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作品名:実際にあった事件〜児童虐待〜 作者:羅夢姫&神楽嬢

第4回   4
週末になると相談を受けたり、遊びに行ったりという日々が続いていました。
そんなある日、和気さんと共通の知人が…

「ゴールデンウィークって何か予定あるん?もし予定がなかったらみんなで
バーベキューとかせえへん?」
と言ってきたので和気さんにも声をかけました。
長男も喜ぶと思ったし、和気さん自身もストレス発散になると思ったからです。

そしてバーベキュー当日、長男は娘と息子にずっとべったりで
一緒にボールを投げて遊んだり、走り回ったり、馬を触ったり…
とても楽しそうでした。その様子を見て知人は…

「めっちゃ楽しそう…。ホンマ兄弟みたいやな。」
と言いました。私も楽しそうな姿を見て本当に兄弟の様だと思いました。
そしてしばらく経った頃、長男が駆け寄ってきて…

「今日、おばちゃん家に泊まっていい?」
と言ってきました。その言葉に娘と息子は喜んでOKしてくれその日は、
私の家に泊まる事になりました。帰り道は外泊がよっぽどうれしかったのか
長男は大はしゃぎでした。

そして私の家に来て一緒にDVDを観たり、ゲームをしたりとても楽しそうでした。
そして、夕方になり長男がお風呂から出てきた時に左足太ももに
青あざがあるのが目につきました。
長男にあざの事を聞くと…

「前にママに何回も蹴られてん。」
と答えました。私は…

「何で蹴られたん?」
と聞きました。長男は下を向き小さい声で…

「僕が言う事聞かんかったから…」
と言いました。私は…

「言う事って?」
と聞きました。長男は…

「いつもやねん。“言う事聞け”ってすぐどつくねん。
お腹を思いっきり何回も蹴られた事ある。ママは思っくそどつくから怖い。」
と言った。そしていつも両親に施設に行けと言われる事を聞きました。
長男は目に涙をため私達に…

「僕、ママもパパも好き。僕は施設に行くのは絶対に嫌や!
僕も家族やろ?違うん?僕は生まれてきたらあかんかったんかな?」
と聞いてきました。私達は何も答えられなかった…。

そして夜、長男は寝ていても誰かが少し寝返りをしたらすぐに起きた。
初めは外泊が嬉しくて気持ちが高ぶっているのかと思い、
それほど気にはしていなかった。だが、あまりに起きてしまうので長男に…

「どうしたん?布団が違うから寝にくい?」
と聞いた。長男はしばらく黙っていたが…

「いつも足音がしたら机の下に隠れるねん。殴られるの嫌やから。
朝まで机の下に隠れてるねん。」と不安そうな声で答えた。

私はこの時、初めて長男が熟睡して眠ったことがない事を知った。
あまりに衝撃的すぎて私も娘も息子も目が冴えてしまい、
朝までゲームをして過ごした。


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