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作品名:実際にあった事件〜児童虐待〜 作者:羅夢姫&神楽嬢

第22回   22
同僚は私に…
「でもな、ヒロ君に穴あいたボロボロの靴はかしとったで。
“安かった安かった”って言うわりにはヒロ君にだけみすぼらしい
格好させてるん何でやろな。下の子は綺麗に着飾ってんのに。」
と言った。私は…

「言い方は悪いけど…そうやって汚い格好しとったら周りの人が
“生活苦なんだな”みたいに見てくれるからやん。
周りに“お金がない”って印象づけたいんやろ。
実際、私らもそう思ってたからかなり金銭的な援助をしてきたからな。」
と言った。同僚は私に…

「和気さんってそういう…騙すというか何と言うか…そういう事に関しては
頭が働くねんな。利用するだけ利用されてポイ捨てみたいやな。あんたら。」
と言った。私は何も言わなかった。
同僚は私に…

「ひとつ聞こうと思ってたんやけど、ヒロ君って元々あんな喋りなん?
知恵遅れと言うか…何と言うか…。それと、この前ちょっと子供遊ばすのに
“ゲームセンターに行こうか”って話になったんよ。
その時に、ヒロ君が“一緒に行きたい”って言った時に急に和気さんが
異常なくらい怒ったからホンマにひいたわ。」
と言った。私は…

「いや。知恵遅れとかじゃないで。普通やったけどな。
でも、最近、会ってないから今は知らんわ。」
と言った。

私はその話を聞いて複雑な思いだった。
長男への扱いは全く変わっていない様だった。
それどころかエスカレートしている様に思った。
本人が選んだ道にしてもこれで本当によかったのか…
強引にでも引き離した方が長男の為だったのか…。
長男は子供ながらに“騒ぎになった以上、自分が置かれている状況が
少しは変わるであろう。”という望みを持っていたのだろう。
しばらく沈黙が続いた。
同僚は私に…

「旦那さんの悪口とか旦那さんが虐待しとるとか色んな事を言ってたわ。
そんなに嫌やったら別れたらええやんな。」
と言った。

私は内心“次はこの人か…”と思った。
和気さんは私達に言った事と同じ事を言っている様だった。
でも、あえて“嘘である事”は一切言わなかった。
理由は色々あるが、一言で言うともう一切関わりたくなかったからだ。
実際、知り合ってから本当にロクな事はなかった。
職を失くしたり、体調を崩したり…散々だった。
挙句の果てには和気さんの姿を見ただけで指が腫れ上がった事がある。
この時は本気で驚いた。
指を挟んだりぶつけたりしていないのにいきなり腫れた。
娘と息子は私の指を見て“和気の呪い”だとか“拒絶反応”だと
言って笑ったが私は本気で怖かった。


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