三年前のあれ以降、瑞希は龍に会うことはなく、その代わりと言っては、幼馴染で仲の良かった結衣と、同居することになったのだ。 同居することになった気かっけは瑞希がそうしてくれと頼んできたからで三年前から同居している。 今では、大学も同じところに通っていた。
「お〜い、何ぼうっとしてるんだ瑞希・・もしかして、龍とかいう男のことかな?」 瑞希の目の前で、手を振りながら、結衣が声をかけてきた。 「そっそんなんじゃないよ!」 「慌ててる所からして怪しい、でもさ、あれから会えてないんでしょ。あっちだって、一回たまたま会っただけの瑞希のことを覚えてるとは思えないよ。諦めなってそんなことしてたら、一生彼氏出来ないぞ。」 半分は、茶化しながらでも、しっかりとした口調で結衣は言ってきた。 「あのね〜そんなこと結衣に心配されたくありません、それに、私結衣が思ってるほど思いつめてないしさ。」 嘘だ、だから今まで告白されてきても断り続けてきている。 「・・・・そう、それならいいけど。あっそうだ、これから食事行かない?もう授業ないし。他にも誘ったら行くって言ってたし。」 「う〜ん、御誘いは嬉しんだけど、今日は、レポートの宿題が溜まっててさ〜だから先帰ってやってるは。」 そういうと、急いで瑞希は、教室から出て行った。 「ちょっと、まだ入学したてで、宿題なんか・・・・いっちゃった。」
結衣は、大学に入ってから、合コンや食事に必ず瑞希を誘う。 「結衣のこういうところって、有難迷惑なんだよね〜。」 瑞希は、ぶつぶつと愚痴をこぼしながら、家に帰るための駅に行った。 そして、いつもの切符を買おうとした。 「えっ・・・・嘘。」 一瞬、瑞希だけの時間が止まった。 三年前、瑞希が恋をした龍らしき人が、改札口を通って電車のホームに向かっていったのだ。 瑞希は、急いで一番高そうな切符を買い、改札口をとって龍が向かったホームに走った。 ホームには、もう電車が来ていて、扉は閉まりそうになっていた。 「やばい。」 瑞希は、全力で走り半分しまっていたドアに無理やり入った。 途中、電車の駅委員が何か言っていたが構っている暇など瑞希にはなかった。そして、電車は扉を閉めて、出発した。 「なんとか間に合った。」 瑞希は、久しぶりに全力で走ったせいで少し疲れていた。 そして、龍がどこに居るのかを確かめるために車内を見まわした。 「・・・あれ?どこにもいない。もしかして・・・間違えた!」 瑞希は、高いお金を出して買った切符が無駄になったことと、せっかく会えた龍にまた会えなくなってしまうと考え、落ち込みながら、座る場所を探すため後ろを向いた。 すると、龍がいた。後ろの別の車両に座っていたのを見つけた。 「ラッキーってかホントによかった・・・待てよ、今私がしてることって、もしかして、ストーカーなのでは・・・・。」 もしかしなくても、ストーカーだよ。と結衣ならいうだろう。 そんな事を考えてるうちに、次の駅についていてそこで、龍は、電車を降りた。 それを確かめると、瑞希も後を追った。 龍は、改札口に切符を通して、駅の外に出た。 「私は、一つの駅のためだけに、高いっ切符を買ったのか・・はぁ。」 瑞希はそんな事を言いながらも、少しうれしそうだった。 だがそんな笑顔もすぐに消えた、なぜなら、駅を出てからもう40分近く歩いていて、さすがに疲れてしまったからだ。 にもかかわらず、だんだんと建物は少なくなってきて、目的地があるとしたらそれは、まだ先のように感じた。 「目的地あるのかな〜。」 瑞希は疑問に思った。 無理もない、龍は、分かれ道があるところで必ず止まり、どっちに行こうか考えて適当に進んでるようにしか見えないからだ。 そしてまた、分かれ道が来た。 龍は、またとまった。そして、なぜか瑞希のほうを振りかえった。 瑞希は、すぐに壁に隠れて、しばらく息を殺していた。 「ねえ、いつまで着いて来てくれるのかな?ストーカーになってしまった、谷山水木さん。」 「・・・谷山って?・・・私じゃん!」 瑞希は、一瞬龍が、何を言っているのか理解できなかったが、少しして、瑞希を覚えて居たのだと理解し、感激した。 そして、隠れていた壁から出てきて言った。 「勝手に追いかけてきて、すみませんでした。」 それを言った後顔をあげて、龍の顔を見た。 驚いた、怒っているかと思ったが、彼は優しい顔つきで笑っていたのだ。 「久しぶりですね、谷山さん。」 瑞希は、その言葉を聞いた瞬間今まで会えなかった悲しさや会えてうれしいという気持ちでいっぱいになり、涙がでて泣いてしまった。 「なっ何で泣くんですか。」 龍は、あせった顔で近づき瑞希の涙を止めるため色々言っていたが瑞希はその言葉が耳に入ってはいなかった。
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