も色々な話をした、でも楽しい時間はあっという間に過ぎていきもうデパートに着いた。
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