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不確かなもの「愛」
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第1回
1
日曜日の朝は、「チン!」というトーストが焼き上がる音とコーヒーの香りから始まる。 「あなた〜。起きて〜。」という甘い声 「ばっば〜ばっば〜」幼い娘の覚えたての言葉
ああ、なんて幸せなんだろう。 健介は噛み締めるようにつぶやいてゆっくりと起き上った。
トーストとコーヒーと目玉焼き・・・か。この2年間、朝のメニューはこんな感じだった。
時折、ふと味噌汁の匂いが恋しくなる。トントンと野菜を刻むときのまな板の音、炊き立てのご飯、焼き魚、漬物、ほうじ茶・・・健介の朝食のイメージはずっとそうだった。前妻がそうしていたから。
無意識に味噌汁の匂いを探している自分にハッとする。 長い間の習慣てそう簡単に消せないものさあと、自分の感情に言い訳をつけた。
「どうしたの?」妻の美紀が顔を覗き込んで聞いてきた。 「あ・・いや、あのさ、麻衣も離乳食順調だし、いろんな味を覚えた方がいいんだろう?たまには和食で味噌汁とかさ」 「ああ、そうねえ。でも私、ずっと朝はトーストとコーヒーだったし、朝、味噌汁って飲めないの〜。夜、時々作るからいいでしょ〜?」
ときどき・・・か。 「ああ、そうだな。」
妻の美紀は11歳年下だ。現代っ子らしく「軽食」なのだ。大学を卒業してから健介のいる会社に入社し、2年後に退職、その後健介と結婚し、現在に至る。
美紀は確かにかわいいと思う。話し方も仕草も入社当時と変わらないほわんとした感じが愛おしいとは思う。だが、家庭内のことをキチンとする能力は今一つなのだ。
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