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作品名:ココロ 作者:snow

第2回   2
あっちゃんとは、20代の殆どを過ごしていた。
私は今年30才になる。

優しくて、明るく、社交的で冗談の上手い。
あっちゃんが大好きだ。

仕事の愚痴を聞いてくれて。
休みの日は、デートに連れ出してくれて。
連休があると旅行に行った。
なんでもない日に、サプライズのプレゼントをくれた。

そして、私は毎日、笑っていた。
そう。
本当に、よく笑う日々だ。

あっちゃんが大好き。
あっちゃんが大好き。
あっちゃんが大好き。


出勤前の朝。
あっちゃんが、私に笑いかける。
昨夜の出来事を知らず、信じて疑わない、まっすぐな瞳を私にむける。

「今夜。飯どーする?」
「あっちゃんより、仕事、遅くなるかも。美奈ちゃんの手伝いがあるの。」
「そっか。じゃ、先に帰って待ってるよ。」
「うん。大体の時間が分かったらメールする。外食になるね。」

いつもの会話。
いつもと違うのは。
あっちゃんの瞳を、素直に受け止められなくなってしまった。

顔は、向けるように心掛けた。
心変わりを、気付かれぬように。

高井の気持ちに応えた、その瞬間に。
大事な人。が、すり替わってしまった。
もう、気持ちは止まらない。
高井への想いを抱えながら。
目の前には、大好きなあっちゃんがいる。
苦しい。

『大事な人は一人だけ。二人は、ありえない。』
自分で自分に言い聞かせながら。
変わらぬ態度で、あっちゃんと話し。
別れ話を。いつ切り出そうか考える。
私は、自分を責めながら、高井のいる会社へ出勤する。

コートを着て、外へ出た。
風が冷たい。
寒いのは。
季節のせいだけじゃない。

と、思った。


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