龍は、それからずっと瑞希のそばに居て話しをしていた。 「あっそうだ、図書室ってどこだかわかる?」 「図書室?二階の多目的の隣にあるけど、どうしたのいきなり?」 「いや、借りたい本あるか聞いたら、先生があるって言ってたから借りに行こうかなって思ってさ。」 「そうなんだ、私も一緒に行ってもいい?」 「瑞希も行きたいの?でもすぐ終わるし此処にいなよ。」 そう言って一人で行ってしまった。 「あっ、行っちゃった。」 すると、姫木が一人になるのを待ってたかのようにいきなり現れた。 「谷山さん、一つ聞いてもいいかしら?」 「なっなんですか?」 瑞希は、この大学に入ってから一回も口のきいたことがない姫木から声を掛けられて驚いた。 「谷山さんて、龍君と付き合ってるんですか?」 (いきなり、龍君ときたか。) 瑞希は、心の中でつぶやいた。 「いや、付き合ってはいませんけど、とも。」 「そうでは、これ以上龍君にあまり話しかけないでください、では。」 話しを遮られたうえ、話しかけないでと言われて、瑞希は腹が立った。 「あんた何さまよ、まったく。 「瑞希どうしたの?ご機嫌斜めじゃん。」 「あっ結衣きいてよ〜・・・・・ってわけ。」 「何それ、なんかむかつくねそれ。」 瑞希は、結衣に姫木のことを話した。 「そうでしょ。なんかもう龍は、私のです〜みたいな感じでさ。」 「・・・・瑞希、神祇君てさ、どこに居るか知ってる?。」 「どうしたの?結衣。」 「あれ、姫木さんと神祇君じゃないかなって思って。」 「それないって、だって、図書室に行ってはずだ・・か・・ら。」 「瑞希、あれ絶対そうだって、近づいてみようよ。」 結衣の後に続いて、ばれないように近づいて行った。 そして、二人の会話が聞こえてきた。 「私は、龍君がすきです、でも龍君は谷山さんが好きなんでしょ?」 「・・・・言わなくちゃいけないの?何の関係もない君に?」 「関係はあります、だって私は貴方が好きなんですから、好きな人のことを気にかけてはいけないんですか?」 「好きって・・・今日会ったばかりじゃないか」 「龍君は一目惚れしたことはないんですか?」 「・・・僕は、瑞希とは付き合ってないし君とも付き合う気はない。」 「それは、谷山さんとも付き合わないってことですか?」
「瑞希、これ聞いちゃまずいんじゃないの?」 結衣は、瑞希を気遣ってそう言った。 そう思っても、この会話は続いた。
「僕は、瑞希とは付き合わないよ・・。」 「どうしてよ!私、龍のことが会ったときから忘れられなくて、ずっと思い続けてきたんだよ。」 瑞希は、飛び出して涙目になりながら言った。 「なっ瑞希居たの?」 「龍の馬鹿。」 瑞希は、それだけ言うと走ってどこかに行った。
「神祇君と姫木さん、盗み聞きしてごめんなさい、でも、これだけ話言わせて、瑞希は神祇君のこと本当に好きで、会えるかもわからないのにずっと待ってたんだよ、なのにあんな言い方は、ひどいと思う。」 「・・・・。」 結衣は、何も言わない、龍を見てムカついたが、瑞希を放っておく訳にもいかないので、瑞希を追いかけた。
少し、走ると誰もいないところで一人泣いてる瑞希を見つけた。 「瑞希、ほらこんなところで泣いてない、都市いくつか考えろまったく。」 「だって、グス、龍君が、グス。」 「判ってるよ、確かに、瑞希はずっと待ってたのに、あんなこと言われたらきついけど、だからって、場所を考えなさい場所を。」 結衣は、しばらく瑞希が落ち着くまで話しを聞いてあげた。 「もう大丈夫かな?」 「うん、もう平気、ありがと結衣。」 すると、龍が目の前に居た。 「あの、瑞希と二人で話してもいいかな?」 「いいけど、瑞希の馬鹿以外で瑞希泣かせたら、ただじゃおかないからね〜。」 そういうと、笑って結衣はどこかに行った。 「瑞希僕は、瑞希が好きだよ。」 「嘘、だって、付き合わないって・・。」 「付き合わないって言ったけど、これから先のことは言ってないただいまは、付き合えないんだ。」 「どうしてよ〜。」 瑞希は、少し悲しそうな顔をしながら聞いた。 「僕さ、病気にかかってるんだ、だから君に会ったあの日も、山奥じゃ、みてももらえないから東京に来たんだ。それで調べていろいろ判ったんだけど僕は、普通の人より寿命が短いんだって、色々な器官があまり機能してないんだって、多分長生きで来て30ぐらいだって言われたんだ。」 「えっウソ、嘘だよね!だってもう20歳ぐらいで、あと十年しか・・。」 「落ちついて、この病気はすごく珍しいんだけど、外国じゃあ治った人もいるんだ、だから僕、外国に行って診てもらうことにしたんだよ。」 「ちょっと待って、いつ行くの?行く前に思い出作りたい。」 「うーん実は、もう行くことになってるんだ。」 「なっ早くいってよ、そういう大事なことは。」 「大丈夫、帰ってきたら、いっぱいおもいで作れるから、それに手紙も書くよ。」 「約束だよ。」 「うん、それとさ、いいこと教えてあげる、君と同じバスで通ってたって言ったでしょ、実は、僕の学校とは正反対だったんだけど、君が好きで、ずっと顔を見てたかったからあのバスを使ってたんだ、本当に好きだよ瑞希、だから、僕が、居なくなってから浮気せず待っててね。」 龍は笑顔でそれだけ言うと、時間がないと言って、タクシーを捕まえて、瑞希の返事も聞かずに行ってしまったのだ。 「ずっと待ってるから、大好きだよ・・・龍。」 瑞希は、雲ひとつない、青空の下でそう呟いた。
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