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不確かなもの「愛」
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第14回
14
名古屋での一夜がその後のふたりの関係を決定づけたと言える。健介と美紀は、お互いを求める激しいエネルギーに呑み込まれ、男と女の深い情念の渦の中に諸共に堕ちていったのだった。
健介は、美紀との最初の夜から、自分の中に今まで感じたことのない強烈なエネルギーが湧き起ったのを感じていた。それは獣が獲物を狙って突進するときの激しさに似ている。美紀を見るとそのエネルギ−が最大値に達する。彼は、留まることを知らない野獣の勢いで美紀に向かっていった。 甘くみずみずしい蜜の味を知ってしまった獣はその蜜を吸い尽くさなければ気が済まない、健介はおのれの獣の性をもはやコントロールできなくなってしまったのだ。
彼女は野獣のエネルギーをぶつけるのに最高の相手だった。健介は彼女といるときただその行為だけに集中できた。思う存分美紀を支配できたのである。美紀はどんな求めにも応じて美しく激しく乱れ燃え果てていく。その姿が彼の征服欲を満たした。簡単に手に入る勝利感に彼は酔いしれていったのである。
美紀は恋愛経験が少なかった。健介が初めての男性ではないが、それまでの恋愛は学生時代のぎこちない恋で、彼女は「女」に目覚めてはいなかった。恋愛経験の少ない女性が「女」に目覚めると急激に「女」になる。美紀も例外ではなかった。 美紀は健介と関係を持つようになって変わっていった。肌は潤いを帯び眼は憂いをたたえ、ドキッとするような色気を醸し出すようになった。 愛されるってこういうことなんだと、健介の激しさに身も心も溶けていったのだ。彼女はもう健介なしではいられなくなっていた。 この美紀の変化が健介の征服欲に拍車をかけた。自分との交わりが美紀を美しくさせている、自分という男が彼女を女として開花させているという自信に更に欲望が掻き立てられた。
罪悪感は最初だけだった。
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