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作品名:実際にあった事件〜児童虐待〜 作者:羅夢姫&神楽嬢

第15回   15
私は和気さんと旦那に自分達がやってきた、やっている事は
“躾”と言うキレイな言い方をした“虐待”である事を話しました。
そして何故、昨晩から吐いたり腹痛を訴えている子を
翌日の昼まで放っておいたのかを聞くと旦那さんは…    
         
「俺は“明日でも医者連れてったれ”って言いましたよ。
こいつが連れて行かへんかっただけです。」    
と平然と他人事の様に言いました。すると和気さんは…          

「いや…ヒロがまたオーバーに痛がってると思って…」    
と言ったので私は…          

「吐いたりするまでに何か予兆があったんじゃないんですか?」  
と聞きましたが、和気さんと旦那さんは…          

「さぁ…?」          
という感じで全く無関心な様子でした。
何度聞いても二人共理由を答える事はなかってので私は質問を変え…  
         
「じゃあ、何故テレビを見せないのですか?」      
と聞くと旦那は…          

「自分が見て為になる物、例えば“戦争物”とかは録画しておいて
後日、いい子でいたら見せます。」
と言いました。私は…          

「じゃあ、何故ご飯は3人で仲良く食べているのにヒロ君だけ自分の部屋に
押し込めて1人で食べさせるのですか?」
と聞くと旦那さんは…        

「ヒロはふざけるし、下の子がヒロと一緒に食べるのを嫌がるし、
すぐ下の子泣かすから…」    
と答えました。私の知人は…          

「嫌がるって…でも兄弟でしょ?それに小さい子とか子供がいたら
うるさいのも部屋が汚くなるのも当たり前でしょ?」  
と聞くと旦那は…          

「自分は仕事で疲れてるし、体も弱いから…」        
と言いました。そしてワザとらしくえずくフリをして…          

「障害者手帳を申請しようと思っています。」    
と言ったので私は…          

「役所や周りを騙してその上まだお金を騙し取る気ですか?」  
と聞くと旦那さんはバツが悪そうに和気さんの方を見ました。
そして…        

「こいつに金渡したらパチンコとかに全部使うし、料理もせんし、
家賃とかも滞納してたし。」    
と急に話をそらし和気さんに…          

「お前、だいぶ長い事払ってへんかったもんな。」      
と言い二人で少しお金の事で口論になっていました。
私は話がズレているので本題に戻そうと思い、旦那さんに…
         
「和気さんは“ケジメをつけたいから別れたい”と言って私達に
協力を求めて来たんですが、それに対してはどうですか?」
と聞き、和気さんにもう一度“別れたい”と言った意思を再確認しました。
すると旦那さんは…  
         
「できれば自分の子やから皆で一緒に過ごしたい。」  
と言いました。私が…          

「ヒロはよう渡せん。今度帰して殺されたら嫌やし…。」    
と言うと知人も…          

「こんな状態にまでなってるのに又一緒にと何故思えるん?」  
と言いました。すると和気さんは…          

「子供は渡さへん。3年前までは虐待してたけど…」      
と言ってきました。私達は…          

「はぁ?あんたと知り合ってまだ1年半ですけど?
あんた等がやってきた事をよく考えてみ?誰が渡せるの?」
と言うと旦那さんは…          

「虐待は俺がいない時にしていたのか?俺は知らんかったし、
俺が見てたら怒るし。出来たら又3人、いや4人で過ごしたい。」
と言いました。すると知人は…         

「はぁ?大豪邸に住んどるんやないんやから。3DKの一つ屋根の下に
一緒におって何があったかも分からんていうのは通らへんし
おかしいんちゃうのん?」と言いました。
すると旦那は…          

「理由をちゃんと話した上で”躾のつもりで”手を上げるという事はあった。」  
と言いました。知人は…          

「躾と怒るのは全く違うものなんですよ。
家で物音一つ立たせてはいけないとかヒロ君だけ自分の部屋に追いやったり、
下の子には色々与えるのにヒロ君には必要な学校の物とかも
まともに与えないというのがあなたの思う躾というものなんですか?」
と聞きました。すると旦那は…          

「皆さんが虐待やって言うんならそれでいいですよ。なぁ?」    
と開き直って和気さんに言うと和気さんは…          

「あんたもしとったやん。蹴ったりしてたやん。」      
と言った。旦那さんは…
         
「俺がか?そんなん知らんで?お前がやっとったんやん。
やりすぎとるから止めた事もあったやないか。」
と言った。和気さんは…          

「自分もやっとったやんか!!蹲ってるのに蹴ったりしてたやん。
自分の方が多かったやん。」  
と言いました。知人が…         
         
「多い少ないの問題ちゃう!!」    
と怒鳴ると和気さんと旦那さんの罪のなすりあいが始まりました。
しばらく黙って聞いていた娘がその態度に腹が立ったのか…  
       
「ええ加減にさらせや!!己らなすりあっとるけど
虐待があったって認めとるやんけ。」    
と怒鳴りました。すると二人共黙ってしまったので和気さんに…          

「あんたどないすんの?」      
と聞くと…          

「こんな私でよければ…」        
と顔を赤らめて言いました。私達は腹が立ち…        

「あんたいい加減にしいよ!!“叩き出したる”とか“出て行ってもらうから
協力して”って言うとったんちゃうの?ヒロが小学校2年生の時に
“もういらんから叩き出したった”って言う男やで?
こんなにもめとって虐待が事実で、あれ奥さんを一言でも庇う訳でもなく
全部あんたがやったって言う様な男やで!!
いい加減子供の為だけに生きてやるっていう事をしてやったらどうなんよ?」
と言うと…          

「どうしていいかわからへんもん…好きやねんもん…それにこれでも
子供の父親やねんし。父親が必要やし、お金ないし…」
と泣き出しました。その様子を見て娘は急に立ち上がり和気さんの方に歩いていきました。
そして娘は和気さんの髪の毛を掴み和気さんの耳元で…

「ヒロは渡さねぇぞ。」
と言いました。そして私を見て…

「ヒロんとこにおるわ。」と言って部屋を出て行きました。
私は今まで見た事のない娘の目と冷静な言い方にゾッとしました。
しばらく沈黙が続きました。
そして知人は…          

「旦那さんのお金をあてにしてるから仕事も長続きせえへんのやろ?
やる気ないみたいやし…」  
と言いました。すると和気さんはしばらく黙って…        

「タバコ吸ってきていいかな?」        
と言いました。私が…          

「ふざけるな!!」        
と言うと和気さんは下を向いて…         

「ガマンします…」          
と言い黙り込みました。私は…          

「もうラチがあかへんな…病院から児童相談所には連絡いっとるから
警察に入ってもらおうか?」  
と言いました。すると娘の会社の人が…          

「うちの親父に警察の知り合いがおるから力になってもらうわ。」
と言ったので、警察は娘とその人に行ってもらう事にしました。
この時点で話し合いは8時間に及んでいました…。


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