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作品名:実際にあった事件〜児童虐待〜 作者:羅夢姫&神楽嬢

第17回   17
そして翌日もまた朝早くから病院に行き、長男の下着などを
こまめにで洗い、歩く練習も少しずつ一緒に続けました。
しばらくして父親が下着と本を持って来ました。長男は…      

「今日もまたママ来るの?」      
と旦那さんに聞いていました。
旦那さんが答え辛そうにしているとしばらくして和気さんが来ました。
長男は和気さんを見るなり構えてしまい、固まってしまいました。
私は旦那さんに…
         
「本人がこんなにも構えてしまったら私もしんどいです。」      
と言いました。すると旦那さんは和気さんに…          

「スリッパ買ってきたれ。」          
と言いました。
和気さんはうっとおしそうな顔をして買いに行きました。
しばらくして看護婦さんが“部屋が片付き次第4人部屋に移る”と言ってきました。
私がペットボトルの空やゴミを捨て、入院手続きの書類も散乱していたので
片付けていると和気さんがスリッパとボヤッキーの人形を買って帰って来ました。
長男は人形を見てもそれが何のキャラクターか知らない様子でした。
しばらくして看護婦さんが“部屋を移動する”と言いベットごと移動しました。
黙って長男の様子を見ていた旦那さんが和気さんに…

「お前先帰っとけ。」
と言いました。
和気さんは一瞬嫌そうな顔をしたがそのまま帰り、
旦那さんもしばらくしてから帰りました。

しばらくして娘の会社の人がお菓子を買ってお見舞いに来てくれました。
色んな話をしたり、カードゲームをしたり、長男も楽しそうでした。  
2時間ほど一緒に過ごしその人は帰りました。

そして夕方になり、和気さんの知人だと言う人が見舞いに来ました。
お互いに軽く挨拶をした後、長男の状態を見て驚いていた。
そして私に“何故、こんな事になっているのかを説明してほしい。”と
言ってきたので、今までのいきさつを全部話しました。
和気さんの知人は、その日の11時頃に和気さんが泣きながら留守電に
“どうしよう。子供を取られてしまう”と訳の分からない事を残していたので
気になって来てくれたという事でした。
その人は私に…          
         
「まさかこんな状態になってるとは思ってなかった。」  
と言いました。私が…          

「虐待の事は知っていますか?」        
と聞くと意外にもあっさりと…          

「はい。知ってますよ。」          
と言った。
詳しく話を聞くと、長男は産まれた時から満足に物も与えられず
絶えず暴力はあり、ずっと近所の人にご飯を食べさせてもらってたそうです。
近所の人はよく…
   
「和気さんは男さえおればいいねん…」      
と言っていた事を聞かされました。
そして和気さんの知人は…
     
「うちに来ても何かあったらずっとヒロ殴ってますよ。
朝からずっと飲んどるし。」
と言い、長男に…          

「なあ?!ずっとどつかれてるやんな?だからおばちゃん
“あんたサンドバックやないねんで!”ってよくママ怒るもんな。」  
と言いました。私は…          

「朝から飲んでるのは知ってます。私と会う時は飲んだら怒るから
飲まへんけど、でも私が聞いたのはあなたが朝から飲んでパチンコ行って
携帯代も男に払わせて支払わない時は暴力団の名前を出して脅して
母親の分も払わせて生活も見てもらってるって聞いたんですけども…」
と言うと和気さんの知人は…          
         
「あの女ボコボコにしたろか。組に言ったらすぐや。
トップの2番目知っとるからな。私に恩あるから断れんねん。」
と少し怒っている様子だった。
一緒に来ていた人は長男に“もっと早く気づいてやればよかった”と
何度も謝っていました。すると和気さんの知人は私に…
         
「あの旦那は借金に追われて友人の家を転々としていたのを和気さんが
家を借りたから転がりこんだんや。」
と言いました。
       
私は、《旦那さんの実家が西明石で兄弟が家のリフォームを全額出していて
旦那さんは一銭も出してないから居辛くなって友人の家を転々としてたのを
和気さんが家借りれたし、友達の所に居ても気を使うやろうから
迎えに行くからおいでって言ってん。絶対言わんといてな。
二見の子(和気さんの知人)にもそれは言ってない》      
と聞いていたが和気さんの知人には言いませんでした。
和気さんには…
       
「色々よく物をもらったりおごってもらったりする。」    
と聞いていたが、もし善意でその人がしている事なのだとしたら
気の毒だと思ったからだ。それに…

《自分の子供達が少し汚い服でいたら周りの目も金銭的に苦しいのだと
見てもらえ、その人に色々お願いして物をもらったりおごってもらえば
その分酒代やパチンコ代に回せる》
と笑って話していた事を知らないと思ったので余計言えなかった。    
私は和気さんの知人と電話番号を交換し、証人になってもらう事を
約束してもらい、その日はそのまま和気さんの知人も帰り、
私も看護婦さんに声をかけ長男にも帰る事を納得してもらい帰りました。  
その後もしばらく朝から夕方まで病院で過ごす事が続きました。
私は正直、気がめいっていました。
和気さんは毎日…  
     
「ヒロ元気か?」      
と水ばっかり持ってきていました。
やっと水が飲めるようになったばかりでそんなに毎日水ばかり持ってきても
ペットボトルがたまる一方で困りました。
長男はよく…          

「ママ、水ばっかり持ってきて何か作るのかな?」      
と言って首をかしげていました。
丁度その時、旦那さんが来ました。
“入院中何もなかったらヒマ”だと思い、和気さんにTVカードを
買ってくる様に言いました。
しばらくして和気さんは長男にTVカードを差し出し…          

「ほら、取れ。はよ取りんかいな。」    
と言いました。
すると旦那さんは溜息をつき、TVカードを受け取って和気さんに…

「先に帰っとれ」
と言いました。和気さんは…
         
「何でよ!?」          
と不満そうだったがしぶしぶ帰りました。
私は旦那さんに…          

「あれは何ですか?まだ病人でまともに動けない子に“はよ取れ”と
言わんばかりの言い方は?家で話し合いとかされなかったんですか?
もう少し病人をいたわる事って出来ません?」        
と聞きました。旦那さんは私に…          

「“そういうのはあかんぞ”とは言うてはきかしてるんやけど一緒やね…」  
と言いました。私は旦那さんに…          

「和気さんとヒロが“助けて”って言ってきたから皆、協力したんですよ。
でなければ誰も土足で人の家庭に入り込まへんし、職なくして体調崩してまで
しないですよ。それやのにお礼の一言もないですよね?」      
と言った。旦那さんは頭を抱えて悩んでいる様子だった。
しばらくして長男に昼食(おもゆ)が出ました。
ですが、両親は何も用意してませんでした。
私は旦那さんに…

「たぶん売店で売ってると思うので買ってきます。」    
と言って急いで買ってきました。
やはりその時も全く礼の一言もありませんでした。
しばらくして旦那さんは私に…  

「明日は西新町の方に用事があって朝からは来れませんけど顔は出します。」  
と言って初めて会釈して帰りました。
私はしばらくして長男に…    

「明日1日だけおばちゃんが来ない日を作ってみて様子を見ようと
思ってるねんけど、どうやろ?」
と聞いてみました。
長男は…      

「イヤや。絶対イヤ。おばちゃん家の子になるには僕どうすればいいの?」
と言ってきました。私は長男に…        

「犬や猫の子じゃないからそう簡単にはいかへんねん。」      
と言いました。すると娘が長男に…          

「1つ提案がある。ヒロが“施設に行きたい”って言ってくれたら、
うちらが親権とか児相に手続き出来るように持っていける。」
と言った。私は娘に…

「あんた、子供にそんなこと言うんは酷やで…」
と言ったが、長男はまだ子供で内容はよく理解していなかったが
長男は私に…

「施設に行ったらおばちゃん家の子になれるん?
また家に帰ったらもっと蹴られるし、今度こそ殺される。」
と言った。私は長男に…        

「初めての事で難しいけどやれるだけの事はやってみる」    
と答えました。娘は長男に…          

「警察が間に入っとるから、親の了承なくヒロ連れ帰ったら
誘拐になってまうねん。辛いやろうけどがんばろな。」
と言いました。私は長男に…          

「ずっとここに長い時間おって家の洗濯物とかたくさん溜まってるから
片付けたいんよ。明日1日だけ来ない日を作らせてくれへんかな?」
と言った。長男は不安そうな顔で私に…          

「もう来んの?」        
と聞いてきたので私は長男に…        

「ずっと来んわけじゃないよ。明日だけやで。明後日は朝から来るから。」  
と言いました。すると長男は私に…          

「絶対な。約束やで。」      
と言って指切りげんまんをしました。
しばらくして校長先生が見舞いに来て私に…        
       
「和気君と少し話したいから席を外してもらえますか?」      
と言った。そして30分経って校長先生が来て私に…        

「やっぱり家に帰りたくないみたいですね。
両親からの異常な暴力はあったみたいやし、
本人も“施設に行きたい”と言ってるしね。」
と言ってきました。
私は長男に話した内容と施設を進めた理由を校長にも話した。
校長先生は頭を抱えている様子だった。
校長先生は私に…
         
「病院は盲腸で片づけてしまいそうや…
盲腸なんかで片づけられてしまったら困るねん…
教育委員会も児相も当てにならんのや…」
と言ってまた教育委員会に行きました。
私はしばらく長男とトランプやカードゲームして遊んで
夕方になって家に帰りました。

私は本当はすごく不安でした。虐待は事実であったとしても長男は
まだ子供だし家族と接する内にやっぱり親を庇うのではないか…。
どんな親であっても親に変わりはないのだから…。

翌日、私は溜まった洗濯物や家の片づけをしたが疲れから体調を崩しました。
その日の夜、娘と娘の彼氏が仕事の帰りに本屋さんで付録つきの本と
ジャンプを買って二人で病院にお見舞いに行ったそうです。
その日も残業があり、病院に着いた時間が遅かったので、顔を見て
少し話をして帰ったそうです。


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