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作品名:実際にあった事件〜児童虐待〜 作者:羅夢姫&神楽嬢

第18回   18
そして翌日、約束通り病院に行きました。
私はいつも通り…

「おはよう」    
と言って病室に入って驚きました。
今まで長男に触らせた事のない父親が持っている任天堂DSや
大量のゲームソフトやおもちゃにお菓子が散乱していました。
私が長男に…          
         
「これどうしたん?」        
と聞くと長男は私に…          

「退屈やろうからってお父さんが持ってきてくれた。」    
と言った。そして言いにくそうに長男は私に…        

「おばちゃん、ママと二見のおばちゃん(和気さんの知人)が来て
施設に行ったらもう誰とも会えなくなるし、二見のおばちゃんの所にも
行けなくなるし、いい事は全然ないねんて。
だから僕、施設に行かへん!!虐待も無かった…。」
と言って下を向いて黙っていました。私は…          

「暴力があったのは事実やし、お父さんの暴力は母親から
聞いただけやから何とも言われへんけど、施設に行ったからって
全く誰とも会えなくなるって事はないよ。」  
と言いました。長男は泣きながら私に…      

「だって二見のおばちゃんが言ったもん。」
と言いました。私は長男に…          

「家に帰るって事でいいねんな?」      
と聞きました。長男は私に…          

「ママがもう暴力振るわへん。心入れ替えるからって言ったから…」  
と言いました。
そして和気さんの知人が和気さんに“また騒ぎになったら組に言って
何とかしてもらったる。”と言っていた事を聞きました。
私は長男に…
         
「1年半、皆がずっと怒ってきても変われへんかった。
それが変わると思える?酷い事を聞くようやけどごめんな…」  
と言いました。長男は黙って下を向いていました。
私は長男に…        
 
「選ぶのはヒロやから。いいよ。実際ヒロの両親やねんから…」    
と言いました。長男は何度も…      

「ゴメン。おばちゃん…ゴメン…」    
と謝りました。私は長男に…          

「もう会えへんと思うけど元気でがんばりよ…」  
と言いました。長男は“何で?”という顔をして私に…          

「ママと二見のおばちゃんがおばちゃんの所にも行けるって言ったで。」
と言いました。私は長男に…          

「言い方キツイかもしれへんけど、もう小学5年になったら
バカじゃないねんから分かるよな?こんなに騒ぎになったのに
会わせてくれるわけないやろ。」
と言いました。長男は黙って下を向いていました。
私は長男の頭を撫でて長男に…        
         
「元気でがんばりな。ゴメンな…力不足で…。」      
と言ってそのまま帰りました。
私はしばらく体調が悪く寝込んでしまいました。
この件に関わった人達みんな、この結末に複雑な気持ちでした…。


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