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作品名:無限地獄  シーズン1 作者:加納恭次

第1回   シーズン1  爪
「恭次   恭次  。」

薄い意識の中 女が、俺を呼んでいる。 叫んでいる。

跳ね起きた 俺の体が宙に浮いた。  ベッドだった。
昨夜 知りあったばかりの女が、俺のポケベルを指差して叫んでいた。
「何度も鳴っていたよー  」
煙草に火をつけた。 なる場所は 一つしかなかった。
俺が好きで持っているんじゃねえ  持たされてんだ

女に言い放ち 受話器を取った。
「恭次 いつまでちちくりあってんだあ あー  何回鳴らしたと思うんだ
親父が呼んでる 早く事務所に来い」

昨日 今日 入った じじいが、舎弟になったからって威張りやがって

恭次は、昨日で19歳になったばかりだ。暴走族でひととおり ヤンキーマニュアルを
卒業し17歳でアウトローの道に入った いや 実の親父にサジを投げられ 知り合いのアウトローに預けられたのが、始まりだった。

「呼ばれたから 又な 帰ってていいから  じゃあな」

そう言い放ち 恭次は、部屋を後にした。

V8のエンジンが心地いい 朝の空気がやけに冷たい フロントガラスに反射する日差しが 寝不足の恭次を襲った。

信号が変わった アクセルを踏み込んだ ホイルスピン  白い煙をあげながら
カマロが走り去って行った。

    

  


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