Warning: Unknown: Unable to allocate memory for pool. in Unknown on line 0 Warning: session_start(): Cannot send session cache limiter - headers already sent in /var/www/htmlreviews/author/11592/11432/6.htm on line 4 不確かなもの「愛」
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作品名:不確かなもの「愛」 作者:森 聖湖

第6回   6
健介は山下と別れ、郊外にある高層マンションへと向かった。そこが2年前から彼が帰るべき場所になったのである。エレベーターで上り下りする生活にはなかなか慣れなかった。
 かつては、家の灯りが見えてくると心が躍り楽しくなったものだった。高層マンションでは灯りを見ても自分の家だという実感が湧かないし、同じ玄関ドアが並んでいて奇妙な感じになる。健介は味気なさを感じていた。

「おかえりなさい」
「ああ、ただいま」

「カレー作ったのよ〜」美紀の声は明るく響いてくる。
「あ、山下と会ってちょっと飲んできたからいらないよ」
「あら〜、そうなの」美紀はちょっと口を尖らせて見せた。
「お茶くれ」

 カレーねえ・・・それはランチで食べてるよ。

 健介はどっと疲れがきた。それでなくても最近疲れているのだ。山下の言うように覇気がなかった。生活のパターンというか、パターンを作っている基本のパーツが崩れているのだ。

 ピリっと糊のきいたワイシャツ、折り目の美しいズボン、コーディネイトされた品のいいネクタイ・・・クローゼットを開けるといつも揃っていた日々は、今の彼には訪れなかった。美紀が育児で手一杯で健介のことまでできなかったため、全部自分でしなければならなくなっていたから。
 疲れて帰ってきて、自分でハンガーにかけプレスをし、クリーニングに出し、取りに行く、なんのことはない作業が健介には苦痛だった。そんな日常の細かいことをできるタイプではなかったのである。

「あなた〜、ねえ麻衣をお風呂にいれてくれる?」
「なんだよ、まだだったのか?」

 何だと思っているんだよ、全く・・・。

 美紀を小さくして更に甘えん坊にした麻衣を風呂に入れる仕事は疲れを倍増させる。やれやれ、もう少し要領よくならないものかと健介は肩を落とした。


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