出社すると。 いつものオフィス。 いつもの同僚。 いつものデスクに、高井がいた。
「おはよーございまーす。」 朝の挨拶。 高井の表情は、変わらない。
駆け寄ってきた同僚、白川美奈。美奈ちゃんと呼んでいる。 「あー、おはよー。今日、ちょっとハードなんだよね〜。手伝ってくれる〜?」 「ん。そのつもりで、あっちゃんには遅くなるって言ってきたから〜。大丈夫!」 「ごめんねー。あっちゃんにも、悪いねー。」 「平気、平気。よくある事だし。気にしないで。」 あっちゃんと美奈ちゃんは、会ったことはないけど。 長く同棲していることは、話していた。
ふと、高井を見る。 目が合う。 ときめいた。 ドキドキした。
この時、確信した。 私はこの人を。もっと、好きになる。
メールの着信音がなった。 高井からだった。 [ 今夜、時間作れる?] [ 少し話す程度なら。仕事が終わったら、さり気なく残ります。] [ じゃ、その時に。]
美奈ちゃんの仕事も手伝って、終わったのは20時。 オフィスには2人。 白板には。『高井・直帰』の文字。
「助かった〜〜〜。ありがとね〜〜〜〜〜〜〜〜!」 「いいよ、お互い様だもん。」 「あっちゃん、待ってるんでしょ?」 「うん。連絡して、どっかで待ち合わせするから。先に帰って〜。」
美奈ちゃんの背中を見送って、高井にメール。 [ 今、終わりました。ドコにいますか?] [ 裏口の道を渡った、駐車場にいる。] [ じゃ、行きます。]
見慣れた車。 営業で同行する時に、時々乗っていた。 運転席を覗き込むと、高井が笑顔で窓を開ける。 「ちょっと、乗る?」 「はい。」
私の中で、あっちゃんがよぎる。
乗り慣れた助手席。 今日は、全然違う。 やっぱりドキドキする。
どちらともなく、寄り添い。キスをした。 気持ちが熱い。 すぐ帰るつもりだったのに、もっと一緒にいたくなった。
「そんなに時間、ないよね?」と、高井が言う。 「食事くらいの時間なら、作ります。」 「いいの?」 「メールだけさせてください。」と、車を降りた。
[ あっちゃん、待たせたのに、ゴメン。 美奈ちゃんと食事して帰ることになっちゃった。 遅くならないようにするけど、何か食べてて。]
2回目の、ウソになった。
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