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作品名:ココロ 作者:snow

第9回   9
スーパーに入ると、野菜と果物が並んでいる。
素通りして、お肉と魚のコーナーでお買い得品をチェック。
あっちゃんから声が掛かった。
「待った?」
「ううん。お魚、安くなってるけど、どうする?」
「気分は肉かな〜。生姜焼きとか。」
「キャベツとか生姜とか、使いきれないんだよなぁ。お昼、何食べたの?」
「マックで済ませた。」
「ジャンキーだね〜。和食にしない?肉豆腐ならいい?」
「じゃ、それで。肉、多めでね!!」
「了解、了解。じゃ、ネギと豆腐と。あ、酢の物も食べたいけど。お惣菜でいっか?」
「なんでもいいよ。酢の物に興味ないし〜。」
「あっちゃんは、そーだね。」
と、あっちゃんに笑顔を向けた。
顔で笑いながら、心はではホッとしていた。

よかった。
ジンギスカンの後で、生姜焼きは食べたくない。
日常の中で。
見せる表情と、気持ちが一致しないことに慣れていく。
一方で。
翔ちゃんが心をよぎる度、切なさに襲われる。
いつかは、けじめをつけなければ。と、焦っていく。

帰宅し、肉豆腐を作り、お惣菜を皿に移す。
冷蔵庫からビールを出し、食べながら今日あった事を話し始める。
あっちゃんの小気味良い冗談に、私も笑いながら返す。
当たり前の日々。
私が望んで、二人で仲良く暮らす幸せ。

別れ話をしたら、どんな顔をするだろう。
傷付けることを最小限にする、いい訳はないだろうか。

…都合の良い、勝手なことを考えて。
眠れない夜も増えていった。


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