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作品名:長嶋探偵 作者:bk201

第4回   四章
私は今、探偵の車の中に居る。
理由は、式部さんの妹さんが勤めていた会社で色々聞くためだ。
車の中では、特にすることもないので前々から気になっていた疑問をぶつけてみることにした。
「ねえ、どうして探偵なんて言う仕事に就いたの?もっとほかに就けたんじゃない?」
「特に理由なんてないさ、だが、強いて言うなら背広にネクタイつけて上司の機嫌伺う様な仕事に就きたくなかっただけだ。」
「あっそうですか。」
私は、もっとちゃんとした動機がある気がしていたので、少しがっかりした。
「じゃあ、探偵さんて、好きな人とか、恋人とかっていたりするの?」
車は、信号が赤になったため、十字路の交差点で、停車した。
「・・特にはいないな。というより、人に告ったこともないし人に惚れたこともない。多分これからも・・・。」
「へーそうなんだ。」
「何か以外そうだな。」
信号が、赤から青に変わったため、車が動き出した。
「だって、探偵さん口と性格悪いけど、顔いいから何もしなくても、女の人とか寄ってきそうじゃん。」
「・・・あんまり誉められてる気がしないな。だが、尊敬する女の人ならいたがな。」
私は、思わず探偵のほうを見てしまった。
「それって、どんな人?綺麗で頭いい?」
「・・・ああ、しかも優しかったな、お前とは正反対だ。」
「何だと!私だって、一応優しいって言われてるもん。でも、会ってみたいな〜その人に。」
「・・・俺もそうしたいがそれは、どんなに願っても無理だな。」
少しさびしそうに、探偵がつぶやいた。
「・・・なんで?その人に振られたとか?」
「お前は、人の話を聞いていなかったのか?俺は、人に告ったことはない。それに、尊敬はしてたが、好きだったとは言ってない。」
「じゃあなんで、会えないの?」
「・・・何年も前に交通事故でな・・。」
「ごめん、なんか変なこと聞いちゃったね。」
「別にいいさ。」
それから無言が続いたが、私にはそれが耐えられずに、声をかけた。
「ねえ、本当はその人のこと好きだったんじゃないの?」
「・・だから、俺は人を好きになったことは。」
私は、話を遮って言った。
「だってさ、その人のことが今でも好きなら、探偵さんが告白されても断るしかないじゃん。それに、探偵さんが恋だって気付いてないだけかも知れないよ。」
探偵が、驚いた顔を一瞬だけ見せてから鼻で少し笑った。
「お前は、鋭いんだか、鈍いんだか判らないな。・・でももしかしたら、お前の言った通りかもな。」
それから、会社に着くまで私は、探偵に質問ばっかりして自分のことはあまり話せなかったけど、探偵のことがよく知れた気がしてうれしかった。


「で、此処が優貴さんが勤めてた会社なの?」
会社は、意外と大きくて、綺麗な感じだった。
「ああ、そうだ。」
そう言うと、私をおいて記者の中に入って行ってしまった。
「あっちょっと、置いてかないで。」
私も、探偵の後を追った。
中は、いくつかの部署に分かれていて、皆忙しそうに働いていた。
探偵は、此処の社員らしき人を捕まえて、何やら色々聞いているみたいだ。
すると、話が終わったらしく、私のに来いと手で合図した。
「ねえ、どこに行くの?」
私は、前を歩いていた探偵の隣に行って、質問した。
「編集室だ。」
それだけ言うと、探偵は編集室に急いだ。
編集室にも、急がしそうに働いている人で溢れかえっていて私たちは、編集室の隅にある、小さな休憩スペースで待つことにした。


五分ぐらいすると、小太りで眼鏡をかけた三十後半ぐらいの男が声をかけてきた。
「編集担当の林だけど、俺に聞きたいことがあるのって君?今忙しいから、なるべく早く済ませてくれるかな。」
上から目線の話し方をする、林が私は気に食わなかった。
「では、早速ですが、優貴さんはこの会社を辞める直前はどんな記事を書いていたんでしょうか?」
「どんな記事って言われてもね〜。結構前だからあんまり覚えてないけど、確か、前田とかいう政治家が薬やってるって噂が流れたとき証拠がなくて、でかい記事書けないから記事書くために、証拠探してきてって頼んだよ。」
「証拠ですか?じゃあ書いたのは別の人ですか?」
「いや、あの子女だけど以外に根性あるし、記事書くのもうまいから証拠つかんだら記事も書いていいことになってたんだよ。」
「なっていた。ということは書かなかったんですか?」
「確かにその記事売れると思ったから書きたかったんだけどさ、前田が所属してる、党の代表者がその党のイメージダウンにつながる記事は、証拠もないんだし書かないでくれっていって結構の金置いてったんだよ。」
「だから、優貴には撤収て言ったんだけど、言うこと聞かなくってね。それから、会社も来なくなって結局会社もクビになったわけ。」
「そうですか。では、優貴さんが今どこに居るかなんてこと判りますかね?」
「さあ、どこに居るかまでは、判らないけど、多分まだ前田のこと追ってるんじゃないかな?あの前田とかいう政治家結局薬やってるって言う証拠が見つからなくてまだ政治家やってるみたいだし。」
「そうですか。では、最後にその前田という政治家がどこに住んでいるのかわかりますか?」
「あ〜あの政治家の家、記者が張り込みすぎて生活できないって、どっかに引っ越したらっしいから今じゃわかんないよ。」
「そうですか、多忙の所わざわざ時間を裂いていただいてありがとうございました。」
「もう終わりなら、俺行くけど、皆忙しいと思うからさっさと帰ってね。」
そう言って、林は編集室から、でていった。
「何なの、あの男上から目線ですごくムカつく。」
「そう言うな、あいつのおかげで色々判ったんだ。」
「そうだけど・・・。」
「じゃあ、戻って前田の住所を調べるか。」
そう言って、私と探偵は車に戻り、事務所に向かった。


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