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作品名:長嶋探偵 作者:bk201

第5回   5
私たちは、あれから事務所に戻った。
すると、探偵はずっとパソコンと向かいあったりたくさんの新聞記事や資料などとにらめっこしている。
「あのー、もうあれから二時間ぐらいたってますけど、一体何してるんですか?」
探偵は、私の方も見ずに文句を言った。
「うるさい気が散る、何してるかは見ればわかるだろ。もう用がすんだら帰れ。」
「あーそうですか!判りました帰りますよーだ。」
そう言って、私が帰ろうとすると探偵が引き留めた。
「待て。」
(お、珍しく謝る気になったか?)
私は、帰ろうとする足を止めて、謝罪の言葉を待った。
「ん、なに謝る気にでもなった?」
「違う、君の鞄が此処に残ってるから、引き留めただけだ。君の鞄も君同様邪魔だからな。」
「忘れ物をわざわざ教えてくれてありがとうございます。」
私は、文句を言いながら扉から出って行った。


「何よ、車に乗ってた時は、昔のこととか教えてくれて優しいなぁとか思ってたのに。なんか異様にムカついてきた。」
私は、電車の切符を買いながら文句をぶつぶつ言っていた。
でもしばらくすると、また何も探偵に何も教えてもらってないことを思い出した。
「そう言えば、また何も教えてもらってないなー。もしかしてこれから、人見さん来るのかなだったら私だけ、はぶられてるみたいでなんか嫌だな。」
私は、さっきまで怒っていたはずなのにいつのまにか落ち込んでいた。
「そうだ、ケータイに電話して聞いてみよっかな。何か判ったか。」
そう言って、携帯を取り出し教えてもらった、番号に電話した。

「何か用か?」
(第一声がそれか!)
私は、ムカつきを抑えていった。
「えーと、優貴さんのことで何か分かったかなと思ってさ。だって探偵さんは聞かないと教えてくれないでしょ。」
「さっきの状態を思い出せばわかるだろ。特にわかったことはない。それより、あのメールは何だ?喧嘩売ってるのか?もしそうなら教えといてやる、喧嘩を売るのは同じレベルの奴にするもので、格上の相手にすることじゃない。わかったか。ッピ」
それだけ言うと、探偵は勝手に電話を切った。
「電話なんてしなければよかった。」
でも、何も分かってないなら、人見さんは来ないということが分かりなんとなく嬉しかった。
「私だけはぶられてないってことだよね。」


私は、家に帰ると、疲れていたせいかすぐに寝てしまった。


次の日は、高校は創立記念日で休みだったため学校は休みだった。
私は、機能探偵が調べていたことが気になったので昼食をとったらすぐに出かけた。
電車は、平日の昼間のせいか混んではいなく乗りやすかった。
十分ぐらいして目的の場所に到着すると、電車から降りて改札口に向かう。
そして、歩いて事務所まで向かうと部屋に電気が付いていないことが分かった。
「もしかしてまだ寝てるとか?」
そう思って、チャイムを押してみたがでてくる様子はない。
「仕方ない、電話してみるか。」
コール音が五回ぐらいなると探偵が電話に出た。

「何の用だ騒々しい。」
(だからなぜこいつの第一声はこんなにもムカつくんだっつの!)
「いや用っていうか今事務所に来たんだけど。」
「だからどうした?」
「どうしたじゃないよ!事務所に居るなら開けてくんないかな?」
私は、周りの目を気にしながら小さい声で叫んだ。
「それは、無理だな。」
「なんでよ、無理なら理由を家理由を!」
「今、前田の尾行をしているからだ。」
それだけ言うと、また勝手に電話を切った。
「尾行?前田?・・・・えってっあの政治家のこと?でも前田の住所って引っ越しして判らないんじゃあ・・アノヤロー昨日何も分かってないって言ってたじゃないか!騙しやがったな」
私は、もう一度電話をした。

「今度は何だ?」
「テメー昨日何も分かってないって言ったじゃんか!たばかったなテメー。てか今どこに居る今から私そっちに向かう、だから住所いえ。」


私は、探偵から無理やり住所をはかせてそこに向かっていた。
探偵が見つかるように、待ち合わせ場所も決めてそこにタクシーで向かっていた。
すると、探偵らしき人が見つかり、タクシーはそこを通り過ぎようとしたので慌ててタクシーを止めて降りた。
「探偵さん!」
「遅い、前田が見失ったらどうするつもりだ。」
探偵は、私を見るなり文句をぶつけた。
「仕方ないでしょ!道が混んでたんだから、それに、昨日のうちに電話で伝えてくれたらこんなことには何なかったでしょう。」
「そんなことはどうでもいい。置いてくぞ。」
私の文句など無視して、探偵は前田の後をつけた。

しばらく歩いて、人通りの少ないというよりも人一人いないような裏道に来てしまった。
「ねえ、何で政治家の前田がこんなところに一人で来るわけ?」
私は、前田に気づかれないように小さな声で話しかけた。
「前田が薬をやってたってことが本当だったんだよ。」
「そっか、こう言うところじゃないと政治家だしばれちゃうよね。でもさ、ゆきさんとどういう関係があるの?」
「実は、優貴の妹人見のほうの母親が薬を前田に売っていたことが原因だったんだ。」
「どういうこと?」
「人見と優貴は異母姉妹なのは知っているだろ。母親が違うから色々あったんだろうが結局、妹の優貴は姉の母親に引き取られ一緒に生活することになった。だが、此処で問題があったんだ実は、優貴が引き取られた後すぐに父親である式部和喜が死んでしまったため、女手一つで子供を二人も育てていくのは大変だった。」
「そっか、それで麻薬の販売をし始めたんだ。」
「あぁ、だが金のためにやっているんだ、他で買うよりも値段が高くなってしまい買い手がつかなくなってしまった。そこで前田が出てくる。前田は政治家になる前からも薬物に手を出していたんだ。まあ人見の母親がどうやってそのことを調べて前田に近づいたかは分からないが政治家で金のある前田なら、少しぐらい値段が高くてもばれるリスクの少ない方法で手に入れられるのが一番だからな。」
「ちょっと待って、何でリスクが少なくなるの?どこで買おうと同じじゃん。」
「はぁ、少しは頭を使え。じゃあ逆に聞くが麻薬がふつうはどういったところで売られてるか知ってるか?」
「よく聞くのは、夜池袋とか渋谷とか?」
「そんなところに政治家が行って買うのと、個人で売っているから場所の指定ができるうえ、金を多く出せば何でも言うこと聞くような一個人の人間から買い取るのとではどっちがばれにくいうえ便利かよく考えてみろ。」
「なるほど、式部さんのお母さんは育てていくためのお金がほしいんだから、お金を多く出してくれるなら、どんなことだって聞いてくれるもんね。」
「ああ、だがここで問題になってしまったのは、前田が麻薬に手を出しているという噂が広まってしまったことだ。しかも、その噂を流したのが実は優貴さんだ。多分好奇心か何かで母親の後をついって行ってみてしまったんじゃないか。政治家である前田と母親が麻薬の売買をしているところを。」
「その通りだよ。」
「え?」
私は、驚いて前を向いたらそこには、前田と式部(母)とたくさんの非合法的そうな人たちが、こっちを囲んでいた。
「探偵さん・・・これってまずくない?」
探偵は、何も言わずに黙っていた。


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