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作品名:ココロ 作者:snow

第5回   5
一年前の、休日。

「玲子、出掛けられる?」
あっちゃんが、私を呼んだ。
「ん。いいよ。」
コートを着て、今日履く靴を出す。
行き先は、銀座。

気に入ったのがあったら、買う。
何も買わずに帰ることもある。
デートだ。

あっちゃんの車に乗って、走り出す。
お気に入りの曲が流れる。
あっちゃんの冗談に、私は手を叩いて笑った。
長い付き合いだけど。
色あせることなく、仲良く過ごした。

駐車場に車を止めて、歩き出す。
お気に入りの店を、チラチラと覗き。
店員さんに
「あの棚の鞄、ちょっと見せてください。」と言った。
その鞄を持って、あっちゃんへ見せた。
「どう?」
「悪くないけど。もう少し明るい色のがいいんじゃない?」
「そうかな?」
「ま、気に入ったなら買ったげるよ?」
「いいよ、買うなら自分で買うけど。。。。。」
「決め兼ねるなら、止めたら?」
「そーだね。。。すいません。もう少し考えます。」
と、店員に鞄を返した。

「いいの?」
「うん。もう少し、大きい方がいいかも。」
「そっか。あ。そこの店にちょっと寄るよ?」

???????
貴金属店だった。
一緒に入ると、あっちゃんは店員さんに話しかける。
私は、店内をブラブラして、光を放つ商品を見て回った。
一周する前に。
「玲子。こっちは、いいよ。もう少し見る?」
「ううん。興味ないもん。何?お母さんにブローチか何か?」
「誕生日が近いからね。」
「あっちゃんて、優しいよね。そういうトコも。」

デートの日の食事は、あっちゃんのリサーチに任せていた。
「今夜は、魚の旨い店に行こう。」
「へぇ〜〜〜!お腹空いたぁ〜。」

少し早目に、店に入った。
カウンター席に通されると、ショーケースにいろんな魚介が並んでいる。
メニューを見る。
・さざえのつぼ焼
目の前には、さざえ。
「私、コレかな〜〜〜。あとは、あっちゃんの好きなのでいいよ。」
あっちゃんは、ビールを1つと、適当に何品か頼んだ。
自分は『車だから』と、我慢しても。
私のビールを頼んでくれる。

今日、入った店の事。
ちょっと、変わった格好をした人がいた事。
昨日の、同僚の話。
面白おかしく話す、あっちゃん。
私は笑いっぱなしで、ビールを追加した。


帰りの車の中で。
「さっきの、ジュエリー屋の袋。取って。」
運転しながら、あっちゃんが言う。
「何?どーしたの?」
「あげる。」
「へ?????????」
「開けてみて。」

ピアスだった。
1ヶ月前、雑誌を眺めながら。
「コレ、かわいくない?」
なんとなく、あっちゃんに見せた。
「ふぅ〜〜〜ん。よく、分かんねーな。」
「シンプルだし、いいなー。」
と、言いながらページをめくった。

あっちゃんは、あの後。
そのページを開いて、店を確認して。注文したんだ。
おねだりのつもりなんか、なかった。

「ありがとーーーーーーーー!!でも、どうして?」
「ちょっと、いい事があったから。」
「いい事って???」
「それは、内緒。」
ニヤつく、あっちゃんから。視線をピアスに戻した。



(もう少しで目標額だ。貯金が一千万円になったら、プロポーズをしよう。
その時は一緒に、エンゲージリングを選ぶんだ。)


あっちゃんの、ニヤつく理由だった。


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